【名前】ビッグス=フォー=カラミズム
【性別】男
【所属】魔術
【能力】『首切り創造神(デカピタドール)』、『月の神光(ワカ・デ・ラ・ルナ)』、『神殿更新』、『影鰐』。
【能力説明】
主にアンデス信仰に関わる魔術を操る。所属する魔術結社の特徴から最近日本の地方伝承から新たな魔術を習得した。


  • 『首切り創造神(デカピタドール)』
モチェ文化における主神にして創造神アイ・アパエックの伝承を基にした魔術。アイは首切り神デカピタドールでもあったと伝えられている。
アイ・アパエックはとある最高神を除きありとあらゆる神を駆逐した逸話を持つ。この性質から『神殺し』の特性を有しており、伝承上『神』を魔術的記号としている魔術・霊装に効果を発揮する。
特にモチェ神話に登場する主な神々が動物(伝承上の動物含む)と融合したもしくは動物そのものの姿だった事もあり、動物が関連する神話魔術・霊装には絶大な効果を発揮する。
『ツミ』と呼ばれる首切り用の大きなナイフ型霊装によって切り付けられた者に体内を巡る血液に枯渇という罰を与え、時間を経る毎に血液量を減少させる他、首付近に限定してだが少しでも首に傷が付けられた生物は即死する。
他にも人々が雨乞いをする神がアイだった事もあって水属性の魔術を操れる。弱点は月に関連した魔術・霊装。創造神であるアイに取って代わった最高神に纏わる伝承に基づく弱点である。

  • 『月の神光(ワカ・デ・ラ・ルナ)』
モチェ文化における主神にして創造神アイ・アパエックに取って代わった無銘の最高神シの伝承に基づく魔術。
月神の原型と称される原初の月の神であり、光輝く鎧を着た最高神シが創造神アイ・アパエックの上に立った伝承が残されている。起源が無銘でありながら自然の力、嵐、暦を操り、神々を支配したとされる。
太陽とは異なり月は昼でも夜でも見れらる事から現地信仰では太陽より月の方が強力であるという解釈が為されている。この事から伝承上『太陽』や『火』を魔術的記号としている魔術・霊装に強大な抑制効果を発揮する。
大本の魔術名と同じ銘であり、シが着用したとされる銀色の鎧型霊装『月の神鎧(ワカ・デ・ラ・ルナ)』から放たれる月の神光は『太陽』・『火』系魔術を遮断するのに重要な役割を持つ。
また、何処にでも現れるシの逸話では人間の悪事を暴く月の光について言及されている。ビッグスはこれを『月の光によって生じる影にシは干渉し、あらゆる影に自身や持てる力を潜ませ、人の魂と同義である影を用いて物事を表している』と解釈した。
モチェ信仰では夜に限らず昼にも月の光は地上に注いでいると見做されている故に、この魔術は昼夜両方で使用できる。
月の光、もしくは『月の神鎧』から放たれる光を浴びている生物の影に干渉し生物が持つ物体を含めた影を具現化し操作する。
具現化した影は生物の魂と同義である。それを傷付ければ影の主も傷付くが影の主のように魔術が使えるわけでは無い。
また、影の具現化として元の主の生命力を強制的に半分持っていかれる事もあってかなり厄介な性質を持っていると言える。
例外的にビッグスの影の具現化だけは他者のように生命力を半分持っていかれる事は無い。生物や物体の影に己の影を忍び込ませ感覚をリンクさせ諜報活動を行い、その影と自身を入れ替える事も可能としている。
無論魔術を解けば具現化した影は即消滅し自分の下へ帰って来るので使い勝手もいいが、具現化した影を傷付けられるとビッグスも傷を負うのは共通項である。

  • 『神殿更新』
アンデス文明における特徴的な神殿建築を魔術としたもの。アンデス文明において古い神殿の上に新たな神殿を建築し、新築の神殿が古くなればまたその上から新しい神殿を建てるという形式を採っていた。
神殿を発掘していくと、旧態神殿が構造をそのままに保っており時代の変化を肌で感じられるのがアンデス文明の『神殿更新』である。
ビッグスはこれを魔術として整理し、神殿を含めた建築物の上から次々に建築物を重ね掛けする技法を編み出した。
これは、旧態の建築物の魔術的記号を損なわずに新たな魔術的記号を含んだ建築物を生み出せる事を意味していた。
多種多様な文化・宗教が集う『多からなる一』の構成員がフィジー信仰を基とする霊装神殿『ハワイキ』の上で暮らす上でビッグスが齎した魔術的建築方式は、各々が信じる神々の偶像や祈りを捧げる社を建築するに当たって『ハワイキ』と相互不干渉を起こさず建てられる事からとても重宝されている。
当時の『神殿更新』では更新の度に技術革新や品質改良が為されていた事実を踏まえるこの建築魔術は、同じ種類の建築物でも重ね掛けする程にその魔術的記号を強化する特質を有する。
もっとも、これを実際に実用レベルに操れるのは現在のところビッグスのみ―『ハワイキ』の製造者イロは現在進行中でビッグスから教えを受けている―である為にビッグスは事ある毎に土木工事監督として引っ張り出されている。
その頻度は傭兵時代よろしく『ハワイキ』外で魔術師と戦闘を行う回数よりも『ハワイキ』内で土木工事を監督している回数の方が圧倒的に多い事からして凄まじく感じられるだろう。

  • 『影鰐』
島根県の伝承に登場する怪魚をモチーフにした魔術。水に映った影に影鰐をモチーフにした棘だらけの短剣『磯撫』を突き刺し影の中に『潜り込ませる』事で影の主である生物や物体を思いのままに操作する。
伝承では影を影鰐に呑み込まれた者は必ず死ぬとされているが、影魔術とはいえ日本伝承は専門外だった事もあってそこまでは再現できなかった。
『磯撫』を抜くには影を映した―『磯撫』が刺さった―元の水面に浮かぶ魔法陣を水ごと吹き飛ばすしか無い。
【概要】
元魔術結社『革命者の王冠』第三瑠璃暗躍部隊幹部、現魔術結社『多からなる一(イ・プルーリバス・ウナム)』土木工事監督。魔法名『我が死に場所は護るべき者達の影(umbra111)』。
元はフリーの魔術師。傭兵としてかつては様々な戦場にて一騎当千の働きを成し遂げていたが、ビッグスは次第に終わりの見えない争いそのものに辟易するようになり傭兵としての活動も休止するに至る。
特にビッグスが辟易していたのは、弱者達が強者達に虐げられる世の道理に対してである。幾ら己が傭兵として弱者の救済に当たってもこの道理は不変であり、時にはビッグス自身が強者側として弱小勢力を手に掛ける事もあったのが活動休止の決め手となった。
そんなビッグスが傭兵活動を再開する契機となったのは魔術結社『革命者の王冠』への加入。結社が『虐げられている者の救済』を掲げていたからである。
首領ティア=ラスター=ホルシュタインの意思に賛同したビッグスは、諜報や暗殺を目的とした第三瑠璃暗躍部隊幹部に抜擢される。部隊を統括する千人長ヘリオ=ストロップの補佐や後に新加入した、第二新緑遊撃部隊千人長ラーマと反りが合わない幹部のスザクの指導をこなすなど精力的に働いていた。

ビッグスが『革命者の王冠』から離れたのは、他ならぬ『革命者の王冠』の活動内容に徐々に違和感を覚えていった事が始まりである。
『虐げられている者の救済』を謳っておきながら、「金さえあれば善にも悪にもなる使い勝手のいい集団」という魔術業界において評されるような活動内容、
諜報活動を主任務にしているからこそ感じる、『一旦世界を滅ぼしてから作り直す』事を信条にしている『世界樹を焼き払う者』に対する異様な敵愾心、
何より首領ティアや第一紅蓮騎士部隊千人長ヘラクリーズ達が為して来た成果がまるで『様々な民族、国家間を争わせる』下拵えのような性質を帯びていたからである。
これは、そういった戦場で長らく傭兵活動をしていたビッグスだからこそ感じ取れた違和感である(ティア達のもう一つの案『人類共通の敵を創り上げ、世界中の人間を団結させる』には気付いていない)。
とはいえ、これはあくまで違和感である。そしてビッグスがティア達に事の真相を問い質せば済む話であったが、ビッグスは恐怖故にその選択肢を取らなかった。
ビッグスはいい加減疲れていた。辟易していた。自分が再び傭兵として成してきたのは、結局のところ昔と全く変わらないと痛感し無力感に苛まされた。
魔法名に刻んだ信念に悉く背く行動を取ってきたと悟ったビッグスは、それでも尚己に傭兵として再起の機会を与えてくれたティアへの恩義に報いる為に、当時『革命者の王冠』と抗争を繰り広げていた強大な魔術結社のアジトを探し出し単身奇襲を仕掛けた。
最初から死ぬ為の奇襲だったが、これは自分の信念と違う『革命者の王冠』にその一員として在籍していられなくなったビッグスが苦悩の末導き出した脱退方法であった。
ティアとヘリオに脱退の旨を記した置手紙(『我が都合によりこれより死地へ向かい『革命者の王冠』が為に敵対する者達を全て討ち滅ぼさん。首領。千人長。世話になった。これが最期の言葉となる事を許せ』)を残し、死に場所として選んだ戦場で全ての敵を討ち滅ぼすも自身も瀕死の重傷を負う。
最早性や年齢の判別も付かない程肉体を破壊し尽くされたビッグスは、微かに漏れ出る吐息の中に己の無念さを込めた言葉を混ぜながら死を待つばかりとなった。
後に首領ティアや上司のヘリオ、第四金糸雀補衛部隊千人長フェリックス=フォン=ホーエンローエ等各部隊の千人長全てが現場に到着し周辺一帯を捜索したが、存在したのはビッグスの肉体の一部と思わしき欠片のみであった。
フェリックスによってビッグスの肉体と確定した肉片はティアの『昇華術式』に反応しない事も判明した。
ビッグスの肉片は丁重に葬られ、『革命者の王冠』においてビッグス=フォー=カラミズムは多くの謎を残したまま死亡したと認識されている。

死亡したと思われたビッグスだが、実は魔術結社『多からなる一』によって救助されていた。正確には、死に場所と決めた戦場付近にて『戦闘を避ける為の』敵情視察を敢行していたイロ=コイ達の手によってビッグスは『ハワイキ』に移送された。
当時ティアの感染魔術『昇華術式』が反応しなかったのは治療の際『両性産卵』を摂取させられ『新たな人体の構築』が成された為に魔術的に元の肉体の持ち主が消滅したと判断されたのか、『ハワイキ』の認識阻害結界によって感染を阻まれたのか等の可能性が挙げられる。
ビッグスはイロ=コイ達の治療の甲斐あって命を繋ぎ止めた。しかし、自身は死を望んでいたと憤るビッグスは治療を主導したイロ=コイに己の命を救った理由を問い質した。


ビッグス=フォー=カラミズム「イロ。そなたは何故素性も知れぬ魔術師である私を救った?私は死に場所を求め、あの地を最期の戦場と定め戦っていたというのに」
イロ=コイ「蛮勇を“気取る”死にたがりは、大抵何かしらの悲愴な決意を胸に宿しておるもんじゃよ。死の間際にあぁも無念を語っておったおぬしのような人間は、わしも見過ごせんのじゃ。ビッグスとやら。今一度考えてみよ。おぬしがどのような想いを魔法名に刻み、『革命者の王冠』の元一員として…魔術師として今まで生きてきたのかを」


『革命者の王冠』の元一員という素性はバレていたが、今や脱退した身であると明言したビッグスをイロは殊更追及しなかった。
『多からなる一』に所属するメンバーの中には、複雑な事情を抱える理由ありな魔術師もいたからである。
列強国の侵略や大きな宗教の伝播、政治的な文化破壊などと言った理由から滅ぶ危険性を孕んだ、その土地固有の風習や古くからの伝統を守る事を主な目的としている『多からなる一』は、奇しくも『革命者の王冠』が掲げる理念と非常に類似するものであった。
『多からなる一』に迎えられたビッグスは、まずは傭兵として活動するよりも『多からなる一』に集った様々な民族&宗教文化に触れる事で今一度己を捉え直す事にした。
流浪の傭兵集団『革命者の王冠』に在籍していた頃には終ぞ発揮する事が無かった魔術『神殿更新』を用いて『ハワイキ』各地に建設される多種多様な文化建築へ大いに貢献。
「土木工事のオジイサンが今日も頑張ってる」的な視線を周囲から送られる中、戦闘用として『影鰐』など新たな魔術も習得する等ビッグスは次第にかつての輝きを取り戻すに至った。
魔道書原典『カレワラ』に関わる騒動では首謀者カッレラの行動理由に『革命者の王冠』首領ティア=ラスター=ホルシュタインに似た思想を感じ取り、彼女の討伐に立候補するもイロに説得され出撃を見送った。
カッレラを食い止めた上に彼女への処分を寛大なものとした―昔己がやったように結社を裏切るような真似をした者への代償は『死』かそれに比肩する程の艱難辛苦とビッグスは考えている―イロに不信感を抱いたビッグスは、後にイロへ魔術師として何を望んでいるかを問い質す。
かつてティアにはできなかった後悔―かつての自分にそれができていれば『革命者の王冠』を離反する事も無かった…かもしれない―を再び繰り返さない決意に満ちたビッグスの真摯な問いにイロは自身の悲願を打ち明けた。
イロが語る内容、それは血を血で洗う民族&宗教『抗争』では無い融和的な『競争』による弱小派の地位向上の達成であり、その為に蛇神ンデンゲイに成る事を目指すと断言したイロはビッグスに賛否の意思確認をしなかった。
拒否されても貫く覚悟があり、それでも拒否される恐怖は確かに持っているであろうイロの告白に自分を重ねたビッグスは言葉として明言せず、しかし行動としてイロが目指す理想をこの目で見たいという意志を示す決意をする。
それが上手く行けば万々歳、もし上手く行かなければ命に代えても制止しイロを護る役目を請け負う、まさに『我が死に場所は護るべき者達の影(umbra111)』という魔法名通りの生き様を『多からなる一』に見出したのである。

今でも時折ここにはいない『革命者の王冠』メンバーの事を気に掛ける。信念が違ったとはいえ、自分を再起させてくれたティア達には恩義しか感じていない。
しかし、『革命者の王冠』第三瑠璃暗躍部隊幹部ビッグス=フォー=カラミズムは既に死に絶え、今在るのは『多からなる一』土木工事監督ビッグス=フォー=カラミズムとして、旧友達と抗争になれば心を鬼にして戦場へ臨む事を心に固く誓っている。
【特徴】
『革命者の王冠』時代→身長180センチ程。鍛え込まれた肉体が眩しい。南アメリカ大陸の国出身である為に色黒。黒髪をドレッドロックス状に纏め上げている。胸骨付近まで伸ばした幾本もの髪のせいで、周囲は上手く顔が判別できない。ラフな格好。ダミ声。
『多からなる一』現代→身長180センチ程。鍛え込まれた肉体が眩しい。年老いた皮膚は色白。白く染まった長髪をおさげとして先の方で一本に纏めている。燕尾服・ホワイトタイ・黒のシルクハットを身に付ける姿は正に英国風紳士。気品溢れるしなやかな声。

死の間際呟いた無念の中に自分の出で立ちについて言及した言葉を零したビッグスの願いを叶える為にイロが『両性産卵』で新たな人体を構築した際その言葉通りの姿にしてあげた。
目を開けたビッグスはビックリ仰天するも、すぐに自分の新たな姿をとても気に入った。今の姿を見て『革命者の王冠』メンバーがビッグスをビッグスと判断する事は魔術戦にでもならなければわからないだろう。
唯一不満に思ったのは年齢が50代前半であるにも関わらず新たな姿である現在の老紳士風の姿は60代後半である事。
肉体が破壊されまくっていた事もありイロにビッグスの年齢を悟れというのは無理な話であるのは承知しているので表立って不満を漏らす事は無い。
普段は土木工事の建築の傍らに剣技に関わる道場を開いていたり、イロや他の構成員と共にお茶会を開いている。
卓越した剣技を持つビッグスは、剣技に限らず道場の門を叩く構成員に長年自分が傭兵として歩んで来た技法を伝授・指導している。
また、とあるお茶会にて先日カッレラが任務のついでにお土産として買ってきた京都の茶葉がいたく気に入り、これを切欠にカッレラとの仲も雪解けに向かった。エロジジイである。
【台詞】
「ティアめ。相も変わらず際どい格好しておるな。私の鼻の下が伸びっぱなしになるばかりではないか。これはいかぬ。男共を惑わす色香は何としてでも食い止めねば。ヘリオに言って何とかし……あぁ駄目だ。あの者もティアに夜這いを仕掛ける程ゾッコンであったな。であるならば、今しばらくはティアの服装を認めるしかあるまい。うむ」
「こ、のよ…な形でし、かそなたらに…恩義を返せ、る方法を見出せなんだ。許せ…ティア。私はも、うそなた…らとは……『革命者の王冠』とは共に、居れぬ。…あぁ、一度でい…いから英国、風、の老紳士に、このダミ声から……おさらばできる気、品溢れる声を実現し、たかった……ものだ。そして……無意味に虐げられる者達を護る影でありたかったよ」
「ワッツハプン!!?私は夢でも見ているんだろうか?そうだ。これは夢だ。でなければ、夢にまで見た英国風老紳士の格好に気品豊かな声に私が成っているわけが無い!!あぁ、でも夢でもいいからもうちょっと堪能していたいな!!あぁ、やっぱりいいいぃぃ…!」
「最近私を見る皆の目が『土木工事のオジイサンが今日も頑張ってる』的な視線に染まっておるな。私も丸くなったものだ。かつては傭兵として各地の戦場を渡り歩いておったというのに。まぁ、平和が一番と思っておこう」
「こんな形で旧友と相見える事になるとはな。皆は元気にしておるか?……そうか。この姿や声ではわからぬか。では、こう言えばわかるかな。………元魔術結社『革命者の王冠』第三瑠璃暗躍部隊幹部ビッグス=フォー=カラミズムが推して参る!!」
【SS使用条件】
特になし

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最終更新:2016年01月30日 23:31