とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 4-241

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匿名ユーザー

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午後の授業を抜け出した上条は、第七学区にある大きな公園に来ていた。
上条はベンチにぐったりと腰かけ、青空を見上げていた。
隣には美味しそうにアイスを食べる白帽子の少女。初め、垂れたアイスクリームが白いワンピースを汚さないか冷や冷やしていたが、食べ方を見る限り大丈夫そうである。上条の思考は止まっていた。先ほど買った抹茶アイスが七〇〇円だったことがショックなのではない。
「ねえ、パパも食べる?」
自分をパパと呼ぶ、『上条ミカ』と名乗る少女が原因だった。




クリクリとした大きな黒い瞳に黒髪のショートヘアーの可愛らしい少女。つばの長い白い帽子に純白のワンピース、着色されたリンゴのように赤い皮靴を履いている。
もちろん今の上条の記憶には無い。乙姫のように「お兄ちゃん」と呼ぶ親戚はいたが、流石に「パパ」と呼ぶ知り合いはいなかった。
というか普通はいないと思う。かつての上条当麻は一体何をしていたコーコーセーなのか、恐怖すら感じていた。
「な、なあ、ミカちゃん」
アイスを舐めながら、少女はこちらを振り向いた。
「もへ?なあに?パパ」
「…ママは、何処にいるんだ?」
そういうとにんまりと笑った少女は、ミカと名乗る少女は言った。
「あともうちょっとで来ると思うよ?」
太陽のように輝く笑顔。日差しが照らす少女の笑顔はとても可愛かった。上条は思わず見惚れてしまう。口の周りに付いた抹茶色のクリームをハンカチで拭きとった。インデックスの対応とはうって変わり、優しくその頬を触る。ハンカチごしに伝わる柔らかさは心地良かった。
「えへへ、ありがとう。パパ」
上条は無意識に頭を撫でていた。そんな自身の行動も驚きつつも、上条はそれを受け入れていた。これが子を持つ父親の愛情というやつな――――――――――――――


「上条さん?」


唐突にそんな言葉を投げかけられた。
慌てて正面を見ると、そこには二重まぶたが印象的なショートヘアーの女の子がいた。
「い、五和?何故ここに?」
縞模様のタートルネックネットにベージュ色のジャケット、紺色のデニム素材のジーンズ。豹柄のベレー帽を被った五和がそこにいた。頬を若干染めつつ、慌てた素振りで上条を見ていた。
「お久しぶりです。あ、あの今日はですね、あ、ええっとぉ…」
「あ、五和お姉ちゃん!」
と、少女はアイスをベンチに置くと、五和の足にしがみ付いた。いきなりの行動に二人は驚く。
「おいっ、ミカちゃん。五和を知ってるのか?」
「うん!ママの友達だもん!」
「えっ、あ、えと、ママ?」
「……何だ、天草式の仲間の子だったのか。その子」
「え、ええっ!?そうなんですか?私、知りませんよ?」
「は?でも、ミカちゃんは五和を知ってるみたいだぞ?」
「…この子、『ミカちゃん』っていうんですか?」
訝しげに五和は少女を見て、腰をかがめた。頭を撫でながら、笑顔で五和は少女に問いかける。
「ねえ、ミカちゃん。パパとママのお名前は分かる?」
至極当然な質問。しかし、少女は奇妙な顔つきで大きく首をかしげていた。白い帽子が風に揺れる。
「何言ってるの?ママはママしかいないじゃん」
「ごめん。ミカちゃん。お姉ちゃんド忘れしちゃった」
少女の目の前で手を合わせて片目を瞑る五和。こういうやり方もあるのか、と上条は五和の臨機応変さに感心していた。上条も幾度となく母親の名前を聞いたのだが、上手くはぐらかされていた。幼稚園程度の少女に話しをはぐらかされる上条の話術も問題はあるが、もしも本当に彼女が上条の娘だったならば、母親の名前すら知らないというは不自然なので、それ以上追及できなかったということも事実である。
「ママの名前は―――――――――」
その時、少女の声を遮るように五和の背後から、聞き覚えのある女の声が聞こえた。思わずその声に五和と上条は振り返る。そこには――――――――――
「―――――――――捜しましたよ。上条当麻」
「あ、神ざ…」


「あ、ママ!」


この瞬間、世界が止まった。

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