「あら、素敵じゃない? 異世界を流浪する天才ロッカー」
ACCテレビの音楽ディレクター、ライ・P・サリヴァンはしなを作りながら、典型的なオカマ口調で語る。
「素敵よロッカー、じゃんじゃんロッカー、バリバリロッカーよん」
「今時、ロックっすか?」
ADのヤマダが、肩を落としてディレクターに突っ込む。
「世界のロックファンを敵に回したわねビィームぅうぅぅっふん」
サリヴァンはADの胸を指で捏ね繰りまわした。本当にビームが出たらADは死ぬ。
出なくてもなんか寿命が減る。
サリヴァンは天才ロッカーが大延国に滞在していると聞き、
ゲートが繋がる中国の地図を開いた。
「おう! すげーとこにあんな、中国のゲート!」
思わずサリヴァンの地が出た。
いくらなんでも、政治的にも地形的にも踏破困難な地域である。
「すげーな、おい……。って、やだん、すごいわここ。まるでココよ、やぁんココがいいんじゃない? ってカンジで適当にばっしーんって決めたカンジ?」
「北極や南極よりマシっすよ。あ、マシじゃないっす」
「マシなら決定ね、ココよ。コ・コ。行きましょう。もちろん、アナタ。ア・ナ・タが行くの」
ADヤマダは駱駝みたいなおめーの方が向いてるよ、と思ったがもちろん口になどださなかった。
ヤマダは日本人である。
「顔に出てるわよ」
日本人である。
中国からカザフスタン。カザフスタンから中国。
実は、徒歩で上記の国境を通行することは外国人はできない。バックパッカー経験のあるADヤマダくんは通過できるルートをしってはいるが、ここはまず無難に中国経由で行くことにした。
時間はかかる。しかし、よほどのことがない限り政治的に足止めをくらいことはない。
苦難の道のりではあるが、ADヤマダには役得があった。
中国のゲートから続く大延国には、獣人がいる。
イコール猫耳である。
イエスネコミミ?
イエス! ネコミミ!
オーケイ! ネコミミ!
ハー○ル ネコミミ!
ADヤマダは日本人である。
あと大延国は猫人の住まう場所ではないので、ADヤマダは勘違いしている。
作者も勘違いしていた。
ゲートの前で興奮して立つADヤマダを横目に、赤い少女は人知れず引いていた。
赤い少女はノーマルでしかも純情なのだ。
ADヤマダが怖い。
これはもはや何かに刷り込まれたような忌避である。赤い少女は身を竦め、無力な小娘として震えていた。
「こ、これは私の出番はないだろうさ。か、帰る……」
誰ともなく呟いたが、中国の人波は恐ろしいのである。
ゲートを潜ろうとする中国人の人波に飲まれ、誰にも触れることのできない赤い少女は誰にも触れられないまま器用にゲートへと押し込まれていく。
ADヤマダの大荷物に紛れ込みながら……
つづく
volti subito!
駄文
つづきます。初回の江戸ロック見聞は内面的すぎるし、空振りフラワシは暗ぇーし、一気に本性のギャグパートです。
え? エロですか?
シチュエーションエッチなら任せとけダンナ!
赤い少女の名前も決めておきますね。
- ヤマダの登場SSからリンクしてきたのですが、既に赤井とは面識が? -- (名無しさん) 2012-08-22 02:25:02
- 溢れ出る若さと欲望パワーヤマダが潔い。 話のリンクのさせ方も楽しみ -- (名無しさん) 2012-10-30 18:34:06
- もし今にゲートが開いたらファンタジーメディアが好きで好きでたまらない人達にとっての理想郷に見える異世界は何としてでも行きたい場所になるんだろうなと思いました -- (ROM) 2013-03-03 19:21:48
- 勢いとテンポが小気味いいね。しかしヤマダの趣向が暴走したらギャグではすまなくなるやも -- (名無しさん) 2014-09-21 15:42:35
最終更新:2013年08月08日 00:54