とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 5-16

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匿名ユーザー

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―――僕はいま、自分の遺影に向けて黙祷を捧げている
奇妙な話だ、僕は間違いなく生きているのに、遺影があるなんて、本来はありえない話だ
だけど、これは間違いなく遺影だった
記憶喪失
なにが原因なのか僕は知ろうとはしなかったが、結果として、この遺影の中にいる『上条当麻』は、思い出のすべてを失った
そのことを理解したとき、僕が感じたのは底なしの恐怖だった
そりゃそうだ、経験と呼べるものをすべて失ったのに、喪失感を感じない自分、肉体も知識も上条当麻なのに、僕という人格は
それを受け入れることができない
どうにかなりそうだった、自分が何者かわからなくて、『上条当麻』という『役割』に縋りそうにもなった
そんな僕が、今は僕として『上条当麻』を悼んでいる、奇妙な気分だ
黙祷を終え、朝食を済ます、待ち合わせまでの余った時間で、僕は僕の思い出を描き出してみることにする―――



  『とある少年の命日』



『憂鬱』今の状態を簡潔に表わすと、そうなる
はあ、と、溜息を吐く、こんなに気分が重いのには、理由がある、両親が来るのだ
それだけなら大したことではないかもしれないが、こっちには会いたくない訳がある
なぜなら僕こと上条当麻は記憶喪失だからだ、もちろん両親の顔も思い出せない
しかもそこらへんの事情はまだ両親に伝わっていない(カエルのような顔をした医者が直接伝えることになっているらしい)
ので、気まずくなることは目に見えている、そんな事情もあり、このところ溜息ばかりだ
だからってこんなことを相談できる友人もいない、だから、まあ、無断で病院を抜け出しても仕方ない状況だろうと思う
それでこの憂鬱な気分が晴れるなら、ぜひそうするべきだ、とも思う、だから僕は病院を抜け出して―――
―――何故か、女子中学生に追いかけまわされていた


………なんで?


走り回って電撃を避けながら考える、原因はなんだ?僕か?僕が悪いのか?確かに偶然とはいえスカートの中身を覗いて
しまったのは事実だが、それはそもそも彼女が自販機に向けてハイキックを放ったがゆえの事故であり、こんな、少なく
見積もっても失神は免れないレヴェルの電撃を放たれる謂れはないはずだが、最近の中学生はみなこんなに貞操観念が高いの
だろうか?
そんなことを考えながら走っていたからだろうか、道端に捨てられていた空きカンをふんづけて派手に転んでしまった
幸いにも受け身はとったので怪我はなかったが、そんなことを喜ぶ気分にはとてもならなかった、いつのまにか電撃は止み、
少女は歩いて僕に近づいてくる、ずーっとおいかっけこでまともに顔も見れなかったから気づかなかったが、意外に可愛らしい
少女だったが、全身が帯電しているせいで、まるで浮ついた気分にはならなかった、明らかにまだ怒ってるよこの人
とにかく、もう逃げる選択肢はなくなったので、あとは話し合いしかないだろう、けどなんて言おうえーっとえーっととりあえず
「…み、みてないよ?」
「嘘つけぇ!」
言葉と同時に放たれた電撃を無意識に差し出した右手で受け止める、なぜか痛みは無く、右手に触れた瞬間、電撃は消滅する
それを見ていた少女は顔をさらに怒りに染め、叫ぶ
「だーっ!一体全体なんなのよその右手はっ!理不尽すぎんでしょうが!こっちの電撃を問答無用で何度も何度も消し去って、
マジでなんなのよアンタの右手!いっつもいっつもスルーしてるけど、いい加減答えなさいよっ!」
うーうー唸ってこっちを威嚇する少女、おっかないけどちょっとかわいい
しかし、答えろ、と言われても知っていることはたかが知れているけど、なにか喋らないとまた爆発しそうなので、右手に関する
知識を披露してみる、自分でもよくわかってないけど
「幻想殺し、って言うらしい、まあ詳しいことはわからないけど、なんでも、あらゆる異能を殺す力が、この右手にはある、らしい」
僕が素直に質問に答えたのが意外だったのか、怒りを納め怪訝そうな顔をしてこっちを見つめる少女、なにか納得いかないと
いった調子で質問してくる
「アンタって、そんな素直に質問に答えるようなキャラだっけ?まあいいけど、右手にはって言ってたけど、なんで右手だけなの?
結構興味あったから詳しいこと聞きたいんだけど」
さっきとは打って変わって興味津津といった表情で質問してくる少女、怒ったり疑ったり興味を持ったりと実に忙しく表情を変える
子だ、そもそも何で追いかけまわされていたのかわからなくなるぐらいだ
けど、まあ、詳しくと言われても
「僕もわからない」
わけで
「ハァ?なんでよ?」
自分のことでしょ?と尋ねられても
「記憶喪失なもんで」
としか、答えられないし、さ

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