「これはよくいらっしゃいました群神殿…」
「お邪魔するよ。鍛冶神殿はおられるかな?」
透き通るようなキラキラと輝く肌を持つ美少年が老紳士を出迎えた。
「我が父は今、作業場の方に篭って新しい作品創りに勤しんでおられます。
なのでその間、要件は私が承ることになっております」
「…そうかね。
では、鍛冶神殿に所領を騒がした事のお詫びと、大切な炉を使わせて頂いた事への御礼を伝えてもらえるかな?」
その要件を聞いて美少年は吹き出した。
「ははははは!群神殿は大変、礼儀正しい方々のようだ。
あの様な失敗作共がどうなろうと、寛大な我が父はお気にされません。
むしろ、炉の稼働限界などの貴重な実験結果と多くのインスピレーションが得られたと、我が父は大変喜んでおられますよ!」
「そうかね…
しかし、君の兄君達にも少なからぬ被害を与えてしまったのだが…」
それを聞いて美少年は心外だとばかりに言葉を返す。
「まさか群神殿は、鉄屑のタイタンや土くれの
ドワーフや
ノーム共が私の兄だとでも思っておられるのか?
あの様な失敗作共が、愛する父が心血を注いで創った黄金と等しい完全なるヒトであるアンドロギュノスと兄弟にあたると…」
タイタンやドワーフたちと違い、ケイ素を主に使って創られた最新世代のヒトである彼の言葉には少し怒気が混ざっている。
「…気を悪くされたのなら謝ろう。では我らは邪魔にならん内にお暇するよ」
「そうですか、ではお見送りを…」「いや、結構。君の手を煩わせる気はないよ」
そう言い、どろりと空間に消える老紳士。
老紳士の消えた後を見る美少年の顔には嘲りの色が浮かんでいた。
「ふん、私よりも弱い力しか使えない神とは名ばかりの不完全なモノめ。
完全な私を見て居た堪れなくなり逃げ出したか…」
彼は群神を見て、父と一緒にいつかアレらを追いやりその地位を貰い受けるのもいいかもしれないと密やかに思った。
作業場の大門が開く音がする。
彼は音を聞きつけるとすぐさま走って愛する父の元に急いだ。
そして愛する父の前で跪くと先ほどの顛末を報告する。
『そうか…ご苦労だった。お前はもういい』
「はい!では私は自室で休んで…」
『違う』
そう言うと父は御手を後ろへ向け、手招きをする。
そちらを見るアンドロギュノス。
するとそちらから、まばゆいばかりの光に包まれた三人の少年少女が歩いて来たのだ。
「ち、父上!?」
動揺するアンドロギュノス。
父はゆっくりと言った。
『お前はもう不要だと言ったのだ』
アンドロギュノスを見る光に包まれた三人の少年少女達の顔には、どれも嘲りと少しの憐憫とが混ざった表情が浮かんでいた…
- 神とモノと神との考え方の違いがはっきり見て取れました。目的のために関係を広げる群神と目的だけに邁進して関係を一切意に介さない鍛冶神の対比もよかったです -- (名無しさん) 2013-08-30 17:35:13
最終更新:2014年07月25日 22:20