とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 4-882

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匿名ユーザー

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そんなわけで、酔っ払いの美琴さんはえらく上条さんの事が気に入ってるようで、離れてくれません。
ベンチに座ってからもピッタリ横にくっ付き、ガッチリと腕を取られてて離す事もできない状態です。
まあ、当然美琴の胸が上条の腕に押し付けられてる状態になっているわけで、上条さん的には天国と地獄です。
しかし、離れないだけならまだしも、この酔っ払いは何かにつけてキスしようとしてきます。
なんとかそれを阻止しようとするのだが、どんなに頑張っても最終的にはキスされてしまう。
また、キス以外にもいろいろやってきます……。

「はむ〜♪」
「ぬぉっ!? み、耳ー! 耳朶噛むなー!」
上条さんの耳朶を軽く甘噛みする美琴さん。
「えーっ、じゃあ〜♪」

ペロ〜♪

「ひぐっ!? な、舐めるのもダメです……」
「にゃははは〜♪ とうみゃのはんにょうおもしりょ〜い♪ もっとしゅる〜♪」
「ちょ、ちょ、待て、待て待て! やめてー! あ、そ、そこ、く、首筋……首筋やめてー……!」

やってる事がだだ甘バカップルです。
こんな果てしなく恥ずかしい事を、白昼堂々青空の下おもいっきりやってます。
「(何か方法はないのか!? この酔っぱらいをどうにかする方法は!?)」
この状況を打破するには、やはり美琴の酔いを醒まさなければならないのだが、打開策が思い浮かばない。
「(右手でどうにかなってくれたりしねぇかな……)」
困った時の『幻想殺し』。
『幻想殺し』で酔いを消せないかなと、試しに美琴の頭に右手を当ててみたりしたのだが、

ポスッ……

「うにゅ?」
「……」
まるで効果はないようだ。(まあ当然か)
それどころか、
「とうみゃ〜♪ 頭なでなでしてくれるにょ〜♪」
と勘違いをされて、期待の眼差しを向けられる事になった。
「なでなでして、にゃでにゃでしてよ〜♪」
「いや、あの、その……これはだな……」
『違うんだよ』と言いたいのだが、そんな小動物チックな目で見つめられるとダメです。
そんな目で見ないでください、やらざるを得なくなるじゃありませんか。
結局上条さんは折れるのだった。

わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ……

「ふにゃー……」
どう表現したものか、とりあえず喜んではもらえているようです。
心地いいのか、脱力して上条さんの膝の上に頭を乗せると、膝の上の子猫状態でごろごろにゃーにゃーしてます。
「もっと〜♪ もっと、にゃでにゃでして〜♪ ふにゃー……」
「あー、はいはい……」
頭をなでなでしながら、いつまでこんなことが続くのだろうと考えていた。
しかし、これはもしかしたらチャンスなのではとも思った。
頭を撫でられている美琴は幸せそうに上条の膝の上で脱力して眠りそうなので、このまま眠ってくれればこの状況を打破できるのではないかと。
だが、上条の不幸がそんな簡単に終わってくれるはずがなかった……。

「ん? あれ、カミやんやないか?」
「おーい、カミやん、何してるぜい?」
今、最も会いたくなかった人物上位に位置する野郎の声が聞こえてきた。
なでなでしていた手がピタリと止まると、ギギギギギっとロボットのように声のした方に顔を向ける。
上条の背後から少し離れたところに二人の男の姿、とある高校の1年7組のクラスの三バカ(デルタフォース)の二人、土御門元春と青髪ピアス(本名不明)だ。
まずい、まずいです、ピンチ、ピンチです!
よりにもよってこんな状況であの二人と出くわすとは。
彼らのいる位置からは美琴の姿が見えていないようだが、こちらに近付いて来たらバレます。
「(やばい! こんなところあいつらに見られたら……!)」
考えただけでも恐ろしいです。
なんとかこの場をやり過ごさなければ……!
「(……しかし、どうする!?)」
あの二人がこのままこちらに来る事なくどこかへ行ってくれる事がベストだが、そんな都合のいい展開は期待できないだろう。
少しずつこちらに歩を進めてくる。
「……とうみゃ?」
上条の手が止まったので、美琴が上条の膝の上に頭を乗せたまま顔を見上げつつ声をかけるが、いつものようにスルーされる。
上条は余所見したまま固まっていた。
まあ、現在上条さんは二人に気付かれないようにする事で頭がいっぱいだったのだから、美琴の声に答えるだけの余裕がないのも仕方がないのだが、この状況下では何にも優先して美琴に気を配るべきだっただろう。
今の美琴はいつもの彼女以上に危険なのだから。
「……とうみゃ」
膝枕された状態から手を伸ばし、美琴の手が上条の頬に触れる。
「……へっ?」
頬を触れられた事でようやく美琴が呼んでいた事に気付いた上条だったが、次の瞬間一気に美琴に引き寄せられ、

チュッ〜♪

膝枕していた美琴にキスされるのだった。
「ん……」
「んん……!?」
「んん……ちゅば……ん……れろ……」
「ん……んん……!? ぷはぁっ……!?」
また強引に上条は唇を離すが、今度のキスはえらく強烈だったらしく、顔が前にも増して赤い。
離した唇と唇の間を涎の糸がつーっと伸びていた。
「んふふふふ、とうみゃのあじがしゅる〜♪」
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……な、なんつーキスをしやがりますか!?」
「うにゅ? でぃーぷきすってやつ? ちたとちたをきゃらましぇる……」
「説明せんでいいー!」
律儀に説明しようとする美琴をおもいっきり静止する。
「だって、とうみゃがむししゅるんだもん〜♪ いちゃじゅらくらいしたくにゃるもん〜♪」
「え、あ、う、うん……そ、その…それは悪かった。ちょっと考え事……」
と言いかけて、今の状況を思い出す。
その瞬間、背後から発せられる凄まじいまでの殺気に身を震わせ、背筋が凍りつきそうなほどゾクっとする凄まじいまでの悪寒を感じた。

「「カミやん……」」
悪寒の原因の主はこの二人、土御門と青髪ピアス。
当然、上条さんと美琴のキスの現場はこの二人に見られてたわけで……。
「……カミやん、遺言もしくは辞世の句はありますか? 一応聞いてやるでぇ……」
「カミやん……短い付き合いやったけど、いろいろ楽しかったぜい……」
怖くて後ろを振り向けませんが、どうやら二人は殺る気満々のようです。
殺意の濃度がいつものふざけ合いと比べて、明らかに段違いです。
これはもう少しでも行動を間違えるとデッドエンド直行、慎重に言葉を選ばなくては上条さんの生命はありません。
「いや、まあ、その……ちょっと落ち着こうよ……」
「カミやん、それが最後の言葉でええのんか?」
「それじゃあカミやん……さらばだぜい!」
弁明の余地は残されていなかったようだ。
「えー!? ちょ、ちょっと待てー! 弁明の余地なし!? なしですか!? もう上条さんにはデッドエンド直行の道しか残されていないのですかー!? ちょ、マジですか!?」
「いくぜい! 青ピー!」
「了解やー!」
「「死にさらせ—!!!」」
もはや問答無用、上条さん生命の危機!
かと思われたが、

「うるちゃい」

ビリビリガッシャーン!

美琴さんが一言、そう言い放った瞬間全てが終わった。
上条に向かって制裁を課そうとした二人は、美琴の発した電撃の餌食となった。
「にゃ、にゃぁ……ガクッ」
「こ、こういうのはカミやんのポジション……ガクッ」
まさに瞬殺、二人は一瞬にして黒焦げにされました。
流石はレベル5の超能力者、酔っ払ってもその実力に陰りはない。
上条は最強の矛であり盾ともなる存在を手に入れた(?)。
「……えっと……」
「とうみゃ、とうみゃ〜♪ うるちゃいのやっちゅけたよ〜♪ ほめてほめて〜♪」
この状況に戸惑っている上条さんとは裏腹に、美琴さんはまた頭をなでなでして欲しいのか、上条に抱きつき頭を突き出して来る。
美琴に助けられたので何もしてやらないわけにもいかず、まあキスしてと言われるよりは遥かにマシと考え、上条は求められるままに頭を撫でてやった。

わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ……

「ふにゃー……」
相変わらず訳のわからん反応だが、とりあえず喜んでいるのはたしかだ。
「とうみゃ〜♪」
「……ん?」
「だいちゅき〜♪」

チュッ〜♪

頭なでなでしてやっても、結局またキスされるのだった。

「なんやこのいちゃいちゃ空間はー! こんな光景を目の前で見せ付けられて黙っとけるかー!!!」
「男の……男の…男の嫉妬の執念ー、甘く見るんじゃないぜいー!!!」
今し方瞬殺された二人が、ガバっと再び立ち上がった。
電撃のダメージなどまるで無いかの如くスピーディに。
まあ、立ったと同時に激しくよろけている。
やっぱりダメージはあるようだ。
しかし、あの状態から立ち上がるとは、モテない男の執念恐るべし。
とはいえ、本当に大丈夫か?
「ふっふっふ……お、オレたちを…甘く見ちゃいかんぜい……」
「まだや……まだ終われへんのやー!」
なんかそれなりにかっこよさげな事を口にしてはいるが、彼らが立ち上がる理由は単なる嫉妬なので……。

「もー、うるさいー!」

ドガガガガッシャーン!!!

まだ二人のそれなりにかっこよさげなセリフの途中だったのだが、再び美琴の電撃炸裂。
「ちょ…ちょっと……まだ……喋ってる……途中…なんやけど……(がくっ)」
「こ…この仕打ちは……酷過ぎるにゃ……(がくっ)」
また二人は黒焦げとなってその場に倒れる。
「あー……」
「とうみゃ、とうみゃ〜♪ またうるちゃいのやっちゅけたよ〜♪ またにゃでにゃでして〜♪ にゃでにゃでして〜♪」
上条に抱きつき無邪気になでなでを要求してくる美琴。
土御門と青髪ピアスは再び上条に制裁を加えようと立ち上がったわけなので、迎撃してくれた事は感謝すべきなのだろうが、頭を撫でてやるべきなのか正直悩む。
悩むのだが、今は美琴の機嫌を損ねるのはあまりに危険なわけで、結局頭を撫でてやるのだった。

わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ……

「ふにゃー……」
相変わらずの訳のわからん反応をした後、
「とうみゃ〜♪ だいちゅき〜♪」

チュッ〜♪

またキスされるのだった。
まあ、またこうなるのだろうなとは予想していた。
だから頭をなでなでするべきか悩んでいた。
そしてもう一つ、
「ええかげんにせいー……!!! まだ見せ付けるかー!!!」
「嫌がらせか!? 嫌がらせやな!!!このバカップルがー!!!」
こうなるのではないかとも、なんとなく予想していた。
例によって土御門と青髪ピアスが復活、再び立ち上がった。
「(……なんだろうな……なんでこう…嫌な予想に限って…こんなに当たるんだろうな……不幸だ……)」

上条さんが不幸を呪っている間に、ゾンビの如く復活した二人は再び上条に襲い掛かろうとするのだが、
「もー、しちゅこいー!」

ドガガガガッシャーン!!!

美琴の電撃が三度炸裂し、結局瞬殺され二人は地面に倒れ付す。
何かこのまま、

美琴が上条になでなで要求→上条さんなでなでしてやる→美琴喜ぶ→お礼にキスする→土御門&青髪ピアス復活!→いちゃいちゃすんなー!と再び襲撃→美琴が二人を瞬殺!→美琴が上条になでなで要求(最初に戻る)

を永遠に繰り返し、どちらかが力尽きるまで無限ループしそうである。
と思われたが、終幕は意外に近いかもしれない。
あまりの二人のしつこさに美琴は相当ご立腹のようで、美琴の周りはバチバチと激しく帯電している。
「み、みこと……?」
そんな美琴の姿を見た上条さんは心底心配です。
案の定、倒れている二人に追い討ちをかけようと、電撃をぶっ放そうと構える。
「うーん……どのくりゃいにょいりょくをぶちゅけれびゃにどとたちあぎゃってこにゃいかな?」
美琴はもう二人の息の根を止める気満々、今までに無いくらいの電撃を放とうとしています。
「いやいやいや、だめだめ! だめだぞ、美琴! 何もそこまでしなくても……!」
それを見た上条さんは慌てて静止します。
右手でバチバチしている美琴に触れると、纏っていた電撃がキャンセルされ、電撃の追い討ちを未然に阻止。
さすがに追い討ちというか、これ以上の攻撃はマズイのではないかと。
下手したら本当に止めになりかねない。
「だって、とうみゃ〜……」
止められて少し不服そうな美琴。
「こいちゅらわたちたちのじゃまびゃかりしゅるし……わたちはとうみゃともっちょいっぴゃいきちゅときゃいりょいりょちたいのに……」
上条ともっといちゃつきたい美琴としては、どうもラブラブ(?)空間に割り込んでくる二人が許せないらしい。
「……あー、うーん……えっと…だな……」
返答に困るが、とりあえず危険発言はやめて欲しかった。
何故なら、
「くぉらぁー、カミやんー!!!」
「と、常盤台中学のお嬢様相手に、いろいろって何する気やー!!!」
それはこいつらに復活の呪文という効果をもたらすから。
しつこく四度目の復活を果たす土御門&青髪ピアス。
上条さんは、「ああ、またかよ……」という表情で頭を抱え、そして美琴は四度目の復活にとうとう堪忍袋の緒がキレたようで、

「いいきゃげんにちろー!!!!!」

大絶叫と共に、これでもかというほどの強力な電撃を二人に叩き込もうと、その手を振りかざそうとしたが、

パシッ!

振り下ろされる前に、上条が右手で握って阻止した。
「とうみゃ?」
「とりあえず……ここは逃げる!!!」
と言って上条は美琴の手を引くと、その場を一目散に逃げ出した。
電撃が来ると思い一瞬身構えていた土御門と青髪ピアスだったが、突然の二人の逃走に一瞬ポカンとしてしまう。
しかしすぐに我に返り二人の後を追おうとしたが、さすがに美琴から受けたダメージが大きかったのか追う事が出来なかった。
「カ…カミ…やん……!」
「こ、このままじゃ……このままじゃ…終わらんぜい……!」
ある意味二人は上条に救われたと言ってもいい状況、感謝してもいいくらいなのだが、それ以上に嫉妬の想いの方が強いようだ。

というわけで土御門と青髪ピアスから逃亡した上条さん&美琴さん。
逃走を決めた理由として、あのままあの場にいたら本当に無限ループになりかねないと思ったのと、土御門と青髪ピアスの生命の危険を感じた事も理由の一つなのだが、それとは別の理由がもう一つ。
美琴&土御門と青髪ピアスは気付いていなかったが、あの現場を見ている人影があったのだ。
あれだけ派手に騒いでいたので、騒ぎを聞きつけた人が顔を覗かせたのだろう。
ただ野次馬ならまだいい(よくはないが)が、あれがもし警備員(アンチスキル)やら風紀委員(ジャッジメント)だったり、そうでないにしても警備員や風紀委員に通報しようものなら面倒な事になる。
上条さんとしてもあまり人目に付きたくない状況なので逃走を決めたわけである。
「とうみゃ〜♪」
この状況はあまり人目に晒したくない、特に知り合いには……。
「(さっきあそこにいたのって、知り合いとかじゃないよな……?)」
少々気になったが、今となっては確認のしようがない。
あの場にいたのが知り合いでない事を願うばかりだ。

で、その現場を見ていた目撃者と言うのは……。
「ねぇ、初春……今の…御坂さん…だったよね……?」
「えーっと……ちょっと遠目だったから、よくわからなかったですけど……」
初春飾利と佐天涙子。
上条の知り合いではないが、おもいっきり美琴の知り合いだったりした。
しかも、初春は風紀委員だったりする。
「やっぱり御坂さんだって! 常盤台中学の制服着てたし、あれだけ電撃ビリビリやってたんだから! 絶対間違いないよ!」
「…そ…そうなの…かな……?」
佐天はかなり興奮気味で、初春はその勢いに圧倒される。
佐天が興奮するのも仕方のない事だろう。
何故なら、
「あの一緒にいた人は御坂さんの彼氏? 彼氏かな? 初春どう思う?」
恋話に興味深々だからだ。
しかも、ただ恋話ではない。
知り合い、しかもただの知り合いなんてものではなく、お嬢様で名門常盤台中学に通うほどのエリート、そしてこの学園都市で七人しかいないLv5の一人にして第三位の実力者、『超電磁砲』の異名を持つあの御坂美琴である。
御坂美琴の恋話なんて、これはもう興味ありまくりだ。
「彼氏……なんですかね……?」
「絶対間違いないって! だってさあ、ほら…その……キ、キスとかしてたじゃない……」
「あ、あー……う、うん…そ、そうですね……」
思い出して二人揃って顔を赤くする。
自分の事ではないとはいえ、やっぱりこういう話題は恥ずかしいものだ。
「……ねぇ、後つけてみない? まだそんなに遠くに行ってないと思うし」
「ええっー!?」
「初春も気になるでしょ?」
「そ、そりゃ気になりますけど……」
「じゃあ決まり! 善は急げだ! レッツゴー!」
「ああー、ちょっと佐天さん……!」
佐天は初春の手を強引に引くと、二人が走っていった方へと足を向けた。

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