(4.木曜日15:10)
放課後、授業の終わった教室には楽しげなクラスメイト会話で溢れている。
そんな活気のある教室の中で上条当麻だけが「うだあぁ」っと上体を机に投げ出している。
放課後、授業の終わった教室には楽しげなクラスメイト会話で溢れている。
そんな活気のある教室の中で上条当麻だけが「うだあぁ」っと上体を机に投げ出している。
今日も今日とて朝から不幸の連続だった。
だめ押しに小萌先生から「上条ちゃんは今日も補習なのです」と当然のように居残りを命じられ、
放課後というのにテンションは最低レベルまで下がっている。
だめ押しに小萌先生から「上条ちゃんは今日も補習なのです」と当然のように居残りを命じられ、
放課後というのにテンションは最低レベルまで下がっている。
「夕日をみるとなぜか涙が出るよ。ママン」
上条が現実逃避をしている間に教室に残っているクラスメイトは少なくなっていた。
耳に入ってくる会話の方に視線を向けると青髪ピアスが姫神秋沙に正しい魔法使いについて
レクチャーしていた。
どうやら今は正しい魔法使いの決めポーズの練習中らしい。
姫神は魔法のステッキ(特殊警棒ともいう。でも新素材)片手にポーズを取っている。
耳に入ってくる会話の方に視線を向けると青髪ピアスが姫神秋沙に正しい魔法使いについて
レクチャーしていた。
どうやら今は正しい魔法使いの決めポーズの練習中らしい。
姫神は魔法のステッキ(特殊警棒ともいう。でも新素材)片手にポーズを取っている。
(正しい魔法使いが超機動少女カナミンっていうのはおかしいだろ。コラッ!)
青髪の後頭部に思いっきりツッコミを入れてやりたい上条だったが、今はそんな気力もなく
どっぷりアンニュイな気分に浸っている。
どっぷりアンニュイな気分に浸っている。
(誰か青髪の野郎にツッコミを入れてやってください。プリーズ!)
上条がそう思った瞬間その後頭部に鉄拳が叩きつけられた。
もちろん青髪にではなく上条の後頭部に。
もちろん青髪にではなく上条の後頭部に。
「貴様、いつまでだらけている。シャキッとなさい!」
後頭部をさすりながら首だけのっそりと振り向くと左手を腰に当て右の拳を握り締めている
吹寄制理がいた。
吹寄制理がいた。
「なんだそのじいさんのような動きは。疲れている?それはきっと糖分不足だ」
とかいって上条の口に無理矢理アメ玉をねじ込んだ。
「どう?これで少しはシャキッとした?」
ようやく上体を起こした上条が見回すと教室にはもう上条、吹寄、姫神、青髪の4人しか残
っていなかった。
再起動中の頭を振りながら上条は一つの疑問を口にした。
っていなかった。
再起動中の頭を振りながら上条は一つの疑問を口にした。
「どうして吹寄さんはまだ教室に残っていたりするのでしょう?」
「なっ、なぜって、それは、小萌先生の助手よ。助手。
貴様は毎回毎回補習をしなきゃならない小萌先生に申し訳ないと思わないの?
私はそんな小萌先生のお手伝いがしたくて補習の助手を申し出たのよ。文句ある?」
「なっ、なぜって、それは、小萌先生の助手よ。助手。
貴様は毎回毎回補習をしなきゃならない小萌先生に申し訳ないと思わないの?
私はそんな小萌先生のお手伝いがしたくて補習の助手を申し出たのよ。文句ある?」
そういう吹寄制理の顔はなぜか赤くなっているのだが、当の上条は(なんで頭に血が登るほ
ど怒ってるんだ。こいつ?)などと的外れなことを考えていたりする。
ど怒ってるんだ。こいつ?)などと的外れなことを考えていたりする。
「貴様の補習を手伝ってやろうというんだから感謝しなさい。
そうね。感謝の印としてこの補習が終わったら黒蜜堂の新作スイーツ『カロリー控えめ
能力開発パフェ』を私に奢りなさい。
いいわね。上条当麻。
それじゃ、私は小萌先生の所に行ってくるから補習までに貴様は不抜けた頭をシャキッと
させなさい。」
そうね。感謝の印としてこの補習が終わったら黒蜜堂の新作スイーツ『カロリー控えめ
能力開発パフェ』を私に奢りなさい。
いいわね。上条当麻。
それじゃ、私は小萌先生の所に行ってくるから補習までに貴様は不抜けた頭をシャキッと
させなさい。」
一気にまくしたてると吹寄制理は教室から出て行った。
(5.木曜日15:20)
吹寄制理のマシンガントークに圧倒された上条は呆然とその後ろ姿を見送っていた。
そこに「カ~ミ~や~ん」という3大テノールも真っ青の野太いボイスが聞こえてきた。
吹寄制理のマシンガントークに圧倒された上条は呆然とその後ろ姿を見送っていた。
そこに「カ~ミ~や~ん」という3大テノールも真っ青の野太いボイスが聞こえてきた。
「とうとうカミやんは吹寄にまでフラグを立てよったんか。
吹寄と放課後ドキドキお勉強タイムにお手々つないで仲良しデートなんて羨ましすぎる」
「あのな!鬼軍曹のしごきと不良のカツアゲに遭うのがそんなに嬉しいんかい?」
「なんでいつもカミやんだけが美味しいおもいをするねん。
ボクとカミやんとどこが違うというねん。
こんな不公平を神様が許すはずあらへん。
いや、その前にボクがそんな悪行を許しまへん」
吹寄と放課後ドキドキお勉強タイムにお手々つないで仲良しデートなんて羨ましすぎる」
「あのな!鬼軍曹のしごきと不良のカツアゲに遭うのがそんなに嬉しいんかい?」
「なんでいつもカミやんだけが美味しいおもいをするねん。
ボクとカミやんとどこが違うというねん。
こんな不公平を神様が許すはずあらへん。
いや、その前にボクがそんな悪行を許しまへん」
青髪ピアスは上条の胸ぐらを掴むと上条をぐいっと引き寄せた。
「カミやん。これは暴力やあらへん。人の道を外れそうな(ハーレムルートの)カミやんを
思った(妬んだ)愛の(嫉妬の)ムチ(ゲンコツ)やねん。さあ。歯を食いしばり」
「校内での暴力は。いけない」
思った(妬んだ)愛の(嫉妬の)ムチ(ゲンコツ)やねん。さあ。歯を食いしばり」
「校内での暴力は。いけない」
拳を振り上げた青髪の後頭部を姫神秋沙が魔法のステッキ(特殊警棒)でポンとつついた。
その瞬間「バシッ」という音が教室内に響き渡り青髪の動きがピタッと止まった。
ついでにいうと青髪は白目まで剥いていたりする。
上条は姫神秋沙の(しまった)という表情を見逃さなかった。
どうやら魔法のステッキのマジカルパワー(スタンガンともいう)を間違えて発動させてし
まったようだ。
その瞬間「バシッ」という音が教室内に響き渡り青髪の動きがピタッと止まった。
ついでにいうと青髪は白目まで剥いていたりする。
上条は姫神秋沙の(しまった)という表情を見逃さなかった。
どうやら魔法のステッキのマジカルパワー(スタンガンともいう)を間違えて発動させてし
まったようだ。
上条がとりあえず姫神秋沙に「サンキュー」と言おうとした時、青髪の体は棒が倒れるよう
にゆっくりと姫神秋沙の方へ傾いていく。
上条はとっさに青髪のベルトを左手でつかんだものの180cmの青髪を168cmの上条
が支えきれるわけがない。
青髪が姫神秋沙を直撃しないように青髪の体を左に逸らせるのが精一杯だった。
そして教室に「ドスーン!ガチャン!」という音が鳴り響いた。
上条が期待した通り青髪の身体は姫神秋沙をそれて床に激突した。
そしてお約束通り上条の身体が姫神秋沙を直撃した。
にゆっくりと姫神秋沙の方へ傾いていく。
上条はとっさに青髪のベルトを左手でつかんだものの180cmの青髪を168cmの上条
が支えきれるわけがない。
青髪が姫神秋沙を直撃しないように青髪の体を左に逸らせるのが精一杯だった。
そして教室に「ドスーン!ガチャン!」という音が鳴り響いた。
上条が期待した通り青髪の身体は姫神秋沙をそれて床に激突した。
そしてお約束通り上条の身体が姫神秋沙を直撃した。
(6.木曜日15:23)
結果として上条は姫神秋沙を押し倒してしまった。
そして右頬が触れている弾力のある暖かさと開いた右手が押し潰している柔らかい感触に気
がついた。
上条当麻は健全な男子高校生である。
この状況で右手の指が無意識に動いてしまったとして誰が責めることができよう?
結果として上条は姫神秋沙を押し倒してしまった。
そして右頬が触れている弾力のある暖かさと開いた右手が押し潰している柔らかい感触に気
がついた。
上条当麻は健全な男子高校生である。
この状況で右手の指が無意識に動いてしまったとして誰が責めることができよう?
しかし姫神が小さく漏らした「アッ!」という声を聞いたとたん上条はわずか0.05秒で
完全土下座体勢に移っていた。
完全土下座体勢に移っていた。
「姫神様、今のセクハラまがいは決して故意ではありませぬ。
ここは姫神様の御慈悲をもって貴女様を助けようとした私めをお許し頂きたく……」
ここは姫神様の御慈悲をもって貴女様を助けようとした私めをお許し頂きたく……」
床に額をこすり付け全力で謝り続ける上条は無言で立ち上がり近寄ってくる姫神の気配を感じた。
(このまま頭を踏み砕かれて上条さんはご昇天なんでしょうか?なんて不幸なんだあぁっ)
そう嘆く上条の右手を姫神秋沙の両手が包み込むように握ってきた。
「へっ?」
何が起こったのか理解できていない上条が顔を上げると姫神秋沙はそのまま上条の右手を引っ張って上条を立ち上がらせた。
姫神秋沙の手の柔らかさに先ほどの感触がフラッシュバックし上条はつい姫神秋沙の顔から
視線を外してしまう。
姫神秋沙の手の柔らかさに先ほどの感触がフラッシュバックし上条はつい姫神秋沙の顔から
視線を外してしまう。
「あっ、ありがとう。姫神。それとゴメン」
(姫神大明神、貴女様の御慈悲は決して忘れません)などと感慨にふけっていた上条はふと
あることに気がついた。
あることに気がついた。
「あの~、なんで姫神さんは上条さんの右手をお離しにならないんですか?」
そう問いかける上条に潤んだ瞳で上条を見つめる姫神秋沙は両手で包み込んだ上条の右手を
自分の胸元へグッと引き寄せることで応えた。
言うまでもないが姫神秋沙は美少女である。
本人は自分の存在感が限りなく薄いことを嘆いているが、クラスでは吹寄制理と双璧をなし
クラスの男子からの人気はすこぶる高い。
自分の胸元へグッと引き寄せることで応えた。
言うまでもないが姫神秋沙は美少女である。
本人は自分の存在感が限りなく薄いことを嘆いているが、クラスでは吹寄制理と双璧をなし
クラスの男子からの人気はすこぶる高い。
そして再び言おう!上条当麻は健全な男子高校生である。
たとえ朴念仁であろうが姫神秋沙が美少女であるという認識はある。
不幸体質の自分にこんな美味しいラブコメなんてあるはずないと達観しつつも美少女の潤ん
だ瞳に見つめられれば鼓動は自然に速まってくる。
そして視線も姫神秋沙の柔らかそうな唇に釘付けになってしまう。
その唇が「上条君」と動いた。
たとえ朴念仁であろうが姫神秋沙が美少女であるという認識はある。
不幸体質の自分にこんな美味しいラブコメなんてあるはずないと達観しつつも美少女の潤ん
だ瞳に見つめられれば鼓動は自然に速まってくる。
そして視線も姫神秋沙の柔らかそうな唇に釘付けになってしまう。
その唇が「上条君」と動いた。
(なっ、なんですか?この反応は……。いったい私は何のフラグを立てたのでしょう?)
上条はいつの間にか乾ききっていた喉が痛くなってゴクリと唾を飲み込む。
「姫神……」
「…………どうしよう?ケルト十字」
「へっ?」
「…………どうしよう?ケルト十字」
「へっ?」
現実は『甘ったるい若い男女の青春模様』ではなく、極めて深刻なものであった。
さっきの事故(セクハラ)の最中に上条の右手『幻想殺し(イマジンブレーカー)』が姫神秋
沙のケルト十字に触れていたのだ。
『幻想殺し』に殺されたケルト十字はもはや『吸血殺し』を封印することはできない。
姫神秋沙が上条の右手を握ってきたのは『幻想殺し』で『吸血殺し』を封印するためだった。
ようやく上条は自分のしでかした事の重大さに気付いた。
さっきの事故(セクハラ)の最中に上条の右手『幻想殺し(イマジンブレーカー)』が姫神秋
沙のケルト十字に触れていたのだ。
『幻想殺し』に殺されたケルト十字はもはや『吸血殺し』を封印することはできない。
姫神秋沙が上条の右手を握ってきたのは『幻想殺し』で『吸血殺し』を封印するためだった。
ようやく上条は自分のしでかした事の重大さに気付いた。
「すまない、姫神」
「大丈夫。君の右手が触れている限り。私の『吸血殺し』は発動しない」
「大丈夫。君の右手が触れている限り。私の『吸血殺し』は発動しない」
姫神秋沙はそういうもののそれは上条は右手を姫神秋沙からもう離せなくなったということだ。
しかももうすぐ小萌先生と吹寄が教室に戻ってくる。
上条はどうすれば良いか判らないがとりあえずできることをしようと思った。
しかももうすぐ小萌先生と吹寄が教室に戻ってくる。
上条はどうすれば良いか判らないがとりあえずできることをしようと思った。
「姫神、逃げるぞ!」