とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

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学園都市第七学区。
高級住宅街にあるマンションの一室。朝食の用意や新聞を読むために上条家の家は早い。
その家主たる高校生、上条当麻はすでに起床していた。
いつもなら彼は台所で朝食の用意に励んでいるのだが、今日は、

ベッドの上で正座していた。

目の前には居候の銀髪碧眼少女、インデックスがいた。
とても怒っていらっしゃる。額に青筋が数本浮き出ている。その容姿はまさに阿修羅と呼ぶべきなのだろうか。
「とうま、わたしは別に短ぱ…美琴ちゃんと付き合ってるのは知ってるから全然怒っていないんだよ?」
じゃあその表情は何なのか。とツッコミたい上条だったがそれは押しとどめた。言ったら状況が悪化することは目に見えている。だからここはひたすら謝るしかないのだ。父、刀夜から受け継がれた天然女誑しの遺伝子が切に訴えている。
「…すいません」
「とうま、だけど美琴ちゃんは中学生なんだよ?」
「……スイマセン」
「中学生、なんだよ?」
「………………スイマ」
ガジリ。


(二日目)7時11分
上条当麻は第七学区の大通りを歩いていた。土御門からの連絡もなく、解決の糸口すら見つからないのでとりあえず長点上機学園を目指して登校していた。
というより部屋からインデックスに追い出されたのだ。
「うぐっ、えぐっ、ひぐっ、不幸だー」
頭が痛い。とてつもなく痛い。
昨日といい今朝といいインデックスは終始不機嫌だった。
現状から察するに上条当麻は御坂美琴と深い関係を持ってるらしい。
『今』の上条当麻にとってそんな関係はないし、覚えもない。
仕方なくインデックスのお怒りを真正面から受けたのだがそれが酷かった。
朝から頭をかまれ続け、朝食は抜き。なのに食器を洗わせられるという始末。これを不幸と言わずに何と言うか。


「これ食べる?当麻」
「あ、ありがとう。美、美、美琴」
上条がマンションの玄関をくぐると、カップルのお約束のように待っていた冬服姿の常盤台中学生の彼女。
携帯食品を手渡してきた彼女を見て、まるで幸運の女神が舞い降りたと錯覚した上条だったが、その彼女こそ今回の主たる原因なのである。
そんな複雑な感情を渦ませながら、手渡された食べ物を有難く頂戴していると、
「ん?どうしたの」
と上条の顔を怪訝そうな顔で覗き込んできた。。
大きく胸を高鳴らせる上条。整った容姿を直に見るだけでも驚くのに、さらには香水らしき甘い匂いすら漂ってくる。
「っ、何でもない!」
「…当麻。また裏で厄介な争いごとに巻き込まれてない?」
「い、いやそんなことないよ」
「巻き込まれてんのね…」
「何故そこでアッサリとスルーしますか?」
「分かりやすいのよ当麻は。顔に出てるじゃない」
頬を少し膨らませながら彼女は言った。そんな些細な表情すらとても可愛い。
どう言い訳をしようか、などと頬を掻きながら彼女から目をそらしていると、
いきなりネクタイをひぱっられた。
彼女の顔が急接近する。
「って、うおっ!」
吐息が上条の顔に当たる。肌寒い季節なので、吐息の暖かさが余計に伝わる。
「…私じゃ力になれない?」
「そ、そんなわけ…」

「私じゃ…ダメ?」

その言葉に上条は押し黙った。
上目遣いで上条の顔を見上げる彼女。その顔には「当麻が心配なの」と書いてあるように見えた。間近で見るとますます可愛かった。肌は白く、とても綺麗だ。その強い瞳も、風に靡く茶色の長髪も。
「当麻…」
「――――――っ」
そう言われたとき、上条はそっと彼女の顎を持ち上げた。何をしなければならないか。
そんなことは言わなくとも分かってしまう。
こんな可愛い彼女が求めているのは一つ。
潤んだ瞳。潤んだ唇。
その唇に吸い込まれるように、そっと口を近づけていき――――――――

「何やってんのよアンタたち!!」

その声の方に目を向けると、
御坂美琴がいた。


「へっ?み、みみみ美琴??」
え?だって御坂は今俺の目の前に…
「……ったく、空気の読めないお姉様(オリジナル)の登場にミサカは舌打ちします」
腰まである茶色いロングヘアーに、上条よりも十センチほど低い背丈。ベージュ色のブレザーに紺色のプリーツスカートを穿いている。上条の目の前にいる彼女はそう呟いた。
「ええええええっ!?御坂妹!?」
「うふ、気づかなかったのですか当麻さん?とミサカは隠し笑いを禁じえずお姉様(オリジナル)の代わりに罰を与えようと思います」
「は?」


ちゅっ


「…アンタって奴はわああああああああァ!そんなに『妹』が好きなのかああああ!!」
ズドオオオン!
清々しい青空の下で、10億ボルトを超える雷が落ちた。
周囲の通行人から悲鳴が聞こえる。
「ちょ、おま、おまっ、お前殺す気か――?!死ぬぞ普通!!」
御坂妹にキスされたことに呆ける暇もなく、体制を崩した。
「殺す気よ!てか当麻の何処がフツウなのよっ!…って何時までくっついてんのよアンタは!」
ビシッ!と御坂妹を指さした。
指された当人は転がった上条の肩を担いで立ち上がるのを手伝っていた。
「大丈夫ですか。当麻さん」
「ああ、ありがとな。……本当に妹、なのか?」
と、その手助けに礼を言いながら立ち上がる上条。
「はいっ、貴方の大好きなミサカです、とミサカは頬を染めながら答えます」
機械のようなポーカーフェイスのイメージしかない上条。しかし、そんな彼女の不意打ちともいえる微笑みに胸が高鳴ってしまった彼を誰が責められようか。

「っ!!こンのっ!私を無視してんじゃないわよ――――――――――――――――――!!」

ズドン!ズドン!ズドドドン!!
立て続けに上条に落雷した。一発でもまともに当たれば死に至る雷だ。
「無駄なことです、とミサカはお姉様(オリジナル)が勝敗の分かりきった勝負に挑戦していることに首を傾げます」
「…そんな勝負を吹っかけさせたのはアンタだって分かってんの?」
人が殺せそうなほど殺気をこめた低い声で御坂美琴は話しかけてきた。頭上では青白い電流が舞っている。しかし、御坂妹はそんな彼女に臆することもなく平然とした態度だった。
それどころか、
「ミサカに少しくらい当麻さんの愛を分けてくれたって良いではないですか、とミサカはお姉様(オリジナル)の心の狭さに落胆します」
などと御坂美琴の神経を逆撫でするような言葉を言い放った。
「っ!!私は寛大よ!こいつがそこらへんで女を引っ掛けたって全然目くじらなんてたてないんだから!そんなことでイチイチ怒ってたらこいつと付き合えないわよ!」
「…私は当麻さんが他の女性と関係を持っても気にしません、とミサカは貴女よりも寛大な心の広さをアピールしつつお姉様(オリジナル)よりも2センチ大きい胸を当麻さんに押し当てます」
ムニュ、と柔らかい感触が左腕を通して伝わってくる。
悲しいことに、上条当麻は健全な高校生だ。
「わ・た・し・が気にすんのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
「ちょ、ちょっと美琴さーん!?もうビリビリはやめてー!!」


五分ほど当麻に電撃を浴びせ続け、ようやく気分が収まったらしく膝に手を置いて肩で息をしていた。
快晴な空なのに何故か周辺の上空には暗雲が立ち込めている。また雷の衝撃波で砂埃が舞っている。周囲にいた人だかりも直径100メートル以内には誰もいないが、その端から野次馬が出来つつあった。
「はぁ、はぁ…、当麻ーぁ。その耐久力は、くぅ、は、反則よっ!!」
「…耳が、いたい」
「…流石の私も耳がいたいです、とミサカは苦言をお姉様(オリジナル)に不満を露にして告げます」
雷は音速を超える衝撃波、すなわち雷鳴を引き起こす。間近で数回の落雷を浴びていれば鼓膜もただでは済まない。
「…ですが、お姉様の攻撃から助けて下さってありがとうございます。と、ミサカは感謝の意を行動で示します」
「え?何?ちょっと聞こえな…」

ちゅぅ

とまたもや上条の唇は奪われた。
御坂美琴の目の前で。
「っっっッ!!アンタってやつはあああああああああああ!!!!」
「っ、ぷはぁ…。って、みさ、みさかっ、いやっ、美琴!!これはみさ、みさかがっ」
「一体どちらを指しているのですか?とミサカは呂律の回っていない貴方に無垢な顔で尋ねてみます」
御坂妹は上条の制服の袖を両手でつかんで離さない。すぐ近くでは美琴の電撃が今にも放たれようとしている。
何気ない登校時に起きた絶体絶命のdieピンチ♪
この窮地を打破する策を上条は閃いた。

美琴との距離は10メートル足らず。
上条は御坂妹を左手で抱えると、美琴に向かって一直線に走り出した。
「なっ!?」
上条の行動に美琴は体を振るわせた。左腕で担がれた御坂妹は目を丸くしている。
その一瞬をついて、美琴との距離を詰めた。

上条は美琴を右腕で抱きしめた。

「ひぁあっ!?」
思わぬ行動に美琴は声を上げる。
『右手』で美琴の肩を掴み、胸に抱き寄せた。
御坂美琴の体中に帯電していた電気が嘘のように消えた。
「ああああの、ちょっと、と、当麻?」
美琴が離れないように上条は強く抱き寄せた。
こうすれば美琴は電撃を使えない。
「ちょっと、離してよ!」
というが抵抗は弱い。

「いやだ。ずっとこうしてる」

「えっ?」
思わず声をもらした美琴は顔を上げて、みるみる顔を真っ赤にしていく。
数センチの差で、上条と美琴は目が合った。
美琴の瞳は少しばかり潤んでいた。逆立っていた髪もサラサラとした長髪に戻っている。
その心地よさが右腕を通して伝わってくる。美琴の綺麗な顔立ちを見ていると、上条はまたもやドキッとした。
「ったく、少しは落ち着けよ」
その事を悟られないために、上条は平常な声で言った。
「っ!落ち着いていられるワケないじゃない!アンタが他の女とっ!」
「分かってる分かってる!これは全面的に俺が悪い!だから……すまねぇ」
「そ、そうよ!アンタがいつも他の女と、いつも、いーっつも…」

美琴の頬に涙がつたった。

「えっ!み、美琴っ!?」
女を泣かせる男は最低だ、と両親から言われ続けていた。だから上条はとてつもなく焦っっていた。
「お、おおお落ち着け!み、美琴。ホンっトにごめん!ゴメンナサイ!」
至近距離で叫んでしまったために唾が美琴の顔に飛んでしまった。しかし美琴はそれを拭おうともせず、じっと上条を見つめた。
そんな彼女の涙で濡れて輝く瞳や、白く綺麗な素肌や整った顔立ちを一言で言うと、
めちゃくちゃ可愛い。

「じゃあ、安心させてよ」

そう言って、美琴はゆっくりと目を閉じた。
上条は思った。こんな可愛い子が自分の彼女なのか。自分のせいでいつも彼女に不安な思いをさせているのか。もし目の前に『未来の自分』がいたら思い切りぶん殴ってやりたい。
そんなことを思いながら、『未来の自分』に怒りを覚えながらも「すまない」と心の中で告げて、そっと彼女の唇を――――――


「姉妹セットで御購入ですかコノヤロウ、とミサカは予想外の展開に驚きを隠せません」


瞬間、上条は御坂美琴から渾身のアッパーを喰らった。


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