「白井、風邪引いてるのか」
「くっ……よりによってあなたに目撃されるとは思いませんでしたわ」
「御坂は知ってるのかよ」
「すでにお気づきになられていると思いますの。ですから余計なことは言わないでくださいな」
「ホント辛いなら休んだ方がいいぞ。どれ……」
上条の右手が自然に動いて、白井の額に触れた。
(何を……)
なさるつもりですの、と口にしようとして止まる。
やや硬いと感じる掌は、白井や美琴よりも大きい。
一度だけ。
一度だけだが、白井はこの右手に命を救われている。
そしてその右手は傷だらけだった。手だけではない。腕全体に、所々に傷がある。
ぱっと見ただけでも喧嘩の類で負うような傷には見えない。
刃物かワイヤーでズタズタに切られたのではないかと思われる傷。火傷らしき跡もある。
『どうして』
『何のために』
(……と尋ねるのは愚問ですわね)
自然にそう思える相手でもある、と白井は理解している。
(この方も殿方……。ですが、この殿方なら…私への気遣いぐらい、許しても良いのかもしれませんわ)
『異性』ではあるが。
それとも『異性』だから、なのだろうか。
そんな白井の思いなど無関係に時間は常に流れる。
額に触れた少年の手が、白井の前髪がすっと押し上げる。
(だから何をなさ……)
少年が顔を近づけてきた。
「!?」
そして少年の――額がそっと押し当てられた。
「うわ、結構熱あるな」
白井の目の前に少年の顔がある。
その瞳の中に白井の顔が映っている。
その表情は―――
「くっ……よりによってあなたに目撃されるとは思いませんでしたわ」
「御坂は知ってるのかよ」
「すでにお気づきになられていると思いますの。ですから余計なことは言わないでくださいな」
「ホント辛いなら休んだ方がいいぞ。どれ……」
上条の右手が自然に動いて、白井の額に触れた。
(何を……)
なさるつもりですの、と口にしようとして止まる。
やや硬いと感じる掌は、白井や美琴よりも大きい。
一度だけ。
一度だけだが、白井はこの右手に命を救われている。
そしてその右手は傷だらけだった。手だけではない。腕全体に、所々に傷がある。
ぱっと見ただけでも喧嘩の類で負うような傷には見えない。
刃物かワイヤーでズタズタに切られたのではないかと思われる傷。火傷らしき跡もある。
『どうして』
『何のために』
(……と尋ねるのは愚問ですわね)
自然にそう思える相手でもある、と白井は理解している。
(この方も殿方……。ですが、この殿方なら…私への気遣いぐらい、許しても良いのかもしれませんわ)
『異性』ではあるが。
それとも『異性』だから、なのだろうか。
そんな白井の思いなど無関係に時間は常に流れる。
額に触れた少年の手が、白井の前髪がすっと押し上げる。
(だから何をなさ……)
少年が顔を近づけてきた。
「!?」
そして少年の――額がそっと押し当てられた。
「うわ、結構熱あるな」
白井の目の前に少年の顔がある。
その瞳の中に白井の顔が映っている。
その表情は―――
上条が額を離すと、白井は顔を背ける。
「で、ですが風紀委員の仕事が忙しいので。最近は能力者絡みの事件が増える一方ですし」
「そうなのか?」
「むしろ、あなたがその原因の一端ではないかと疑っているんですの」
「うう……そう言われると心当たりがなくもないようですが上条さんは悪いことはしてませんよ?」
「誤解を招くような行動力に関しては、お姉様と良い勝負だと思いますわ……」
「で、ですが風紀委員の仕事が忙しいので。最近は能力者絡みの事件が増える一方ですし」
「そうなのか?」
「むしろ、あなたがその原因の一端ではないかと疑っているんですの」
「うう……そう言われると心当たりがなくもないようですが上条さんは悪いことはしてませんよ?」
「誤解を招くような行動力に関しては、お姉様と良い勝負だと思いますわ……」
やっぱり続かない……