「お・は・よ」
「ん……?」
上条はその声に開けた目を、左手でごしごしこすった。
「て……んげぇええ!?」
「るっさいな。お兄ちゃんてばもっと静かに目覚められないの?」
ちょっと顔が近い位で……などとぶつぶつ言ってるが、ちょっとどころではない。
ほとんど顔がくっつく位置だ。もしちょっと揺れでもしたら、…………、うん。
「あぁあもう。妹らしくしてみようと思ったのに、ほら、当麻。早く食べなくちゃ遅刻しちゃうよ」
インデックスが天花の後ろでご飯を持ったままうろうろしていた。
上条の視線に気づくと、なぜか睨んできた。
それからふいと視線を逸らす。どういう事だろうか。
「インデックスちゃんたら照れ屋さんねぇ。そんなんなるなら、『私だけ見て当麻』とでも言わないと」
「へっ!?? べっ、別にそんなんじゃないもん! とうまご飯!」
あーはいはいと溜息交じりに上条は立ち上がった。ついでに着替える為に二人を追い出す。
どうも天花といると調子が狂う。楽しいからいいかと息をついた。
ドアを開けると、インデックスが立っていた。
何故か、不安そうに見えた。緑色の瞳が、上条を真っ直ぐに見つめる。何かを言いたそうに言いにくそうに口を何度か開閉させるのを見て、上条の方から質問する。
「どうしたんだよ?」
「……てんげは、おかしいんだよ」
「へ? 何が」
おかしい、と言っても、上条の周りにはぶっ飛んだ知り合いが多すぎるせいか、普通に見える。
けれど、まだ子供とはいえ同性であるインデックスには違う風に映るのかもしれない。
「だって、一昨日も、昨日も。一睡もしてないみたいなのに、全然眠くなさそうなんだよ? ベット、てんげが寝た感触なかった。なのに、むしろ、昨日よりも元気かも」
放たれた言葉は、予想と全く違うものだった。
その意味を飲み込むのに数秒かかり、分かった後は、疑問符が頭を埋め尽くす。
「寝てない?」
頷くのを見て、さらに不可解な表情になる。寝ないですむ。
それが能力とでもいうなら別だが、彼女の能力は空中散歩の筈。寝ないで平気というのは異常だと思うのだが。
「ふーたーりーとーも。冷めるよ?」
「あああ、たべるーっ!」
とりあえずその疑問は置いておくことに決めた当麻は、天花が、その話を聞いていたことに気づかなかった。
そして、悲しそうな顔をしていた事も。
「ん……?」
上条はその声に開けた目を、左手でごしごしこすった。
「て……んげぇええ!?」
「るっさいな。お兄ちゃんてばもっと静かに目覚められないの?」
ちょっと顔が近い位で……などとぶつぶつ言ってるが、ちょっとどころではない。
ほとんど顔がくっつく位置だ。もしちょっと揺れでもしたら、…………、うん。
「あぁあもう。妹らしくしてみようと思ったのに、ほら、当麻。早く食べなくちゃ遅刻しちゃうよ」
インデックスが天花の後ろでご飯を持ったままうろうろしていた。
上条の視線に気づくと、なぜか睨んできた。
それからふいと視線を逸らす。どういう事だろうか。
「インデックスちゃんたら照れ屋さんねぇ。そんなんなるなら、『私だけ見て当麻』とでも言わないと」
「へっ!?? べっ、別にそんなんじゃないもん! とうまご飯!」
あーはいはいと溜息交じりに上条は立ち上がった。ついでに着替える為に二人を追い出す。
どうも天花といると調子が狂う。楽しいからいいかと息をついた。
ドアを開けると、インデックスが立っていた。
何故か、不安そうに見えた。緑色の瞳が、上条を真っ直ぐに見つめる。何かを言いたそうに言いにくそうに口を何度か開閉させるのを見て、上条の方から質問する。
「どうしたんだよ?」
「……てんげは、おかしいんだよ」
「へ? 何が」
おかしい、と言っても、上条の周りにはぶっ飛んだ知り合いが多すぎるせいか、普通に見える。
けれど、まだ子供とはいえ同性であるインデックスには違う風に映るのかもしれない。
「だって、一昨日も、昨日も。一睡もしてないみたいなのに、全然眠くなさそうなんだよ? ベット、てんげが寝た感触なかった。なのに、むしろ、昨日よりも元気かも」
放たれた言葉は、予想と全く違うものだった。
その意味を飲み込むのに数秒かかり、分かった後は、疑問符が頭を埋め尽くす。
「寝てない?」
頷くのを見て、さらに不可解な表情になる。寝ないですむ。
それが能力とでもいうなら別だが、彼女の能力は空中散歩の筈。寝ないで平気というのは異常だと思うのだが。
「ふーたーりーとーも。冷めるよ?」
「あああ、たべるーっ!」
とりあえずその疑問は置いておくことに決めた当麻は、天花が、その話を聞いていたことに気づかなかった。
そして、悲しそうな顔をしていた事も。
「秋沙ちゃああん!」
「いきなり。飛びつくのは。心臓に悪いかも」
「上条当麻、またこの子と一緒に来たわけ?」
学校へ着くなりクラスメイトに飛びついた義妹。
しかし、姫神はそれなりに楽しそうに見える。またひどいことになりそうなので吹寄はスルー。
「せーりちゃんもおはよう。ふーん、かみじょ……当麻のこと、好きじゃないのか」
ならそれは安心。と呟く天花に姫神も呟く。
「そろそろ。離れて」
「やだ」
にべもない。しかし離れる気がないというならこのままくっついて授業を受けるのだろうか。
さすがにそれは嫌だなと考えていると、天花が囁きかけた。
「けど、貴方は好きだよね?」
「……!?」
「ねぇ、当麻の事見ててあげてね。当たって砕けろなんて言わない。でも、見ていてあげて」
「天花さんは。どうして」
答えずに、天花は昨日と同じに綺麗に笑った。
「いきなり。飛びつくのは。心臓に悪いかも」
「上条当麻、またこの子と一緒に来たわけ?」
学校へ着くなりクラスメイトに飛びついた義妹。
しかし、姫神はそれなりに楽しそうに見える。またひどいことになりそうなので吹寄はスルー。
「せーりちゃんもおはよう。ふーん、かみじょ……当麻のこと、好きじゃないのか」
ならそれは安心。と呟く天花に姫神も呟く。
「そろそろ。離れて」
「やだ」
にべもない。しかし離れる気がないというならこのままくっついて授業を受けるのだろうか。
さすがにそれは嫌だなと考えていると、天花が囁きかけた。
「けど、貴方は好きだよね?」
「……!?」
「ねぇ、当麻の事見ててあげてね。当たって砕けろなんて言わない。でも、見ていてあげて」
「天花さんは。どうして」
答えずに、天花は昨日と同じに綺麗に笑った。
「当麻、先帰ってるね!」
「……しっかし天花ちゃんってお兄ちゃんの事好きやなぁ」
「これのどこがいいのかにゃー……?」
上条をドつきまわした二人は、当の本人そっちのけで話していた。
窓から走っている天花を見つめながら。
「これ言うな土御門」
「あれ? 門の向こうに居る女の子って……」
土御門が窓の向こうを眺めて呟く。青髪ピアスと当麻は同時に校門を見た。
「あーっ! カミやんとデートしてた子や―っ!」
「え、御坂?」
御坂と天花は何事かを話し、それから歩き始めた。
御坂の方はカチコチなのだが、天花は何も気負ってないようで、ふわふわと歩いている。
「どうして、二人が?」
義妹の不可解な行動は続いていた。
いつの間にか土御門が消えていることに気づかず。
「これのどこがいいのかにゃー……?」
上条をドつきまわした二人は、当の本人そっちのけで話していた。
窓から走っている天花を見つめながら。
「これ言うな土御門」
「あれ? 門の向こうに居る女の子って……」
土御門が窓の向こうを眺めて呟く。青髪ピアスと当麻は同時に校門を見た。
「あーっ! カミやんとデートしてた子や―っ!」
「え、御坂?」
御坂と天花は何事かを話し、それから歩き始めた。
御坂の方はカチコチなのだが、天花は何も気負ってないようで、ふわふわと歩いている。
「どうして、二人が?」
義妹の不可解な行動は続いていた。
いつの間にか土御門が消えていることに気づかず。