とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 5-638

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匿名ユーザー

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「てんげ」
「なぁに?」
 今インデックスと天花は、膝を突き合わせてお喋りタイム。
 むしろ……。

 お説教タイム☆

「今日こそは寝てもらうんだよ!」
「んなこと言われてもなぁ……」
 今日も今日とて夜の街を徘徊させてほしいのだが。
 それに、寝っ転がったところで眠れはしないのだし、別にいいではないか。
 と頬を引っ掻いてると、真面目に聞くっ! 、と怒鳴られた。インデックスちゃんのバーカ、と心の中のみで呟く天花。
「だって、ずっと寝てないもん。それじゃ、てんげが倒れちゃうよ!」
「あー、うん」
「体は大事にするんだよ! 全く、てんげは……」
 真剣に体のことを心配してくれるインデックスに、天花は少し、苦笑してしまった。
 実の父や母は、天花の事など何にも考えずに捨ててしまったというのに、血の繋がりも何もない、両親よりずっと幼い少女が、自分の事を考えてくれるという事実に。
「インデックスちゃん」
「あ、別にインデックスでも構わないよ」
「じゃあインデックス」
「なあに?」
「ありがと……」
 そういって、小さな少女を抱きしめた。初めて、誰かと強く触れ合ったような気がする。
 ――天花には、昔から友達はいなかった。ずっと、一人ぼっちのような気がしていた。
 でも、幸せだった。
「てんげ?」
「ねぇ、ごめんね。私は、貴女の為に何かをしてあげる事はきっとできない」
「別に、何もしなくていいんだよ。ただ、てんげは、此処にいてくれる?」
 インデックスにとって、天花は友達と言うよりも、家族だった。優しい姉のような存在で。
 それは家族を知らないインデックスにとって、大切な存在であるという事。
「うん……ごめんね、ありがと」




 やはり、今日も結局夜の街に出る事にした。
「土御門さん。別に気にしなくていーよって、まさかこれからお仕事?」
「……」
「ちんもくはこーていってね。じゃぁね、がんばって」
 ふらふらと歩いていると、昼間話した茶髪の少女と、クラスメイトの黒髪の長い少女を発見。
 少々迷ったが、茶髪の少女が二人いたのでそっちを選ぶ。
「えーと美琴ちゃん?」
「あっ……えっと、アンタ」
「それと、多分、一〇〇三二号ちゃん?」
「はい、とミサカは肯定します。こんにちは、し――」
「何? アンタ、こいつと――」
「天花」
 くっと押し黙るともう一度御坂妹に美琴は聞き直した。
「天花と、知り合いなわけ?」
「ええ、とミサカは肯定を繰り返します」
「あ、ミサカちゃん、私は天花でいいから」
「そうですか、とミサカはゆっくりうなずきました」
 おいていかれている美琴は眉根に皺をよせる。
「あんた達、どういう知り合い」
「「同じ病院で過ごしていたもので」、とミサカはきわめて簡潔に答えました」
 御坂妹と天花のセリフが被った。
 二人は顔を見合わせる。天花が吹き出し、御坂妹は頷いた。
 そのきわめて打ち解けた様子に、美琴もくすりと笑う。
 そして、彼女達の言葉の意味にふと引っかかった。
「……病院?」
「あーっあっとぉ……ちょ、ミサカ、ちゃんちょっといーい」
 くぃっと御坂妹を引っ張って、小声で話し始めた。
「あのぉ、詳しい事は伏せておきたいんだけど」
「何故ですか? とミサカは疑問を口に出してみます」
「まぁ、いろいろ。うん。そーだ、ねぇ」
 にやあ、とすごく楽しそうに天花は笑うと。
 御坂妹にとって、爆弾発言をかます。
「――当麻の事、好き?」
「……なぜそんななことをきくのですか、とミサカは動揺を押し隠して質問します」
「ちょっと、何話してんの」
「へぇ。頑張って」
 そう呟くと、天花は夜の町に去って行った。
 去り際に何かを呟いたが、それは御坂妹にも美琴にも良く分からなかった。
「何だったの、あれ」
「さあ、とミサカはいまだ収まらぬ動悸を必死に鎮めながら答えました」

 ――誰が彼を好きでも、私は彼が誰を好きかを想うでしょう――





「おはよう、インデックス」
「とうま。てんげは」
「――書き置きがあった。ご飯も作ってってくれたけど」
 書き置きを取ると。インデックスに見せる。
『インデックス、当麻
 私、先に学校にいってるね。
 ちょっと、しておきたいことがあったから、さ』
 天花らしい書き置きだ。
 でも、ちょっとおかしな心地がするのは、上条だけなのだろうか。


 その、一時間前……。
 天花はひっそり帰って来て、料理を作りはじめた。
 出来たから、インデックス達を起こそうとして……ふらり、と倒れかける。
「……っ!」
 慌てて、ガラステーブルにぶつからないように、腕を伸ばすが倒れこむ。
 心臓がバクバクとなり出して、収まらない。指先が震える。
 目は見開かれて、現実世界の全てを見る事が出来なくなってしまった。
 体が熱い。太陽に直接焼かれたみたいだ。今日は涼しいくらいだというのに、こめかみのあたりを汗が流れおちていく。
 そして、しばらくたった後。
「こんな、はやく――起きるなんて」
 こうしてはいられない。発作が起こるところを見られないように、当麻となるべく離れていなければならない。
 インデックスもだ。そこまで思って、泣きたいような顔で笑った。
 当麻に会いたいがためにここに来たのに、当麻と離れなければならないとは、何と皮肉な巡り合わせなのだろうと、思ってしまう。
「当麻。ねぇ、ちょっとだけ。今日で――四日目、だよね。あと少しだけだから」
 私の我儘を聞いて下さい。
 そして、叶うならば。
 ――私が貴方に迷惑をかけることをお許しください。


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