「何も聞かないのかにゃー?」
携帯の電源を切った時、目の前の友人が聞いた。
傷の手当てをしながらこちらを窺うのを見ていると、なんだか聞いたはいけないような気分にふっとなる。
毒されていたとはいえ、自分はまだまだあのレベルに到達していないらしい。
傷の手当てをしながらこちらを窺うのを見ていると、なんだか聞いたはいけないような気分にふっとなる。
毒されていたとはいえ、自分はまだまだあのレベルに到達していないらしい。
「聞かれなくないんだろ?」
「まっそうだけどにゃー」
「まっそうだけどにゃー」
けらけら笑いながら立ち上がる。
ふらつく足のまま、扉に手をかけるその背中に、思わず思っていた言葉を吐き出す。
ふらつく足のまま、扉に手をかけるその背中に、思わず思っていた言葉を吐き出す。
「だけどな」
「ん?」
「俺は――俺達は、少なくともクラスメイトが助けてと叫べば、相手がなんであろうと、誰であろうと助けるぞ?」
「ん?」
「俺は――俺達は、少なくともクラスメイトが助けてと叫べば、相手がなんであろうと、誰であろうと助けるぞ?」
一瞬、そいつは驚いたように目を見開く。
ああ、気恥ずかしい。いつもならこんなこと絶対に口にだしてやらないのに。
照れ隠しにおもわず俺が笑うと、にやりと笑い返された。
そして、扉を開くと、背を向けたまま手を振る。
ああ、気恥ずかしい。いつもならこんなこと絶対に口にだしてやらないのに。
照れ隠しにおもわず俺が笑うと、にやりと笑い返された。
そして、扉を開くと、背を向けたまま手を振る。
「考えとくぜい」
ばたんという音と共に消えた相手に俺は苦笑して呟く。
「そういうときはありがとうだろうが」