朝――上条はジュージューというすっごく美味しそうな音と共に爽やかに目覚めた。
いい匂いがする。久しくこんな食欲をそそられる匂いは嗅いで居なかった。
風呂場で寝て硬くなった体をバキバキ言わせて立ち上がる。
目ざましで目覚めなかったので、安眠を妨害される、と言う不幸もない。そう、自然に目覚めたのだ。
ふわぁあああ、と欠伸をして伸びをして……目ざまし?
ちらりと見ると、……7時50分。ご飯を用意する時間は?
「うわぁああ、マズイ、インデックスが!」
叫んで居間へ2秒で辿りつく。
急ブレーキをかけた上条の目に映ったのは。
「ふえ? ほうまほうひたの? はやくはへよーよ(ふえ? とうまどうしたの? はやく食べようよ)」
何やらおいしそうなものを加えてインデックスが言う。
「だから、口にものを入れて喋っちゃだめよ? 当麻、おはよう。当麻の弁当はこれね?」
……そういえば、インデックスとは違って家事をやってくれる居候がいたのだった。
ご飯を片手に首を傾げた義妹に目を逸らす。――土御門、確かに案外いいかもしれない。
ほっと一息ついた時に何故か置いてあった雑巾に足を取られて転びかけ慌てて本棚を掴んで(はっはー、上条さんだって不幸ばっかじゃないんだぜっ!)と心の内でガッツポーズをした時に、その本棚が倒れて漫画の生き埋めになってしまった。
つくづく不幸な上条であった。
「あっ、当麻大丈夫? ごめん、その雑巾、インデックスちゃんがこぼしちゃった牛乳をふき取ってたんだけど、しまって無くてごめん」
「はは……いい、慣れてるから……」
しかしながら落ちた漫画を片付けるは時間がかかりそうであった。
いい匂いがする。久しくこんな食欲をそそられる匂いは嗅いで居なかった。
風呂場で寝て硬くなった体をバキバキ言わせて立ち上がる。
目ざましで目覚めなかったので、安眠を妨害される、と言う不幸もない。そう、自然に目覚めたのだ。
ふわぁあああ、と欠伸をして伸びをして……目ざまし?
ちらりと見ると、……7時50分。ご飯を用意する時間は?
「うわぁああ、マズイ、インデックスが!」
叫んで居間へ2秒で辿りつく。
急ブレーキをかけた上条の目に映ったのは。
「ふえ? ほうまほうひたの? はやくはへよーよ(ふえ? とうまどうしたの? はやく食べようよ)」
何やらおいしそうなものを加えてインデックスが言う。
「だから、口にものを入れて喋っちゃだめよ? 当麻、おはよう。当麻の弁当はこれね?」
……そういえば、インデックスとは違って家事をやってくれる居候がいたのだった。
ご飯を片手に首を傾げた義妹に目を逸らす。――土御門、確かに案外いいかもしれない。
ほっと一息ついた時に何故か置いてあった雑巾に足を取られて転びかけ慌てて本棚を掴んで(はっはー、上条さんだって不幸ばっかじゃないんだぜっ!)と心の内でガッツポーズをした時に、その本棚が倒れて漫画の生き埋めになってしまった。
つくづく不幸な上条であった。
「あっ、当麻大丈夫? ごめん、その雑巾、インデックスちゃんがこぼしちゃった牛乳をふき取ってたんだけど、しまって無くてごめん」
「はは……いい、慣れてるから……」
しかしながら落ちた漫画を片付けるは時間がかかりそうであった。
「いやぁー転校初日で遅刻ぅっ!」
「大丈夫、まだ間に合う! ……はず」
「お兄ちゃんと一緒にいれば色々トラブッた上になんかやらかして美女にでもぶつかってああああ絶対ぜぇったい間に合うわけないでしょー!?」
「その決めつけは認めたくない! っつか美女にでもぶつかるってどんなだよ!」
「ああああああああ、もうこの無自覚馬鹿っ! フラグたてまくりのもてまくりの兄貴めぇ! 私がどんな思いでお兄ちゃんの傍にいる美少女を見つめてると思ってるんだこのぶぁーか!」
「はっ!? 何言ってんだよ、上条さんの周りにいるのはとんでもない奴ばっかだぞ!?」
「そのとんでもない奴がびしょーじょじゃないのよ! お兄ちゃんのばかばかっばかぁ! お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんですぅ!」
「何なんだよそれは!ああもーふこ――」
「お兄ちゃん、不幸?」
「――――っ!?」
「私と会っちゃって不幸ですか」
「あ、いや、その、違う、けど――」
「ごめんなさい?」
もはや何も言えず、涙目のまま走り続ける上条当麻只今高校生。
二人は並んで走っていた。
しかしながら、天花の体力が半端ではない。上条の全速力に追い付いている。それも息一つ乱さずに。
「もうまどっろこしいなぁっ! ちょ、当麻飛ぼうよ!」
「は、へ、ええええっ?」
いきなり不思議なことを言い出したかと思うと、上条の腕を何か不思議な器具で掴んで空に飛びあがった。
「え、何なんだっ!」
「ええー? 私の能力はレベル3の『空中散歩(スカイフライ)』、二人ぐらいなら私が手を繋いでれば同時に空を歩けるの! でも、お兄ちゃんは能力効かないから特殊な重さを感じない器具で持ち上げてるってわけ。ついたよ」
ぶふはぁ、と地面に向かって急速に落ちていく。その落下速度に上条は青ざめざるをえない。
冷や汗が頬を伝う。ふと天花の方を見た。そう、ただふと見ただけだった。何の他意もなかったと明記しておこう。
「当麻?」
彼女の方が高い位置にある所為でもあって、見慣れた学校の制服のスカートがめくれて、白い下着が覗いている。
顔が急速に赤くなる。
スカート、スカートが! と叫ぶ上条に、初めて気が付いたのか天花が、「あ……」と呟く。
もう地面にはかなり近づいていたのだが、集中力が切れたのか。一応少しゆっくりだった速度が、自由落下に切り替わる。
しかしすぐに立ち上がると、今度は天花が顔を真っ赤にして上条を見た。あわててあらぬ方向を見やる上条。
天花は無理矢理笑うと、「おっ……お兄ちゃんにみられた、って平気だよっ! ほ、ほら行こ!」と、頑張っている。
しかし、顔は完全にひきつっていた。けれども遅刻しそうなのは事実なのでその言葉に従っておく。
「あああー職員室ぅっ! どこぉ、月詠先生とか言う先生もどこーっ!」
頭を抱えてわめく天花を見て、上条は頭に疑問符を浮かべた。
「ん? ……え、天花、お前……俺と同じクラスなの?」
「えー? 多分。あ、職員室ここっ!? じゃあね、お兄ちゃん!」
「あ、あぁ……じゃーな」
だだだだっ! と駆けて行く彼女を見つめて当麻は思った。
つまり。
「竜巻が……通り過ぎた」
これから学校生活が波乱に満ちていきそうだとそんな事を適当に考えていた。
「大丈夫、まだ間に合う! ……はず」
「お兄ちゃんと一緒にいれば色々トラブッた上になんかやらかして美女にでもぶつかってああああ絶対ぜぇったい間に合うわけないでしょー!?」
「その決めつけは認めたくない! っつか美女にでもぶつかるってどんなだよ!」
「ああああああああ、もうこの無自覚馬鹿っ! フラグたてまくりのもてまくりの兄貴めぇ! 私がどんな思いでお兄ちゃんの傍にいる美少女を見つめてると思ってるんだこのぶぁーか!」
「はっ!? 何言ってんだよ、上条さんの周りにいるのはとんでもない奴ばっかだぞ!?」
「そのとんでもない奴がびしょーじょじゃないのよ! お兄ちゃんのばかばかっばかぁ! お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんですぅ!」
「何なんだよそれは!ああもーふこ――」
「お兄ちゃん、不幸?」
「――――っ!?」
「私と会っちゃって不幸ですか」
「あ、いや、その、違う、けど――」
「ごめんなさい?」
もはや何も言えず、涙目のまま走り続ける上条当麻只今高校生。
二人は並んで走っていた。
しかしながら、天花の体力が半端ではない。上条の全速力に追い付いている。それも息一つ乱さずに。
「もうまどっろこしいなぁっ! ちょ、当麻飛ぼうよ!」
「は、へ、ええええっ?」
いきなり不思議なことを言い出したかと思うと、上条の腕を何か不思議な器具で掴んで空に飛びあがった。
「え、何なんだっ!」
「ええー? 私の能力はレベル3の『空中散歩(スカイフライ)』、二人ぐらいなら私が手を繋いでれば同時に空を歩けるの! でも、お兄ちゃんは能力効かないから特殊な重さを感じない器具で持ち上げてるってわけ。ついたよ」
ぶふはぁ、と地面に向かって急速に落ちていく。その落下速度に上条は青ざめざるをえない。
冷や汗が頬を伝う。ふと天花の方を見た。そう、ただふと見ただけだった。何の他意もなかったと明記しておこう。
「当麻?」
彼女の方が高い位置にある所為でもあって、見慣れた学校の制服のスカートがめくれて、白い下着が覗いている。
顔が急速に赤くなる。
スカート、スカートが! と叫ぶ上条に、初めて気が付いたのか天花が、「あ……」と呟く。
もう地面にはかなり近づいていたのだが、集中力が切れたのか。一応少しゆっくりだった速度が、自由落下に切り替わる。
しかしすぐに立ち上がると、今度は天花が顔を真っ赤にして上条を見た。あわててあらぬ方向を見やる上条。
天花は無理矢理笑うと、「おっ……お兄ちゃんにみられた、って平気だよっ! ほ、ほら行こ!」と、頑張っている。
しかし、顔は完全にひきつっていた。けれども遅刻しそうなのは事実なのでその言葉に従っておく。
「あああー職員室ぅっ! どこぉ、月詠先生とか言う先生もどこーっ!」
頭を抱えてわめく天花を見て、上条は頭に疑問符を浮かべた。
「ん? ……え、天花、お前……俺と同じクラスなの?」
「えー? 多分。あ、職員室ここっ!? じゃあね、お兄ちゃん!」
「あ、あぁ……じゃーな」
だだだだっ! と駆けて行く彼女を見つめて当麻は思った。
つまり。
「竜巻が……通り過ぎた」
これから学校生活が波乱に満ちていきそうだとそんな事を適当に考えていた。
「ええーっと、今日は、なぜか転校生がまた来たのでー……」
「せんせー、このクラス転校生多いっすー」
「も、元々人数が少なめなのですよ! では、今回の転校生さんも女の子ですー。残念でしたこねこちゃん、おめでとう野郎どもー。では、入ってくるですよ」
がらがらドアを開けて入ってきた少女は、地面に足がついていなかった。
「……天花、ちゃん?」
「幽霊や!幽霊の転校生やっ!」
「いえいえ違いますえと、そこの青い髪にピアスつけたヒト。えーっと私の名前は上条天花です。よろしくお願いします」
おしとやかににこやかに自己紹介を済ませる。名字で皆さん、「?」となったようだが同性の人間と言う事で肩をつけたようだと上条が胸をなでおろした、ら。
「じゃぁ、天花ちゃんは上条ちゃんの隣でいいですかぁ?」
「せんせ、ボクのとなりあいてます!」
「いえいえ、開いてません。嘘はやめてください。では、上条ちゃんの隣に行って下さいー」
上条は嵐が来ることを覚悟することにした。
「せんせー、このクラス転校生多いっすー」
「も、元々人数が少なめなのですよ! では、今回の転校生さんも女の子ですー。残念でしたこねこちゃん、おめでとう野郎どもー。では、入ってくるですよ」
がらがらドアを開けて入ってきた少女は、地面に足がついていなかった。
「……天花、ちゃん?」
「幽霊や!幽霊の転校生やっ!」
「いえいえ違いますえと、そこの青い髪にピアスつけたヒト。えーっと私の名前は上条天花です。よろしくお願いします」
おしとやかににこやかに自己紹介を済ませる。名字で皆さん、「?」となったようだが同性の人間と言う事で肩をつけたようだと上条が胸をなでおろした、ら。
「じゃぁ、天花ちゃんは上条ちゃんの隣でいいですかぁ?」
「せんせ、ボクのとなりあいてます!」
「いえいえ、開いてません。嘘はやめてください。では、上条ちゃんの隣に行って下さいー」
上条は嵐が来ることを覚悟することにした。