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【回転草の行く先へ】



「大佐…行かれるのですか?」
「おうよ!こっちの炉は大破してしもうたし、街は復興の真っ最中じゃ。
守備隊は復興の手伝いを命じられとるから、ドンパチしかできないワシがここにいてもしょうがあるまい。
それより実家に帰って復興資金や資材の無心に行く方がなんぼかマシじゃろう」
軍曹の声に答えてから、まあ長生きのもうろく親父にどやされるじゃろうがの…と呟く旅姿のカール。

万色の光の洪水が辺りを包んだ後、シャーリーがどうなったのか二人にも分からなかった。
あの異人は一欠片も残さず火口から消えてしまった。
後に残ったものといえば、破壊されたタイタンの残骸と幾つかの薬莢くらいだ。

「お嬢ちゃんは今、どうしとるかのぅ…」
「…無事だといいんですが」
二人が感慨深げにそう話をしていると
「あーーー!見つけた!!!
あんたら、使った武器の代金早くよこしな!」
ミーミルが二人を見つけて飛んでくる。
まずいものに見つかったという顔をして逃げ出す二人。
「ちょっとだけまってくれお嬢ちゃん!地球の武器があんなに高価な物とは知らんかったんじゃ!すぐに金の無心をしてくるからのー」
「だめ!どっちでもいいからさっさと払いな!明朗会計!これこそがクルスベルグのモットーなんだよ!!」
「な!何で私まで…」
元気に駆け回る三人の姿を見ているときっと街の復興の日は近いだろう。

馬車に乗せた三人組が、先程から姦しくおしゃべりをしている。
そのうち二人が異人で一人は魚人の少女だった。
大柄な異人は酷い目に遭った。次はゆっくり出来る所に行こうといい。
小柄な異人は久々にいい運動ができた。次もこういうイベントがあるといいと業物らしい大ぶりの片刃の剣を撫ぜながら楽しそうだ。
そして可愛らしい魚人の少女は、喧々囂々と言い合いを始めた二人を止めに回っていた。
前の街で買ったのか貰ったのか、美しい金細工の髪飾りが彼女の髪を勲章の様に飾っていたのが印象的だった。

「データはとれたか?」
「はい、必要なものは全て」
「なるほど、イレギュラーがあったとは言え、戦果は素晴らしいものとなったな…
いや、逆にあのイレギュラーがあったお陰で炉の正確なデータとコアの破片が手に入った上にタイタンの戦闘データまで手に入ったのだ。あのイレギュラーには感謝だな」
王冠党の少尉と軍曹が今回の戦果について話し合う。
彼らは、はなから手間のかかる炉の制圧など目論んではおらず、密輸入した地球製の機器や古代のルーンを使い、炉の正確なデータや材料を欲していたのだ。
「これで我々の復古計画は一段進むことになる…
後は我が党の優秀な技術者達にこのデータと資料を渡して新しき炉の復活を待とう」
「やっと我らの悲願が叶いますね。少尉」
「いや…それはこれからだ」
二人でスキットルの酒を分けあい、小さな祝杯を上げる。
そう、我らがクルスベルグの発展はこれからなのだ…

今回倒されたタイタンの残骸を運ぶ時に奇妙な事件が起きた。
残骸を鉄のコンテナに入れて馬竜に引かせていたのだが、途中で固く封をされた扉が開いているのが見つかったのだ。
しかもそれは、何故か内側から物凄い力でこじ開けられており、小さな手形が扉に付いていた。そして中にあった壊れた水晶の心臓が忽然と消えていたのだ。
あまりに不可解なこの事件は、責任者が罰を恐れて隠蔽したため、壊れた水晶の心臓は元々無かった事とされ、事件は闇に葬られてそれっきりとなった。

『どこかの平原にて』
清々しい気分だった。
こんな気持ちは父に創られてから一度も感じたことが無いものだ。
手足が軽い!今まで崩れ落ちる体を必死で支えて鈍重に動くしか出来なかったのに
彼女は僕の願いを叶えてくれた。彼女は今の僕の生みの親だ!
これなら何でもできる!何にでもなれる!
そうだ!これから各地に散らばった弟妹たちに会いにゆこう。
そして、ヒトのように家を建ててみんなで仲良く楽しく暮らすんだ。
生まれたばかりの小さな子供が走りだす。
彼が弟妹達に会えるのはずっとずっと先の話だが、きっとその先は今までの不幸を吹き飛ばすような幸せな生活が待っていることだろう…


世界のどこでもない場所で、粘土細工の紳士が黒く炭化したソレに話しかける。
「…汝れらは選ばないといけない」
粘土細工の紳士がそう語りかける。
(……?)
「汝れらのこの先をだ。
まず、汝れはこのまま静かに死ぬこともできる。その場合、そのモノは我らが責任を持って保護しよう…
そして、もうひとつは我らが汝れに破損した体の代わりに『器』を与えることだ。
…これは汝れが我らと『器』を同じくすることに他ならない」
(………)

「この世界なら、もう一つ方法はあるだろ?」
禍々しい少女が二人、いきなり空間から現れた。
一人はニヤニヤとした嘲りを顔に貼り付けた屍姫によく似た少女、もう一人は長い前髪で目の部分を隠しゴシック風のドレスを着た少女。
人間の姿に近い屍姫によく似た少女とは違い、ドレスの少女は背中に天使と悪魔のような翼を生やし、頭からは角が伸びている。
「…死神側と手を組んだのか、アバズレめ」
「まあ、酷い…
ただ単にワタクシ達は、他の神々とも協調を取った方がいいという考えをもっているだけですのに…それにワタクシ達だって二割の発言権を持っていますのよ?」
クスクスと上品に笑う少女。

「やあ!ガンマンくん。この前は色々とあったね…
…単刀直入に言うよ?この前の事は全て水に流してあげるから、僕の屍徒の一人におなり。
この粘土の塊が選ばせる道は、どれも厳しくて自分への見返りも少ない道だ。
だが、屍徒は違う。君の働きによってちゃんと僕が地位も報酬も保証してあげるよ」
炭化したソレに向かってニコニコと朗らかに微笑む死神。

粘土細工の紳士は疲れたような声を出して今一度ソレに問いかける。
「全ては汝れらの判断に委ねられる。…君達の人生だ。どれを選んでも我らは君達を恨まんよ」
少しだけ、苦労性の老紳士の顔が粘土細工の顔にダブって見えた。
「吸収されてワタクシ達の一部になるという選択もいいものですわよ~?」
ドレスの少女が茶々を入れる。

手に握られたままの銃が震える。まるで生まれたばかりで不安な赤子のように…
その震えを感じながら僕は
(選ぶ必要なんか無いでしょう?)
粘土細工の紳士にそう答えを返した。

新天地から始まった西部劇はまだまだ終わりそうもない。
物語は続いていく。さながら、荒野を転がるタンブルウィードのように…


蛇足:全く自重せずに突っ走りました。長くなってしまい申し訳ありません。
また、この話は独自設定が多すぎるので、もし使われる場合はお気をつけ下さい。

ちょっとした後日談?【完全なるヒト】


  • まず驚くのがここまで連作連続で後日談ということでした。お疲れ様です。繋がりの中でのキャラの動き方としっかり最後を締めるように登場するキャラの見せ方動き方が後の展開を予測させるのがいいですね。今回から更にいくつかの大きな流れが分かれ生まれたような気がします -- (名無しさん) 2013-08-17 19:38:46
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最終更新:2013年08月17日 19:31