大
ゲートが開き世界間交流が始まってから二十余年。異種族受け入れのためか急速な異世界各国の首都部治安向上がある中で
未だ町を出れば人を襲う魔物が出没しているのが
新天地。
そんな新天地で印刷技術も拙い頃に出版され、今も尚地味に増刷されて売れ続けている本がある。
【魔物を食う 地の巻・海の巻】
である。
著者は出版社も直接会ったことがないということで種族不明になっている【ヒトリー=レギオンノ】。原稿は主に銀行に送られてくるものを受け取っていたという。
内容はというと至ってシンプルな方向性で、【どのようにすれば魔物が食べられるか】ということに集束しており
皮はこう剥ぐ殻はこう剥くに始まり肉を柔らかくするにはどうするとか灰汁を取るにはこうするなどに繋がり焼いて煮て味付けて食べたら美味いというまで書かれている。
書が売られ続ける売れ続けている最大の理由は、【こう食べると美味い】という答えが載っているからであろう。
しかもそれが特別な物を使わずに基本の調味料と調理器具、調理課程で実践できるとあれば尚更である。
大ゲート開通後から新天地は他国よりも人口増加が大きく、それは時代に追いついていけない層と時代の先を行く層の両方がやってきたからという見解がある。
そういった新天地初心者層の日々の食事から生活の糧を得るのにもこの書が大いに活躍しており、
一時期、人の生活圏内付近の弱い魔物が狩り尽くされてしまう事態から養殖が始まるということまで起こったりもしたのである。
しかし、本の最後には
「あくまで魔物とは人を襲うものであり、食の欲求で警戒や準備を疎かにしては命はない」「魔物ばかり食べていては栄養が偏るので普通の食事もしよう」
と書かれてあることから、近年では過剰な魔物狩りは起こっていない。
今でも新刊が待たれている著者ではあるが、二刊目である海の巻が出てから暫くして音信普通行方不明になっている。
噂では天の巻を書くために取材中だとか新たな魔物を求めて未踏破地帯へ行ったとか、果ては魔物の食べすぎで自身が魔物になってしまったなどというものまである。
同じジャンルの書を出そうとする者も後を絶たないが、食べたことのない未知の魔物へ挑戦するのは並大抵と度胸ではできず
毒などによって事故が起こったりなどヒトリーの領域にまで達するまではいかないようである。
新天地の各町の道具屋には【ヒトリーセット】と呼ばれる鍋包丁まな板調味料の一式セットが売られているなど、
ヒトリーの足跡の大きさを知ることができる。
- 新天地のレギオンマッチポンプ臭がすごい -- (名無しさん) 2015-02-27 08:39:05
- 新天地のレストランには魔物料理もメジャーなにかな -- (名無しさん) 2015-03-30 23:06:40
最終更新:2015年02月25日 23:48