(これは、なんと言いますか……。とミサカは気持ちの表現に困っています)
御坂妹はまるで自分が自分で無くなるような感情に戸惑っていた。
(ですが――)
嬉しかったのだ。凄く。この少年に大切だと言われ、たとえ深い意味は無かったとしても。
「なあ、御坂妹。」
考えていた本人に話しかけられ少し慌ててしまう。
「は、はい。なんでしょう?とミサカは問い返します」
どうしたんだろうと思いながらも上条は自分の不安要素を伝えることにした。
「話戻すけどよ。俺ってファッションとか、わからねえぞ」
「それについては大丈夫です。とミサカは保障します」
つまり、とよく分かっていなさそうな上条に説明する。
「あなたはどのような服がミサカに似合いそうかというイメージを伝えるだけでかま
いません。あとはミサカが選ぶのでそれに対しての感想を言ってください。とミサ
カは懇切丁寧に説明しました」
要するに、上条は御坂妹に合いそうな服のイメージと御坂妹が選んだ服の感想を言
えばいいのだ。
(まあ、それぐらいなら出来るかもな)
こうして二人のデートが始まった。
御坂妹はまるで自分が自分で無くなるような感情に戸惑っていた。
(ですが――)
嬉しかったのだ。凄く。この少年に大切だと言われ、たとえ深い意味は無かったとしても。
「なあ、御坂妹。」
考えていた本人に話しかけられ少し慌ててしまう。
「は、はい。なんでしょう?とミサカは問い返します」
どうしたんだろうと思いながらも上条は自分の不安要素を伝えることにした。
「話戻すけどよ。俺ってファッションとか、わからねえぞ」
「それについては大丈夫です。とミサカは保障します」
つまり、とよく分かっていなさそうな上条に説明する。
「あなたはどのような服がミサカに似合いそうかというイメージを伝えるだけでかま
いません。あとはミサカが選ぶのでそれに対しての感想を言ってください。とミサ
カは懇切丁寧に説明しました」
要するに、上条は御坂妹に合いそうな服のイメージと御坂妹が選んだ服の感想を言
えばいいのだ。
(まあ、それぐらいなら出来るかもな)
こうして二人のデートが始まった。
「上条さんは泣き言を言ってもよろしいでしょうか……」
「いきなり何を言っているのでしょうか。とミサカはあなたの思考回路を半ば真面目
に心配します」
上条が服の値段を見てショックを受けたり。
「いきなり何を言っているのでしょうか。とミサカはあなたの思考回路を半ば真面目
に心配します」
上条が服の値段を見てショックを受けたり。
「いや、そこはもっと明るい色でもいいんじゃないか」
「ですがミサカとしては落ち着きを表現したいのですが。とミサカは抗議してみます」
「……お前、それ以上落ち着くと隠居したお年寄りになるぞ……」
「…………」
「痛っ!痛いって!すみませんすみません!!私、上条当麻が悪かったですううう!!」
不用意なことを言って御坂妹から制裁をもらったり。
「ですがミサカとしては落ち着きを表現したいのですが。とミサカは抗議してみます」
「……お前、それ以上落ち着くと隠居したお年寄りになるぞ……」
「…………」
「痛っ!痛いって!すみませんすみません!!私、上条当麻が悪かったですううう!!」
不用意なことを言って御坂妹から制裁をもらったり。
「これ食ったら次はどこ行くんだ?――って、ほら。口についてんぞ」
「あ……」
食事中に御坂妹の口ついたケチャップを上条がティッシュで拭ったり。
「あ……」
食事中に御坂妹の口ついたケチャップを上条がティッシュで拭ったり。
「ああああああんんんんんんたああああああはあああああああやっぱり妹がいいのかああああああああああああッッッッ!!!!!!!!!!」
……………………。
……………………。
楽しい時間と言うのは本当に早く終わる。時刻はもう夕刻であり、すでにあたりが
赤く染まってきた。
二人は今、並んで歩いている。
「結局何も買わなかったけどいいのか?」
「はい。あなたと一緒にいれて楽しかったですので、それで十分です。とミサカは少
々照れながら伝えます」
上条には夕日に当たりまるで御坂妹が顔を赤く染めているように感じた。
「そ、そうか。それはよかったな」
「あ……」
「どうした?」
「なんでもありません。とミサカは先を促します」
御坂妹が先ほど見ていた方向に視線をやると。
「……クレーンゲーム?」
その先には店の前にクレーンゲームが鎮座していた。
中の景品を見てみると、サッカーボールぐらいの大きさで色様々なひよこのような
ぬいぐるみである。
(そういえばこいつ、かわいいものが好きだったっけ)
御坂妹が前にひよこの御菓子に見とれていたことを思い出した。
(………………よし)
「そんじゃ、帰る前にちょっとよるか」
「どこにですか?とミサカは聞いてみます」
「あそこに」
上条が指したものは例のクレーンゲーム。
「……なにもミサカはあれがほしいなどとは思っていませんが。とミサカは伝えます」
「別に上条さんは何も言っていませんが?」
自滅した御坂妹を見てニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる。
「…………とにかく結構です。とミサカは拒否します」
「たく、それが目を輝かして凝視していたお嬢様の言葉ですか?」
「か、輝かせてなどいませんし凝視もしていません。とミサカは二重に否定します」
じゃあなんであせってんですか?と思う上条。
「まあ、いいじゃねえか」
「ですが……」
「それに荷物持ちで来たのに結局何もしないわけにはいかないだろ?」
そう言うとそのままクレーンゲームへと歩いていった。
御坂妹はそれにしぶしぶといった感じで付いていく。
「どれがほしいんだ?」
「……ですが……あの………………では、あのピンクのひよこをお願いします。と
ミサカは遠慮がちに希望をだしてみます」
御坂妹が示したのは少しばかり奥の方にあるひよこだ。
まだどうしようかと迷いながらも御坂妹はしっかりと選んでいる。
そんな様子が上条には面白かった。
(やっぱほしかったんだな)
じゃあ取ってやらないとな、と思い。気合をいれて上条は目の前の機械に挑む。
赤く染まってきた。
二人は今、並んで歩いている。
「結局何も買わなかったけどいいのか?」
「はい。あなたと一緒にいれて楽しかったですので、それで十分です。とミサカは少
々照れながら伝えます」
上条には夕日に当たりまるで御坂妹が顔を赤く染めているように感じた。
「そ、そうか。それはよかったな」
「あ……」
「どうした?」
「なんでもありません。とミサカは先を促します」
御坂妹が先ほど見ていた方向に視線をやると。
「……クレーンゲーム?」
その先には店の前にクレーンゲームが鎮座していた。
中の景品を見てみると、サッカーボールぐらいの大きさで色様々なひよこのような
ぬいぐるみである。
(そういえばこいつ、かわいいものが好きだったっけ)
御坂妹が前にひよこの御菓子に見とれていたことを思い出した。
(………………よし)
「そんじゃ、帰る前にちょっとよるか」
「どこにですか?とミサカは聞いてみます」
「あそこに」
上条が指したものは例のクレーンゲーム。
「……なにもミサカはあれがほしいなどとは思っていませんが。とミサカは伝えます」
「別に上条さんは何も言っていませんが?」
自滅した御坂妹を見てニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる。
「…………とにかく結構です。とミサカは拒否します」
「たく、それが目を輝かして凝視していたお嬢様の言葉ですか?」
「か、輝かせてなどいませんし凝視もしていません。とミサカは二重に否定します」
じゃあなんであせってんですか?と思う上条。
「まあ、いいじゃねえか」
「ですが……」
「それに荷物持ちで来たのに結局何もしないわけにはいかないだろ?」
そう言うとそのままクレーンゲームへと歩いていった。
御坂妹はそれにしぶしぶといった感じで付いていく。
「どれがほしいんだ?」
「……ですが……あの………………では、あのピンクのひよこをお願いします。と
ミサカは遠慮がちに希望をだしてみます」
御坂妹が示したのは少しばかり奥の方にあるひよこだ。
まだどうしようかと迷いながらも御坂妹はしっかりと選んでいる。
そんな様子が上条には面白かった。
(やっぱほしかったんだな)
じゃあ取ってやらないとな、と思い。気合をいれて上条は目の前の機械に挑む。
「別に、無理して取らなくても構いません。こういうものは難しいものだと聞きます
ので。とミサカは「ほら」――え?」
上条の言葉とともに彼女の方へ放り投げられたものを御坂妹は慌てて両手で抱きかか
えるように受け取る。渡されたそれは紛れもなく先ほど自分が選んだピンクのひよこの
ぬいぐるみであった。
「こいつでよかったよな」
「は、はい。ですが早かったですね、もしかして得意なのですか?とミサカは驚きを隠
せずに聞いてみます」
本人の言うとおり、御坂妹の顔には少しだが驚きの表情が読み取れる。
彼女が言った言葉に上条は苦笑して、
「いや、いつもなら1、20回やっても取れねえよ。今回は運が良かったんだろ」
(神の御加護ってのはこの右手に消されてるはずなんだけどな)
己の右手を見て言う上条を御坂妹は静観する。
(…………)
それほどやっても取れないのに、それでもこの少年は自分のために取ろうとしてくれた
のだ。そう思うと自然に頬が綻んでいた。
「ありがとうございます。とミサカはお礼を伝えます」
「喜んでくれたんなら、それでいいさ」
御坂妹はぬいぐるみをギュッと大事そうに、嬉しそうに抱きしめた。上条としては御坂妹の
その姿が見れただけで十分なのだ。
ので。とミサカは「ほら」――え?」
上条の言葉とともに彼女の方へ放り投げられたものを御坂妹は慌てて両手で抱きかか
えるように受け取る。渡されたそれは紛れもなく先ほど自分が選んだピンクのひよこの
ぬいぐるみであった。
「こいつでよかったよな」
「は、はい。ですが早かったですね、もしかして得意なのですか?とミサカは驚きを隠
せずに聞いてみます」
本人の言うとおり、御坂妹の顔には少しだが驚きの表情が読み取れる。
彼女が言った言葉に上条は苦笑して、
「いや、いつもなら1、20回やっても取れねえよ。今回は運が良かったんだろ」
(神の御加護ってのはこの右手に消されてるはずなんだけどな)
己の右手を見て言う上条を御坂妹は静観する。
(…………)
それほどやっても取れないのに、それでもこの少年は自分のために取ろうとしてくれた
のだ。そう思うと自然に頬が綻んでいた。
「ありがとうございます。とミサカはお礼を伝えます」
「喜んでくれたんなら、それでいいさ」
御坂妹はぬいぐるみをギュッと大事そうに、嬉しそうに抱きしめた。上条としては御坂妹の
その姿が見れただけで十分なのだ。
ぬいぐるみは彼女自身の希望により御坂妹が持つことになった。本人曰く「今は少しでも
長くこの気持ちに浸っていたいのです。とミサカは心中を吐露してみます」とのことだからだ。
上条としては少しばかりくすぐったく感じたが、そこまで喜んでくれるのは素直に嬉しい。
それからは二人とも一言も言葉を交わしていないが、それは心地のいい沈黙であった。
そして別れる場所に着く。
「じゃあ、俺はこっちだから」
「はい。今日はほんとに楽しかったです。とミサカは感想を述べます」
「ああ、俺も楽しかった。また行こうな」
「あ…………はい。また行きましょう。とミサカは約束します」
「おう、じゃあな」
そしてそのまま上条は自分の帰る道へと足を進める。
その後姿に御坂妹は何かを決意したように口を開いた。
「当麻さん!」
上条が驚いて振り向く。
「ミサカは楽しみにしていますから」
そう言った彼女は上条が見惚れるほどに、自然な笑顔を浮かべていた。
そのまま御坂妹は踵を返して走り去っていく。上条はそれをただ呆然と立って見てることしかできなかった。
長くこの気持ちに浸っていたいのです。とミサカは心中を吐露してみます」とのことだからだ。
上条としては少しばかりくすぐったく感じたが、そこまで喜んでくれるのは素直に嬉しい。
それからは二人とも一言も言葉を交わしていないが、それは心地のいい沈黙であった。
そして別れる場所に着く。
「じゃあ、俺はこっちだから」
「はい。今日はほんとに楽しかったです。とミサカは感想を述べます」
「ああ、俺も楽しかった。また行こうな」
「あ…………はい。また行きましょう。とミサカは約束します」
「おう、じゃあな」
そしてそのまま上条は自分の帰る道へと足を進める。
その後姿に御坂妹は何かを決意したように口を開いた。
「当麻さん!」
上条が驚いて振り向く。
「ミサカは楽しみにしていますから」
そう言った彼女は上条が見惚れるほどに、自然な笑顔を浮かべていた。
そのまま御坂妹は踵を返して走り去っていく。上条はそれをただ呆然と立って見てることしかできなかった。
御坂妹はしばらく走った後、もういいでしょうと立ち止まり、走って荒くなった息を整える。
そしておなかに抱えているぬいぐるみを片手で抱きしめ、もう片方の手で胸に輝くペンダントを握り。
(当麻さん……)
その言葉を胸で転がす。
(まるで夫婦のようですね)
(――って、なにを考えているのでしょうミサカはっ。とミサカは自分の思考回路に疑問を持ちますっ)
自分の考えを振り払うように軽く頭を振る。
(ですが……)
あの時、学園都市最強のレベル5に対峙した時、彼が言ってくれた言葉を思い出す。
そしておなかに抱えているぬいぐるみを片手で抱きしめ、もう片方の手で胸に輝くペンダントを握り。
(当麻さん……)
その言葉を胸で転がす。
(まるで夫婦のようですね)
(――って、なにを考えているのでしょうミサカはっ。とミサカは自分の思考回路に疑問を持ちますっ)
自分の考えを振り払うように軽く頭を振る。
(ですが……)
あの時、学園都市最強のレベル5に対峙した時、彼が言ってくれた言葉を思い出す。
『俺はお前を助けるためにここに立ってんだよ!』
『お前は世界でたった一人しかいねえだろうが!!』
妹達(シスターズ)というパーツでしかなかった自分を御坂妹という個として初めて認めてくれた人。
しかし、今はそれだけではない。
大事な人で、大切な人で、そして……大好きな人。
自分には恋というのはわからない。だが、これが恋でなかったらこれから先、絶対に恋はしないだろうと
思えるほどに、重く、苦しく、切なく、愛おしい。自分の中がゴチャゴチャになり、自分が自分でなくなる
ような感情。
借り物の心で恋なんて出来るかわからない。ただ、今感じているこの感情だけは紛れもなく自分のものだと言える。
そして、その勇気を、力を、あの少年は与えてくれた。
しかし、今はそれだけではない。
大事な人で、大切な人で、そして……大好きな人。
自分には恋というのはわからない。だが、これが恋でなかったらこれから先、絶対に恋はしないだろうと
思えるほどに、重く、苦しく、切なく、愛おしい。自分の中がゴチャゴチャになり、自分が自分でなくなる
ような感情。
借り物の心で恋なんて出来るかわからない。ただ、今感じているこの感情だけは紛れもなく自分のものだと言える。
そして、その勇気を、力を、あの少年は与えてくれた。
『勝手に死ぬんじゃねえぞ。お前にはまだ文句が山ほど残ってんだ――』
(……できればそれは、あなたの隣でずっと聞いていたいです。とミサカは人から
おかしいと言われそうな事を思います。)
一般的に考えて、文句をずっと聞いていたいなどとは普通の人間では思わないことだろう。しかし、
(もしこれがおかしいというのなら、ミサカはおかしくてもいいです)
あの少年の隣にいるのならどんな形でも――。
そう思う彼女の顔は、間違いなく恋する少女の顔だった。
おかしいと言われそうな事を思います。)
一般的に考えて、文句をずっと聞いていたいなどとは普通の人間では思わないことだろう。しかし、
(もしこれがおかしいというのなら、ミサカはおかしくてもいいです)
あの少年の隣にいるのならどんな形でも――。
そう思う彼女の顔は、間違いなく恋する少女の顔だった。
『とある妹の逢引記録』
完