「ふあーっ、あーあ」
お昼休みも半ばに差し掛かった頃、昼飯用の焼きそばパンを食べ終えた上条当麻は大きな欠伸をした。
教室ではクラスメイトがグループで集まって談笑していたり、外を見れば運動部が部活に励んでいたりもする。教室にいる上条当麻は前者であり、前と右隣の席には青髪ピアスと土御門元春が上条に椅子を向けていた。三人のお決まりのトークタイムである。
「どうしたんやカミやん。午前中寝といてまだ寝足りんの?」
「…にゃー。昨日は深夜までうるさかったからなあ、カミやん」
金髪グラサンの土御門が意味ありげな含み笑いをしていた。
「だぁー、うっせ。昨日、布団に水をこぼしちまって、あんまり寝てないんだよ」
夜は床で寝ているとインデックスがベッドから転がり落ち、不意打ちのボディプレス。その上、体の色んなトコロが密着していまい、朝起きたら噛みつきのオンパレード。銀髪碧眼少女に朝ご飯を十二分に与えていなければ、自分まで朝食にされそうな勢いだった。
「そりゃあ災難だったなあ、カミやん。まあ、日頃の行いの罰として、それくらいは受け取ってもらわんとなあ」
「日頃の行いの罰って何だよ?青髪」
「なははー☆」
青髪ピアスは、両手を挙げて腰をクネクネと軟体動物のように揺らしたかと思いきや、
グバァ!と金髪グラサンと共に身を乗り出してきた。
頬づえをついていた上条はその迫力に押され、思わず後ずさった。
「な、何だよ?」
不気味な笑顔を浮かべたまま接近してくる青髪男と金髪男。ツンツンとした黒髪男は言い知れぬ恐怖を感じる。
「カミやーん、先週の日曜日、ショッピングモールで手つないでた常盤台の女の子は誰なんや~?夏休み最終日の子とまた違ってやんかー?」
「そうだぜー、カミやん。カミやんの軽率な行動は彼女いない歴=年齢の同胞(オレ)たちを裏切ることになるんだぜい?」
「なっ!あれはっ…」
「ツインテールの可愛いらしい子やったなあ。あーあ、カミやんはあと何本フラグを立てたら気が済むんや」
眉間にシワが寄った笑顔の青髪ピアスはポキポキと腕を鳴らしている。
「あ、あれは『風紀委員(ジャッジメント)』の人で、別に強制フラグイベントみたいなドッキリドキドキなモノでは全然無いですヨ!?」
「それもフラグの一つですたい。カミやんはそうやって幾つものフラグを立てては女の子を傷つけているんだぜい?」
「おい、土御門。お前何言って…」
お昼休みも半ばに差し掛かった頃、昼飯用の焼きそばパンを食べ終えた上条当麻は大きな欠伸をした。
教室ではクラスメイトがグループで集まって談笑していたり、外を見れば運動部が部活に励んでいたりもする。教室にいる上条当麻は前者であり、前と右隣の席には青髪ピアスと土御門元春が上条に椅子を向けていた。三人のお決まりのトークタイムである。
「どうしたんやカミやん。午前中寝といてまだ寝足りんの?」
「…にゃー。昨日は深夜までうるさかったからなあ、カミやん」
金髪グラサンの土御門が意味ありげな含み笑いをしていた。
「だぁー、うっせ。昨日、布団に水をこぼしちまって、あんまり寝てないんだよ」
夜は床で寝ているとインデックスがベッドから転がり落ち、不意打ちのボディプレス。その上、体の色んなトコロが密着していまい、朝起きたら噛みつきのオンパレード。銀髪碧眼少女に朝ご飯を十二分に与えていなければ、自分まで朝食にされそうな勢いだった。
「そりゃあ災難だったなあ、カミやん。まあ、日頃の行いの罰として、それくらいは受け取ってもらわんとなあ」
「日頃の行いの罰って何だよ?青髪」
「なははー☆」
青髪ピアスは、両手を挙げて腰をクネクネと軟体動物のように揺らしたかと思いきや、
グバァ!と金髪グラサンと共に身を乗り出してきた。
頬づえをついていた上条はその迫力に押され、思わず後ずさった。
「な、何だよ?」
不気味な笑顔を浮かべたまま接近してくる青髪男と金髪男。ツンツンとした黒髪男は言い知れぬ恐怖を感じる。
「カミやーん、先週の日曜日、ショッピングモールで手つないでた常盤台の女の子は誰なんや~?夏休み最終日の子とまた違ってやんかー?」
「そうだぜー、カミやん。カミやんの軽率な行動は彼女いない歴=年齢の同胞(オレ)たちを裏切ることになるんだぜい?」
「なっ!あれはっ…」
「ツインテールの可愛いらしい子やったなあ。あーあ、カミやんはあと何本フラグを立てたら気が済むんや」
眉間にシワが寄った笑顔の青髪ピアスはポキポキと腕を鳴らしている。
「あ、あれは『風紀委員(ジャッジメント)』の人で、別に強制フラグイベントみたいなドッキリドキドキなモノでは全然無いですヨ!?」
「それもフラグの一つですたい。カミやんはそうやって幾つものフラグを立てては女の子を傷つけているんだぜい?」
「おい、土御門。お前何言って…」
「それは。私も賛同」
不意に後ろから声が聞こえた。
「おわぁっ!!姫神!?いつの間に!?」
「ついさっき。何やら。面白そうだったから。何となく来た」
「…ここにも上条フラグが」
呪いの言葉を吐くように呟いた青髪ピアスを見た土御門は、ポケットから『何か』を取り出し、青髪ピアスに手渡した。
スコーピオンの柄が入った装飾品。銀色に輝く爪のような形をしており、鎧の一部のような印象を受ける。
「…あのー、土御門サン?その禍々しいブッタイは一体何ですう?」
「それ。通販で。見たことある」
「気が利くやないか土っちー。何や、知らんのかカミやん?これは『でこピン』用の装備品や。酒瓶も一発で粉々になるスグレモノなんやで♪」
右手の人差し指に装着すると、青髪はカシャカシャと音を立てて、でこピンをする素振りを見せていた。上条に笑顔を向けたままで。
「って、おいいいィ!!何なんだこの空気は!?カミジョーさんが何となく『でこピン』を喰らってしまうという強制イベント突入ですか!?」
金髪グラサンは逃げ出そうとする上条の肩をつかんだ。振り返ればキラリと輝くサングラスに金のネックレス。親指を突き立てた左手。
笑顔が語っていた。
逃げられないぜい☆、と。
「そ、そんな!いくらフラグが立とうがそれから何も進展しない駄フラグオンリーばかりの不幸少年カミジョーさんですよ?ただ女の子と手を繋いでたからってテテテッイデェ!?」
上条にものの見事に土御門のヘッドロックが決まった。
「『ただ』女の子と手を繋いでたって言ってる時点で十分ムカつくんダヨ。その言葉もっぺん言ってみ?ん?」
「あががががががっ!ひ、姫神、ヘルプミー!」
「おわぁっ!!姫神!?いつの間に!?」
「ついさっき。何やら。面白そうだったから。何となく来た」
「…ここにも上条フラグが」
呪いの言葉を吐くように呟いた青髪ピアスを見た土御門は、ポケットから『何か』を取り出し、青髪ピアスに手渡した。
スコーピオンの柄が入った装飾品。銀色に輝く爪のような形をしており、鎧の一部のような印象を受ける。
「…あのー、土御門サン?その禍々しいブッタイは一体何ですう?」
「それ。通販で。見たことある」
「気が利くやないか土っちー。何や、知らんのかカミやん?これは『でこピン』用の装備品や。酒瓶も一発で粉々になるスグレモノなんやで♪」
右手の人差し指に装着すると、青髪はカシャカシャと音を立てて、でこピンをする素振りを見せていた。上条に笑顔を向けたままで。
「って、おいいいィ!!何なんだこの空気は!?カミジョーさんが何となく『でこピン』を喰らってしまうという強制イベント突入ですか!?」
金髪グラサンは逃げ出そうとする上条の肩をつかんだ。振り返ればキラリと輝くサングラスに金のネックレス。親指を突き立てた左手。
笑顔が語っていた。
逃げられないぜい☆、と。
「そ、そんな!いくらフラグが立とうがそれから何も進展しない駄フラグオンリーばかりの不幸少年カミジョーさんですよ?ただ女の子と手を繋いでたからってテテテッイデェ!?」
上条にものの見事に土御門のヘッドロックが決まった。
「『ただ』女の子と手を繋いでたって言ってる時点で十分ムカつくんダヨ。その言葉もっぺん言ってみ?ん?」
「あががががががっ!ひ、姫神、ヘルプミー!」
だが、神様は残酷だ。
ぽん、と肩を叩かれる。
「君は。一度。制裁を受けるべき」
唯一の救世主から、死刑宣告が下った。
「君は。一度。制裁を受けるべき」
唯一の救世主から、死刑宣告が下った。
突然、教室が静かになった。
周囲の異変に気づいた姫神と青髪ピアスは廊下に視線を向けた。
「え?」
二人は目を丸くした。
それを見た土御門も視線を向けた。
腕の力が緩んだ隙に、土御門のヘッドロックから抜けられた上条は折り曲がった学ランを戻しながら、息を正していた。
「っ、ぷはーっ。土御門、本気でやるなよ!って、ん?」
クラスメイトの視線が集まる方向へ上条は目を向けた。
上条はギョッとした。
高校の教室には相応しくない人物がいた。
周囲の異変に気づいた姫神と青髪ピアスは廊下に視線を向けた。
「え?」
二人は目を丸くした。
それを見た土御門も視線を向けた。
腕の力が緩んだ隙に、土御門のヘッドロックから抜けられた上条は折り曲がった学ランを戻しながら、息を正していた。
「っ、ぷはーっ。土御門、本気でやるなよ!って、ん?」
クラスメイトの視線が集まる方向へ上条は目を向けた。
上条はギョッとした。
高校の教室には相応しくない人物がいた。
そこには4,5歳程度の少女が立っていた。
「うー、ここドコー?」
不安な顔で呟く少女。背丈は1メートルもない。
黒い瞳に黒髪のショートヘアー。白いワンピースを着ていた。
少女はキョロキョロと辺りを見回す。誰かを探しているようだった。
クラスメイトの人たちが対応に困る中、一人の少女が近寄った。
姫神秋沙である。
「君は。どこから来たの?ママは?」
膝を折り、優しく話しかけた。
突然、話しかけられたことで少女は動揺した。
「…ふ、ふえっ」
「大丈夫。落ち着いて。何も。しないから」
姫神はそっと少女の頭を撫でた。
「…ほんと?」
「うん。本当」
その光景を見ていたクラスの三バカ(デルタフォース)は、姫神の評価をググッと上げている。
「優しいなぁ、秋沙ちゃん。なかなかレベル高いでぇ、彼女」
「…すっげえイイにゃー。あの少女」
「…土御門、犯罪の匂いがするぞ。お前」
「でも誰なんや。あの子。…まさか、カミやんフラグじゃないやろうな」
上条はその少女の顔を見た。
「ンなワケ無えだろ。俺も知らないよ」
見覚えは無い。先生の子どもか何かだろうと考え、『でこピン』強制イベントをどう切り抜けるか思案していたところ、
不安な顔で呟く少女。背丈は1メートルもない。
黒い瞳に黒髪のショートヘアー。白いワンピースを着ていた。
少女はキョロキョロと辺りを見回す。誰かを探しているようだった。
クラスメイトの人たちが対応に困る中、一人の少女が近寄った。
姫神秋沙である。
「君は。どこから来たの?ママは?」
膝を折り、優しく話しかけた。
突然、話しかけられたことで少女は動揺した。
「…ふ、ふえっ」
「大丈夫。落ち着いて。何も。しないから」
姫神はそっと少女の頭を撫でた。
「…ほんと?」
「うん。本当」
その光景を見ていたクラスの三バカ(デルタフォース)は、姫神の評価をググッと上げている。
「優しいなぁ、秋沙ちゃん。なかなかレベル高いでぇ、彼女」
「…すっげえイイにゃー。あの少女」
「…土御門、犯罪の匂いがするぞ。お前」
「でも誰なんや。あの子。…まさか、カミやんフラグじゃないやろうな」
上条はその少女の顔を見た。
「ンなワケ無えだろ。俺も知らないよ」
見覚えは無い。先生の子どもか何かだろうと考え、『でこピン』強制イベントをどう切り抜けるか思案していたところ、
ふと少女と目が合った。
今度は少女が目を丸くしていた。
何故だろう。上条は嫌な予感がした。
「あっ。ちょっと」
姫神を通り越し、少女は走り出した。
「あれ?あの子、こっちに来とるぞ。土っちー、知り合いか?」
「いんや、知ら…」
何故だろう。上条は嫌な予感がした。
「あっ。ちょっと」
姫神を通り越し、少女は走り出した。
「あれ?あの子、こっちに来とるぞ。土っちー、知り合いか?」
「いんや、知ら…」
「パパー!」
少女はそう言って笑顔で上条当麻に抱きついた。
「……………………………………………………………………………………………え?」
絶句する上条。凍りつく姫神と青髪ピアスと土御門。時が止まる教室。
「…うみゅう?どうしたの、パパ?」
無垢な少女は上条を見上げながら呟いた。
「…うみゅう?どうしたの、パパ?」
無垢な少女は上条を見上げながら呟いた。