(15.木曜日17:55)
「土御門か?上条だ。実は今日、学園都市にきゅう「吸血鬼のことだろ。カミやん」」
「なんで知ってんだ?」
「にゃーっ、カミやん、俺っちをなめてもらっちゃ困るぜよ」
上条は「滞空回線(アンダーライン)」など学園都市の裏の裏までは知らない。
だから土御門がこうも早く現状を把握していることに驚いていた。
「安心しろ、カミやん。今のところ吸血鬼の被害者は1名も確認されていない」
「そうか...って、じゃあ、ヤツはやっぱり吸血鬼なのか?」
「まだ研究者どもが解析している最中だが、結論はじきにでると思うぜ」
「それじゃ対策も立てられるってことか?」
「そいつはどうだろうな」
「じゃあ、今ヤツはどこなんだ?」
「それは分からんそうだ。公園で消えてから吸血鬼が現れたという報告はない」
「ひょっとして、もう学園都市にいないんじゃ?」
「楽観しない方がいい。それに吸血鬼がいなくなっていたとしても問題が一つ増えちまっている」
「問題?」
「実は吸血鬼が学園都市に現れたという情報が魔術サイドに漏れたようだ。
それで吸血鬼を捕獲しようとする魔術サイドの連中が学園都市への侵入を計画しているそうだ。
例え今から学園都市が吸血鬼はいないと宣言しても奴らは信用しないだろう。
水際で防ぎたいところだが、なんせ奴らの獲物は無限の魔力をもつとされる吸血鬼だ。
きっと手練れを集めるだろうし、多少の犠牲は構わないとも思っているだろう」
「学園都市でまた戦いが始まっちまうのかよ。くそっ!俺に手伝えることはないか?」
「そんなことより、カミやんは今どこにいるんだ?」
「学生寮の前だけど」
「そうか。実はな、カミやん。
まだ学園都市に吸血鬼がいた場合、話がもっとややこしくなる。
学園都市にも吸血鬼ってサンプルをノドから手が出るほど欲しがっている奴らがいる。
奴らは「吸血殺し(ディープブラッド)」を吸血鬼をおびき出す餌、従属させる道具として使うだろう。
それと吸血鬼が手に負えない場合の処刑道具としてもな。
奴らは「吸血殺し」にさえ影響しないなら手足だろうが平気で切り落とす連中だからな」
「何だって!人間を一体なんだと思ってやがる!」
「まあ、これは最悪のケースだ。
カミやんは、吸血鬼がもう学園都市から逃げてることと俺達が魔術師達を食い止めることを祈っていてくれ」
ただカミやん。念のため、これからは連絡を取るにしてもあまり姫神から離れないことだ」
電話を切った上条は、事態が科学サイドと魔術サイドの戦いへと展開しつつあることに困惑していた。
(最悪の場合、姫神秋沙を中心に学園都市で戦いが起こる。
姫神をどうやったら守れるんだ?
それに、インデックスだ。
このままだとインデックスまで巻き込んじまう。どうしたらいい?)
「土御門か?上条だ。実は今日、学園都市にきゅう「吸血鬼のことだろ。カミやん」」
「なんで知ってんだ?」
「にゃーっ、カミやん、俺っちをなめてもらっちゃ困るぜよ」
上条は「滞空回線(アンダーライン)」など学園都市の裏の裏までは知らない。
だから土御門がこうも早く現状を把握していることに驚いていた。
「安心しろ、カミやん。今のところ吸血鬼の被害者は1名も確認されていない」
「そうか...って、じゃあ、ヤツはやっぱり吸血鬼なのか?」
「まだ研究者どもが解析している最中だが、結論はじきにでると思うぜ」
「それじゃ対策も立てられるってことか?」
「そいつはどうだろうな」
「じゃあ、今ヤツはどこなんだ?」
「それは分からんそうだ。公園で消えてから吸血鬼が現れたという報告はない」
「ひょっとして、もう学園都市にいないんじゃ?」
「楽観しない方がいい。それに吸血鬼がいなくなっていたとしても問題が一つ増えちまっている」
「問題?」
「実は吸血鬼が学園都市に現れたという情報が魔術サイドに漏れたようだ。
それで吸血鬼を捕獲しようとする魔術サイドの連中が学園都市への侵入を計画しているそうだ。
例え今から学園都市が吸血鬼はいないと宣言しても奴らは信用しないだろう。
水際で防ぎたいところだが、なんせ奴らの獲物は無限の魔力をもつとされる吸血鬼だ。
きっと手練れを集めるだろうし、多少の犠牲は構わないとも思っているだろう」
「学園都市でまた戦いが始まっちまうのかよ。くそっ!俺に手伝えることはないか?」
「そんなことより、カミやんは今どこにいるんだ?」
「学生寮の前だけど」
「そうか。実はな、カミやん。
まだ学園都市に吸血鬼がいた場合、話がもっとややこしくなる。
学園都市にも吸血鬼ってサンプルをノドから手が出るほど欲しがっている奴らがいる。
奴らは「吸血殺し(ディープブラッド)」を吸血鬼をおびき出す餌、従属させる道具として使うだろう。
それと吸血鬼が手に負えない場合の処刑道具としてもな。
奴らは「吸血殺し」にさえ影響しないなら手足だろうが平気で切り落とす連中だからな」
「何だって!人間を一体なんだと思ってやがる!」
「まあ、これは最悪のケースだ。
カミやんは、吸血鬼がもう学園都市から逃げてることと俺達が魔術師達を食い止めることを祈っていてくれ」
ただカミやん。念のため、これからは連絡を取るにしてもあまり姫神から離れないことだ」
電話を切った上条は、事態が科学サイドと魔術サイドの戦いへと展開しつつあることに困惑していた。
(最悪の場合、姫神秋沙を中心に学園都市で戦いが起こる。
姫神をどうやったら守れるんだ?
それに、インデックスだ。
このままだとインデックスまで巻き込んじまう。どうしたらいい?)
(16.木曜日18:05)
3人が三者三様の面持ちで上条を待っている部屋に上条は戻ってきた。
帰ってきた上条はステイルの所まで行くと用件だけを単刀直入に言い切った。
「ステイル、今から小萌先生の所へインデックスを連れて行ってやってくれ」
「なっ、なんで、僕があの女性(ひと)のところへ行かなきゃなんならないんだ。」
「とうま、それは一体どういうこと?わたしを追い出して、あいさと一緒に何する気?」
「ステイル、頼む!」
上条はインデックスの抗議には応えず、ステイル=マグヌスに再度頼んだ。
ステイル=マグヌスは上条当麻が好きな訳ではない。
しかし、上条当麻の行動原理は良く理解している。
上条が決してインデックスを危険に巻き込もうとはしないことを。
もし上条がインデックスを遠ざけるなら、それはもうすぐここが危険な場所になるということを。
ステイル=マグヌスは面白くなさそうに左手で髪をかきむしると右手をインデックスの肩の上に置いた。
「ふん。分かったよ!ただし、こいつは貸しだ」
「わたしは納得しないよ。とうま」
「インデックス、すまん。今度なんか美味いものを食べさせてやるから」
「ヤだもん。たとえ、ディナーフルコースだって納得しないんだから~!」
暴れるインデックスを肩に担ぎあげ、ステイルが上条の部屋から出て行った。
ステイルの肩に荷物のように担がれたインデックスは怒りの声を上げあげ続けている。
「とうまこの貸しは大きいんだよ。
フレンチフルコースに高級イタリアン、満願全席に老舗割烹料理、高級焼き肉に鰻重
それから、それから~...」
料理名を連呼するインデックスの声がようやく聞こえなくなり上条はようやく一息ついた。
「インデックスさん。行っちゃった」
姫神秋沙がポツリといった一言に、上条は今自分が置かれている状況に気が付いた。
夜、狭い部屋に美少女と二人っきり。
居候(インデックス)は今晩帰ってこない。
隣の土御門も多分帰ってこない。
ドキドキのラブコメが今すぐにも展開しそうな舞台がいつの間にか出来上がっていた。
急に上条はそわそわし始めた。
視線は宙を泳ぎだし、心拍数も右肩上がりに増加中だ。
何かで気を紛らわせないと心臓がどうにかなりそうな上条であった。
「ひっ姫神、はっ腹減っただろ、夕食を何か作ってやるよ」
(ふーっ、これで料理している間はなんとか気が紛れそうだ)
一安心した上条であったが、姫神の返事は上条のその安全宣言を木っ端みじんに粉砕した。
「その前に。私。シャワー浴びたいんだけど」
3人が三者三様の面持ちで上条を待っている部屋に上条は戻ってきた。
帰ってきた上条はステイルの所まで行くと用件だけを単刀直入に言い切った。
「ステイル、今から小萌先生の所へインデックスを連れて行ってやってくれ」
「なっ、なんで、僕があの女性(ひと)のところへ行かなきゃなんならないんだ。」
「とうま、それは一体どういうこと?わたしを追い出して、あいさと一緒に何する気?」
「ステイル、頼む!」
上条はインデックスの抗議には応えず、ステイル=マグヌスに再度頼んだ。
ステイル=マグヌスは上条当麻が好きな訳ではない。
しかし、上条当麻の行動原理は良く理解している。
上条が決してインデックスを危険に巻き込もうとはしないことを。
もし上条がインデックスを遠ざけるなら、それはもうすぐここが危険な場所になるということを。
ステイル=マグヌスは面白くなさそうに左手で髪をかきむしると右手をインデックスの肩の上に置いた。
「ふん。分かったよ!ただし、こいつは貸しだ」
「わたしは納得しないよ。とうま」
「インデックス、すまん。今度なんか美味いものを食べさせてやるから」
「ヤだもん。たとえ、ディナーフルコースだって納得しないんだから~!」
暴れるインデックスを肩に担ぎあげ、ステイルが上条の部屋から出て行った。
ステイルの肩に荷物のように担がれたインデックスは怒りの声を上げあげ続けている。
「とうまこの貸しは大きいんだよ。
フレンチフルコースに高級イタリアン、満願全席に老舗割烹料理、高級焼き肉に鰻重
それから、それから~...」
料理名を連呼するインデックスの声がようやく聞こえなくなり上条はようやく一息ついた。
「インデックスさん。行っちゃった」
姫神秋沙がポツリといった一言に、上条は今自分が置かれている状況に気が付いた。
夜、狭い部屋に美少女と二人っきり。
居候(インデックス)は今晩帰ってこない。
隣の土御門も多分帰ってこない。
ドキドキのラブコメが今すぐにも展開しそうな舞台がいつの間にか出来上がっていた。
急に上条はそわそわし始めた。
視線は宙を泳ぎだし、心拍数も右肩上がりに増加中だ。
何かで気を紛らわせないと心臓がどうにかなりそうな上条であった。
「ひっ姫神、はっ腹減っただろ、夕食を何か作ってやるよ」
(ふーっ、これで料理している間はなんとか気が紛れそうだ)
一安心した上条であったが、姫神の返事は上条のその安全宣言を木っ端みじんに粉砕した。
「その前に。私。シャワー浴びたいんだけど」
(17.木曜日18:25)
「シャワー?」
上条はシャワーという単語に反応してエッチな妄想に向かい始めた思考を何とか押し戻すことができた。
もっとも、一旦真っ赤になってしまった顔はなかなか元に戻せなかった。
上条は冷静になろうと客観的に姫神の発言を分析しようとしていた。
(「シャワーを浴びたい」って言う発言は、姫神がエッチな展開を期待して言った訳じゃない。
考えてみりゃ、今日の放課後はハードだったもんな。
かいた汗を洗い流したいって思うのは女の子なら当然だよな。
姫神がこんなこと言い出したのはきっと「歩く教会」を借りて余裕ができた証拠だよな。
うん。そうだ、そうに違いない。
俺がうろたえたら変な期待をしてるんじゃないかと姫神に疑われちまう。
ここは冷静に)
「あっ、ああ、いっ、いいとも、バスルームは自由に使ってくれ。オレはその間に夕食を作っておくよ」
「君も。一緒」
「へっ?」
「「歩く教会」を着たままお風呂には入れない。だから君も一緒」
「なっ、何をおっしゃって?」
「女子トイレにだって入る気だったんだから。大丈夫」
「いや、あれとこれとは違うんじゃ?」
「無理?」
「わっ、わかったよ。姫神、じゃあオレはどうすればいい?」
「とりあえず。服を脱いで」
「えっ、え”--っ」
「着たままだと服が濡れちゃう。それにパンツまで脱げとは言っていない」
「ああ、そうか、うん、そうだよな。ハッハッ」
上条はTシャツまでは脱いだものの、さすがにパンツだけでなくズボンも脱ぐことはできなかった。
そして今、上条は手ぬぐいで目隠しをしている。
それは上条に目をつぶり続ける自信がなかったからだ。
そして上条は脱衣所の床に座っている。
そして右手で姫神秋沙の左足首を握っている。
この状況は健全な男子高校生にとっては拷問にも等しい苦行であった。
目と鼻の先に美少女がいる。
そして足首であるとはいえ、その身体に触れている。
しかもその美少女はこれから全裸になってシャワーを浴びるというのだ。
その姿を遮るものは自分の薄いまぶたと一枚の布きれだけなのである。
さらに耳には「シュッシュッ」と衣擦れの音が聞こえてくる。
(うわーっ、目が見えないと想像力ってこんなに大きくなるんだ。うん、新発見だ!)
上条当麻は透視能力者ではない。
しかし、姫神秋沙がブラウスの脱いでいるビジョンとか、ブラを外しているビジョンが次々と頭に浮かんでくる。
もし上条がレベル0の透視能力者だったなら、きっとこの数分でその能力を大きく開花させたことだろう。
しかし上条は正真正銘の“無”能力者であった。
(クソっ、こんなことならもっと真面目に能力開発の補習を受けてりゃ良かった)
と上条が激しく後悔したかどうかは上条の名誉のためにここでは言及しないでおく。
その時、不意に上条の右腕に「ファサッ」と布の固まりが落ちてきた。
目隠ししている上条であったが、それが姫神の制服のスカートであると瞬時に判断できてしまった。
その後、なぜか姫神の右手が上条の右手を誘導して姫神の左手首を握らせた。
そして上条の右手が姫神の腰の辺りまで持ち上げられたかと思うと、今度は膝の辺りまで降ろされた。
その動作の意味を理解した瞬間、上条の心臓は破裂寸前まで鼓動を早めていた。
そして姫神秋沙はバスルームへ入っていった。上条の手を引いて。
「シャワー?」
上条はシャワーという単語に反応してエッチな妄想に向かい始めた思考を何とか押し戻すことができた。
もっとも、一旦真っ赤になってしまった顔はなかなか元に戻せなかった。
上条は冷静になろうと客観的に姫神の発言を分析しようとしていた。
(「シャワーを浴びたい」って言う発言は、姫神がエッチな展開を期待して言った訳じゃない。
考えてみりゃ、今日の放課後はハードだったもんな。
かいた汗を洗い流したいって思うのは女の子なら当然だよな。
姫神がこんなこと言い出したのはきっと「歩く教会」を借りて余裕ができた証拠だよな。
うん。そうだ、そうに違いない。
俺がうろたえたら変な期待をしてるんじゃないかと姫神に疑われちまう。
ここは冷静に)
「あっ、ああ、いっ、いいとも、バスルームは自由に使ってくれ。オレはその間に夕食を作っておくよ」
「君も。一緒」
「へっ?」
「「歩く教会」を着たままお風呂には入れない。だから君も一緒」
「なっ、何をおっしゃって?」
「女子トイレにだって入る気だったんだから。大丈夫」
「いや、あれとこれとは違うんじゃ?」
「無理?」
「わっ、わかったよ。姫神、じゃあオレはどうすればいい?」
「とりあえず。服を脱いで」
「えっ、え”--っ」
「着たままだと服が濡れちゃう。それにパンツまで脱げとは言っていない」
「ああ、そうか、うん、そうだよな。ハッハッ」
上条はTシャツまでは脱いだものの、さすがにパンツだけでなくズボンも脱ぐことはできなかった。
そして今、上条は手ぬぐいで目隠しをしている。
それは上条に目をつぶり続ける自信がなかったからだ。
そして上条は脱衣所の床に座っている。
そして右手で姫神秋沙の左足首を握っている。
この状況は健全な男子高校生にとっては拷問にも等しい苦行であった。
目と鼻の先に美少女がいる。
そして足首であるとはいえ、その身体に触れている。
しかもその美少女はこれから全裸になってシャワーを浴びるというのだ。
その姿を遮るものは自分の薄いまぶたと一枚の布きれだけなのである。
さらに耳には「シュッシュッ」と衣擦れの音が聞こえてくる。
(うわーっ、目が見えないと想像力ってこんなに大きくなるんだ。うん、新発見だ!)
上条当麻は透視能力者ではない。
しかし、姫神秋沙がブラウスの脱いでいるビジョンとか、ブラを外しているビジョンが次々と頭に浮かんでくる。
もし上条がレベル0の透視能力者だったなら、きっとこの数分でその能力を大きく開花させたことだろう。
しかし上条は正真正銘の“無”能力者であった。
(クソっ、こんなことならもっと真面目に能力開発の補習を受けてりゃ良かった)
と上条が激しく後悔したかどうかは上条の名誉のためにここでは言及しないでおく。
その時、不意に上条の右腕に「ファサッ」と布の固まりが落ちてきた。
目隠ししている上条であったが、それが姫神の制服のスカートであると瞬時に判断できてしまった。
その後、なぜか姫神の右手が上条の右手を誘導して姫神の左手首を握らせた。
そして上条の右手が姫神の腰の辺りまで持ち上げられたかと思うと、今度は膝の辺りまで降ろされた。
その動作の意味を理解した瞬間、上条の心臓は破裂寸前まで鼓動を早めていた。
そして姫神秋沙はバスルームへ入っていった。上条の手を引いて。