皆さんこんにちは、今回はクルスベルグの食事事情についてお話しようかと思います。
以前にも少しお話したと思いますが、クルスベルグは内陸に位置する海のない国です。
そのため魚といえばもっぱら川魚などの淡水魚が主流で、エーベルというとてつもなく巨大なナマズのような魚がその代表格です。
この魚はテステール山脈に点在する湖に棲息し、水中の藻だけを食べて驚くほどの速さで大きくなるそうです。
しっかりとした肉質の白身の魚ですが、食べている藻の影響か独特の匂いがあって好き嫌いが分かれるかもしれません(私は大好きですけど)
しかしこのエーベルという魚はなかなか高級な食材で、クルスベルグではエーベルは特別な日のお祝い料理などで食卓に上がるのが基本で普段はあまり食べることができません。
市場だと新鮮なエーベルの白身1kgの値段でクァームという山羊とそっくりな家畜(おそらく先祖は同じだろうと言われています)の肉10kg分買えてしまうくらい値段が張ります。
私の二人の娘は肉より魚のほうが好きらしく、何かあれば『魚が食べたい!』と口を揃えて言い、妻と私の主に給料袋を困らせます。
そもそもクルスベルグでは輸送の関係などで魚は肉より圧倒的に高く、塩漬けのものも貴重品だったりします。
それでも
ゲート開放によってドイツから海産物や缶詰などが持ち込まれたりするようになり開放以前よりは遥かにマシになったと聞きます。
これを読んだ親切な読者のどなたかが編集部経由でファンレターと一緒にシーチキンの缶詰なんかを送ってくれたらきっと私は私の家族と一緒にその人に祈りを捧げることでしょう。
さて、冗談はこの辺にして(缶詰はいつでもお待ちしています)クルスベルグの料理についての話をしましょう。
クルスベルグの主食は芋で、そのまま蒸かして食べたり生地に練りこんだりとさまざまな調理方法があります。
そしてクルスベルグ料理は
ドワーフと
ノームでかなり特徴が違います。
共通する部分もありますがまずは違う部分から。
ドワーフ料理はすぐ作れてすぐ食べられて、冷めても食べられるものが多いです。
これはドワーフが職人や鉱夫になることが多いということとも関係してると思いますが
燻製肉など肉を使った料理が多く味付けも比較的シンプルでメリハリのあるものが多いです。
私が好きな料理はメルドという肉団子の入った具沢山スープと、パハールという大きなソーセージを小麦とジャガイモを練って作った生地で包んで油で揚げたフランクフルトのようなものです。
これに対してノームの料理はキノコとチーズを多様します。
ノームの家の地下には必ずと言って良いほどチーズ蔵があり、毎年一年分のチーズを大量に仕込んで寝かせます。
「キノコの目利きとチーズが作れない娘は嫁に行けない」と言われるほどこの二つはかなり重要なことなのです。
ノームはキノコが大好きで「近くにキノコが沢山採れる森がある家は金の山と交換でも渡すな」という諺があるほどです。
妻の母は毎日のように森に出かけて行っては籠に山盛りのキノコを採って帰り、それらはその日の夕食に食材になります。
私はキノコが嫌いではありませんがノームのキノコ好きにはちょっとついていけなくなることがあります(祖母・妻・長女は毎日三食キノコ料理でもまったく問題ないと言いますが、そんな風になると私と二女がウンザリした顔をするので夕食だけにしていると言います)
しかし、妻の作るキノコとチーズのたっぷり入ったグラタンは絶品なので、これだけは私も毎日でも食べられると思っています。
さて、ここまで大まかにドワーフとノームの料理の違いをお話しましたが、この二者には共通点もあります。
それは野草やハーブを使い方をよく心得ているということです。
クルスベルグは作物を育てるには不向きな土地が多いですが、森の中やちょっとした草地には沢山のキノコやハーブが自生しています。
これをクルスベルグの土地で生きる人々は大昔から巧みに利用し、決して豊かとは言えない食材でなんとか豊かな料理にしようと創意工夫をしてきたのです。
クルスベルグに来られた際には是非ドワーフの職人料理とノームの家庭料理を味わい、その違いを舌で感じて見るのも良いのではないかと思います。
それではみなさんまた次回。