とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 3-18

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【初出】
とあるSSの禁書目録PART3>>18-20
                           ◇                        ◇ 


 上条たちが集合場所となっていた会場を出て別の目的地に向かっているように、他の多くの学生達が移動しているのには訳がある。
 学園都市内外にある様々な企業、研究機関などを集め、その研究内容を展示し、それを観覧させる事によって自分達が生活してい
る学園都市、並びに 『外』 の環境などに触れさせるための『社会見学祭』ではあるが、さすがにそれら全てを一つの箇所に集めるの
は到底不可能といえる。
 さらに、業種や研究内容によっては会場として用意された建物の中に展示する事自体が無理な場合もある。
 その為大抵の場合、用意されている会場には簡単な展示用のブースを用意して、そこでどんな内容なのかを見てもらい、興味を持っ
た学生たちが自分たちのところに来てもらう、という方法を取っている所が多い。
 つまり、各学区ごとに数箇所用意されている会場は大きな見本市のようなものと言えるかもしれない。
 そして、それを見学する学生のほうにも様々な見学方法がある。
 幼年児や小学校低学年などの低年齢児には、それぞれの学校が学年ごとにあらかじめ見学させる企業や研究機関などを選んで最
初からそちらに行っているために、会場のほうにわざわざ来ることはあまり無い。
 比較的年齢が上がった中学生などでは、前もって幾つかの企業・研究内容を知らせておいたものの中からクラスごとに選ばせて見
学させるために、やはり、会場に足を運ぶことはあまり無い。
 ただし、学校によってはあえて会場に行ってそこで見てから判断させるという方式を取っているところもある。

 ちなみに、過去に学園都市内で行われた社会見学際において見学させる場所を学校側が事前に決定していた例としては、
「学園都市西部に残っている丘陵地帯を利用した高山植物の生態研究」を行っている研究機関。
「広大な敷地内に埋め込んだ特殊複合板水槽内で飼育している大型海洋生物の生態研究」を行っている研究機関。
「学園都市内で消費される食物生産ライン」を管理している研究機関。
 などがある。
 この内、丘陵地帯を利用している研究機関では、敷地となっている場所が用途上人の立ち入りが制限されていることもあり、まるで
ハイキングに来たかのような体験が出来る為、学校の施設内とはまた違う感性を得ることによる能力向上に繋がる事も期待されてい
るようである。
 また、特殊複合板水槽内では、おそらくは世界でここだけでだろうとも言われているシロナガスクジラの飼育が行われており、その姿
を見るのはそこいらにある水族館を見に行くよりも遥かに興奮する為に競争率の高い見学場所ともなっている。
 もっとも、学園都市に幼い頃から生活している生徒達は、大半が『外』においての水族館等を見たことは無い為に施設自体の希少性
といったものには関係なく、純粋にそこで飼育されている生命の姿を見ているようではある。
(もちろん、学園都市にある以上単に水族館として終わる事はなく、飼育にあたって培われてきた技術、例えば水槽内に蓄えられてい
る大量の水による超高水圧に耐えうる特殊複合板や、水槽内の水を浄化するシステム、そしてそこに水槽を埋めるために行われた新
しい掘削工事の方法等は様々な方面に転用できるものとしても注目されている)
 なお、食物生産ラインについてであるが、クローン食肉が管理されている牧場ビルを見学することは過去に理論ばかりを追求するよ
うな典型的なエリート校がよく調べもせずに見学を申し込んだため、その内部で管理、培養されている食肉の様子を見た生徒の多くが
トラウマにより精神に問題を抱え、結果能力開発に多大な損害を出したことがある為禁止されてしまっている。
 まあ、実際一面に広がる培養層に浮かぶ食肉の様子を嬉々として眺めるような生徒がいれば、それはそれで大いに情操面で問題
があるかもしれないのだが、学園都市側としてはあくまで結果を重視するために能力開発で問題となる事が無ければ見学禁止の措置
は取られなかったのではないか、とも言われているのだが。
(もちろんこれは事前の調査を怠った学校側の配慮の欠如が引き起こしたものであり、むしろ学園都市の食事情においては非常に重
要な施設であるのに不遇の目にあっている管理側は毎年不満が募っている)
 野菜の人工栽培を行っている農業ビルについては問題ない為に見学者を受け入れているが、一面に広がる水耕栽培の様子は変化
に乏しい地味なものでもあるために、年々見学申し込みの数が減ってきているようでもある。
 どちらも学園都市にとっては重要な施設ではあるのだが、今一つ人が集まらないために他の研究機関からは低く見られがちになって
いる。
 閑話休題(それはさておき)……。

  土御門たちと歩き続けていた上条だが、ふと違和感のようなものを覚えた。
 具体的に何がどう、という訳ではないのだが、何となくいつもの学園都市の雰囲気とは違うとでもいうのか空気が違うとでもいうのか。
 ともあれ、意識の端に浮かんだその感覚が何なのか明確な形になろうとする前に前を歩く土御門が隣の青髪ピアスに話しかける。
「しっかしあれだにゃー。やっぱしこうやって歩き回ってるのはウチらみたいな学年の生徒や『外』からのお客さんが殆どで、小さい子ら
は殆ど見かけんもんだぜい」
「?」
 そんな土御門に対して青髪ピアスはなにやら勝ち誇ったような感じで答える。
「はっはっは! 何ゆうてんねん。この程度の難易度、どうってことあらへんでー。むむ、告げる、告げるでー、ボクのアンテナがあっち
やって言うとる。ほれ! あそこにおったでー!」
 得意満面な顔で指差す先には5、6人ほどであろうか、中学生らしき生徒たちが一つのグループになって歩いている。 様子を見ている
と、どうやら班長らしき生徒の指示のもと、一生懸命にメモを取りながら見て回っているようである。
「んー初々しいやないの。こう、いかにも自分たちで決めて行動するんだー、って気合が入った感じが出てるところなんかイイやない? 
特にあの班長さんの女の子なんかは『自分が責任を持ってみんなを連れて行かなきゃ!』ってな意気込みが見えてるところなんかポイント
が高そうやでー」
「いいからお前は少し黙れ」
 途中から何だか暴走しだした青髪ピアスはとりあえず放っておくとして、話題に出たそのグループを目で追っていく。
(あーほんとだ。こうして見てると確かにちょっと緊張しながら歩いてる感じがするのがわかるなぁ。それにあの班長さんらしき子も責任感強
そうだしなぁ。張り切ってみんなをまとめようとするところなんかウチのクラスの吹寄みたいだし、きっと苦労するんだろうなー。まぁ無理も
ないだろなー、周りは殆ど大人や高校生とかの年の大きい生徒たちばっかだもんなー。――――……って)

「あれ?」

 思わず声に出してしまう。
 前を行く二人からはまたしても何事かと怪訝な目を向けられたため、慌てて「何でもない」と答えておいたが、今さっき自分が考えていた事
がどうも引っかかる。
 考え込む上条をよそに、土御門が続けていく。
「それにしてもあの子らも大変そうだぜい。大方いくつかの候補の中から見学する所を選ぶんだろうけど、それでも自分たちで判断しないとい
けないだろうしなー。ふむ、自由度と選択肢が限られてはいるけどある程度予定が決められている安心プランと、自由度はあるけど自分たちで
選択していかないといけない判断力と行動力画求められるプランかー。どっちがいいもんかにゃー?」
「あっはー! そんなん決まっとるやん! せっかくこんな面白そうなモンがそこいらにあるんやからいろいろ見て回れる方が楽しいんやで。
……って、待てよ、それともここは敢えて周りが自分たちよりも年上ばかりで慣れていない学区を歩き回らないといかんっちゅー設定を生かし
て、優しそうな年上のお姉さんに親切にしてもらえる方を選んだほうが正解なのか?! なあなあカミやんはどっちの方がええと思うー?」
 そんな二人の会話から、上条がさっきから感じていた違和感のようなものが何だったのかが分かった気がした。
 『歩き回ってるのはウチらみたいな学年の生徒や『外』からのお客さんが殆どで、小さい子らは殆ど見かけない』『周りは殆ど大人や高校生
とかの年の大きい生徒たちばっかり』という状況、つまり、今この通りでは年齢の低い生徒などは注目されやすい、ということになる。
(あれ? 何だか分かんないけど、嫌な予感がするのは何ででせう……?)
 普段は対不幸レーダーなるものの効果はあって無きが如しであるはずなのに、この背筋にゾクゾクときている予感めいたモノは一体何なのか?
 上条がそれでも一応注意を払いつつ見回していると、ふと、右手の方向に小さな人だかりが出来ているのが見えた。
(何だろうあれ……)
 前を行く青髪ピアスと土御門は何やら『年下を優しく教えるのがイイ』という意見と『年上に優しく教えてもらうのがイイ』という意見を激
しく闘わせており、上条の見ているモノに気付いた様子は無い。
 上条が眺めていると、その人だかりはどうやら外部から来た人間が多くその輪に入っているようである。
 それも、少人数が数人が作っている輪から一人が抜け出すと暫くは人が加わらないのだが、やがて何かに気付いたような顔をした大人がそこ
に寄って行くようである。
 しかも輪から抜け出てくる大人は外国人が多く、皆が皆、先程吹寄が持っていた『案内パンフレット』とやらを広げながら歩いていく。
(パンフレットを持ってるってことは何か目的地があったんだろうけど、何であすこに固まってるんだ? どうも目的地は別っぽいし、何があ
ったんだろなー)
 まず人垣の隙間から僅かに見えた背格好からして、どうやら小さな学生のようだった。
 いや、学生『達』と言った方がいいか。少なくとも二人いるようだからだ。
 そして、一人はどうやら中学生のよう、もう一人はそれよりもさらに幼いようだった。
 さらに、時折隙間から見える中に、銀色の光があった。
(…………銀色?)
 何か心当たりがあるような気もするが、思い当たる節はとりあえず、無い。
 自分のよく知る人物は、もっと違う格好をしているからだ。
 人の輪がさらに少なくなったときに見えたのは、ここ学園都市においてもあまり目にすることの無い制服であった。
 それは、人に仕える立場の人間が着る為の制服だった。
 始めは、その制服が珍しい為に人が寄っているのかとも思ったが、どうも違うようだ。
 どうも様子を見ると、輪の中心にいる人間と一言二言話をして立ち去っているようである。
 そうこうするうちに『ソレ』を取り巻く人だかりが少なくなったとき、上条は驚愕の光景を眼にすることになる。

 「ぶっ!!?」

 『ソレ』を見た瞬間、思わず吹いた。
 まず最初に目に入ったのは、前を行く土御門元春の義妹である舞夏の姿であった。
 次に目に飛び込んできたのは、銀色の髪のメイド服の少女だった。
 あれ、何か見覚えがあるよーな? と思ってよくよく見ると、

 イ ン デ ッ ク ス が メ イ ド 服 を 着 て 周 り の 大 人 達 と 話 し て い た 。

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