「……え」
当麻が気がついたのは、見た事もない塾の前だった。
「三沢塾、?」
ていうか、ここ数時間の記憶がない。全くもってない。
やばいな、定期的に記憶飛ぶ病気にでもなっちまったのか? と考えて頭を抱えた。
やばいな、定期的に記憶飛ぶ病気にでもなっちまったのか? と考えて頭を抱えた。
その瞬間、その消えた記憶は頭になだれ込む。
「……い」
インデックス、と少年は叫ぶ。
叫んで、なぜこんなに鼓動が速くなるのかも分からずに、ただ。
叫んで、なぜこんなに鼓動が速くなるのかも分からずに、ただ。
さっきまでいた、血まみれの非日常に向かって走り出した。
騎士は、こちらへ向かって来る少年を見て、少しばかり顔をしかめた。
さきほど戦場より帰還した一般人。何故ここへ。
逃げろと言ってるのに、聞きもしない。
逃げろと言ってるのに、聞きもしない。
そんな不快な少年を半ば無視して、敵地への攻撃を開始した。
音楽とともに、崩れ落ちてゆく塔。
少年が顔色を変えて叫ぶ。そして、塔に向かって駆けだした。
馬鹿なことを、爆撃に巻き込まれて死ぬ可能性すらあるのに。
「……っ! 姫神、ステイル……インデックスっ」
煙をかき分け、当麻は走った。
そして、見た。
そして、見た。
まるで、生き物のようにビルが巻き戻って立ち上がる瞬間を。
さすがにその光景に絶句して呆然と突っ立っていると、後ろの方で、呻き声が聞こえてきた。
自分は魔術のことがよく分からないが、あれは確かにすごい一撃なのだろう。
自分は魔術のことがよく分からないが、あれは確かにすごい一撃なのだろう。
その「すごい一撃」を無かったことにしてしまうなんて、そんな敵に勝てるのか。
しかし、当麻は進むしかない。退路があったとしても、そんなもの、必要ない。
あの少女は、当麻と一緒にいると言ったのだ。記憶の無い、少女のことすら忘れてしまった上条当麻と、それでも一緒にいると言ってくれた白き少女。
あの少女は、当麻と一緒にいると言ったのだ。記憶の無い、少女のことすら忘れてしまった上条当麻と、それでも一緒にいると言ってくれた白き少女。
それに、もう人を殺したくない、と言っていた姫神秋沙。
誰かを助けるために、力を間違って振るってしまった錬金術師。
助けなければならない。