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【こんびに】

 日本における異世界交流の要衝、ポートアイランドにある十津那学園の程近くにあるコンビニ。
 異世界に最も近い世界11か所のひとつであり、様々な人種が行き交うこの場所にあって、コンビニは他の地域とは少々趣の異なる出来事が起こることがあるものだ。

 ある夏の日、十津那の学士課程も一般的な大学同様に夏季休暇期間にあるわけだが、そんな青春真っ盛りをエンジョイするのにもってこいな時期にも関わらず、ヒロトは真昼間からのコンビニ店員バイトに勤しんでいた。
 特に行きたいところもあるわけでなし、行くにしても先立つ物も無し、一人暮らしの身には金は幾らあっても困る物で無し。 平時は深夜に入れているコンビニバイトを夏休み中は時折昼にも入れることにしたのである。
 いかにもE&E精神全開なオーラを纏い来訪する客を半ば羨ましくも思いつつ、いつものように相棒のバーコドリーダー&レジスターに寄り添い、精算対応をするのであった。

 近所の建築現場やオフィス、そして学園から昼食や間食を求め訪れる数多の人種の御客様の対応に追われる昼食時も過ぎ、ひと心地ついた昼下がり。
 欠伸を噛み殺しつつ、シフトの残時間を勘案しながらのんびり過ごしていたヒロトの目に止まったのは、店の中ほどに設置されているアイスや冷凍食品が入れてあるオープン型ショーケース。
 その周りに、夏休みエンジョイ感満点の若い女子がきゃいきゃい騒ぎながら、スマホ片手にショーケースを撮影しているようだ。
「あれ、最近アイスの新商品とかあったっけなぁ・・・それとも、昨日のテレビでアイスの特集でもあったのか?」
 首をかしげるヒロトだが、店長から受けた注意喚起を思い出す。
 数年前からSNSに画像を上げる目的でショーケース内に入る輩がたまに現れるようになっているし、そうでなくとも異世界からの御客様が多いこの界隈では、商文化の違いから商品授受や精算でトラブルが起こることもある。
 ただアイスを見て騒いでいるだけならそれはそれでよし、問題になりそうなことをしているのであれば、店員として見過ごすわけにはいかない(見過ごしたが故に変な責任を負わされるわけにはいかない、とも言う)。
 タイミング良く客の出入りもないようなので、意を決したヒロトはショーケースの様子を伺いに行く。 撮影に夢中の女性陣に変な警戒を抱かれないように注意しつつ近づくと、果たしてそこで目にしたもの、それは・・・!

 毛玉。
 そう、毛玉である。 
 だが、一見すると子猫の頭のようでもある。
 ヒロトの所有する語彙では、ソレを見ても「毛玉」「子猫の頭」という二つの語句以外は出てこないくらい程、子猫の頭のような毛玉。
 それはそれは見事な、キャットルッキングヘアボール略してCLHBである。
 大きさは、野球かテニスのボールくらいはあるだろうか。
 しかも、よくよく見れば何やら膨らんだり萎んだりしているモノがくっついている。
 それに、何やら息遣いのようなものも聞こえてくるようだ。
 ウニャー プスー ウニャー プスー ウニャー プスー ウニャー プスー ウニャー プスー ウニャー プスー

 結論!
 カラフルなパッケージのアイスの絨毯が敷き詰められたショーケースの中で、CLHBが、鼻チョウチンを膨らませつつ寝ている!
「どうすりゃいいんだ、コレ・・・?」

 ショーケースの中でCLHBが寝ていた、なんていう人生で一度巡り合えばそれだけで奇跡なシチュエーションへの対処、なんてものは教わっていない。
 おそらくコンビニ強盗に遭遇するよりレア度は上だろう。 その両方に遭遇*1した自分は、果たしてこれまでの人生でどれだけの運気を消費消耗しているのだろうか、と思うと悲しくなる。
 だが、ここでCLHBがアイスを食うなりの問題事をしでかしているようであれば、己のリアルラックのなさを嘆くだけでは済まされない。
 ヒロトは、スマホで動画を録っていた(インスタに上げて大量の「いいね」を狙うつもりらしい)女性達に、思い切ってこのドリーミングなCLHBについて聞いてみると
「いつから居たかは分からないけど、昼ごはん買いに来た時にはいたような気がする」
「コロコロ転がってかわいかったんで、友達連れて見に戻ってきた」
「今日のリプライはとんでもないことになるに違いない」
 とのことらしい。 加えて、ショーケース内の商品の具合を見てみたところ、不自然に凹んでいたりするような形跡もない。 ひとまずのところ、CLHBがアイスを食ったとかの問題はなさそうだ。

 と、一安心したとことで、疑問が一つ浮かんでくる。
 このCLHBは、一体全体、何なのか?

 ショーケースを取り囲み撮影していた女性陣が退去しつかの間の平穏を取り戻した店内で、ヒロトはCLHBを軽く突いてみたりしながら考える。
 それにしても、割とがっつり突いてるのに、一向に起きる気配がない。 とんでもないCLHBもいたものである。
「さて、コレどうしたらいいんだ? 段ボール箱か何かに入れといて、アガリのときに店長に聞いてみるしかないか?」
 ヒロトのそんな思案顔での呟きを待っていたかのようなタイミングで、店の自動ドアが開き、客の出入りを知らせる音が鳴る。
「いらっしゃいま・・・あれ、トガリさんにカスミさん、どうしたんです?」
「ハァイ、今日もお勤め御苦労様、ヒロト君」
「た、たまたま近くを通ったらヒロトの姿が見えたから、挨拶のひとつもしなきゃと思って寄ってみただけなんだからな!」
 連れ立って来店した女性二人の名は、カスミとトガリ。ともに異世界からミズハと淡路島を繋ぐ大ゲートを留学のため通り、ヒロトと同じく十津那学園の学士課程に在籍する、ヒロトの女友達である。
 傍から見ればあからさますぎるテンプレ台詞を口にするトガリも、そんなトガリとヒロトを交互に見やりニヤニヤするカスミも、そう、異世界からの来訪者。
「あ、そうだ、丁度良かった。 ちょっと聞いてみたいことがあって・・・」
 二人の来店を契機にヒロトに下った天啓、それは「CLHBについて、異世界人である二人の意見を聞いてみよう!」というものである。 こちらの世界では良く分からん物体も、異世界では日常の中にいる物体かもしれない。
 ヒロトはCLHBを見てもらうべく、アイスのショーケース前に誘導する。
「え、何? ヒロト君アイスおごってくれるの? 外はけっこう暑いから、助かっちゃうなぁ♪」
「いや、そうじゃなくて。 コレが何なのか二人に聞いてみたくて」
「コレ、って・・・何コレ、毛玉?」
 ヒロトは未だに爆睡中(というか、鼻チョウチンがデカくなってる!?)のCLHBを摘み上げ手に乗せ、二人に良く見えるようにしてやる。
「う~ん、そうだなぁ・・・精霊、いや、もしかして、霊獣?」
 何やら聞き慣れない単語が出てきたぞ?
「トガリさん、レイジュウって、何?」
 聞き慣れない単語について尋ねるヒロトに対し、思案顔のトガリは、どう答えたものかと悩む。
「そうだなぁ・・・精霊については、言うまでもないよな? 霊獣っていうのは、平たく言うと・・・『現象』である精霊から『存在』になりつつある、あるいはなったモノ・・・とでも言えばいいのか?」
「え、存在になりつつある、ってどういうこと?」
 精霊が身近な世界に住むが故に意識せずとも認識していることを、何とか分かりやすい言葉を絞り出して伝えようとして辿り着いたトガリの返答に対し、精霊が空想上のものでしかない世界の住人であるヒロトの理解は追い付かない。
「そうねぇ・・・精霊が、自然現象であることを超越して生き物になりかけたものが霊獣、ってところ。 とは言っても霊獣なんて、延の仙人が住んでるようなところとか、何百年と土地の精霊力が凝縮する火山の火口みたいな場所とか、そういう場所でもないと居ないもの、のはずなんだけどね」
「なるほど・・・こんな手のひらサイズの毛玉にしか見えないけど、コイツそんな凄いのかぁ」
 カスミの補足説明に、ヒロトは感心したように手元のCLHBをしげしげと見る。 だがしかし、摘み上げられてもなお爆睡中のこのCLHB(既に鼻チョウチンは当人の体躯の5倍以上に膨れ上がっているッ!?)、目覚める気配は一向に無い。
 本当に二人が言うような凄いモノなのか? このひたすら寝てばっかりのCLHBが?
「でも、そんな凄い(はずの)霊獣(のはずの毛玉)が、何だってコンピニのアイスの上にいたんだ?」
「多分だけど、この子、氷の霊獣なんじゃないかしら? だから今日みたいな暑い日でも涼しい、というか寒いところを探してココに辿り着いた、ってところね」
 言われて納得、CLHBを乗せた手の平がひんやり冷たい。 氷の精霊というのは何でも、カスミさんの故郷であるドニーの近辺で特に寒くなると出てくるものらしい。
「でもさ、さっきの話だと、霊獣って異世界の凄いところにしかいないんだろ? なんでこっちの世界のアイス売り場なんかに?」
「流石にそれは分かんないけどさ」
「それにしても、このコかわいいねぇ~ふわふわしてる~」
 途中から会話に加わらないと思ったら、トガリさんはCLHBに夢中のようだ。

 そのとき、再び来店を告げる音が鳴る。 開かれた自動ドアを通り店内に入ってきたのは、夏の盛りに見かけるにしてはこちらの目を疑わずに居られない程の、北極か南極の探検隊レベルで着込んで固めた、片目な猫人の少年だった。
「えーっと、神気探知によればこの辺なんだが・・・ちょいと失礼させてもらうよ」
「おっと、お客さんだ。 いらっしゃいませー(なんで夏場にこんな暑苦しい恰好してるんだ・・・?)」
 ヒロトが来店者を出迎えると、CLHBはウニャス!とひと鳴きして目を覚まし、ぴょんこぴょんこ飛んで客の手の中に納まってしまう。 この猫人が飼い主(って言っていいのか?)なのだろうか。
「おっと、まったくこんなとこで何してんだハリム。 探したんだぞ?」
 猫人さんがCLHBをぐりぐりやると、CLHBはウニャウニャ~と機嫌の良さそうな鳴き声を上げる。 何にせよ、飼い主のところに帰れたんならいいことだ。 商品にも特に問題なかったし、このままお帰り頂いても大丈夫だろう。

「ところでさ、ここはどういう店なんだ? パッと見たところ色んなモンが売ってるけど、ジャンル的には雑貨屋、でいいのか?」
 いかにも異世界人らしい質問である。 聞いたところによれば、コンビニレベルの汎用性のある店も、24時間営業も、まだまだ異世界には浸透していないらしい。
 簡単にコンビニがどういう店かを説明してあげると、「なるほど、よくやるもんだ」と感心しているようだ。 さすが商人の国、商売ごとには興味津々なのだろう。
「ということは・・・ヌダのところで『あるばいと』して貰ったこの金を使えば、ここで売ってるモノが買えるってことでいいんだよな。 それなら・・・」
 猫人さんは店内を巡り、缶詰類にキャットフードの大袋、なぜか園芸用の栄養剤、それからアイスをいくつか買い物籠に入れていく。 その姿を目で追いつつレジに戻り、程なくしてやってきた猫人さんの会計を済ませる。
「よっし、とりあえずこんだけ追加しときゃ、しばらく持つだろ。 おいチカ、荷物突っ込むからちょっと詰めるぞ」
「えぇー!? まだ荷物入れるんですかぁ? ここ一応、私の家なんですけど」
「オマエの分の栄養剤もあんだから、狭いくらい我慢しろ」
 鞄の中に住んでるらしい妖精種の女の子と揉めながら荷物を鞄に詰め込んでいく猫人さんを見ていたら、鞄とは別の所から何か取り出したようだが、一体何だ?
「で、コッチはハリムが面倒かけた分の詫び代わり。 取っといてくれな」
 そう言って渡してきたのは、山吹色に輝く、透明度の高い宝石のようなもの・・・いや、「ような」じゃなくてマジもんの宝石だコレ!?
「え、いや、流石にこんな高価そうなのは貰えないっつか、そんな大したことしたわけでもないのに」
「いーからいーから。 出すとこ出せばいい値が付くらしいぜ? 俺の手元にあってもしゃあないし、将来俺らの世界に来て金に困ったら、売って路銀にでもすればいいさ」
 猫人さんはこちらには取り合わないまま、宝石ひとつをレジ台に置いて小走りに去ってしまった。
 追いかけて返そうかとも思ったが、猫人さんが店の外に出た時点で時すでに遅く、
「え・・・飛んだ!? そんな、武空術じゃあるまいし・・・」
 そう、紛れもなく、ロケット花火の如く高々と飛んで、そのまま学園のある方に向けて行ってしまったのだ。

「えぇ~・・・どうしよう、コレ・・・」
「そのまま貰っちゃえば? あげるって言ってたんだからありがたく貰っておきなさいよ」
「返そうにも返す人が行っちゃったんだから、持ってるしかないでしょ」
 他人事だからって軽く言ってくるカスミさんとトガリさん。 二人にも貰った宝石を見せてみると
「あら? これは・・・うん、間違いない、日長石《ヘリオライト》ね」
「へぇ~、日長石ってこんななんだ。 話には聞いてたけど、実物は初めて見たわ」
「日長石? それってどんなモノなんだ?」
「簡単に言えば、『試練の報酬』ね。 太陽神ラーの試練をクリアするともらえる、っていう宝石。 実家の人達に運悪くラ・ムールで試練に引っかかっちゃって、何とかクリアしたっていう人がいて、一度見せてもらったことがあるのよ」
「試練の報酬、ねぇ・・・試練なんて言うほどのことしてないのに、貰っちゃ悪いよなぁ、やっぱり」
「それにしても、向こう側がそのまんま見える位透き通ってるのね。 綺麗ねぇ~」
「前に見た日長石って、ここまで透き通ってはなかったように思うのよね・・・試練がハードになるほど質がいい日長石が出るって話を聞いたことがあるから、あの猫君は相当の遣り手って事なのかしらね」

 そんなようなことを話しながら、盛夏の昼下がりは過ぎていくのであった。



 ヒロトは今、社命を受け、ラ・ムール最大の港町であるコマルクル・カ・ムールに到着したところである。

 売り手市場と言われているうちに就活シーズンが訪れてくれて、かつ異世界への進出を事業計画に少なからず含めている企業が多いことからすれば、十津那学園大学新卒というブランドは悪くない方向に作用してくれたようだ。
 学生時代の縁故もあって、時にはひとりで、時には友人らと異世界に度々訪れることはあったが、大ゲート祭を利用せずにラ・ムールに訪れた機会はそう多くない。
 十津那大卒という経歴と異世界渡航歴を買われて現地視察のメンバーに抜擢されたと通告されたヒロトは、「異世界渡航経験を活かして是非」というやんわりとしたゴリ押しにより、渡航前に必要な手続きや出界時の手順の共有、現地での移動経路の検討などに度々呼ばれることとなった。
 この時期は、通常業務に上乗せされての対応となったため、若手にしてはハードな業務をこなすことになったが、自分の経験が頼りにされているということが社会人としての自信となり、ヒロトは充実した日々を過ごしていた。

 かくして辿り着いたコマルクル・カ・ムール。 海の玄関口として各方面からの船の出入りがあるということで、そこは人や物資が数多行き交うばかりでなく、「奴等」の数も群を抜いている。 「奴等」、そう、試練の精霊である。
 嫌われ具合で言えば、ラ・ムール国土全域で太陽神ラーの次に嫌悪され、王都に限れば「しれんやろう」こと壱発逆転王ディエル=カー・ラ・ムールと危険度で肩を並べる、あの試練の精霊である。
 もちろんヒロトも試練の精霊のことは知っている。 今回の現地視察メンバーにも漏れなく、「街の港湾区にいる間は、どんな姿の精霊が話しかけてきても無視する」というシンプルかつ有効性の高い対処法は伝えてある。
 そういうわけで、現地視察メンバーは滞りなくミズハから乗ってきた船を降り、精霊の声掛けに一切耳を貸さないようにしつつ進んでいく・・・はずなのだが、ちょっと様子が違う。
 現地視察メンバーのみならず、他の越界観光者やこちらの世界の住民たちも試練の精霊の必死の試練勧誘にまとわりつかれているのに、どういうわけか、ヒロトにだけは試練の精霊が集まってこないのだ。
 いや、「集まってこない」というより、正しく表現するならば、「露骨に避けている」ということになろう。 明らかに、ヒロトの周囲にだけ、試練の精霊が寄ってきていない。

「う~ん、学生の頃着た時には寄ってきたし、他のみんなには寄って来てたのに、一体俺に何が起こったって言うんだ?」
 ヒロトの疑問も至極最もである。あの血も涙もありゃしない、老若男女人種も問わない、悪鬼羅刹と同義と言える試練の精霊共がたった一人を避けるなど、ありえるのだろうか?
 自分の知らない何かが起こったのかもしれないと思い、視察に同行してくれる現地コンダクターにコマルクルで合流した際、ヒロトはこのことについて彼に意見を求めてみると、
「試練の精霊が寄ってこないって? う~ん、言っちゃ何だけど、お兄さんがそれだけのもんには見えないねぇ・・・おっと、気を悪くしないでくれよ。 俺が知ってる限り、試練の精霊のほうから逃げるようなヤツってのは、試練の精霊じゃ力不足で試練を押しつけられない程の錬逹者か、王都にいる三冠王やパンダーくらいなもんさね」
 とのこと。 もちろん、そんなヤバそうな試練なんてそもそも巡り合ったことなんてない。 巡り合ってたら今ここにいない。
「だとしたら・・・兄ちゃん、誰かから日長石貰ったことないかい? それも、とびっきり透き通ってる奴を」
 ・・・それなら心当たりがある。 学生の頃、コンビニでバイトしてるときに貰ったアレだ。 ラ・ムール行きということで持参して来ていたのだが、まさかそのおかげだったとは!
 あのとき、カスミさんは「試練の報酬」としか言ってなかったと記憶しているけど、まさか試練避けの効果まであるとは思わなかった。

 視察メンバーとコンダクターが合流できたところで、まずは軽く明日の王都行について打ち合わせするべく宿泊先へ向かう道すがら、
「あれ、そこのスーツの兄ちゃん、昔会ったことあるよな? ホレ、コイツが世話になった件でさぁ」
 と、ラフな格好で片目の猫人に突然話しかけられた。
 彼の手には、涼やかな色味の、子猫の頭な毛玉が乗っかっている。 間違いない、あの時の猫人さんだ。
「ああ、あの時の! 格好が随分違うから分かりませんでしたよ!」
 こんな偶然もあるものだな、とは思ったが、今は仕事で来ている身で、まだオンの時間。 それに向こうにも都合があるみたいなので、残念だが、話をするのは又の機会だ。

 猫人さんと分かれると、コンダクターが話しかけてきた。
「先程見せてもらった日長石、今の人から貰ったんです?」
「え、ええ。 そうですけど。 それが・・・何か?」
「そうでしたか・・・じゃあ、さもありなん、ですね」
「それは、どういう意味ですかね?」
「さっき話しましたよね? すごい試練を突破した人の日長石は試練避けになる、って話」
「ええ、覚えてますよ、もちろん」
「今さっき貴方と話していた人ですが、アレ、カー・ラ・ムールですよ」
「・・・え? マジ?」
「マジ」
 開いた口が塞がらない、とはこのことかと思わずにはいられないヒロトであった。


  • そういや異世界にもコンビニみたいな一日中開いているなんでも屋みたいなのってあるんだろうか。しかしアイスケースで眠る毛玉想像するとわむ -- (名無しさん) 2017-11-27 01:35:09
  • 人物相互がじっくり丁寧に関係構築していってしっくりくる -- (名無しさん) 2017-11-27 02:34:27
  • ヒロト君のマイペースな性格に反して人生の作用がでけぇ -- (名無しさん) 2017-11-28 23:17:09
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最終更新:2017年12月19日 22:05

*1 コンビニ強盗については薄異本:私家版イレゲVol.3を参照のこと