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飛龍の槍・本編03

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匿名ユーザー

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「神様っ!」
目の前に8つの青龍刀が煌めく。そのうち4つは一つの機体から出ている。4ツ腕の機体だ。
絶衝機タイプ。改造されているからかなり高位の幹部が乗っているのだろう。
「そんな……」
死を前にしてしまえば、随分と冷静な判断ができるものだ。
これで私は終わりなのだ、という判断。
「私はまだ……何も出来ていない……」
仲間達の笑顔がよぎる。レイナ、妹姫、命、メリスピ。
そして、雷砂。
「ごめんなさい、ザバーまで壊してごめんなさい……助けて……誰か……雷砂……」
涙が溢れるのを止められない。バーニアのペダルにかけた足に力が入らない。頭部バルカンのトリガーにかけた指もふるえるだけ。
ゆっくりと、青龍刀の近づく様が見える。

「あ……」
絶衝機1機に音竹4機。計5つの機体全てに、ミサイルが命中した。
『上に飛べ!グレース嬢!』
通信に従って無心で上に飛ぶ。と、さっきいた場所から少しずれた辺りに太い粒子ビームが着弾した。
蒼穹!?整備中でしょ!?
『外しちゃった!』
―――雷砂?
『先輩!無事ですか!?』
雷砂だ。
「雷砂!」
『先輩!もう!行くならちゃんと言ってくれなきゃわかんないじゃないですか!心配したんだから!』
ああ、泣いている。泣かせてしまったんだ。後で謝らなきゃな。後で……
「悪かったわ。援護ありがとう。来てくれたのね」
気取った言葉が漏れる。
『もちろんじゃないですか!』
あぁ、嘴と爪のない鷲は惨めなんかじゃない……そうだ、蒼穹には翼がある。
みんなの、そして私の希望を乗せて翔ぶ翼が……

『コラ、いちゃいちゃしてんな!この数の敵はバイクのオレじゃ歯がたたねぇ!援護早く!』
バイクに乗って強化スーツサイズのビームサーベルを振り回し、音竹をまっ2つにする超人から声がかかる。
この声、鳴砂先輩か……性格も男なら空気の読めなさも男並ね。
まあ、お陰で助かったけど。
でも戦場にまでバイクで来るってどうなの?
『す、すみませんいちゃいちゃして!撃ちます!
エネルギー充填八十。目標は玉砕黒天。補正。3、2、1、発射!』
しばらくして再び太い光の柱がゆっくりと夜空に走る。が、それは玉砕黒天を照らすのみだ。

『くッ、かすっただけか!?雷砂嬢!無理か!?』
『ちょっと……無理です。先輩!こちらは距離と時間差があるので命中精度が悪いです!
先輩のテニス・ドゥエチルアーで蒼穹の粒子ビームを反射して、敵に当てるって、できますか!?』
「何を、今更」
貴方のサーブなんて中学以来ずっと打ち続けてきたじゃない。
『軌道予想送ります!』
ディスプレイの3Dマップにビームの軌道線が白く描かれる。
「受信したわ。雷砂、良くてよ」
『はい!3、2、1、発射!』
収束された、細い粒子ビームがゆっくり近づく。
玉砕黒天からの弾幕を回避しつつ、ザバーをビームの軌道に対してやや深く位置させる。
左手と右足の不足は反射角に影響はしないだろう。問題は、入射するビームの角度。
見切ってみせる。構えたまま、アポジモーターで微調節を行い、備える。
「反射まで、あと4、3、……」

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