すっかり夏日が続くようになったポートアイランド。
そんな中、サツキは自宅の前でせっせとある作業をしていた。
ついでにクーリエはその様を(いつも通りの)真顔で眺めている。
「何をしているのですか、サツキ様」
「さっきコレ届いたからドアの前に飾ってるの」
「ほう。所でコレは一体何なのですか?」
「ふっふっふっ……よくぞ聞いてくれたね、クーリエ。流石はアタシの助手」
「それはどうでもいいので早く説明してください」
突き刺すようなクーリエの視線に背筋を凍らせたサツキは、改まって説明しだした。
「はいはい。このステッカーはね、渡り巫女様をお迎えする為の目印みたいなものかな」
「ほう。では渡り巫女とは」
「エリス外を旅して遺伝子収集に励むタイプの巫女
エルフだって聞いたけど。最近地球にも来るそうだって言うからアタシもお迎えの準備してた所なんだよ」
「……ふむ、大体は理解しました。しかし何故サツキ様にそのステッカーが」
「一応巫女様を相手した事があるからね。そのおかげで貰えたのかも。いやぁ~種族の為に貢献しておくといい事あるよね~」
「ヤりまくってるだけですがね」
「ひどいな~、アタシだって研究と種族繁栄の為に身体張ってるのに……」
「そうだよ。身体張ってるんだからちょっとは評価してあげないと~」
「しかし、コレを貼ったからといって何時その渡り巫女が来るのやら」
「いや~わかんないよ~。ひょっとしたら今すぐ来るかもしれないし」
「流石さっきゅん、ご名答だね~」
「ハハハ、流石に軽いジョークだって…………えっ」
途中から話に割り込んできた声に今更気づいたサツキは、声のした方に振り向く。
すると目に飛び込んできたのは、自分とほぼ同じ背丈のエルフの少女だった。
「おハロー。初めましてだね!」
「まさか本当に今すぐ来るとは、世の中わからないものですね」
「え~っと……渡り、巫女様でいいんだよね……?」
「いかにも。ボクこそ
エリスタリアの未来を担う渡り巫女だよ!」
ふんぞり返る巫女の少女。同時に下に結った長いツインテールが揺らめく。
しかしその胸はほぼ平坦だった。ふんぞり返ったせいで余計に目立った。
更によく見ると、少女体型の割にハイレグレオタードという危うい格好をしており、サツキも思わず釘付けになった。
それに気をよくした巫女がクルリと一回転してみたが、その後姿は背中がほぼ丸見えでお尻の食い込みも凄まじかった。
「それにしてもすごい格好だよね……。周りから何か言われない?」
「いや~ボク結構暑がりでさ~。普段はマントとか羽織るけど、今日は特に暑いから脱いじゃった」
「脱いじゃったって……」
「それでよく警察に目を付けられませんでしたね」
「隠れるのは得意だからね。不埒な連中から逃げまくってくうちに慣れてきちゃってさ」
「…………」
言葉に詰まったサツキに代わり、顎に手を当ててクーリエが代わりに口を開く。
「つまり、ここへは避難場所として訪れたと」
「正解! それと、地球の地理は詳しくないからとりあえず拠点になる場所が欲しいかなっていうのもあるかな~」
「うん、まぁそういう事ならアタシは大歓迎だよ。うん」
「さっきからどうしました、サツキ様。せっかくの渡り巫女様が訪れたというのに」
「なんていうか、その……この子のノリに追いつくのが手一杯で……」
「まぁまぁさっきゅん落ち着きなって。これから一緒に住む事になるんだから慣れていかないと」
「ていうかなんでアタシの名前知ってるの……?」
「拠点としてよさそうな所探してたら、この島でかなりヤり手のレアなエルフがいるって噂を聞いて知ったのさ。この子なら気が合いそうだな~って」
「いつの間にそんな噂が……」
「とまぁそれはともかく、今日からよろしく頼むよさっきゅん。ついでにそのメイドさん」
「そういえば名前を伺っていませんね」
「あっ、ゴメンゴメンすっかり忘れてた」
テヘペロっとしてから改まって少女はサツキ達に向きやった。
「ボクはヴィオラ。地球じゃこの辺の担当になった渡り巫女だよ」