(3.)
「ガラン、ガラン、ガラン」
大きな鐘の音が特売タイムの終了を告げている。
外で待っていた上条の所に姫神秋沙と吹寄制理が出て来たのはその直ぐ後だった。
「ガラン、ガラン、ガラン」
大きな鐘の音が特売タイムの終了を告げている。
外で待っていた上条の所に姫神秋沙と吹寄制理が出て来たのはその直ぐ後だった。
「買ってきたわよ。上条当麻」
姫神秋沙と吹寄制理が手に提げた大きなレジ袋を見た瞬間、上条は軽い立ちくらみを感じた。
「そ、そんなに買っちゃったのか?吹寄。」
「これ。レシート」
「あれ?こんなに買ったのに、たったこれだけの値段?」
「普段、貴様は一体どんな買い方をしているの?」
「買い物する前に売り場を一回りしておけば。このぐらいは当然」
「すげーな。きっと二人とも良いお嫁さんになるぞ」
「「……………………」」
「これ。レシート」
「あれ?こんなに買ったのに、たったこれだけの値段?」
「普段、貴様は一体どんな買い方をしているの?」
「買い物する前に売り場を一回りしておけば。このぐらいは当然」
「すげーな。きっと二人とも良いお嫁さんになるぞ」
「「……………………」」
上条が視線をレジ袋から上げると、姫神秋沙も吹寄制理も頬を赤く染めていた。
「どうしたんだ?二人とも顔がちょっと赤いぞ。熱でもあるのか?…………痛てーーっ!」
姫神秋沙と吹寄制理に同時に左右の足の甲を踏みつけられた上条当麻はその場にうずくまってしまった。
「全く、貴様というヤツは」
「ホントに鈍感なんだから」
「ホントに鈍感なんだから」
朴念仁である上条当麻は二人の言葉の意味も当然のように理解できていない。
レジ袋を上条に押しつけスタスタと歩き始めた二人に向かって上条は恐る恐る声を掛けた。
レジ袋を上条に押しつけスタスタと歩き始めた二人に向かって上条は恐る恐る声を掛けた。
「あのーっ、この両手一杯の食材は上条さん一人で運ばないといけないのでしょうか?」
「貴様は、これから手料理を振る舞ってもらう女の子に力仕事までさせる気?」
「君は鈍感なんだから。これぐらいの荷物なんて重くも感じないでしょ」
「うっう、なんだか二人の言葉にトゲトゲしさを感じるのですが……
上条さんは何か粗相でもしでかしたのでしょうか?」
「なにブツブツ言ってんの?早く歩きなさい」
「頑張れ!上条君」
「貴様は、これから手料理を振る舞ってもらう女の子に力仕事までさせる気?」
「君は鈍感なんだから。これぐらいの荷物なんて重くも感じないでしょ」
「うっう、なんだか二人の言葉にトゲトゲしさを感じるのですが……
上条さんは何か粗相でもしでかしたのでしょうか?」
「なにブツブツ言ってんの?早く歩きなさい」
「頑張れ!上条君」
学生寮にたどり着いたときには上条の握力は無くなる寸前だった。
「ふーっ、やっと着いた。たっ、ただいまーっ」
「「お邪魔します」」
「おかえり、とうま。……って、あれ?なんであいさとせいりが一緒なの?」
「それは。今日の昼休みに上条君に迷惑を掛けたから。そのお詫び」
「「お邪魔します」」
「おかえり、とうま。……って、あれ?なんであいさとせいりが一緒なの?」
「それは。今日の昼休みに上条君に迷惑を掛けたから。そのお詫び」
インデックスはみるみる不機嫌になりキッと上条を睨み付けた。
「とうま!とうまはそんなことがある度に女の子を家に呼びつけたりするわけ?」
「バカ野郎、俺は何も頼んじゃいない!」
「全く……いつもいつも……とうまはとうまなんだから!」
「落ち着け!インデックス。お客さんの前で流血沙汰は止めてくれ。
つり上がった目も大きく開けた口も清楚なシスターさんには似合わねえぞ」
「バカ野郎、俺は何も頼んじゃいない!」
「全く……いつもいつも……とうまはとうまなんだから!」
「落ち着け!インデックス。お客さんの前で流血沙汰は止めてくれ。
つり上がった目も大きく開けた口も清楚なシスターさんには似合わねえぞ」
レジ袋を床に置いた上条は防御姿勢を取りつつ、今にも飛び掛かろうとするインデックスを必死になだめていた。
「取り込み中の二人には悪いんだけれど。台所に通してもらえると嬉しい」
「えっ?あっ、悪りい」
「本当に、前から不思議に思ってるんだけど、貴様とその子は一体どういう関係なの?」
「だから……この子は知り合いから預かっている子で…………」
「あー、わかったわよ。そういうことでいいわ!
じゃあ、私と秋沙は夕飯を準備するから貴様はリビングでくつろいでなさい」
「えっ?あっ、悪りい」
「本当に、前から不思議に思ってるんだけど、貴様とその子は一体どういう関係なの?」
「だから……この子は知り合いから預かっている子で…………」
「あー、わかったわよ。そういうことでいいわ!
じゃあ、私と秋沙は夕飯を準備するから貴様はリビングでくつろいでなさい」
噛み付くタイミングを外されたインデックスが再び上条に文句を言いかけた時、
TVから『超機動少女カナミンインテグラル』のテーマ曲が流れてきた。
そのとたん「カナミンだーっ!」と言ってインデックスはリビングに飛んでいった。
カナミンに救われた上条も後を追って一旦はリビングに腰掛けた。
しかし女の子にだけ仕事をさせて自分だけくつろぐことなどできない上条当麻である。
TVから『超機動少女カナミンインテグラル』のテーマ曲が流れてきた。
そのとたん「カナミンだーっ!」と言ってインデックスはリビングに飛んでいった。
カナミンに救われた上条も後を追って一旦はリビングに腰掛けた。
しかし女の子にだけ仕事をさせて自分だけくつろぐことなどできない上条当麻である。
「俺もなにか手伝おうか?」
声を掛けた上条の視線の先にはエプロン姿の姫神秋沙と吹寄制理がいた。
その姿を見た瞬間、上条の頬を熱いものが一筋流れ落ちていった。
その時、上条の顔は神の奇跡を目の当たりにした子羊のようだったに違いない。
その姿を見た瞬間、上条の頬を熱いものが一筋流れ落ちていった。
その時、上条の顔は神の奇跡を目の当たりにした子羊のようだったに違いない。
「台所にエプロン姿の女の子がいる。……うっう、なんて、なんて感動的な光景なんだ」
上条は一人感動を噛み締めていたが、姫神秋沙から声を掛けられてようやく我に返った。
「上条君。昆布あるかな?」
「あー、昆布なら流しの上の棚に置いてあるから俺が取ってやるよ。
よっと。はい、姫神」
「あっ、ありがとう」
「何言ってんだ。俺の方が礼を言わなきゃなんないのに」
「ううん。そんなこと……」
「あー、昆布なら流しの上の棚に置いてあるから俺が取ってやるよ。
よっと。はい、姫神」
「あっ、ありがとう」
「何言ってんだ。俺の方が礼を言わなきゃなんないのに」
「ううん。そんなこと……」
なんだかラブラブカップル状態になりつつある姫神秋沙と上条の後ろで、
吹寄制理がこめかみをヒクつかせていた。
吹寄制理がこめかみをヒクつかせていた。
(4.)
「ちょっと!計量スプーンはどこなの?」
「ちょっと!計量スプーンはどこなの?」
吹寄の問いかけに上条が背を向けると、良い雰囲気を壊された姫神秋沙は口の中で小さく
「…………上条君のバカ」と呟いた。
「…………上条君のバカ」と呟いた。
「計量スプーンならこの引き出しの中にあったハズって……あれ?」
上条が引き出しの中をカチャカチャとかき回していると吹寄制理も顔を近づけてきた。
「私が探してあげるわよ」
「いいよ。俺が探すから」
「いいから私に任せなさい」
「「あっ、あった!」」
「いいよ。俺が探すから」
「いいから私に任せなさい」
「「あっ、あった!」」
二人が同時に見つけた計量スプーンの上で吹寄制理の左手と上条の右手が重なってしまった。
「「あっ……」」
至近距離で顔を見合わせた吹寄制理と上条の顔が赤く染まっていたのは窓から差し込む夕日のせいだけではなかったかもしれない。
「……吹寄」
「……上条……当麻」
「コホン!」
「……上条……当麻」
「コホン!」
姫神秋沙の咳払いに二人は瞬間的に手を引き戻した。
「みっ、見つかって良かったな」
「ええ、ありがと。そっ、そういえば男子の下宿の台所にしてはずいぶん綺麗ね?ここ」
「そっ、そうか?」
「ひょっとして。誰かが頻繁に片付けに来てくれてるとか?」
「そっ、そんなわけあるハズないだろ。ハハッ、ハハハッ」
「ええ、ありがと。そっ、そういえば男子の下宿の台所にしてはずいぶん綺麗ね?ここ」
「そっ、そうか?」
「ひょっとして。誰かが頻繁に片付けに来てくれてるとか?」
「そっ、そんなわけあるハズないだろ。ハハッ、ハハハッ」
何故かちょっとトゲのある姫神秋沙の問いかけを上条は引きつった笑いを浮かべ否定した。
そこにインデックスがリビングから上条に相槌を打った。
そこにインデックスがリビングから上条に相槌を打った。
「そうだよ。頻繁ってわけじゃないよ」
「「えっ?」」
「こら、インデックス。なに訳分かんないこと言ってんだ。
それよりいつも食っちゃ寝している自分の行いを反省しなさい。
見なさいインデックス!!これが居候の正しいあり方だ!!」
「「えっ?」」
「こら、インデックス。なに訳分かんないこと言ってんだ。
それよりいつも食っちゃ寝している自分の行いを反省しなさい。
見なさいインデックス!!これが居候の正しいあり方だ!!」
上条に相槌を打っただけなのに上条から怒られたインデックスはむくれてしまった。
「むーっ、とうま。それって五和の時にも言ったことだよ」
「あっ、こら!インデックス」
「あっ、こら!インデックス」
「五和?五和って何?」
「いや、五和っていうのはただの知り合いで」
「女の子?」
「あーっ、姫神。人の話を聞かないうちから女と決めつけるのはどうかと思うぞ」
「女の子なの?」
「いや、だからそれは…………」
「女の子なのね!」
「…………はい」
「…………ハァーッ…………やっぱり」
「まったく貴様は次から次へと。一度その性根をたたき直さないといけないわね」
「いや、五和っていうのはただの知り合いで」
「女の子?」
「あーっ、姫神。人の話を聞かないうちから女と決めつけるのはどうかと思うぞ」
「女の子なの?」
「いや、だからそれは…………」
「女の子なのね!」
「…………はい」
「…………ハァーッ…………やっぱり」
「まったく貴様は次から次へと。一度その性根をたたき直さないといけないわね」
「そっ、そんなことより二人は何を作るんだ?」
「私は。鶏肉のピリ辛炒めと肉じゃがとだし巻き卵」
「私はロールキャベツにパンプキンクリームスープにシーフードサラダよ」
「どっちも美味そうだ。こりゃ何から食べるか迷っちゃうな。きっと、ハハハッ」
「私は。鶏肉のピリ辛炒めと肉じゃがとだし巻き卵」
「私はロールキャベツにパンプキンクリームスープにシーフードサラダよ」
「どっちも美味そうだ。こりゃ何から食べるか迷っちゃうな。きっと、ハハハッ」
何とか話題を変えようとした上条であったが、上条を見る二人の目はジト目のままだった。
「うっ、じゃあ俺はテーブルでも拭いてくるかな」
二人の視線に耐えかねた上条はフキンを持って台所からそそくさと逃げだした。
すると、上条が逃げ出した台所からは姫神秋沙と吹寄制理が大笑いする声が聞こえてきた。
(あいつら、俺で遊びやがったな!)と上条は憤りつつも、二人が本気で怒っていないことにホッと胸をなで下ろしていた。
すると、上条が逃げ出した台所からは姫神秋沙と吹寄制理が大笑いする声が聞こえてきた。
(あいつら、俺で遊びやがったな!)と上条は憤りつつも、二人が本気で怒っていないことにホッと胸をなで下ろしていた。
つづく。