第一章 それぞれの出会い
すっかり暗くなった学園都市第七学区の通りを歩きながら、平凡な高校生上条当麻は困っていた
「イタリアから帰ってきてから家に帰る暇もなく直接入院して、やっと退院できたと思ったらまた問題事か・・・」
上条は肩を落としてため息をつく。そう、上条は能力者達の合同運動会『大覇星祭』の最終日に、『ナンバーズ』でイタリア旅行を引き当て、イタリアでごたごたに巻き込まれた挙げ句大怪我をして、イタリアをまったく満喫できずにとんぼ返りする羽目になったのだ。今は無事に退院して帰路についている所である。
「しっかし連絡の取り方がワンパターンなのはなにか決まりごとでもあるのか?」
そう言いながら上条は手の中の封筒を見る。それは、いつもの病院を出る前にカエル顔の医者から受け取ったものだ。上条はすでに中を確認しており、そこには定規を使ったような字でこう書いてあった。
『禁書目録は借りていく、君は来なくていいからおとなしく家で寝ていろ。 ステイル=マグヌス』
ちなみに禁書目録とは、上条の家に居候している銀髪大食らいシスターのことで名前をインデックス(自称)と言う。ステイルは禁書目録と同じ組織『必要悪の協会(ネセサリウス)』に属している、『同僚』である。これだけなら何かの報告やちょっとした用事のように思えるのだが、夜とはいえ人通りがまったくない通りの静けさや、時々見かける警備員(アンチスキル)などが何かあることを明言している。
「来なくていいってもなあ・・・」
上条は封筒を持っていない自分の右手を見つめる。そこには『異能の力』なら神様の奇跡(システム)ですら殺すことができる力が宿っている。しかし、上条当麻はいたって平凡な高校生であり、右手の能力(チカラ)も手首から先までしかない。
「素人が首を突っ込む事じゃないってことなんだろうけど・・・」
頭ではわかっている、上条当麻は持ち前の『不幸』により何度もそのような事件に巻き込まれているしかし、熱血少年な性格の上条当麻は事件に自分から突っ込み、その右手で何とかしてきたのだ今度もなんとかなると思ってるわけではないが、
「やっぱり放ってはおけないよな」
上条当麻は立ち止まり、拳を固めて決意を新たにする。
すると、
「ごぶぁ!?」
立ち止まった位置が悪かったのか、いきなり路地裏から飛び出してきた影に体当たりを食らう
「誰だ誰ですか誰なんですか!人がシリアスな展開をしてる時に!」
言いながら自分に体当たりをかました影を見ると、黒い長髪と赤と白の巫女服が見えた
(あれ?この服装は・・・)
「姫神、か?」
その声に反応したのか、黒髪の頭がゆっくりとあがる。
「上条君?」
上がって来た顔はまぎれもなく上条のクラスメイトの姫神秋沙であった。
すっかり暗くなった学園都市第七学区の通りを歩きながら、平凡な高校生上条当麻は困っていた
「イタリアから帰ってきてから家に帰る暇もなく直接入院して、やっと退院できたと思ったらまた問題事か・・・」
上条は肩を落としてため息をつく。そう、上条は能力者達の合同運動会『大覇星祭』の最終日に、『ナンバーズ』でイタリア旅行を引き当て、イタリアでごたごたに巻き込まれた挙げ句大怪我をして、イタリアをまったく満喫できずにとんぼ返りする羽目になったのだ。今は無事に退院して帰路についている所である。
「しっかし連絡の取り方がワンパターンなのはなにか決まりごとでもあるのか?」
そう言いながら上条は手の中の封筒を見る。それは、いつもの病院を出る前にカエル顔の医者から受け取ったものだ。上条はすでに中を確認しており、そこには定規を使ったような字でこう書いてあった。
『禁書目録は借りていく、君は来なくていいからおとなしく家で寝ていろ。 ステイル=マグヌス』
ちなみに禁書目録とは、上条の家に居候している銀髪大食らいシスターのことで名前をインデックス(自称)と言う。ステイルは禁書目録と同じ組織『必要悪の協会(ネセサリウス)』に属している、『同僚』である。これだけなら何かの報告やちょっとした用事のように思えるのだが、夜とはいえ人通りがまったくない通りの静けさや、時々見かける警備員(アンチスキル)などが何かあることを明言している。
「来なくていいってもなあ・・・」
上条は封筒を持っていない自分の右手を見つめる。そこには『異能の力』なら神様の奇跡(システム)ですら殺すことができる力が宿っている。しかし、上条当麻はいたって平凡な高校生であり、右手の能力(チカラ)も手首から先までしかない。
「素人が首を突っ込む事じゃないってことなんだろうけど・・・」
頭ではわかっている、上条当麻は持ち前の『不幸』により何度もそのような事件に巻き込まれているしかし、熱血少年な性格の上条当麻は事件に自分から突っ込み、その右手で何とかしてきたのだ今度もなんとかなると思ってるわけではないが、
「やっぱり放ってはおけないよな」
上条当麻は立ち止まり、拳を固めて決意を新たにする。
すると、
「ごぶぁ!?」
立ち止まった位置が悪かったのか、いきなり路地裏から飛び出してきた影に体当たりを食らう
「誰だ誰ですか誰なんですか!人がシリアスな展開をしてる時に!」
言いながら自分に体当たりをかました影を見ると、黒い長髪と赤と白の巫女服が見えた
(あれ?この服装は・・・)
「姫神、か?」
その声に反応したのか、黒髪の頭がゆっくりとあがる。
「上条君?」
上がって来た顔はまぎれもなく上条のクラスメイトの姫神秋沙であった。
姫神はゆっくり立ち上がって袴を手ではたく
「そーいやその服装見るのも久しぶりだな。」
上条は起き上がりながら唐突にそんなことを言う。
「これは私服みたいなもの。学校以外では。この服装」
「そ、そうなのか・・・」
巫女服が私服なんて変わっているなと思ったが、身近に修道服を私服にしているシスターが居るので、何も言わないことにした
「そーいや何で裏路地なんて走ってたんだ?」
上条はふと思い出し、聞いてみる。姫神はそれを聞くと少し俯いて、
「追われて。逃げていた」
それだけをぽつりと言った。
「追われてるって、まさか魔術師か!?」
上条はさっきの手紙を思い出し、推測してみる。
「たぶん。私は見てないから。わからないけど」
「見てない?」
「そーいやその服装見るのも久しぶりだな。」
上条は起き上がりながら唐突にそんなことを言う。
「これは私服みたいなもの。学校以外では。この服装」
「そ、そうなのか・・・」
巫女服が私服なんて変わっているなと思ったが、身近に修道服を私服にしているシスターが居るので、何も言わないことにした
「そーいや何で裏路地なんて走ってたんだ?」
上条はふと思い出し、聞いてみる。姫神はそれを聞くと少し俯いて、
「追われて。逃げていた」
それだけをぽつりと言った。
「追われてるって、まさか魔術師か!?」
上条はさっきの手紙を思い出し、推測してみる。
「たぶん。私は見てないから。わからないけど」
「見てない?」
「・・・小萌先生が。引きつけて。逃がしてくれたから」
「な・・・!?」
姫神は俯いたまま言う。
「晩御飯の片付けをしていたら。チャイムが鳴ったの。小萌先生が出たけど。いきなり小萌先生が騒ぎだして。私に『逃げて』って」
上条は何も言わずにただ聞いている。
「いきなりの事でよくわからなかった。でも小萌先生の声は必死だった。だから訳もわからず窓から逃げた。窓から出た時に聞こえたの。
『魔術師なんて変な人に姫神ちゃんは渡せません!』って。だから小萌先生をこれ以上巻き込まないように逃げてきた。今じゃ言い訳にしかならないけど」
姫神は懺悔をでもするように弱々しく言う。姫神は小萌先生をその場に残して逃げた。狙われているのが自分なら、その場に残るより離れたほうが注意がこちらに向くと思ったのだろう。
姫神も、小萌先生を残して逃げたくはなかっただろう。その決断が姫神の心を責め立てるのだ。
(小萌先生のことも気になるけど、姫神が狙われてるならこのままにするわけにもいかないしな、とりあえず姫神を安全な場所へ移すか?
でも部屋にインデックスはいないし、ステイル(あいつ)がいる場所もわかんねえしな・・・)
上条はガシガシと頭を掻く。
(他に頼りになりそうなのは・・・・・・あー、いるにはいるけど部屋に居るかどうか・・・)
上条が頼りになりそうな知り合いを思い出し、とりあえずそこへ姫神を連れていこうと決心した。
「なあ、姫神・・・」
「カミやーん!」
(ん?この声は・・・)
姫神は俯いたまま言う。
「晩御飯の片付けをしていたら。チャイムが鳴ったの。小萌先生が出たけど。いきなり小萌先生が騒ぎだして。私に『逃げて』って」
上条は何も言わずにただ聞いている。
「いきなりの事でよくわからなかった。でも小萌先生の声は必死だった。だから訳もわからず窓から逃げた。窓から出た時に聞こえたの。
『魔術師なんて変な人に姫神ちゃんは渡せません!』って。だから小萌先生をこれ以上巻き込まないように逃げてきた。今じゃ言い訳にしかならないけど」
姫神は懺悔をでもするように弱々しく言う。姫神は小萌先生をその場に残して逃げた。狙われているのが自分なら、その場に残るより離れたほうが注意がこちらに向くと思ったのだろう。
姫神も、小萌先生を残して逃げたくはなかっただろう。その決断が姫神の心を責め立てるのだ。
(小萌先生のことも気になるけど、姫神が狙われてるならこのままにするわけにもいかないしな、とりあえず姫神を安全な場所へ移すか?
でも部屋にインデックスはいないし、ステイル(あいつ)がいる場所もわかんねえしな・・・)
上条はガシガシと頭を掻く。
(他に頼りになりそうなのは・・・・・・あー、いるにはいるけど部屋に居るかどうか・・・)
上条が頼りになりそうな知り合いを思い出し、とりあえずそこへ姫神を連れていこうと決心した。
「なあ、姫神・・・」
「カミやーん!」
(ん?この声は・・・)