『君は君でしかないから』
『よく来てくれた』
「あんたがこの学園都市理事長のアレイスター・クロウリー?」
『そうだ。この私に聞きたいことがあるのだろう?』
「ええ、そうよ。さっそくだけど、聞かせてもらうわ。
一つ目。軍用兵器として、超電磁砲―レールガン―の体細胞クローンを量産する
量産能力者―レディオノイズー計画を立案したのはあんたなの」
『そうだ。そして私が計画を推進した』
「二つ目。絶対能力進化―レベル6シフト―計画のために、
量産能力者の妹達―シスターズ―を使うよう指示したのもあんたなのよね」
『それも私だ』
「三つ目。これが最後の質問よ。
妹達のミサカネットワークから切り離された00000号―フルチューニング―はどこにいるの?」
『天井亜雄という研究者が作った妹達だ』
「妹達の製造計画は二段階に分かれていたそうね。
元々、量産能力者計画は超能力者―レベル5―の完全体を製造することが目的の計画だった。
これが第一段階。
その後、絶対能力者計画の実験素体として妹達を二万人を用意するために、
生産性を高めて大量生産したのが第二段階」
「あんたがこの学園都市理事長のアレイスター・クロウリー?」
『そうだ。この私に聞きたいことがあるのだろう?』
「ええ、そうよ。さっそくだけど、聞かせてもらうわ。
一つ目。軍用兵器として、超電磁砲―レールガン―の体細胞クローンを量産する
量産能力者―レディオノイズー計画を立案したのはあんたなの」
『そうだ。そして私が計画を推進した』
「二つ目。絶対能力進化―レベル6シフト―計画のために、
量産能力者の妹達―シスターズ―を使うよう指示したのもあんたなのよね」
『それも私だ』
「三つ目。これが最後の質問よ。
妹達のミサカネットワークから切り離された00000号―フルチューニング―はどこにいるの?」
『天井亜雄という研究者が作った妹達だ』
「妹達の製造計画は二段階に分かれていたそうね。
元々、量産能力者計画は超能力者―レベル5―の完全体を製造することが目的の計画だった。
これが第一段階。
その後、絶対能力者計画の実験素体として妹達を二万人を用意するために、
生産性を高めて大量生産したのが第二段階」
「実験のために二万人が必要だったこと。
そして、00000号っていうシリアルナンバーが『今も』存在すること。
つまり、00000号は計画初期――本来の量産能力者計画のために製造された妹達のことね。
その初期段階の当時……製造されたのが一人だけなら、
複数じゃないから妹達とは呼ばれていなかったんでしょうね。
前者と後者では、計画に求められる妹達の性能はまったく違う。
後者の計画で造られた妹達も相当な量の投薬をされたんでしょうけど、
オリジナルと同等か、或いはそれ以上の性能を追求したその子はどんな扱いを受けてきたのかしら?
大量の劇薬が使われて、頭の中を弄くり回すなんてこと、当たり前だったんでしょうね」
『それで?』
「その子はどこにいて、何をしているの。隔離しているのかしら?――答えて」
そして、00000号っていうシリアルナンバーが『今も』存在すること。
つまり、00000号は計画初期――本来の量産能力者計画のために製造された妹達のことね。
その初期段階の当時……製造されたのが一人だけなら、
複数じゃないから妹達とは呼ばれていなかったんでしょうね。
前者と後者では、計画に求められる妹達の性能はまったく違う。
後者の計画で造られた妹達も相当な量の投薬をされたんでしょうけど、
オリジナルと同等か、或いはそれ以上の性能を追求したその子はどんな扱いを受けてきたのかしら?
大量の劇薬が使われて、頭の中を弄くり回すなんてこと、当たり前だったんでしょうね」
『それで?』
「その子はどこにいて、何をしているの。隔離しているのかしら?――答えて」
『――隔離などしていない。むしろ自由にさせている。
ネットワークに接続されていないのは、接続していないだけだ』
「だったら会わせて。私の妹に……」
『ふむ。君は勘違いしている』
「……何を」
『量産能力者計画が何故凍結されたか、その理由を知っているか?』
「樹形図の設計者―ツリーダイアグラム―の計算で、クローン体ではオリジナルの1パーセントに
満たない能力しか発現しないって答えが弾き出されたからでしょう?
実際に妹達の能力は異能力者―レベル2―から強能力者―レベル3―程度。
オリジナルに遠く及ばないクローンしか造れないことが分かったから、凍結された」
『その通りだ。だが、クローン体の劣化遺伝子や固体差で、発現する能力の質がオリジナルより
本当に劣るのか?』
「実際にそうなった。正式なカリキュラムを受けていないし、成長促進のために大量の薬物を
使ったんでしょう?いくらでも原因は――」
『では、樹形図の設計者の計算は本当に正しいのか?』
「それは――どういうこと?何が言いたいの」
『君はどうやって超能力者という地位まで上り詰めたか、覚えているかい?』
「それは……自分だけの現実―パーソナルリアリティ―を確立して、知識と経験を積み重ねて、
完全に制御できるようにカリキュラムを受けて――」
『それだけで、本当に低能力者―レベル1―が、超能力者になれると思うかい?』
「……なったわ。私は自分の力で超能力者になった!」
『結果だけを言えば、そうかもしれないな。
妹達が発現した能力は、良くても強能力者。君と同じ肉体年齢で、だ。
“本来”なら、オリジナルもその程度しか発現しないはずだったから――とは思わなかったか?』
「私がその限界を超えたって可能性を考慮してないのかしら」
『もう、察しはついているのではないか?
確かに、御坂美琴がDNAマップを提供したときの二つ名は超電磁砲だった。
あの歳で低能力者から強能力者になり、将来も“それなり”に期待されてはいた』
「――――」
『そしてある日、自分の限界が見えた。
結局、努力だけでは超能力者どころか、大能力者にもなれなかった。
だから私は少しばかり手を加えて、可能性を見せた。
私が与えた幻想に、満足してくれているといいのだが』
「――――まさか」
ネットワークに接続されていないのは、接続していないだけだ』
「だったら会わせて。私の妹に……」
『ふむ。君は勘違いしている』
「……何を」
『量産能力者計画が何故凍結されたか、その理由を知っているか?』
「樹形図の設計者―ツリーダイアグラム―の計算で、クローン体ではオリジナルの1パーセントに
満たない能力しか発現しないって答えが弾き出されたからでしょう?
実際に妹達の能力は異能力者―レベル2―から強能力者―レベル3―程度。
オリジナルに遠く及ばないクローンしか造れないことが分かったから、凍結された」
『その通りだ。だが、クローン体の劣化遺伝子や固体差で、発現する能力の質がオリジナルより
本当に劣るのか?』
「実際にそうなった。正式なカリキュラムを受けていないし、成長促進のために大量の薬物を
使ったんでしょう?いくらでも原因は――」
『では、樹形図の設計者の計算は本当に正しいのか?』
「それは――どういうこと?何が言いたいの」
『君はどうやって超能力者という地位まで上り詰めたか、覚えているかい?』
「それは……自分だけの現実―パーソナルリアリティ―を確立して、知識と経験を積み重ねて、
完全に制御できるようにカリキュラムを受けて――」
『それだけで、本当に低能力者―レベル1―が、超能力者になれると思うかい?』
「……なったわ。私は自分の力で超能力者になった!」
『結果だけを言えば、そうかもしれないな。
妹達が発現した能力は、良くても強能力者。君と同じ肉体年齢で、だ。
“本来”なら、オリジナルもその程度しか発現しないはずだったから――とは思わなかったか?』
「私がその限界を超えたって可能性を考慮してないのかしら」
『もう、察しはついているのではないか?
確かに、御坂美琴がDNAマップを提供したときの二つ名は超電磁砲だった。
あの歳で低能力者から強能力者になり、将来も“それなり”に期待されてはいた』
「――――」
『そしてある日、自分の限界が見えた。
結局、努力だけでは超能力者どころか、大能力者にもなれなかった。
だから私は少しばかり手を加えて、可能性を見せた。
私が与えた幻想に、満足してくれているといいのだが』
「――――まさか」
『そうだ。“君”こそが00000号だ。造られた超能力者。最初の“御坂美琴”の複製』
「――――」
『“低能力者が努力を重ねて超能力者になった実例がある”
――という宣伝はとても大きな効果があった。
“カリキュラムをこなせば、超能力者になれるかもしれない”
――そんな幻想を抱いてモルモットが集まってくれた。
おかげで多くのモルモットを確保することができたよ。
君には感謝したいるよ』
「オリジナルは――本物の“御坂美琴”はどこにいるの」
『生きているよ。サンプルとしてしっかりと保存してある』
「そう。それで?オリジナルの“御坂美琴”はどこにいるのかしら」
『先程の質問で終わりなのだろう?それに、私がそれを答えると思っているのか』
「あー、やだ。お約束のパターンね……」
『オリジナルをどうするつもりだ。
確かに、彼女が存在しなければ君は今まで通り“御坂美琴”として生活できるかもしれないが』
「私がその子をどうするかって?愚問ね。――何をするべきかなんて、決まってるじゃない」
『――――』
「私は“御坂美琴”よ。
00000号?クローン?それがどうしたの?
“御坂美琴”は、それぐらいで揺らぐものじゃないのよ。
――あいつは記憶を失っても自分を見失わなかった。
あのとき、私にもそれが分かった。
私も同じよ。
だから、私は――」
『“低能力者が努力を重ねて超能力者になった実例がある”
――という宣伝はとても大きな効果があった。
“カリキュラムをこなせば、超能力者になれるかもしれない”
――そんな幻想を抱いてモルモットが集まってくれた。
おかげで多くのモルモットを確保することができたよ。
君には感謝したいるよ』
「オリジナルは――本物の“御坂美琴”はどこにいるの」
『生きているよ。サンプルとしてしっかりと保存してある』
「そう。それで?オリジナルの“御坂美琴”はどこにいるのかしら」
『先程の質問で終わりなのだろう?それに、私がそれを答えると思っているのか』
「あー、やだ。お約束のパターンね……」
『オリジナルをどうするつもりだ。
確かに、彼女が存在しなければ君は今まで通り“御坂美琴”として生活できるかもしれないが』
「私がその子をどうするかって?愚問ね。――何をするべきかなんて、決まってるじゃない」
『――――』
「私は“御坂美琴”よ。
00000号?クローン?それがどうしたの?
“御坂美琴”は、それぐらいで揺らぐものじゃないのよ。
――あいつは記憶を失っても自分を見失わなかった。
あのとき、私にもそれが分かった。
私も同じよ。
だから、私は――」