とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

第五章

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(14.木曜日17:25)
「いるんだろ!インデックス」

上条はドアを開けるなりに部屋の奥に呼びかけた。
しかし上条の呼びかけに応えたのはインデックスより姫神秋沙のつぶやき声が先だった。

「そうだった。上条君の家にはインデックスさんが。私ってバカ」

一方インデックスはすごい勢いで奥から玄関までやってきた。

「じゃーん。どうこれ?新しい『歩く教会』だよ」

インデックスは見て見てって感じで両手を広げ今にもモデルのようにクルっと回りそうだ。
「えへへ」っと微笑むインデックスに上条はいきなり左手で拝みつつ頭を下げた。

「インデックス!上条さん一生のお願いです。今すぐその服を脱いで下さい」
「なっ、何を言っているのかな?とうま」
「上条さんは今とっても焦っています。一刻の猶予もないのです。
インデックスさんにはここで一肌脱いで頂きたいと願っているわけです。ハイ!」

一気にまくし立てた上条だが周りを満たす重い空気に気が付いて顔を上げた。

(あれっ?なんでインデックスさんは俯いているのでせう?
 なんか肩が小刻みに震えているようなのですが
 それにこめかみあたりがヒクヒクして見えるのは何故?どうして?Why?)

頭の中で『インデックス暴発』警報が鳴り響き始める。
さらに上条の背中にゾクリと悪寒が走った。

(まさか、ここにも吸血鬼が?)

上条は反射的に後を振り返ったが幸いそこに吸血鬼の姿はなかった。
しかし視線の少し下にはジト目で上条を見上げる姫神秋沙がいた。
しかもその背からは黒いオーラが吹き出している(ように見える)。

「きみは。こんなときにも」
「どうしたんですか、姫神さん?あなた様の背後に黒いオーラが見えるのですが。
 この上条さんに何か問題でもありましたでしょうか?」

普段と同じ話し方ではあるが言葉に含まれる冷気は隠しようもなかった。
うろたえる上条に男の声が追い打ちをかけた。

「君はその子にいつもそんなセクハラを働いているのかい?」

声の主は姫神の背後の廊下から現れた。
それは赤い髪にくわえ煙草のトンデモ神父ステイル=マグヌスだった。

「はあっ?(こいつなにをいってんだ)」
「君はその子にストリップをさせてどうする気なのかな?」

ステイルはルーンを刻んだカードを右手に持ち返答次第では炎剣で焼き尽くすとばかりに
殺す(やる)気まんまんで尋ねてきた。


(14.木曜日17:35)
「……というわけで上条さんはインデックスさんにセクハラしようとしたのではありません」

上条家のテーブルを囲み4人が座っていた。
セーラー服の上に『歩く教会』を着ている姫神秋沙。
再びアイアンメイデンを身にまとったインデックス。
口の端でくわえた煙草を細かく揺らすとても不機嫌なステイル=マグヌス。
そして3人の正面で正座をさせられている上条当麻。
上条は自分の扱いに不満があるらしくブツクサ言っている。

「なんでステイルが学園都市(ここ)にいるんだよ」
「君はバカか!僕達が法王級の霊装を郵便で送るとでも思っていたのかい?
それとも『歩く教会』が名前の通り歩いてくるとでも思ったのか?
僕が持ってきたに決まっているだろ。
前からバカだとは思っていたがここまで大バカだったとはね」
「くっ、だってお前は俺達の後から来たじゃないか」
「君と違って僕は女の子にストリップをさせて喜ぶような卑劣漢じゃないのでね。
レディーの着替えの最中は退席していたというわけだよ」
「うっ」

どんどん追い詰められていく上条であった。

「(くそっ!こんな事をしている場合じゃないのに。
姫神はもう安心だけど吸血鬼の方は何も終わっちゃいない。はやく土御門に連絡しないと)
 そっ、それより。ステイル!ここで姫神とインデックスを見ていてくれないか?」
「なんで僕が?はぐらかす気か?」
「頼む、俺がちょっと見てくるだけの間でいいから」
「ん? それは急ぐのことなのかい?」
「ああ」

何を見てくるのかを知っている姫神は表情に不安の色を浮かべた。
上条の表情からこの状況で警戒すべき相手がいるならそれは何者なのかを察したステイル
は目つきを鋭くした。
何も知らないインデックスは敵前逃亡しようとする上条に不満の声を上げた。
インデックスの追求を振り切って部屋を脱出した上条は漆黒に包まれつつあった学生寮の
周辺を走り回った。
辺りに吸血鬼の気配が無いことを確認してようやく上条は立ち止まり土御門の携帯をコー
ルした。

(15.木曜日17:55)
「土御門か?上条だ。実は今日学園都市にきゅう「吸血鬼のことだろ。カミやん」」
「なんで知ってんだ?」
「にゃーっ、カミやん。俺っちをなめてもらっちゃ困るぜよ」

上条は『滞空回線(アンダーライン)』など学園都市の裏の裏までは知らない。
だから土御門がこうも早く現状を把握していることに驚いていた。

「安心しろ、カミやん。今のところ吸血鬼の被害者は1名も確認されていない」
「そうか……って、じゃあヤツはやっぱり吸血鬼なのか?」
「まだ研究者どもが解析している最中だが結論はじきにでると思うぜ」
「それじゃ対策も立てられるってことか?」
「そいつはどうだろうな」

「じゃあヤツは今どこなんだ?」
「それは分からんそうだ。公園で消えてから吸血鬼が現れたという報告はない」
「ひょっとしてもう学園都市にいないんじゃ?」
「楽観しない方がいい。それに吸血鬼がいなくなっていても問題が一つ増えちまっている」

「問題?」
「実は吸血鬼が学園都市に現れたという情報が魔術サイドに漏れたようだ。
 それで吸血鬼を捕獲しようと魔術サイドの連中が学園都市への侵入を計画しているそうだ。
 例え今から学園都市が吸血鬼はいないと宣言しても奴らは信用しないだろう。
 水際で防ぎたいところだがなんせ奴らの獲物は無限の魔力をもつとされる吸血鬼だ。
 きっと手練れを集めるだろうし多少の犠牲は構わないとも思っているだろう」

「学園都市でまた戦いが始まっちまうのかよ。くそっ!俺に手伝えることはないか?」
「そんなことよりカミやんは今どこにいるんだ?」
「学生寮の前だけど」
「そうか。実はな、カミやん。
 まだ学園都市に吸血鬼がいた場合、話がもっとややこしくなる。
 学園都市にも吸血鬼ってサンプルをノドから手が出るほど欲しがっている奴らがいる。
 奴らは『吸血殺し』を吸血鬼をおびき出す餌、従属させる道具として使うだろう。
 それと吸血鬼が手に負えない場合の処刑道具としてもな。
 奴らは『吸血殺し』にさえ影響しないなら手足だろうが平気で切り落とす連中だからな」

「何だって!人間を一体なんだと思ってやがる!」
「まあ、これは最悪のケースだ。
 カミやんは吸血鬼がもう学園都市にいないことと俺達が魔術師達を食い止めることを祈
 っていてくれ。
 ただカミやん。念のためこれからは連絡を取るにしてもあまり姫神から離れないことだ」

電話を切った上条は事態が科学サイドと魔術サイドの戦いへと展開しつつあることに困惑
していた。

(最悪の場合、姫神秋沙を中心に学園都市で戦いが起こる。
 姫神をどうやったら守れるんだ?それにインデックスだ。
 このままだとインデックスまで巻き込んじまう。どうしたらいい?)


(16.木曜日18:05)
3人が三者三様の面持ちで上条を待っている部屋に上条は戻ってきた。
帰ってきた上条はステイルの所まで行くと用件だけを単刀直入に言い切った。

「ステイル。」今から小萌先生の所へインデックスを連れて行ってやってくれ」
「なっ、なんで僕があの女性(ひと)のところへ行かなきゃなんならないんだ」
「とうま。それは一体どういうこと?わたしを追い出してあいさと一緒に何する気?」
「ステイル、頼む!」

上条はインデックスの抗議には応えずステイル=マグヌスに再度頼んだ。
ステイル=マグヌスは上条当麻が好きな訳ではない。
しかし上条当麻の行動原理は良く理解している。
上条が決してインデックスを危険に巻き込もうとはしないことを。
もし上条がインデックスを遠ざけるならそれはすぐここが危険な場所になるということを。
ステイル=マグヌスは面白くなさそうに左手で髪をかきむしると右手をインデックスの肩
の上に置いた。

「ふん。分かったよ!ただし、こいつは貸しだ」
「わたしは納得しないよ。とうま」
「インデックス、すまん。今度なんか美味いものを食べさせてやるから」
「ヤだもん。たとえディナーフルコースだって納得しないんだから~!」

暴れるインデックスを肩に担ぎあげステイルが上条の部屋から出て行った。
ステイルの肩に荷物のように担がれたインデックスは怒りの声を上げあげ続けている。

「とうまこの貸しは大きいんだよ。
 フレンチフルコースに高級イタリアン、満願全席に老舗割烹料理、高級焼き肉に鰻重
 それから、それから───」

料理名を連呼するインデックスの声がようやく聞こえなくなり上条はようやく一息ついた。


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