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【年二回の神事】


 ある者は、その地に財の種を求める。
 ある者は、その地に新たな欲の対象を求める。
 ある者は、その地に研鑚の成果を試す為に訪れる。
 ある者は、その地に平時とは異なる自分を晒す為に訪れる。


 異界は極東の地。 ここでは年に二度、一日限りの神事が繰り広げられる。


 最初は、異界とのゲートが開き、それが日常として受け入れられるに至った00年代初頭の夏。
 どこから聞きつけて来たのか、その神事に、通事の来客とはおよそ相容れないであろう容姿の巨漢が訪れる。
 その巨漢は、祭場の総てを一人で回り、場に集う者たちの魂の結晶を目にしていった。
 ひとしきり回りきり、場を後にするとき、巨漢は言った。
「素晴らしい。 この地には異界ヒトの魂の結晶が溢れている」

 その次の神事の会場の片隅に、一つの卓が設けられた。 サークル名、「セダル・ヌダの炉」。
 販売品目は二点。 「塗装済み完成品 1/8 仙炎獣神 金羅 轟火絢爛Ver.(フルキャストオフ仕様)」「塗装済み完成品 1/8 傲撃戦神 ウルサ 神罰降臨Ver.(フルキャストオフ仕様)」各¥10,000也。
 驚愕の異界神立体化という暴挙に当初神事の祭祀達は困惑したが、最終的には「版元許諾あり」という事で妥決と相成った。
 ガイドブックのサークルカットを除く一切の宣伝・告知がないままに売り出されたそれらは、一部の目利きにのみ手に取られていったと言う。

 さらにその次の神事では、前回の品目の反響を聞きつけた参加者たちが挙って押し寄せた。
 前回販売の二品目に加えて新たに販売された「塗装済み完成品 1/8 碧海龍妃 乙姫 夏色小町Ver(キャストオフ不可)」*1も好評を博し一時は大行列となったが、
「在庫は幾らでもある。 他者の邪魔にならぬよう最後に来い」
 とのディーラー自身によるの説得で列は解散。 その言の通り、開催時間中どの機会に訪れても資金の許す限り幾らでも買えるという状況は「現地で増産しているのではないか」という噂まで飛び交う程であった。

 その後も毎回参加しては「塗装済み完成品 1/8 幽冥死神 モルテ 気ままにO・DE・KA・KE♪ Ver.(フルキャストオフ仕様)」など、異界の神や要人を題材としたフィギュアや合金トイを数多く展開している個人サークル「セダル・ヌダの炉」。
 サークル主が鍛冶神セダル・ヌダ自身であることは、神事の主催側すら気付いていない事実である。

  • 鍛冶神ワンダホー説浮上。でも売るってことは作ったらもう後はどうでもいいかなみたいなスタイルを感じる -- (名無しさん) 2013-02-12 04:12:01
  • 鍛冶神のフィギュア化ラインナップのセンスを見るに、意外と俗物的な側面も在るのかもとか思ってしまった。 -- (名無しさん) 2013-02-12 08:24:41
  • 鍛冶神ポストみたいなものに手紙を入れておくとそれに神が興味を持ったら作ってくれて祭典でのラインナップに入るとかは -- (としあき) 2013-02-13 06:46:55
  • コンタクトが取れるのであればメーカーがほっておかないだろう神!鍛冶神! -- (名無しさん) 2013-02-23 01:03:10
  • 思わず買いたいなとなる値段と無限在庫に笑ってしまいました。実態が謎多き鍛冶神ですが自信ありと作ったものは広く見せたくなるものでしょうか -- (名無しさん) 2016-02-21 18:21:28
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最終更新:2013年02月12日 04:09

*1 版権監修元は「にぇんどりょいど オトヒメちゃん」の贈与を受け快諾した後、動かなくなりました