とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 4-667

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匿名ユーザー

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体温計が使えないという事で、美琴が上条の額に手を当てて熱を測る。
「……うーん、やっぱり熱いわね……」
先程までと比べてどうなのかまではわからないが、悪化はしていないと思いたい。
「……うーん、御坂の手が冷たくて気持ちいいな……」
額に手を置かれている当の上条さんは、暢気にお気楽に危険発言を放つ。
実際に熱を帯びている上条には額に置かれている美琴の手の冷たさが本当に気持ちよかった。
しかし、超鈍感上条さんは自分の発言の危険性に全く気付いていない。
「な、な、な、何言っちゃってるのよ、あんたは全く……!」

バチバチバチ!

「んがっ!?」
上条の言葉にドキッとした美琴が、驚いて微量ながらも電撃を発生させてしまう。
で、額に手を置かれてた上条さんにも少なからず電流が流れてしまった。
「……ミ、ミサカサン、コノジョウキョウデデンゲキハカンベンシテクダサイ……」
「うわぁぁぁぁっ! ご、ごめん……!」
死にそうな上条さんと、大慌ての美琴さん。
さっきもこんな事あったな……。
しかし、奇跡的にも意識を失わない上条さん、何気にタフです。
「……御坂、お前もどっか調子悪いのか? なんかやけに能力が暴走してるような気がするんですけど……もしかして、俺の風邪うつったか?」
何かと様子のおかしい美琴を心配する上条。
もしかしたら、自分の風邪がうつったのではないかと思ってしまう。
「な、な、な、なんでもないわよ! 私は全然健康よ!」

バチバチ! バチバチ!

「うぉっ!?」
再び電撃発生。
今度は上条さんの額に手は置いていないが、ベッドの真横至近距離でバチバチいっているので充分怖いです。
その時咄嗟に、

パシッ!

上条の右手が無意識に動き美琴の手に触れる。
「へっ?」
「……んがっ!?」
『幻想殺し』の効果で美琴の身体から発生していた電撃が全て消え失せる。
ちなみに今の上条の変な声は身体が動いた事で痛みが走ったからである。
「……動けるようになった……?」
「……いや、俺の意思では全然動きませんよ……。たぶん今のは、本能的に危険を察知して身体が勝手に動いたっぽい……」
微量ながらも電気ショックを喰らったのだから、身体が動くようになったのかと期待したが、残念ながらそうではないようだ。
上条の身体は彼が動こうとしても動いてくれない。
咄嗟に動いた上条の右腕はダラーンとベッドからはみ出してしまったので、美琴は布団の中に直そうとその腕を取る。
「あ、わりぃ……」
「いいわよ、今のは私が悪いし……」
「……でもさ、俺はお前がいてくれてすんげー助かってるぜ……ほんと、ありがとな……」
「……なっ!?」
上条の言葉に顔を赤くする美琴。
今のはちょっと(いや、かなり?)嬉しかったり。
で、当の上条は美琴の喜び具合に全く気付いていない。
まあ上条さんは現在絶不調なので、気付かないのも仕方ないのかもしれないが。(それでいいのか?)
ちなみに、今のも何気に危険発言だが、今回は上条の右手に触れていたので電撃は運良く発生しなかった。
しかし、
「ななななな、何言っちゃってくれてるかな、あんたは……!」
動揺しまくった美琴が、持っていた上条の手をブンブン振り回す羽目になり、腕を振り回された上条は結局激痛にのた打ち回るハメになるのだった。
「んぎゃー!!!」

「(……あー、なんかさっきより熱っぽく感じたり…身体がひたすらダルく感じたり…痛く感じたりするのは……気のせいじゃないですよね……?)」
度重なる不幸により、追加ダメージを蓄積させてなんかもう死にそうな感じで身体をぐてーっとさせてる上条さん。
嫌味の一つくらい口にしたいところだが、美琴の事を思って口には出さない。
美琴も凹み具合も相当のようで、ベッドの横に座ってはいるものの上条に背を向けて俯いてしまっている。
その背中からはどんよりとした空気を醸し出しているように見える。
なんと声を掛けたら良いものかと考えていると、

ぐぅきゅるるるるぅ……!

上条の腹の虫が盛大に鳴り響いた。
その盛大な音を聞き、隣りで俯いていた美琴が顔を上げて振り向く。
「……ああ、わりぃ……なんか、腹が減ってるみたいだ……上条さん的には食欲はないのですが、身体は空腹を訴えているようです……」
美琴に視線を向けると、申し訳なさそうに言う。
「……」
「……ん? ……どうか…したか?」
「え……あ…いや……その……」
なんだかちょっと様子のおかしい美琴。
まださっきの事を引きずっているのだろうか?

ぐぅきゅるるるるぅ……!

再び上条の腹の虫が盛大に鳴いて空腹を訴える。
何はともあれ、この腹の虫を大人しくさせる事が先決だろうと、上条さん家の台所事情を思い返す。
「(……食いモンってなんかあったけ? ……大概食べられそうな物はみんなインデックスが食っちまってるだろうからな……)」
料理のできない居候の事を思い出す。
過去幾度となく買い溜めしていた調理不要な食料(食パンやらお菓子など)は、上条が学校に行っている間に大抵喰らい尽くしていた。
注意したところでそれが改められる事はなく、逆に逆ギレされて噛み付かれた記憶が……。
「(……嫌な事思い出した……)」
痛い記憶を思い出しちょっとうんざりしていると、クイクイと袖を引かれる感触が。
「……ん?」
見ると美琴が上条の服の袖を軽く摘んでチョイチョイ引いていた。
「ね、ねぇ……さっきから何度も呼んでるんだけど……」
またいつものように美琴の声をスルーしていたようだ。
いつもだったら、「無視すんな、コラー!」とおもいっきり電撃お見舞いされそうだが、気落ちしていたせいか妙に遠慮がちな様子の美琴。
なんか上条さんが知ってる御坂美琴ではないような感じで、いつもとのギャップに少々戸惑う。
「あ、ああ、わりぃ……ちょっと考え事……」

ぐぅきゅるるるるぅ……!

再度腹の虫が鳴き、上条の言葉は中断させられた。
「……は、はは、よく鳴るな……」
乾いた笑い声を上げるが、正直『鳴りすぎじゃねぇ?』と思ってしまう。
早いところ黙らせるには、何か腹に入れるべきなのだろうが……。
「……なぁ、みさ……」
『何か食べる物買って来てくれないか?』と言葉が続くはずだったのだが、
「……私、何か作ろうか……?」
先に美琴が発した言葉によりそれの発言は引っ込められる事になった。
「……へ?」
一瞬美琴が何を言ったのかわからなかった。

予想外の申し出に言葉を失っている上条さん。
あまりにも意外すぎる発言だった。

『何か作ろうか……?』

とのまさかの料理宣言。
以前成り行きで料理ができるか聞いた時、「できない」とは言ってはいなかったが、あの時の反応からするとできなさそうだと勝手に思っていた。
美琴も常盤台中学に通うほどの『お嬢様』であるし。
だから、その発言を聞いた上条が最初に口にした言葉は、

「……お前、料理できるのか?」

というなんとも失礼な発言だった。
普段の美琴だったら間違えなく電撃飛んでくるなり、鉄拳制裁が飛んでくるなりしそうなところだが、
「で、出来るわよ……! りょ、料理くらい……簡単よ!」
電撃も鉄拳も飛んでくる事は無く、妙に力の入った返事が返ってきた。
なんていうか凄い意気込みというか、正直怖いです。
この妙な力の入り具合はなんなのでしょう。
「……ま、まあ、できるっていうのなら頼むけど……」
美琴の異様なプレッシャーに押されて了承する上条さん。
「よ、よし……!」
上条の了承を得た事で小さくガッツポーズをとる美琴さん。
「(……大丈夫か?)」
心底心配だったが、今更ダメとは言えない。
「……そ、それじゃあ台所借りるわよ」
「あ、ああ……って、ちょっと待ってくれ……!」
台所へ向かおうとした美琴を静止する上条。
一つだけ確認しておきたい事があった。
「な、なによ……?」
「……何作るんだ?」
「……へ?」
「御坂さんは何をお作りになるのでしょうかと聞いているのですが……」
「え、えっと……」
なんだか美琴の視線が泳いでます。
まさか何も考えてなかったというのでは?と心配になります。
不安が倍増する。
「そ、それは……れ、冷蔵庫の中を見てみない事には決められないわね……」
「……まあ、そうだな……」
最もらしい事を言ってはいるが、この様子から察するに何も考えてなかったように思われる。
やはりやめさせた方がいいのではと思ったが、妙にやる気になってる美琴を止めるのも気が引ける、というか止められる自信がない。
「(はぁー……しょうがないな……)」
仕方ないので少し助け舟を出す事にした。
「……お粥と味噌汁」
「……えっ?」
「お粥と味噌汁作ってくれって言ってるの。上条さん病人ですからお粥くらいしか食べられないし、後それに味噌汁でもあれば充分だから、それで頼む」
「……お粥と味噌汁、ね。……わかった」
「……頼むぞ」
「りょ、了解……」
未だ一抹の不安が残るが、美琴を台所へ送り出した。
しかし実際上条の不安は当たっていた。
というのも、
「(お粥と味噌汁って……どうやって作るんだっけ?)」
なんて事を美琴は考えていた。
つまり、彼女は全く料理なんてした事がないのであった。

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