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「ちょっ、ちょっと待てよ!学園都市にいないって…………」
「言った通りの意味です。禁書目録は今、学園都市にいねぇんです。危険だから置いとけねえって事ですよ」
「な……………………」
「言った通りの意味です。禁書目録は今、学園都市にいねぇんです。危険だから置いとけねえって事ですよ」
「な……………………」
言葉を失った。
理由は嫌というほど分かっていた。
理由は嫌というほど分かっていた。
インデックスは魔術側の人間。イギリス清教、必要悪の教会のシスターで、完全記憶能力を生かし「禁書目録」10万3千冊の魔道書を脳内に保管している「魔道書図書館」だ。
この魔術と対する科学の街。学園都市に置いておくという事自体が危険だと判断されても不思議では無かった。
この魔術と対する科学の街。学園都市に置いておくという事自体が危険だと判断されても不思議では無かった。
今まで上条とインデックスが共に暮らしてこれた事の方が奇跡なのだ………………だけど
「……………………………………………………………………………………でだよ……」
「は?」
「なんで今になってあいつを連れ戻そうって話になったんだよ!!?」
「は?」
「なんで今になってあいつを連れ戻そうって話になったんだよ!!?」
上条は叫ぶ。奇跡という幻想が消えていくのをただ黙って見ている訳にはいかない。
「……俺は魔術の世界や魔術は勿論、肝心のインデックスの事だって殆ど知らない無知野郎だけど………困った事や苦労した事だってあったし、危険な事に巻き込まれる事なんてもう数えんのもバカバカしい位だ…………だけど…………だけど俺達は今まで一緒に居たんだ!!インデックスに確認取らないでこんな事言うのもなんだけど…………最悪、俺の幻想かもしれねぇけど…………俺「達」の意思で一緒に居たんだよ!!!」
そうだ。現に今までインデックスは上条と一緒にいた。
それ自体が危険である事を知りつつも、この学園都市で、上条の部屋で、時を過ごしてきた。
それ自体が危険である事を知りつつも、この学園都市で、上条の部屋で、時を過ごしてきた。
それは、笑顔を絶やさない彼女が上条に見せてくれた信頼。
だったらそれを、自分が裏切るのは勿論、他の誰かにも断ち切らせるわけにはいかない!!
だったらそれを、自分が裏切るのは勿論、他の誰かにも断ち切らせるわけにはいかない!!
上条は知らず知らずのうちにテーブルの向こうの3人に思いっきり顔を近づけていた。
「だから……!!」
「ちょっ、お、落ち着いてくださいっ!!禁書目録を学園都市の外に連れ出すのは事件を解決するまでです!!」
「ちょっ、お、落ち着いてくださいっ!!禁書目録を学園都市の外に連れ出すのは事件を解決するまでです!!」
……………………………………………………………………………………………え?
「え?……あ…………は?」
「……シスター・アンジェレネの言うとおり。私達は禁書目録を回収、もしくは連れ戻しにきた。とは1言も言っていませんよ?」
「まったく、早とちりもいいとこです。……………それと、ちょっと身を乗り出し過ぎでねぇですか?」
「………………………あ、すみません………」
「……シスター・アンジェレネの言うとおり。私達は禁書目録を回収、もしくは連れ戻しにきた。とは1言も言っていませんよ?」
「まったく、早とちりもいいとこです。……………それと、ちょっと身を乗り出し過ぎでねぇですか?」
「………………………あ、すみません………」
……………………………………え~……と、と言う事は……
ゼンブカミジョウサンノカンチガイ?
ゼンブカミジョウサンノカンチガイ?
(うぎゃァアアア~~~~~!!!!!ハズッ!恥ず!!いま俺すっげぇ恥ずかしいんですけど!!?)
上条は頭を抱え、床をゴロゴロと転がる。途中ベッドの角に足の小指をぶつけ、悶絶しながら転がるという荒業を披露した。
「ふ、不幸だ~~~~~~~!!!」
「……今回はどう見てもあなたの失態の様な気が……………」
「やめて!心と体に瀕死の重傷を負った上条さんを追撃して止めを刺すような真似はしないで~~~~!!」
「はぁ……………………?…シスター・アニェーゼ。先程から俯いたままですがどうかしましたか?少しばかり顔が赤い様な気もしますが」
「い、いえ!何でもねぇです!!……んなことより、さっさと話を戻して、さっさとこのめんどくせぇ説明を終わらせちまいましょう」
「……今回はどう見てもあなたの失態の様な気が……………」
「やめて!心と体に瀕死の重傷を負った上条さんを追撃して止めを刺すような真似はしないで~~~~!!」
「はぁ……………………?…シスター・アニェーゼ。先程から俯いたままですがどうかしましたか?少しばかり顔が赤い様な気もしますが」
「い、いえ!何でもねぇです!!……んなことより、さっさと話を戻して、さっさとこのめんどくせぇ説明を終わらせちまいましょう」
アニェーゼはわざとらしく体制と口調を正すと、今度こそ、といった感じで口を開く。
「先週……つっても何時かは分からねぇんですが、学園都市を標的としてとある魔術が発動。今までにない強力な術式で、これを新たなる原典と断定。イギリス聖教はこの魔術を「魔力暴走」(マナ・ドライブ)と名付けました」
「マナ…………ドライブ?」
「…………詳しく説明するとなると色々な専門用語から知って頂かなくてはなりませんが構いませんか?」
「マナ…………ドライブ?」
「…………詳しく説明するとなると色々な専門用語から知って頂かなくてはなりませんが構いませんか?」
ルチアの申し出に、上条は首をぶんぶん振った。
上条は以前、インデックスに魔術関連の質問をした事がある。その結果、彼女の説明のつぼに入ってしまったのか、半分以上訳の分からない、理解出来ない話を、えいえんと2時間以上語られてしまった事があった。
そして上条の不幸センサーは語っている。
このルチアと言う修道女はあの時のインデックスと同じ匂いがする、と。実際、ルチアの表情はどこか不満そうに見えた。
このルチアと言う修道女はあの時のインデックスと同じ匂いがする、と。実際、ルチアの表情はどこか不満そうに見えた。
上条と同じくルチアに説明させるのが嫌なのか、アンジェレネが慌てて口を開く。
「え、え~~っとですね。簡単に説明すると、魔術師が魔術を使うために生み出した魔力にその魔力を生み出した持ち主本人を自動攻撃させるっていうものなんです」
「………………え~っと、つまり……あれか?例えばステイルの出した「魔女狩りの王」がステイルを攻撃しちまうって事か?」
「……まあ、遠からず…………近からず…………」
「実際にはその魔術になる前の段階である「魔力」が暴走すんですよ。今の話に合わせると「魔女狩りの王」になる前に内側から大爆発って感じですかね」
「ふうん…………でもさ、何でインデックスを外に連れ出したりしたんだ?その……「魔力暴走」を仕掛けた奴の目的がインデックスなのか?」
「分かりませんが最悪の場合、死ぬかもしんねぇからですよ」
「………………え~っと、つまり……あれか?例えばステイルの出した「魔女狩りの王」がステイルを攻撃しちまうって事か?」
「……まあ、遠からず…………近からず…………」
「実際にはその魔術になる前の段階である「魔力」が暴走すんですよ。今の話に合わせると「魔女狩りの王」になる前に内側から大爆発って感じですかね」
「ふうん…………でもさ、何でインデックスを外に連れ出したりしたんだ?その……「魔力暴走」を仕掛けた奴の目的がインデックスなのか?」
「分かりませんが最悪の場合、死ぬかもしんねぇからですよ」
死というワードに、上条は思わず身を固くする。
話を聞いただけでは、魔術を使わなければ危険はなさそうな魔術に思えたのだが、どうもいろいろ違うらしい。
話を聞いただけでは、魔術を使わなければ危険はなさそうな魔術に思えたのだが、どうもいろいろ違うらしい。
「忘れてねぇですか?禁書目録の頭ん中には10万3千冊の魔道書があんですよ?どっかでうっかりこの魔道書の1つでも暴走すれば次から次へと連鎖を重ね…………管理してる禁書目録は勿論、周りの被害だって結構なものになる可能性があるんです」
「………………そ、そうか………………でもその「魔力暴走」ってのが発動してんならお前らだって魔術は使えないんじゃ…………」
「………………そ、そうか………………でもその「魔力暴走」ってのが発動してんならお前らだって魔術は使えないんじゃ…………」
と、いうかそんなものが発動しているなら魔術師全般が使い物にならなくなるはずなのだが、アニェーゼ達は何事もない様に平然としている。
「その心配はいりません。この魔術には決定的な欠陥があんですよ」
「欠陥?」
「欠陥?」
敵の弱点を語っているのに、アニェーゼ達の表情は浮かない。困っているようにも見える。
「この魔術の構造を簡単に説明すると、まず魔力Aを魔術発動の為の魔力及び保護対象に指定、それ以外の……保護対象に入れていない魔力B~Zの構造を崩し、暴走させるというものです」
「つ、つまり、この魔術を発動させている人達と同じ魔力を使っている人なら、その影響を受けずに済むんです…………」
「これで分かったんじゃねぇですか?どうしてあたし達3人が来てるのか」
「…………その術式を発動してるのがローマ政教の奴だからか?」
「つ、つまり、この魔術を発動させている人達と同じ魔力を使っている人なら、その影響を受けずに済むんです…………」
「これで分かったんじゃねぇですか?どうしてあたし達3人が来てるのか」
「…………その術式を発動してるのがローマ政教の奴だからか?」
彼女達は元・ローマ政教のシスター達だ。魔力は勿論、術式もローマ仕込みの物ばかりだろう。だから送り込まれてきた。
「そういう事です。あたし達の今回の目的はこの術式の破壊」
アニェーゼは言いながら目をそらし
「並びに相手の目的、狙いを探って…………」
ルチアは溜息をつき
「必要ならばそれを阻止する事」
アンジェレネは前にもましてワタワタと挙動不審に慌て始めた。
「へ、へえ~………………;」
そして上条はこの時点から何か嫌な予感がしていた。
「「「…………なんですが…………」」」
ギクッッ!!!と、全身を嫌な感覚が走る。
様々な不幸を体験してきた上条には分かる。これは単に「事件を解決するのを手伝え」と言われるだけじゃ無い。寧ろそれに関しては上条自身も自分から手伝うつもりだった。
様々な不幸を体験してきた上条には分かる。これは単に「事件を解決するのを手伝え」と言われるだけじゃ無い。寧ろそれに関しては上条自身も自分から手伝うつもりだった。
これはもっと別の不幸やハプニングの匂いだ。上条にとって理不尽かつ決定的な物が降りかかってくる前兆だ。
「そ、その………………つまりですね………………」
「……学園都市ってのと、敵の持ってるであろう原点とまだ分からない目的などの理由で訳なしじゃ色々行動が出来ないんですよ」
「ま…………そんな訳で………………」
「……学園都市ってのと、敵の持ってるであろう原点とまだ分からない目的などの理由で訳なしじゃ色々行動が出来ないんですよ」
「ま…………そんな訳で………………」
続いたアニェーゼの言葉を聞き、上条は例の絶叫をあげたのだ。
「私達3人を1週間ほどここに泊めやがれってんです」
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