7時00分。
上条当麻は強い日差しに目が覚めた。すっかり秋の季節になって少し肌寒い早朝。
「…ん、んーっ」
体を動かし、目をこすりながら起き上ろうとした。薄目で時計を確認する。
(…まだ七時じゃねーか。あと十五分くらいはいいだろー)
昨日のうちにインデックスの朝食のためのご飯の仕込みは終わっている。おかずも昨日の残りがある。冷凍食品の在庫も問題ない。
(むにゃむにゃ、あと十五分は寝かせてくださいましー)
上条当麻は強い日差しに目が覚めた。すっかり秋の季節になって少し肌寒い早朝。
「…ん、んーっ」
体を動かし、目をこすりながら起き上ろうとした。薄目で時計を確認する。
(…まだ七時じゃねーか。あと十五分くらいはいいだろー)
昨日のうちにインデックスの朝食のためのご飯の仕込みは終わっている。おかずも昨日の残りがある。冷凍食品の在庫も問題ない。
(むにゃむにゃ、あと十五分は寝かせてくださいましー)
ん?
上条当麻は、ふと気がついた。
なにやら美味しそうなにおいが漂っている。コトコトと鍋の音が聞こえてくる。
(俺、タイマーをセットしておいたっけ?)
そんなはずは無い。上条当麻は炊飯ジャーのタイマーしかセットしない。そう疑問に思い、布団を跳ね除けて起き上がろうとして―――
「へっ?」
上条はベッドから転げ落ちた。
なにやら美味しそうなにおいが漂っている。コトコトと鍋の音が聞こえてくる。
(俺、タイマーをセットしておいたっけ?)
そんなはずは無い。上条当麻は炊飯ジャーのタイマーしかセットしない。そう疑問に思い、布団を跳ね除けて起き上がろうとして―――
「へっ?」
上条はベッドから転げ落ちた。
「い、ぎゃあ!?」
盛大に頭から転げ落ちる上条。不器用な前転によって頭に激痛が走った。
「い、ってー。って、ベッド?え、え?ってここドコ!?」
上条は辺りを見回した。
ここは部屋の一室。クリーム色のカーテンから朝日が仕込んでいる。自分が寝ていたであろうベッドは全く見覚えがない。先程見たデジタル時計も自分が持っている時計とは違う。
自分の着ているパジャマらしきものも見覚えがない。床はフローリングだが、よく磨かれていて掃除が行き届いているのが分かる。ダークブラウンのクローゼットに張り付けられている等身大の鏡。ベッドの反対側にはちょっとばかり値が張りそうな机に最新式のパソコンまである。どこからどう見ても知らない場所だった。俺は寝ぼけているんじゃないのかと思って、
上条は自分の頬をつねってみた。
痛い。
(ちょ、ちょっと待て!俺は家に帰ってインデックスが寝静まってから米を研いで、朝食の確認を取って、自分の布団に潜ったはずですがー!?一体これはどうなってんだー?た、確かに昨日は自分の布団に…)
と、朝から自分の置かれた状況に混乱しかけていたその時。
ガチャリとドアが開いた。
「とうま、大丈夫?さっき大きな音が聞こえたけど…」
盛大に頭から転げ落ちる上条。不器用な前転によって頭に激痛が走った。
「い、ってー。って、ベッド?え、え?ってここドコ!?」
上条は辺りを見回した。
ここは部屋の一室。クリーム色のカーテンから朝日が仕込んでいる。自分が寝ていたであろうベッドは全く見覚えがない。先程見たデジタル時計も自分が持っている時計とは違う。
自分の着ているパジャマらしきものも見覚えがない。床はフローリングだが、よく磨かれていて掃除が行き届いているのが分かる。ダークブラウンのクローゼットに張り付けられている等身大の鏡。ベッドの反対側にはちょっとばかり値が張りそうな机に最新式のパソコンまである。どこからどう見ても知らない場所だった。俺は寝ぼけているんじゃないのかと思って、
上条は自分の頬をつねってみた。
痛い。
(ちょ、ちょっと待て!俺は家に帰ってインデックスが寝静まってから米を研いで、朝食の確認を取って、自分の布団に潜ったはずですがー!?一体これはどうなってんだー?た、確かに昨日は自分の布団に…)
と、朝から自分の置かれた状況に混乱しかけていたその時。
ガチャリとドアが開いた。
「とうま、大丈夫?さっき大きな音が聞こえたけど…」
そこには、白いエプロンを着た可愛らしい銀髪碧眼の少女が立っていた。
「へっ?」
インデックス、と呼ぼうとしたが上条当麻は声が出せなかった。今、上条の目の前に立っている少女はインデックスだろう。居候しているシスターの声を聞き間違えるはずがない。
しかし、とても奇妙だった。なぜインデックスはあの修道服を着ていないのか。なぜ普段着の上にエプロンを羽織っているのか。なぜそんなにインデックスは成長して可愛らしい女の子になっているのか。
インデックス、と呼ぼうとしたが上条当麻は声が出せなかった。今、上条の目の前に立っている少女はインデックスだろう。居候しているシスターの声を聞き間違えるはずがない。
しかし、とても奇妙だった。なぜインデックスはあの修道服を着ていないのか。なぜ普段着の上にエプロンを羽織っているのか。なぜそんなにインデックスは成長して可愛らしい女の子になっているのか。
「インデックス、だよな?」
そう呼ばれた少女は首をかしげた。
「とうま。まだ寝ぼけてるの?私以外誰がいるのよ。まあ、朝食はあと5分くらいで出来上がるから、さっさと顔でも洗ってきたら?」
「は、はあああああぁっ!?」
(さっき、何て言った?イ、インデックスが、あ、あさ、朝飯をぉ!?手伝いもまともしてくれないあのインデックスが朝飯を準備してるだとぉぉぉっ!?)
上条は両手でインデックスの肩をつかんだ。きゃっ、と可愛らしい声を出していたがそんなことまでに意識が届いていない。
「お、おいっ。インデックス!一体これはどうなってる?お前が朝食を作っただと?それもおかしいが、まずココは何処だ!?俺たち昨日は俺の家で寝てたよな?「明日は魚がいい」とか言って俺に三枚下ろしを頼んでたじゃねーか。しかも、何でそんなに背伸びてんだよ。一五〇センチぐらいだっただろ?御坂より背高くないか?お前」
次々と溢れる疑問の数々。おかしい、絶対おかしい。ドッキリにしては手が込みすぎている。一体何が起こった。そう言おうとして、上条当麻はふと我に返った。
「と、とうま。本当にどうしたの?とうまが言ってること全然分かんないよ。私はインデックスだし、ここはとうまの家だし、ご飯だって半年前から私が時々作ってるじゃない」
そう呼ばれた少女は首をかしげた。
「とうま。まだ寝ぼけてるの?私以外誰がいるのよ。まあ、朝食はあと5分くらいで出来上がるから、さっさと顔でも洗ってきたら?」
「は、はあああああぁっ!?」
(さっき、何て言った?イ、インデックスが、あ、あさ、朝飯をぉ!?手伝いもまともしてくれないあのインデックスが朝飯を準備してるだとぉぉぉっ!?)
上条は両手でインデックスの肩をつかんだ。きゃっ、と可愛らしい声を出していたがそんなことまでに意識が届いていない。
「お、おいっ。インデックス!一体これはどうなってる?お前が朝食を作っただと?それもおかしいが、まずココは何処だ!?俺たち昨日は俺の家で寝てたよな?「明日は魚がいい」とか言って俺に三枚下ろしを頼んでたじゃねーか。しかも、何でそんなに背伸びてんだよ。一五〇センチぐらいだっただろ?御坂より背高くないか?お前」
次々と溢れる疑問の数々。おかしい、絶対おかしい。ドッキリにしては手が込みすぎている。一体何が起こった。そう言おうとして、上条当麻はふと我に返った。
「と、とうま。本当にどうしたの?とうまが言ってること全然分かんないよ。私はインデックスだし、ここはとうまの家だし、ご飯だって半年前から私が時々作ってるじゃない」
―――――――な、んだって?
インデックスは上条の顔をじろじろと見ながら少し困った顔をしていた。大きな碧眼の瞳。きれいな女の子の顔を間近で見ているだけで上条は変な気分になってきた。当麻はあわてて目をそらした。
「す、すまん。インデックス。ちょっと変な夢を見ててな。つ、つい」
「…とうまが寝ぼけてるのはいつものことだけど、今日は結構ひどいね。熱でもあるの?」
おでこに手をあててきた。上目づかいで顔をうかがう仕草といい、インデックスのエプロン姿といい、女の子特有の香りといい、かぁっと上条の顔が赤くなってしまう。
「だ、大丈夫ですって平熱平穏平凡な高校生上条当麻ですよどんなことが起ころうともびくともしないバッチグーでストロングな心の持ち主上条当麻です!」
「うん、いつものとうまだね」
にっこりほほ笑むエプロンシスター。上条は不覚にもドキッとしてしまった。
「じゃ、じゃあ、顔洗ってくるから」
「うん」
そう言ってインデックスは長い廊下を歩きだした。奥に居間があるのだろう。
「あ、あのインデックスさん?」
「なに?」
「洗面所ってどこにあるんだっけ?」
「す、すまん。インデックス。ちょっと変な夢を見ててな。つ、つい」
「…とうまが寝ぼけてるのはいつものことだけど、今日は結構ひどいね。熱でもあるの?」
おでこに手をあててきた。上目づかいで顔をうかがう仕草といい、インデックスのエプロン姿といい、女の子特有の香りといい、かぁっと上条の顔が赤くなってしまう。
「だ、大丈夫ですって平熱平穏平凡な高校生上条当麻ですよどんなことが起ころうともびくともしないバッチグーでストロングな心の持ち主上条当麻です!」
「うん、いつものとうまだね」
にっこりほほ笑むエプロンシスター。上条は不覚にもドキッとしてしまった。
「じゃ、じゃあ、顔洗ってくるから」
「うん」
そう言ってインデックスは長い廊下を歩きだした。奥に居間があるのだろう。
「あ、あのインデックスさん?」
「なに?」
「洗面所ってどこにあるんだっけ?」
「…とうま、病院行ったほうがいいかも」
とある魔術の禁書目録 「並行世界(リアルワールド)」
さて、状況を確認しよう。
また世界が変わっている。『御使堕し』とはまた種類が違うようだが今の状況が異常なのは確かだ。現状を鑑みるに上条当麻は『未来』に来ているらしい。
また世界が変わっている。『御使堕し』とはまた種類が違うようだが今の状況が異常なのは確かだ。現状を鑑みるに上条当麻は『未来』に来ているらしい。
朝から上条は驚きの連続だった。
鏡を見ると顔つきが少し刀夜に似てきており、身長が180cm程度もあった。髪は短く、ハードタイプのワックス(いつも使っているものより高価な品)を使ってツンツンした髪型にしてもしっくりこない。仕方なく当たり障りのない髪型に変えた。ここは3LDKの一室で最新式のTPSセキュリティになっているアパートであり、上条の家とはエコノミークラスとファーストクラスくらいの違いがある。居間に行くとインデックス作の完璧な和風朝食。これがまた美味かった。(上条感覚的に)高級感あるクローゼットを開けると自分の通っていた高校とは違う制服があった。学ランではなく、(上条感覚的に)これまた高級感溢れる黒で統一されたブレザー。袖にある金色のラインや左胸にあるエンブレムがなければスーツに見えそうな制服。そしてそのエンブレムはこの学園都市の生徒ならだれもが知っているマーク。
双頭の龍に一本の剣の刺繍。
鏡を見ると顔つきが少し刀夜に似てきており、身長が180cm程度もあった。髪は短く、ハードタイプのワックス(いつも使っているものより高価な品)を使ってツンツンした髪型にしてもしっくりこない。仕方なく当たり障りのない髪型に変えた。ここは3LDKの一室で最新式のTPSセキュリティになっているアパートであり、上条の家とはエコノミークラスとファーストクラスくらいの違いがある。居間に行くとインデックス作の完璧な和風朝食。これがまた美味かった。(上条感覚的に)高級感あるクローゼットを開けると自分の通っていた高校とは違う制服があった。学ランではなく、(上条感覚的に)これまた高級感溢れる黒で統一されたブレザー。袖にある金色のラインや左胸にあるエンブレムがなければスーツに見えそうな制服。そしてそのエンブレムはこの学園都市の生徒ならだれもが知っているマーク。
双頭の龍に一本の剣の刺繍。
「な、ななな長点上機学園!?」
流石の上条当麻も腰を抜かした。
無理はない。長点上機学園とは学園都市最高峰の難関校。大能力者(レベル4)以上の能力者、なおかつ軍事的分野に突出した能力を有していることが最低条件であり、その上いくつもの学園都市最難関の試験を突破するか、一定以上の地位を持つ有権者15名以上の推薦状が必要なのだ。ちなみに上条は『無能力者(レベル0)』。入学どころか受験条件すら満たしていない。
なぜ俺がこの制服を持っているのか。
俺は長点上機学園の生徒なのか。
はたまた、今の俺はコスプレに目覚めただけなのか。上条の疑問は増える一方だった。
二十分ほど部屋や洗濯機の中、ベランダと探し回ったが、いつもの学ランが何処にもない。仕方なく長点上機学園の制服を着ることにした。ワイシャツが背丈にピッタリである。本当に信じられないことだが今の俺は長点上機学園の生徒らしい。
「…ネクタイの締め方が分からねぇ」
ポケットに仕舞っておくことにした。
無理はない。長点上機学園とは学園都市最高峰の難関校。大能力者(レベル4)以上の能力者、なおかつ軍事的分野に突出した能力を有していることが最低条件であり、その上いくつもの学園都市最難関の試験を突破するか、一定以上の地位を持つ有権者15名以上の推薦状が必要なのだ。ちなみに上条は『無能力者(レベル0)』。入学どころか受験条件すら満たしていない。
なぜ俺がこの制服を持っているのか。
俺は長点上機学園の生徒なのか。
はたまた、今の俺はコスプレに目覚めただけなのか。上条の疑問は増える一方だった。
二十分ほど部屋や洗濯機の中、ベランダと探し回ったが、いつもの学ランが何処にもない。仕方なく長点上機学園の制服を着ることにした。ワイシャツが背丈にピッタリである。本当に信じられないことだが今の俺は長点上機学園の生徒らしい。
「…ネクタイの締め方が分からねぇ」
ポケットに仕舞っておくことにした。
そんなこんなで上条はアパートから飛び出した。
場所は第7学区の高級街。学園寮では無いらしい。長点上機学園の場所は知っているので地理感覚に困ることはなさそうだ。
「って、困ることばっかりだよ!!」
不慣れな制服に戸惑いを覚えつつ、とりあえず学園を目指した。上条の高校を訪れようとしたがこの制服では場違いだ。怪しまれる。土御門の家に行って直接確かめるのが良いが、前回のように土御門がこの変化に巻き込まれていないという保証はどこにもない。上条の家は学生寮であり、旧型だがいっぱしの監視カメラとセキュリティはある。不用意に近づくのは危険極まりないだろう。そんなことを考えていると常盤台中学の校門に差し掛かっていた。視線を感じるなと思いつつ周りを見渡していると常盤台の生徒がチラチラと上条のほうを見ていた。
(…やっぱ目立つよなぁ。この制服)
長点上機学園。
五指の頂点に立つ学園。同じ五指に入る常盤台といえどブランドの点でも長点上機学園には翳る。そんなライバル校の生徒が登校時に名門学校の校門を横切るのだ。注目されて当然と言えば当然なのだが。
「………はぁ、なんか、不幸だー」
名門学校に入学して周囲からチヤホヤされる人たちが羨ましいと思ったことはあるが、実際にそうなってみるとそんなに良い気持はしない。むしろ鬱陶しく感じさえする。
場所は第7学区の高級街。学園寮では無いらしい。長点上機学園の場所は知っているので地理感覚に困ることはなさそうだ。
「って、困ることばっかりだよ!!」
不慣れな制服に戸惑いを覚えつつ、とりあえず学園を目指した。上条の高校を訪れようとしたがこの制服では場違いだ。怪しまれる。土御門の家に行って直接確かめるのが良いが、前回のように土御門がこの変化に巻き込まれていないという保証はどこにもない。上条の家は学生寮であり、旧型だがいっぱしの監視カメラとセキュリティはある。不用意に近づくのは危険極まりないだろう。そんなことを考えていると常盤台中学の校門に差し掛かっていた。視線を感じるなと思いつつ周りを見渡していると常盤台の生徒がチラチラと上条のほうを見ていた。
(…やっぱ目立つよなぁ。この制服)
長点上機学園。
五指の頂点に立つ学園。同じ五指に入る常盤台といえどブランドの点でも長点上機学園には翳る。そんなライバル校の生徒が登校時に名門学校の校門を横切るのだ。注目されて当然と言えば当然なのだが。
「………はぁ、なんか、不幸だー」
名門学校に入学して周囲からチヤホヤされる人たちが羨ましいと思ったことはあるが、実際にそうなってみるとそんなに良い気持はしない。むしろ鬱陶しく感じさえする。
トボトボと歩くこと数十分。長点上機学園の時計塔が見えてきた。周囲には登校している長点上機学園の生徒がちらほらと見え、生徒同士は視線が合う度に軽い会釈をしている。挙動不審だと怪しまれるので、周りの真似をしてみることにした。向かい側で歩いている長点上機学園の男子生徒と目があった。中学生と思われるがメガネを掛けていていかにも優等生らしい風体をしている。軽く顎を下げ、挨拶した。
ビクッ!と驚いたように上条を見てきた。そして体を震わせると何度もこっちに頭を下げ、走るように長点上機学園に向かっていった。
驚いたのは上条のほうだ。
(な、なんか間違ってたかー?俺。も、もしかしてネクタイしていないだけで変に思われたとか?)
ビクッ!と驚いたように上条を見てきた。そして体を震わせると何度もこっちに頭を下げ、走るように長点上機学園に向かっていった。
驚いたのは上条のほうだ。
(な、なんか間違ってたかー?俺。も、もしかしてネクタイしていないだけで変に思われたとか?)
後ろからゴロゴロと奇妙な音がした。
「すいませーん!道を開けてくださーい」
振り返ると人込みをかき分けながらローラーシューズで登校している女子生徒が見えた。
彼女も長点上機学園の生徒らしい。左胸に双頭の龍と一本の剣の刺繍がある。通り過ぎる直前、おはようと上条は声をかけた。彼女はゴーグル付きのヘルメットを着用していて、ゴーグルを上げながら挨拶をしようとしたところ
「あっ、おはようございまーす…って、えええええ!?ってて、きゃああっ!」
と、コントロールを失い盛大にズッコけた。
「あぶねぇ!」
上条は咄嗟に彼女の体を掴み、庇うように地面に叩きつけられた。
「うぐっ!?」
「あひゃ!」
背中に強い衝撃が走る。腹部に妙に柔らかい感触を感じるが、今はどうでもいい。
「…っ、大丈夫か。お前」
「…えぇ、あ、はい。すいませ…って、きゃああああああああっ!!」
「ど、どうかしたのか!?」
へたり込む少女は上条の顔を見るなり頬を真っ赤にすると、あわわわ、と慌てふためいて叫んだ。
「い、いいいいえ、か、かかかか上条様に、あ、朝からお逢いになれるだけでは無く、た、たた助けてもらえるだなんてぇぇ!」
「すいませーん!道を開けてくださーい」
振り返ると人込みをかき分けながらローラーシューズで登校している女子生徒が見えた。
彼女も長点上機学園の生徒らしい。左胸に双頭の龍と一本の剣の刺繍がある。通り過ぎる直前、おはようと上条は声をかけた。彼女はゴーグル付きのヘルメットを着用していて、ゴーグルを上げながら挨拶をしようとしたところ
「あっ、おはようございまーす…って、えええええ!?ってて、きゃああっ!」
と、コントロールを失い盛大にズッコけた。
「あぶねぇ!」
上条は咄嗟に彼女の体を掴み、庇うように地面に叩きつけられた。
「うぐっ!?」
「あひゃ!」
背中に強い衝撃が走る。腹部に妙に柔らかい感触を感じるが、今はどうでもいい。
「…っ、大丈夫か。お前」
「…えぇ、あ、はい。すいませ…って、きゃああああああああっ!!」
「ど、どうかしたのか!?」
へたり込む少女は上条の顔を見るなり頬を真っ赤にすると、あわわわ、と慌てふためいて叫んだ。
「い、いいいいえ、か、かかかか上条様に、あ、朝からお逢いになれるだけでは無く、た、たた助けてもらえるだなんてぇぇ!」
………………………………………………………………………………………………はい?
上条当麻は凍った。
(か、かかかみ、かみ、上条「様」!?上条「様」だとおおぉぉぉ!?)
上条は限界メーターが振り切れそうだった。
「か、上条様!上条当麻様、ですよね!?本っ当に申し訳ありませんでしたぁ!わた、私は高等部1年A組の羽平くるると申しますっ!ああっ、助けてもらってのお礼がまだでしたね!ありがとうございますぅ!こ、ここのお礼はまた後日改めてお伺いしてもよろしいでしょうか!?上条様とこうしてお話ができるだけでも感激なのに、身を呈してまでこんな私を助けてくださるなんてぇー、きょ、今日はとっても幸せな一日になりそうですぅ~」
周囲が引くほどのマシンガントークを発する女子を眺めながら、上条当麻は彼女を観察していた。
金髪でウエーブがかかったロングヘアーでインデックスと同じ透き通るような碧眼。西洋人風の女子でローラースケーターの格好がよく似合う生徒。なかなかの美少女だ。
うーむ、Aの75か76か。洗練された上条的触感(?)センサーで詳細なバスト値を測定していたところ
「あ、あのー上条様?」
「!…っは!?な、何でごさいましょう!私め上条当麻は貴女のバストがAの75か6だなんてちっとも思ってもいませんが!」
「……Aの75ですけど」
「って、答えるなよ!」
一体何なんだこの子。というかこの世界は一体どんな設定になっていやがる。俺が「様」扱いされるなんて夢にも思ったことはねぇぞ。ま、まさかこれは俺も知らない内なる願望が反映された世界だったりして―?!と、妄想に入り浸っていた。
「上条様!本当にありがとうございます!このお礼、必ずさせていただきますから!!」
ニコニコとした笑顔で大きく頭を下げると、鼻歌を歌いながら何度もこっちを振り向いて走り去っていった。
若干引きつった笑顔で手を振る上条。
「…何だった。一体」
嵐が過ぎ去ったように静かになる空気。
まあいい。と、学園に足を向けた瞬間―――
(か、かかかみ、かみ、上条「様」!?上条「様」だとおおぉぉぉ!?)
上条は限界メーターが振り切れそうだった。
「か、上条様!上条当麻様、ですよね!?本っ当に申し訳ありませんでしたぁ!わた、私は高等部1年A組の羽平くるると申しますっ!ああっ、助けてもらってのお礼がまだでしたね!ありがとうございますぅ!こ、ここのお礼はまた後日改めてお伺いしてもよろしいでしょうか!?上条様とこうしてお話ができるだけでも感激なのに、身を呈してまでこんな私を助けてくださるなんてぇー、きょ、今日はとっても幸せな一日になりそうですぅ~」
周囲が引くほどのマシンガントークを発する女子を眺めながら、上条当麻は彼女を観察していた。
金髪でウエーブがかかったロングヘアーでインデックスと同じ透き通るような碧眼。西洋人風の女子でローラースケーターの格好がよく似合う生徒。なかなかの美少女だ。
うーむ、Aの75か76か。洗練された上条的触感(?)センサーで詳細なバスト値を測定していたところ
「あ、あのー上条様?」
「!…っは!?な、何でごさいましょう!私め上条当麻は貴女のバストがAの75か6だなんてちっとも思ってもいませんが!」
「……Aの75ですけど」
「って、答えるなよ!」
一体何なんだこの子。というかこの世界は一体どんな設定になっていやがる。俺が「様」扱いされるなんて夢にも思ったことはねぇぞ。ま、まさかこれは俺も知らない内なる願望が反映された世界だったりして―?!と、妄想に入り浸っていた。
「上条様!本当にありがとうございます!このお礼、必ずさせていただきますから!!」
ニコニコとした笑顔で大きく頭を下げると、鼻歌を歌いながら何度もこっちを振り向いて走り去っていった。
若干引きつった笑顔で手を振る上条。
「…何だった。一体」
嵐が過ぎ去ったように静かになる空気。
まあいい。と、学園に足を向けた瞬間―――
「とう、まっ!」
いきなり腕に絡みついてきた。それまたすんげー美少女が。
「どァあっ!?」
肘の辺りにマシュマロのような柔らかい感触を感じた。
「当麻はどーして私が目を離したすきにすぐ女の子と仲良くなるのかなぁー?」
(ちょっと待て!当麻?俺を呼び捨て?こいつ一体誰!?ダレ?ダレナノヨ!?)
しかし、声は聞き覚えがある。腰まである茶色いロングヘアーに、上条よりも十センチほど低い背丈。ベージュ色のブレザーに紺色のプリーツスカートを穿いている。Cの85程度(上条的触感(?)センサーより測定)のバストを持つスタイル抜群の少女。以上の情報から上条の脳内ではじき出した結果、
いきなり腕に絡みついてきた。それまたすんげー美少女が。
「どァあっ!?」
肘の辺りにマシュマロのような柔らかい感触を感じた。
「当麻はどーして私が目を離したすきにすぐ女の子と仲良くなるのかなぁー?」
(ちょっと待て!当麻?俺を呼び捨て?こいつ一体誰!?ダレ?ダレナノヨ!?)
しかし、声は聞き覚えがある。腰まである茶色いロングヘアーに、上条よりも十センチほど低い背丈。ベージュ色のブレザーに紺色のプリーツスカートを穿いている。Cの85程度(上条的触感(?)センサーより測定)のバストを持つスタイル抜群の少女。以上の情報から上条の脳内ではじき出した結果、
「美、美琴?」
「四日ぶりに当麻と会えると思ってすっごく楽しみにしてたのに、これだもんなー。もう慣れたけどね。当麻の浮気性には」
と膨れた顔で頬をつついてきた。
…何なんだ。こいつのデレッぷりは。
「ねえねえ、当麻」
「な、何だよ」
と膨れた顔で頬をつついてきた。
…何なんだ。こいつのデレッぷりは。
「ねえねえ、当麻」
「な、何だよ」
上条の頬に、ふいに唇が触れた。
――――――――え?
「ちょ、ちょちょちょちょっと、なにすんだお前!?」
周囲の視線が痛い。公衆の前でキスするとは。
「当麻が浮気するからでしょ!」
「はい!?」
御坂と付き合ってんの――!?Why!?What for!?How many(?)!?
て、天変地異だ。これは俺の願望でも未来でもねえ――!御坂と俺が?御坂と俺が!?カレシカノジョのカンケイ?誰の思惑だ!?これはやり過ぎだろ!
けどやばいヤバいヤバイヤヴァーイ!!このツンデレっぷり何か胸に迫るものがありますよー!?
「ねえ、当麻。来週の土曜、空いてるよね?」
「は?」
「は?じゃないわよ!先週から言ってたじゃない。もう忘れてるの!?」
「…あー、そうか、そうだったな!い、いや忘れてたわけじゃないぞ?ここんとこ定期試験のことで頭いっぱいだったから」
(ど、どうにかして話しを合わせておかないと…)
「……ふーん。私より定期試験の方が大事なんだ。当麻は」
「そんなことねぇよ!」
反射的に上条は叫んでしまった。しかし、反射的にそう言ってしまうくらい御坂が可愛かったのだから仕方がない。
御坂は上条が見たこともない柔らかい笑顔を作ると、ガシッと両腕で上条の首をつかんだ。美琴の顔が近い。吐息の温かさを感じるほどに。
「ねぇ、当麻。来週の土曜日…」
美琴の顔が赤い。というかめちゃくちゃ可愛い。やべぇ。俺どうかなっちまいそうだ。
小さい声で、そっと呟いた。
「ちょ、ちょちょちょちょっと、なにすんだお前!?」
周囲の視線が痛い。公衆の前でキスするとは。
「当麻が浮気するからでしょ!」
「はい!?」
御坂と付き合ってんの――!?Why!?What for!?How many(?)!?
て、天変地異だ。これは俺の願望でも未来でもねえ――!御坂と俺が?御坂と俺が!?カレシカノジョのカンケイ?誰の思惑だ!?これはやり過ぎだろ!
けどやばいヤバいヤバイヤヴァーイ!!このツンデレっぷり何か胸に迫るものがありますよー!?
「ねえ、当麻。来週の土曜、空いてるよね?」
「は?」
「は?じゃないわよ!先週から言ってたじゃない。もう忘れてるの!?」
「…あー、そうか、そうだったな!い、いや忘れてたわけじゃないぞ?ここんとこ定期試験のことで頭いっぱいだったから」
(ど、どうにかして話しを合わせておかないと…)
「……ふーん。私より定期試験の方が大事なんだ。当麻は」
「そんなことねぇよ!」
反射的に上条は叫んでしまった。しかし、反射的にそう言ってしまうくらい御坂が可愛かったのだから仕方がない。
御坂は上条が見たこともない柔らかい笑顔を作ると、ガシッと両腕で上条の首をつかんだ。美琴の顔が近い。吐息の温かさを感じるほどに。
「ねぇ、当麻。来週の土曜日…」
美琴の顔が赤い。というかめちゃくちゃ可愛い。やべぇ。俺どうかなっちまいそうだ。
小さい声で、そっと呟いた。
「いっぱいエッチしよ?」
チュッ
「じゃーねー、当麻ー。後で連絡するからー」
大きく手を振りながら去っていく御坂美琴。反射的に手をふる上条。
上条当麻はどうかなってしまった。
大きく手を振りながら去っていく御坂美琴。反射的に手をふる上条。
上条当麻はどうかなってしまった。