「サンタさんは本当にいたんだ!」
新堂 彼方は可愛いサンタの前で、両手を合わせて喜んだ。
カナタは先日まで日本でいう女子中学生という肩書きを持っていた。
今となっては関係ない肩書きだ。
現在のカナタはスラヴィアン。爵位は未だないが新進気鋭の期待ホープとされる屍人である。
「さあ、いい子にしてたカナタンに、サンタさんからのプレゼントだよ」
サンタは黒髪の子供であった。
ていうか、このサンタって
モルテ様じゃね?
という突っ込みはこの場がスラヴィアンであるから危険である。故にサンタはモルテ様ではない。
サンタは背負った袋を引っくり返す。中からは、猿轡をされ縄で縛られたゴスロリ少女が転がり出た。
なんとも可憐な少女である。
カナタには歳相応の可愛らしさがあるが、このゴスロリ少女にはより整った美貌があった。
少しカナタより小さい身体付き、肉感の乏しさは白磁人形を思わせる。
何より憐憫を誘う瞳と、震える肩が彼女の美貌を引き立てるスパイスが含まれていた。
「ありがとう、サンタさん。今日はホントは元旦だけど、そんなの関係ねぇです」
「あるわ、ボケ!」
猿轡を無理やり取ったゴスロリ少女が、カナタに悪態をついた。
「ダメだよ、兄ィ……。せっかく可愛くしてもらったのにそんな言葉使いしちゃぁ」
驚いたことに、カナタより幼く見えるゴスロリ少女の正体は彼女の兄、新堂 遥であった。
「だいたいなんだよ、正月にサンタって!」
「それはカナがね、クリスマスにお願いしたからだよ」
片結びされた縄を解こうとしながら、ハルカの問いにカナタが答える。
その光景をベッドの上で仁王立ちしながら見ていたモ……サンタは、スチャとチェキィとブイサインを目の前で横にすると……。
「元旦に男の子が女の子に変身! これが本当のお年玉! キラッ☆彡」
「え、兄ィ! 切られちゃったの?」
「俺の一文字は無事だから! や、止め……確認するな馬鹿妹!」
「ああ、どうしよう……縛られてる兄ィ見てたらわたし……」
「いつまでも縄解かないと思ってたらお前ぇ!」
くんずほぐれつの兄妹を、ベッドの上から睥睨するミニスカモル……サンタは目に涙を浮かべながらうんうんと頷く。
「新年からイイ事したなぁ……。サンタの格好でいうことじゃないけど」
スラヴィアの初日の出を背に受け、サンタは新しいスラヴィアンの可能性と未来に何度も思いをはせるのであった。