とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 5-147

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匿名ユーザー

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(13.木曜日16:50)
上条にとって常盤台までの道のりはイバラの道であった。
上条は黒いロングヘアーの美少女を右に常盤台のお嬢様を左にはべらせて歩いている。
その姿を見る街の男どもの視線に「羨望」のみか「殺意」まで含まれるのも仕方のないことであった。
何十本もの「殺意ある視線」に耐えきれず、ついに上条は本日3度目の現実逃避を図った。
そんなわけで、少女達の間で交わされた会話にも上条は気付かなかった。

「あなた。御坂美琴さんでしょ」
「私の名前を知ってんの?」
「あなた。有名だから。私姫神秋沙。上条君のクラスメイト」
「わ、私はコイツとは腐れ縁で、不良に絡まれている所を助けに来てくれたのが出会いかな。
(その時不良と一緒にコイツにも電撃を浴びせちゃったんだけど)」
「私の場合。監禁されてた私を上条君が(ステイルさんもいたけど)助けに来てくれた時かな」
「私達、「ハンディアンテナサービス」でペア登録しているの。夜通し遊んだこともあるわよ。
(コイツをぶっ倒そうと一晩中追いかけ回しただけなんだけど)」
「私は。上条君とお弁当を交換するぐらいかな(その後ボディブローを入れちゃったけど)」
「コイツは爆弾魔から身を挺して私(主に初春さん達だけど)を守ってくれたこともあったの」
「右腕を切り落とされたのに私のために(インデックスさんもいたけど)歯を食いしばってくれたの」
「コイツは(私の電撃で)ボロボロになった身体をおして私を(妹もだけど)助けてくれたの」
「私が大怪我したとき励ましてくれたの(すぐ行っちゃったけど)」
「いつでもどこでも私のピンチには駆けつけるって約束してくれたの(私にじゃないけど)」
「大覇星祭のナイトパレードを一緒に見ようって言ってくれたこともあったかな。(結局無理だったけど)」
「大覇星祭のとき競技中の私を助けに来てくれたりしたの。(本当は別の目的があったみたいだけど)」
どちらの少女に軍配が上がるのか確定するのはまだまだ先の話であった。


(13―2)
一方、現実逃避中の上条は吸血鬼について考えを巡らしていた。
(ヤツは本当に吸血鬼なのか?)
(手遅れになる前に警備員(アンチスキル)に通報しなきゃ)
(ダメだ。吸血鬼が出ましたなんていっても、笑われてお終いだ)
(そもそも撃退する方法ってあるのか?御坂の電撃ですら全く効かなかったのに)
(昼間から出てくるような吸血鬼に十字架やニンニクって効かないよな。多分)
(「幻想殺し(イマジンブレーカー)」が少しでも効いていたなら、俺が何とかしないと)
とりとめのない考えに自問自答する内に、上条から警備員(アンチスキル)という選択肢は消えていた。
(そうなると頼りになるのは魔術(オカルト)サイドの連中か)
(そうだ、土御門なら上手く対応してくれるかも)
(でもダメだ。姫神と一緒にいる今は下手に土御門に連絡できない)
(土御門との会話を聞けば、姫神はきっと土御門の裏の顔に感づいちまう)
さらに上条の頭の中は混乱し、解決の糸口すら見つけられないでいた。
(それに姫神のことだ)
(ケルト十字をもう一度イギリスから送って貰わないと)
(でも、「必要悪の教会(ネセサリウス)」に連絡しようにも、土御門が使えないんじゃ...)
頭の中にネセサリウスの面々が浮かんでくる。神裂、五和、オルソラ、ステイル、インデックス
インデックスの顔が浮かんだとたん、昨夜の会話が脳裏に蘇った。
(「明日になったら新しい「歩く教会」が届くって連絡があったんだよ」)
(そうだケルト十字は「歩く教会」の一部なんだから「歩く教会」を着せちまえば良いんじゃないか)
(そうだよ。なんでもっと早く気付かなかったんだ。早く寮に戻んなきゃ)
その時、不意に左手が引っ張られた。どうやら常盤台の学生寮に着いたようだった。
「いちおう言っとくわよ。
今日はありがとう。
でも、あいつは一体何だったのよ?電撃効かないし、消えちゃうし
ふん、まあいいわ
今日のことは後できっちり説明してもらうわよ。
そんなわけだから、今度の日曜日は予定を空けておきなさい。
まさか、電話やメールで済まそうなんて思ってないでしょうね。
当然食事付きよ!って、なんでこの世の終わりみたいな顔すんのよ!
心配しなくても、私が奢ってあげるわよ。
だから、アンタはちゃんとお洒落な格好して来なさい。いいわね。」
常盤台の学生寮へ入っていく御坂美琴を見送りつつ、いつもなら
(なんで俺が吸血鬼の尻ぬぐいしなきゃなんないんだよ。不幸だーっ)
となるところだが、ようやく解決の糸口を見つけた上条にとっては些細なことに思えた。
「姫神、今すぐ俺の部屋に行くぞ」
その言葉になぜか頬を赤らめる姫神秋沙であった。
お約束通り上条はそんなそぶりに全く気付きもせず歩き始めた。当然、姫神秋沙のつぶやきにも。
「今夜。上条君の家で二人っきり」


(14.木曜日17:25)
「いるんだろ!インデックス」
上条はドアを開けるなりに部屋の奥に呼びかけた。
しかし上条の呼びかけに応えたのはインデックスより姫神秋沙のつぶやき声が先であった。
「そうだった。上条君の家にはインデックスさんが。私ってバカ」
一方、インデックスはすごい勢いで奥から玄関までやってきた。
「じゃーん。どうこれ、新しい「歩く教会」だよ。」
インデックスは見て見てって感じで両手を広げている。
いまにもモデルのようにくるっと回り出しそうだ。
「えへへ」っと微笑むインデックスに上条はいきなり左手で拝みつつ頭を下げた。
「インデックス!上条さん一生のお願いです。今すぐその服を脱いで下さい。」
「なっ何を言っているのかな?とうま」
「上条さんは今とっても焦っています。一刻の猶予もないのです。
インデックスさんにはここで一肌脱いで頂きたいと願っているわけです。ハイ!」
一気にまくし立てた上条だが、周りを満たす重い空気に気が付いて顔を上げた。
(あれっ、なんでインデックスさんはうつむいているのでせう?
なんか肩が小刻みに震えているようなのですが
それにこめかみあたりがヒクヒクして見えるのは何故?どうして?Why?)
頭の中で「インデックス暴発」警報が鳴り響き始めた。
さらに上条の背中にゾクリと悪寒が走った。
(まさか、ここにも吸血鬼が?)
上条は反射的に後を振り返ったが、幸いそこに吸血鬼の姿はなかった。
しかし、視線の少し下にはジト目で上条を見上げる姫神秋沙がいた。
しかもその背からは黒いオーラが吹き出している(ように見える)。
「きみは。こんなときにも」
普段と同じ話し方ではあるが、言葉に含まれる冷気は隠しようもなかった。
「どうしたんですか、姫神さん?あなた様の背後に黒いオーラが見えるのですが。
この上条さんに何か問題でもありましたでしょうか?」
少しうろたえる上条に男の声が追い打ちをかけた。
「君はその子にいつもそんなセクハラをはたらいているのかい?」
声の主は、姫神の背後の廊下から現れた、赤い髪にくわえ煙草のトンデモ神父ステイル=マグヌスだった。
「はあっ?(こいつなにをいってんだ)」
「君はその子にストリップをさせてどうする気なのかな?」
ステイルはルーンを刻んだカードを右手に持ち、(返答次第では炎剣で焼き尽くす)と、殺す(やる)気まんまんで尋ねてきた。

「..というわけで、上条さんはインデックスさんにセクハラしようとしたのではありません」
上条家のテーブルの周りにはセーラー服の上に「歩く教会」を着ている姫神秋沙
再びアイアンメイデンを身にまとったインデックス
口の端でくわえた煙草を細かく揺らすとても不機嫌なステイル=マグヌス
そして3人の正面で正座をさせられている上条当麻がいた。
上条は自分の扱いに不満があるらしくブツクサ言っている。
「なんでステイルが学園都市(ここ)にいるんだよ」
「君はバカか!僕達が法王級の霊装を郵便で送るとでも思っていたのかい?
それとも、「歩く教会」が名前の通り歩いてくるとでも思ったのか?
僕が持ってきたに決まっているだろ。
前からバカだとは思っていたが、ここまで大バカだったとはね」
「くっ、だって、お前は俺達の後から来たじゃないか」
「君と違って、僕は女の子にストリップをさせて喜ぶような卑劣漢じゃないのでね。
レディーの着替えの最中は退席していたというわけだよ。」
「うっ」
どんどん追い詰められていく上条であった。
(くそっ、こんな事をしている場合じゃないのに。
姫神はもう安心だけど、吸血鬼の方は何も終わっちゃいない。はやく土御門に連絡しないと)
「そっ、それより。ステイル!ここで、姫神とインデックスをみていてくれないか?」
「なんで僕が?はぐらかす気か?」
「頼む、俺がちょっと見てくるだけの間でいいから」
「ん? それは、急ぐのことなのかい?」
「ああ」
何を見てくるのかを知っている姫神は表情に不安の色を浮かべた。
上条の表情からこの状況で警戒すべき相手がいるならそれは何者なのかを察したステイルは目つきを鋭くした。
何も知らないインデックスは敵前逃亡しようとする上条に不満の声を上げた。
インデックスの追求を振り切って部屋を脱出した上条は漆黒に包まれつつあった学生寮の周辺を走り回った。
辺りに吸血鬼の気配が無いことを確認してようやく上条は立ち止まり、土御門の携帯をコールした。


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