「何でこんなことに…レシエお姉さまぁ~」
セーラー服を着て海賊帽を被ったアニーが校門前で情けなくつぶやく。
それは少し前のこと、数々の誤解や行き違いから最古の貴族であり、最愛の傀儡侯レシエお姉さまから饗宴のお誘いを受けてしまったアニー。
愛するお姉さまとの争いを回避するために四方八方に手を尽くしたが全て失敗し、途方に暮れるアニー。
そんな時…
「ああ、お姉さま…お姉様はどうしてお姉さまなの?しくしく……ぐぇっ!?」
「やあ!!僕の可愛い役立たずの下僕のアニー!不景気なツラして困ってるようだね?
丁度いいから君ちょっと地球側に出張してくれるかな?向こうの十津那学園から交換留学生を頼まれてたんだ。
怪しい噂の多いとこだから、君みたいな毒にも薬にもならない上に頑丈な捨て石が欲しかった所だったんだ!」
いきなり現れたサミュラ姫?が部屋の隅でさめざめと泣くアニーを豪快に蹴飛ばしながらそういった。
「そ、そんな!レシエお姉さまと戦わないで済むのはありがたいですが、か弱い私があのガン使いのような野蛮人がいる世界になんて…」
「……拒否してもいいんだよ?アニー」
柔らかな笑顔を返すサミュラ姫?
「すみません調子に乗っていました」
目の前のやんごとなき方から不穏な空気を感じ取って全力で土下座をするアニー…
「分かればいいよ?それじゃあ、
スラヴィアから君を叩き出す準備をしないとね♪」
「…え?叩き出す?」
アニーのその疑問に姫は何も答えてくれなかった…
それから色々と手続きがあり、あれよあれよという間にアニーの地球送りは決定した。
優しい父は最後まで姫に抵抗して、送り出す日にも何かあればすぐに帰って来なさいと言ってくれたが、アニーはなんとなくおうちに帰れないような気がしてしょうがなかった。
手続きが済んだ後、姫直々が特殊な小
ゲートを創りだしてアニーを盛大に送り出してくれた(主に蹴りで)。
蹴り出された先が南極の到達不能極だったりして、ジャパンの学園まで行くのは色々大変だった。
変な白っぽい巨人のような生き物に追いかけられたり、流氷に乗って凶暴なペンギンと航海したり、お腹をすかせた巨大ザメと競争で泳いだりと忙しかったがなんとか転入予定日の二ヶ月後には着くことができた。
「やっとたどり着いたのに校門が閉まってる…」
昼近いので当たり前だが、艱難辛苦を乗り越えやっと学園に着いたアニーの目の前で鉄製の大きな門は固く閉ざされている。
「…くっふっふ、地球人はこの程度でスラヴィア貴族である私を止められるとでも思っているのかしら?」
艱難辛苦を乗り越えて変な自信を付けてしまったアニーが、また悪い癖を出している。
「私の腕にかかればこんな門ぐらいひとっ飛びよ!」
向こうで破壊された後、改良に改良を重ねて作った背中の骨の大腕を展開して、地面を叩き跳躍する。
そして2m半はある門を軽々超えようとしたその瞬間…
ドタタタッ
校門上に設置された護衛艦用から払い下げられたCIWSを改良したタレットが火を吹いた。
「ちょっ!?」
とっさに大腕でガードしたがそのまま吹き飛ばされるアニー。
いきなり新品の制服と新調した大腕はボロボロにされてしまった…
しかし、そのおかげで平らなアスファルトの道路がクレーターになるほどの射撃攻撃からは逃れることができたのだ。
「ああ!私の腕が!?すごく高かったのに…
…やっぱりこっちの人間どもは野蛮で卑怯だわ!ぶち殺して家具にしてあげるからそこになおりなさい!!」
門の上に鎮座する自動追尾式のタレットに対してサーベルを抜き戦闘態勢を取るアニー。
タレットはカメラから得た画像で侵入者に抵抗の意思ありと判断したのかアニーへ向かって機械的に射撃を再開した。
「え!?名乗りを上げないの?
って…きゃー!きゃーー!!」
流石に20ミリの弾丸は斬れないと判断したのか逃げ惑うアニー。
校舎の窓から休み時間になった生徒が数人アニーの醜態を見物している。
「…なあ?アレ誰か助けてやれよ」
「やだよ。アレ絶対に俺らまでとばっちり食うぜ?」
「しかしあの子馬鹿だな…
武器しまったら撃ってこないし、カメラに生徒手帳見せれば校門開けてくれるのに」
「おーい!誰か生徒会の奴いないのー?
止めないと校門一帯のアスファルト全部はがれちまうぜー?」
生徒の一人が一応周りに聞いてみたが、近くで見ていると面白いがお近づきにはなりたくないとアニーの空回りを見て思ったのか誰も返事をしない。
「…きょ…今日は!ここまでにしておいてあげるわ!!
次にあった時こそ覚悟しておくことね!!次にあった時こ・・」
10分ほどのタレットによる蹂躙の後、ボロボロになったアニーが折れたサーベルをタレットに向けて高々と宣言する。
律儀なタレットはその姿勢を抵抗の意思と見て一層激しい射撃をしだす。
「きゃーーーー!!こっちがかっこ良くセリフを言ってる時は撃ってきちゃだーめーなーのーーー!!」
べそをかきながらタレットの射撃から逃走するアニー。
校舎の窓側で、アニーの一人芝居を見てアレは何だったんだろうな?という顔をする生徒たち。
そして…
異世界はスラヴィアでは、鴉の従者からアニーの醜態の報告を聞いたサミュラ姫?の姿をした何かが、持っていたワイングラスを握りつぶしていた…
TO BE CONTINUED?
- 渡しても読まれるは怪しいですが入学パンフレットがあればこんな銃撃戦にはならなかったような気も。でも何故かこの先で機械のタレット熱い友情が芽生えそうと思いました -- (名無しさん) 2013-07-21 18:44:42
最終更新:2013年08月11日 10:58