とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 5-692

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匿名ユーザー

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「……何か、変だな」
 昼休み――、ご飯を食べおえた後、上条はポツリとつぶやいた。
 その呟きを聞いた吹寄が足を止めて、不思議そうに上条を見つめた。
「変って、何が」
「天花が。おれを避けてるみたいだなぁ、と」
 いつもなら、お弁当を一緒に食べて、(見せつけ)ついでに恋人っぽく『はい、あーん』をやらされそうになったりやらされたり(口を開けた瞬間に放り込まれた)後ろから抱きつかれたりするわけなのだが。
 一度も喋ってないどころか、会ってもいない。見かけて、声をかける前にさささっと消えてしまうので、どうしたのだと聞く事も出来ない。
「上条当麻、何やらかしたの、覚えがないと言うなら記憶力ね新発売のウィスキーの香りのするチョコでも食べておきなさい海馬の血流量があがるわよ」
 ぐいぐいと押しつけられるチョコを振り払いつつ、何かしたかどうかを考えてみる。
 ――覚えがない。
 その話題に興味を持ったのか、姫神が近寄って来た。
「たしかに。今日の彼女は。おかしいと思う」
「そうかしら?」
「上条君だけじゃなく。私達の事も避けてるみたい」
「そうなのか?」
 姫神が頷くのを見ながら、上条は仮説を立ててみる。
 誰かが何かしたのではなく、天花自身に問題があるので、あまり人に近寄りたくない、という仮説。
「それは。あり得るかも。彼女。どこか変だし」
「おかしな気はするわね」
「まぁ、少しくらい話できるだろーし、その時に聞けばいいか」
 さすがに夕飯の時間まで上条を避ける事は無いだろうし、天花だって別にそこまでするわけでもないだろう。



「み・こ・と、ちゃーん!」
「へ? あ、あアンタ、天花、だっけ」
 いきなり抱きつかれたので、白井黒子かと一瞬ひやりとしたのだが取り越し苦労だったみたいだ。
 この人懐っこい少女はその奇怪な行動故にちょっと苦手だから、ひやりとしたのは正しいかもしれないが。
「じゃあね」
「ちょっと待ちなさい、それは無いでしょ」
 すぐさま何処かへ行こうとした天花を捕まえる。
 いきなり現れてバイバイってのはちょっとない。用もないのになぜ話しかける。
 なんでだよ、はなせーとか好き勝手言っている天花には、なぜか焦りのようなものがあった。
 いっっつも悠然と構えてる天花らしくない表情。それに疑問を覚えた美琴は、彼女の事情を聞き終えるまで手を離すつもりはさらさらなかった。
「何焦ってんの?」
 疑問を口にした瞬間、天花から表情が落ちた。
 真顔、いや、いっそ能面のような顔に、一歩引く。
「――焦んなきゃやってられないよ。私、もう少ししたら此処から出ていかなくちゃいけないんだから」
「学園都市から? なんで?」
「色々。だから、ズルイ。どうして、インデックスは美琴ちゃんはミサカちゃんは秋沙ちゃんは当麻の傍に居られるの、その幸運に気づきもしないで……。ズルイ。でも」
 天花は苦笑を浮かべた。それは彼女らしくない、と美琴は思った。
「でも?」
「私は、貴女も、他の皆も、何より当麻が大好きだよ」




「てんげ、てんげ」
「インデックス?」
 ご飯はまだだよ? と言うと、違う、と彼女は首を振った。
「今日は久しぶりに何処かに食べに行こうかって、話してたんだよ」
「あら。まだ作る前だし……お兄ちゃんが返ってくるのも時間かかりそうだし、お菓子作ろうかな」
 どうせなら一緒に作りましょうとインデックスへ現代知識を教えてやろうと画策する。
 しばらく、黙々と作業していてふと天花が顔を上げた。
 それに気づいたインデックスが不思議に思って彼女を見上げる。
「どうしたの?」
「ね、もしさ、世界が一週間後に消えちゃうとしたらどうする?」
 いきなりされた質問に、インデックスは迷って、口を開く。
「多分、普段と同じように過ごすよ。私には会いたい人がいないから、最後までとうまと一緒にいられたらいいな。天花は?」
「うーん。私も、お兄ちゃんと一緒にいられればいいや。それと、インデックスともね」
 そう言って、銀髪の頭を両手ではさみこんだ。インデックスははにかんだような微笑みを浮かべた。
 天花はインデックスの事をギュッと抱きしめる。
「大切な妹だもの、私にとって。ねぇ、私の事インデックスは覚えててくれる?」
「当然なんだよ? 私は、絶対に何も忘れないんだから」
 二人は笑って、お菓子作りを再開する。
 電子レンジに入れてチンした後、上条が帰ってきた。
「おかえり、お兄ちゃん」
「あ。天花、今日どうしたんだ?」
「そうだ、私も聞きたかったかも。なんで一人で先行っちゃったの?」
「したいことがあったから。あ、どこか行くのよね?」 
 はぐらかすような答えを告げて、質問する。
 こうなったらきっと答えないに違いないと思った上条は諦めて、最近見つけた安めのおいしいお店の名を言う。


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