とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 5-612

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匿名ユーザー

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第1章 献身的な修道女達の強制的要求 Forced ・cohabitation






「と、言う訳です。理解しやがりましたか?」


…………おかしい。いやちょっと待ってほしい。
学園都市に住むレベル0の平凡な高校生、上条当麻は必死に思考する。
彼の前には黒を基調とした修道服に身を包んだシスター3人が、さも当然のように座っていた。


「やはり理解できませんでしたか?……シスター・アニェーゼ、やはりこの少年の頭脳レベルに合わせて解説するべきなのでは?」
(シ、シスター・ルチア!か、仮にもこれからお世話になる人にその言い方はちょっと……)
(しかしシスター・アンジェレネ、実際に彼は固まったまま動かないじゃないですか)


ヒソヒソ話まる聞こえだぞこの野郎。固まったまま動けないのはあなた達のせいですからね?つーか内容は理解出来たけど何でそういう展開になるんだと激しくツッコミを入れたいんですがOKですか?
と、固まっている割には意外と激しく脳内思考をしている上条だったが、続くアニェーゼの台詞で反射的に口が動き、逆に脳内思考は完全に停止した。


「そーですか、そんじゃ簡潔に……………………私達をここに1~2週間ほど泊めやがれってんです」
「………はぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!???」



なんだかその1~2週間全てが不幸で埋め尽くされそうな気がした。




○月×日・午後3時半



上条の絶叫から、遡ること2時間半前…………



今日の授業が終わり、上条の通う高校の廊下をデルタフォースの3バカトリオ、上条、青髪ピアス、土御門元春は、今日も他愛のない話をしながら帰宅の為に昇降口に急いでいた。


その中でも特に急いでいたのが他でもない上条である。


「今日はDiscountスーパーで冷凍食品の大安売り!!節約学生の第1人者である上条さんとしては行かない訳には参りません!!」
「………どおでもええけど、なんだかカミやん最近ずいぶん所帯じみてきたような…………なんでなん?カミやんが自炊派だってのは知ってるけどそれほど金に困ってる訳でもないやろ?1人暮らしなんやから。…………まさか、どっかの薄幸少女を家に連れ込んでたりすんのん?」


ビックウ!!と肩を震わせる上条。彼は訳あってアパートの自分の部屋に「インデックス」と言う修道女を保護しているのだ。


真っ白な生地に金色の刺繍を施した、ティーカップの様な修道服をきているそのインデックスがとにかく食べる食べる。
ある日の夕食なんか、インデックスが上条さん特製フライ定食(ご飯&サラダ&スープ付き)を上条の分まで平らげ、自分だけ「18秒で出来上がり!学園都市特製、速さ0、1倍、美味さ10倍!!真・カップラーメン・しょうゆ」の時があったほどだ。


そんな訳で家計簿をつけるのは当たり前、少しでも安い物を求め、スーパーを渡り歩くようになった上条は、お目当ての店が少し位遠くても足を運ぶようになっていた。


…………問題はとある事情により、この事実を周りに伝えられないという事だ。(1人暮らしの男の部屋に少女を連れ込んでる時点で話せるものではないのだが)


自分は勿論、インデックスの為にも。


上条がどう言い逃れしようと考えていたその時


「はっは~!夢があるニャー青髪は。朝起きたら「おはようお兄ちゃん?」って微笑んでくれる幼女メイドがいてくれたら最高なんだけどニャー」
「……そうやな~、考えてみたら日々フラグに塗れているカミやんがわざわざ「少女誘拐」なんてする訳あらへんもんな~」
「ブフッ!!?」


「少女誘拐」の所で思わず噴き出した。
もしかしたら自分は何も知らない他人から見たら犯罪に見えかねない事をやっているのではないだろうか?と、上条は少々本気で頭を抱える。


「……せや、よう考えたらカミやんはそーゆー事せんでもええんやないか!おかしない!?そーゆー事に手ぇ出さんでも大満足のフラグパラダイスなんて!!?つーかどっちかっていうと僕がそっちに手ぇ出しちまいそうやもん!!」
「……何だかお前が言うと、妙にリアルに聞こえるぞ…………」
「にゃー……あとで小萌先生に青髪注意報を呼びかけておこうぜぃ……」


同時刻。職員室で職務を全うしていた上条達のクラスの担任、月黄泉小萌は、小学生にしか見えないその小さな体全体で多大なる悪寒を感じとっていた。







上条の絶叫から遡る事18時間30分前・イギリス清教・必要悪の教会・とある公園の一画


「わかりました。そんじゃ、準備がすみしだい出発します」


必要悪の教会の女子寮近くの公園に呼び出されたシスター、アニェーゼ・サンクティスは仕事の説明を受け終わると、資料として渡された紙を手早く折りたたみ、修道服の中にしまう。


彼女、実は生粋のイギリス清教徒ではなく、ローマ正教の250人からなる1部隊を任されていたシスターのリーダー的存在だったのだが、現在はとある2つの事件によりイギリス清教に改宗した(本人はイギリス内にローマ正教支部を作ろうとしているらしいが)元・ローマ正教徒である。


「ああ、本当なら神裂達「天草式」の出番なんだろうけど、こんな術式が発動した以上、天草式は勿論、土御門も役に立たないだろうからね」


一方アニェーゼを呼び出したのはステイル・マグヌスという神父だ。
アニェーゼとは違い、此方は生粋のイギリス清教徒。ルーンカードを使った炎の術式を得意としていて、教皇クラスの術式も使える天才魔術師。


……ただ、神父としては勿論、人としても見本にはならない格好をしていた。


真っ赤に染まったロン毛、両耳にピアス、目の下にバーコード、そして何より超タバコ臭い……と言うか、今も喫煙中だった。


「ニコチンとタールが無い世界の名は地獄」という名言を吐いた事があるほどタバコ好きで、彼の事を知る人はそれを注意しようとしない。なぜか「絶対に」無駄だからだ。
それはもはや「依存」や「中毒」どころの話では無く、彼にとって「酸素=タバコの煙」の方程式が成り立つほどの物だ。


彼からタバコを取り上げた未来は、取り上げた者が確実な燃えカスとなる、もしくは、ステイル自身が廃人になる、の2択だろう。


だからアニェーゼも
(ったくこの喫煙神父が、自重しろってんです)
と思ってはいても口には出さないのだった。


「んで、貴方はいかねぇんですか?」
「ああ、正確には「行けない」かな?状況が状況だし「外」でサポートさせてもらうよ」
「(ふん、ウソつきやがれってんです「ジュッチューハック」禁書目録の世話がしてぇだけでしょ)」


心の中で悪態をつくアニェーゼに


「…………ずいぶん余裕そうだね、ま、仕事を成功さる自信がそれだけあるって言うなら大いに結構だけど」
「……なにがいいてぇんですか?」


ステイルの目が微妙に細まる。
何の質問が来るか分かっているのに、いや、分かっているからこそアニェーゼは聞き返した。


「別に、ただ元・同僚である誰かと殺しあう事になるだろうからさ」
「…………あたしの仕事に甘さがあるってんですか?笑えねぇ冗談です」


そんな言葉を返したアニェーゼに、ステイルは嘲るようにフッ、と笑う。


「そんな事は言ってないよ?ただ「かつて仲間と慕ってくれた者が向ける敵意の視線」に耐えられれば良いね、そう言ってるんだ。まあ、君が嫌いだった人が来ない確率も無いわけじゃないし、出来ればそっちの可能性であることを祈っていてあげるよ」


ステイルはそう言うと、公園に掛けてあった人払いを解除し、自然な足取りで公園の出口へ向かい、人ごみにまぎれていった。


「…………ったく自分の経験を尊重しすぎてんですよ」


公園に一人残されたアニェーゼは、嘲るように、自分の意思を再認識させるように呟く。




「今も、そしてこれからも、あたしに昔はねぇんですよ」

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