とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 5-685

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匿名ユーザー

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「……不幸だ」
上条当麻はいつもの口癖を呟いた。
また例によって、彼の不幸体質が招いた不幸にげんなりしていた。
しかし、今の彼の状況を見てこれが不幸と賛同してくれる者はどのくらいいるだろうか?
「ねぇ~♪ とうみゃ~、とうみゃ~♪」
彼の傍らには、彼の名前を甘い声で呼び、人目も憚らず上条にピッタリくっ付いて、好き好きオーラを出しまくっている少女・御坂美琴の姿が。
偶然にも公園で見かけた美琴に声をかけたところ、何故か現在のこのような状況に至っている。
どうも自販機で販売されている実験試作品の怪しいジュースを飲んだ影響で彼女はこのような状態、例えるなら酔っぱらっているような感じになったらしい。
理由はわからないが、この酔いどれ御坂さんは上条さんの事がエラくお気に入りらしく、ピッタリガッチリくっ付いて放してくれません。
とはいえ、これはまだマシな方と言ってもいいくらいで、この酔っぱらいはやたらと上条さんにキスをしてきたり、耳朶噛んだり舐めたり、果ては襲われかけたりと非常に危険な行為を上条さんにしてきます。
しかもこんな時に限ってやたらと知り合いと遭遇し、その現場をバッチリ見られたりもして、現在逃亡生活を余儀なくされている。
そんなわけで、酔いどれ美琴の手を引き、人込みを避けて逃げていたはずなのだが、
「何故にこんな所に来てるかな……」
何故か人で溢れ返っている地下街へと来てしまっていた。
「……不幸だ」
「ねぇねぇ、とうみゃ~♪」
苦悩している上条さんとは対称的に、嬉しそう&楽しそうな様子の美琴さん。
今の彼女にとって現在のこの状況は、上条とデートしているような状況なのだろう。
相変わらず上条の腕をガッチリ取って、ピッタリとくっ付いている。
「あー、なんだ、みさ……じゃなくって、美琴」
「あしょこいこう~♪」
美琴が指差す先には、結構大きなゲームセンターが。
「ゲームセンター?」
「うん~♪ げーむしぇんたー~♪」
美琴はゲーセンに行きたいようだが、正直なところ上条さんはさっさとこの場を去りたいのが本音だ。
特にこういった場所は、クラスの男子陣と出くわす可能性がきわめて高そうなので、できれば避けたいところなのだが、
「……だめ?」
美琴に小動物チックな視線を向けられてそう言われては、ダメとは言えなくなった。


「……で、何するんだ?」
「んとね……あれ~♪」
美琴が指差す先には、以前インデックス&風斬と一緒にやったプリクラの機械が。
「……プリクラ?」
「うん~♪ とうみゃといっしょにとりたいとおもってたんだ~♪」
「あー、左様ですか……で、どれにするんだ? ここのゲーセンは結構種類がいっぱいあるみたいだけど……?」
店内にはプリクラの機械が何台も設置されており、その種類はかなり豊富だった。
「んとね、しょのまえにあしょこにいこう~♪」
「ん、まだ何かあるのか?」
美琴が行こうとしている方に視線を向けると、そこにはコスプレの貸し衣装部屋が。
上条さんに嫌な記憶を思い出させます……。
「……コスプレするのか?」
「うん~♪ こしゅぷれしゅるの~♪」
美琴さんは嬉しそうに言います。
「あー、じゃあ好きな衣装選んでこいよ。俺、ここで待ってるから」
上条がそう言うと、
「にゃにいってるの、とうみゃもいくんだよ~♪」
と言って美琴は上条の手をガッチリ取る。
「……はい?」
一瞬何を言っているのか分からなかったが、美琴は宣言通り上条の手を引いて衣装部屋へと行こうとする。
「ちょ、待て待て待てー! 俺はコスプレなんかしないぞ!」
「うん、べつにとうみゃはこしゅぷれしなくてもいいよ~♪」
「はぁ!? じゃあなんで俺も行かなきゃならないんだよ?」
「なんでって、それはもちろん、とうみゃにわたしがきるいしょうをきめてもりゃうためだよ~♪」
美琴は然も当然のごとくそう口にし、上条を衣装部屋へと引き連れて行く。
できればというか、正直御免被りたかったが、そんな意見はあっさり却下された。


というわけで、コスプレ衣装を選ぶため衣装部屋にやってきたわけなのだが、
「なんだ、このカオスっぷりは……」
なかなか豊富にコスプレ衣装を取り揃えている。
以前インデックスと風斬が着ていたカナミンの衣装はもちろんの事、こんなの着ろうとする奴いるのだろうかというようなモノまであり、その脅威の品揃えに上条は驚きを通り越して呆れ果てる。
「うわっ、堕天使エロメイドまでありやがりますよ……」
過去のトラウマを呼び覚ます衣装までも発見。
ここは本当にゲーセンの衣装部屋なのか?と疑いそうだ。
この中から衣装を選んでくれと言われても……。
とりあえず適当に選ぶ振りをして、美琴が自分で選んだ衣装を持ってきたら、それを着させようと考えた。
「とうみゃ~♪ なにかきてほしいふきゅあった~♪」
しばらくして、いくつかの衣装を手にした美琴が大きな声をかけながら、上条の元に駆け寄ってきた。
というか、ここでそんな事を大きな声で言ってはいけません……。
誰かに聞かれたら、絶対に上条さんは危ない人だと思われてしまいます。
「はぁー……」
「うにゅ? どうかしたの、とうみゃ?」
大きく溜め息をついている上条を不思議そうな顔で見つめる。
酔いどれ美琴さんに説明したところで意味のない事はこれまでの経験から理解しているので、何も言わなかった。
「……なんでもない……」
「しょう? で、とうみゃはにゃにかえらんでくれた?」
「いや……」
「えー」
「まあいいじゃないか。美琴も結構いっぱい選んだみたいだし。あんまり多いと全部着れないだろう? あんまりここで時間を食うわけにもいかないし……」
「うーん……まあ、たしかにしょうだけど……しょうがないか……」
少々不服そうではあるが、とりあえずは納得してくれたようだ。
「じゃあ俺外で待ってるから、着替えて……」
一応お役目終了という事で、衣装部屋を出よう美琴に背を向けると、ガシッと肩を掴まれる。
「どこいくの、とうみゃ。まだおわってないよ」
「……はい?」
「このなかからどれにするか、とうみゃにみてもらってきめるんだから」
「いや、だから外で待って……」
何やら嫌な予感がしてきた。
一応一つの答えに辿りついてはいたが、正直この答えは外れていてほしいと思った。
しかし、
「いっしょにしちゃくしつにいこうね~♪」
現実とは残酷なもので、こういうときの上条の予想は当たっていた。

その後、二人は一緒に試着室に入る入らないで揉める事になるが、上条が酔いどれ美琴に勝てるはずもなく、結局美琴の生着替えを見せられる事になるのだった……。

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