とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 2-770

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 それは冬休みも近づいたある日の何気ない放課後の一幕。
「あれ?それって昨日まで見てたのとは違うページね」
「うん。いつもの所の掲示板で話題になっていたから」
 夕日の差し込む図書室で吹寄制理が話しかけたのは純和風黒髪クラスメイトの姫神秋沙。
 二学期になってから転校してきた生徒なのだが、今では違和感なくクラスへと溶け込み吹寄と行動する機会の多い少女である。
 対する吹寄はと言うと、高校生らしからぬスタイルの持ち主であることもさることながら、ある特定の(、、、、、)男子生徒に対する耐性の高さからクラスでも一目置かれていることから二人は校内でもかなりの注目を集めるコンビになっている(本人たちにその自覚はあまりないのだが)。
 特に二人がよく目撃されるのはこの図書室内のインターネットコーナーだ。
 通販が趣味の吹寄は新たなグッズを求めて、姫神はこの科学バンザイの学園都市に住む人間らしくない(、、、、、)趣味のために頻繁にネットを利用しているからだ。
「どれどれ?……今日のはまたずいぶんとコアな所ね……」
「そうかな?」
 何気なく覗き込んだ吹寄はそのホームページに顔をしかめた。
 が、それを見ている張本人の姫神はほとんど表情を動かすことなく答え、そのまま真剣な目つきでそこに書いてあるものを読んでいく。
「人の趣味をどうこう言うつもりもないけれど、見ていて面白いの?そんなオカルト関連のページなんて」
 やや遠慮がちに、それでも若干のあきれた口調で吹寄は告げる。
 そう、これこそが姫神秋沙という少女の学園都市らしくない趣味。
 時間割に超能力開発が組み込まれており、総数二三〇万人の超能力者が存在する都市の人間からは最も遠いと認識されている存在。
 すなわち、魔術や神秘といったオカルト系のページを巡ることをこの見た目おっとりの少女は好んでいるのである。
 そりゃ、女の子なら科学では説明できないおまじないというものに興味を持つのもわからないでもないが、ここまで熱中してしまうのはいかがなものかと思ってしまうのだ。
「うん。見ているだけでも結構楽しいものだよ。例え使えないとわかっていても(、、、、、、、、、、、、、、)」
 その言葉に吹寄は「そんなものかしらね」と軽く流す。
 だから彼女は気づかなかった。
 真剣にオカルトページを見つめる少女の口調に、どこか諦観じみたものがあったことに。
(そう。私たちには使えないものだから……)
 そう思いながら、姫神は手元のマウスを操作してあるアイコンをクリックする。
 そこにはこう書かれていた。
『おまじない・都市伝説編』と。


 帰ってくるなり飛び込んできたのは、やたらうるさく鳴り続ける電話の音と、その電話を前にオロオロとする同居人の姿というなんともシュールな光景だった。
「……で、いまだに電話の扱い方がわからない、と」
 半ば以上諦めた表情でため息を吐き出すのは上条当麻。
 この学園都市の能力開発でも一切の超能力が芽生えなかったという無能力の烙印を押された男子学生である。
 上条は電話を取ると、何か言おうと口を開きかけた同居人――純白のシスター服に身を包んだ少女インデックスを手で制しながら受話器の声に耳を傾ける。
「あ~もしもし、上条ですけど」
『おお、やっとでたか。もしかして留守なんじゃないかと思ったぞ』
 電話口から聞こえてきたのはどう聞いても自分の父親、上条刀夜の声だった。
「何だ、父さんか。どうしたんだよいきなり電話なんかかけてきて」
 そう言いながらも内心胸を撫で下ろす。
 もしもインデックスが電話に出ていたら今の自分の現状が両親に発覚してしまっていたところだったのだから。
『ああ、そのことなんだがな。お前、詠子ちゃんのことは覚えているか?』
「え……、誰だっけ?」
『おいおい、いくら幼稚園のときにあったきりだからって幼馴染の名前を忘れるのはちょっと酷いんじゃないのか?』
「あー、あ、そうそう、幼馴染、オサナナジミね。はいはい思い出したヨ。ソレガドウカシマシタカ」
『本当に思い出したのか……?まったく、相手はせっかく何年か振りにお前に会いたいって電話をくれたのに』
「ははははは……って、はい!?」
 突然の展開に上条の頭は処理能力の限界を超えてしまったのだが、刀夜はお構い無しに会話を続ける。
『もうすぐそっちも冬休みに入るだろ?それに合わせて学園都市見学もしたいって頼まれてな。試しに申請してみたら意外とあっさりオーケーもらえたんだよ』
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待てよ、そいつ学園都市に入ってくんのか!?」
『そうだ。冬休みの初日に着くって話だから、しっかりと案内してやれよ』
「案内しろって、そんないきなり……って、照れてんじゃねぇよ!あんまり急だからに決まってって……おい、ハハハじゃねぇよ切るなってモシモシ、モシモーシ!!」
 単調な電子音しか聞こえてこない受話器に悪態をつくと、苛立ち紛れに受話器を置いた。
「冗談じゃねぇぞ……よりにもよって幼馴染来訪イベントだなんて……」
 頭を抱えながら、どうしたものかと考えを巡らせる。
 現在の上条はとある事情により、夏休み以前の記憶を失っている上にそのことを両親にさえ隠している状態だ。
 そんなときに幼馴染と会うなど、自分の記憶喪失がばれてしまうこととイコールといってもいい。
「とうま」
(とにかく、何とかごまかすしかないのかよ……チックショウ、ま~た不幸な予感がしてきましたよ)
「とうま」
(とにかくさしあたってはその『詠子』ってのが誰なのかをしっとかなくちゃな……今夜あたりにでももう一度実家に電話でもして……)
「とうまってば!!」
 突然袖を引っ張られたことにより、上条はようやく自分が呼ばれている事に気づいた。
「あ、何だよインデックス……さん……」
 振り向いた先には、今にも怒りゲージを振り切りそうな表情のシスターがいた。
「さっきっから私のこと無視して百面相してたのもそうなんだけど、それは置いといて誰なの?詠子って。また女の人?」
「あ、聞こえてたのかよってなぜにアナタハそんなにも歯をクイシバッテイルノデスカお、落ち着けインデックス、まずは、まずはゆっくりと話をし……」


 数秒後、男子寮が立ち並ぶ一角に絶叫が木霊した。





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