2011年(平成23年)3月11日 金曜日 14時46分18.1秒
日本全国に震度5~6の地震発生。 震源地は不明。
各地の原子力発電は緊急炉心停止。 インターネット、電話回線の不通。
45都道府県全域で停電、土砂崩れによる道路寸断、地面の液状化現象、陥没、ダムの決壊、また沿岸地域での津波発生などが報告された。
地震発生から約一時間後、首相官邸に地震災害対策本部の設置。
全国の地震・津波による被害の規模はそれほど大きくなかったものの、あまりにも被災範囲が広く多すぎたために
一時的に対策本部は寄せられる報告にパニックを起こしかけた。
地方自治体の要請により自衛隊に災害派遣出動が要請された県も多く、同日夕刻までに全国の駐屯地に指令が下った。
地震によって送電線が歪んだり倒れた地域を除き、停電は10分以内に復旧していた。
同時に国内の電話回線は復旧するも、インターネット回線は未復旧、または、非常に負荷がかかるという報告が寄せられる。
原因はサーバーの応答がない事で、海外にサーバーを置くものは完全に全滅。
わずかな国内サーバーのみが生き残っているだけだった。
さらに、海外とのあらゆる通信回線の不調……正確には断絶が報告される。
民間の通信網だけではなく、ホットラインすら消失。
在日米軍はアメリカ本土ならびに日本国内以外の全ての軍事通信回線網が消失した事を、地震発生から15分以内に把握。
緊急事態に移行する。
一部の気象衛星、GPS衛星、米軍の通信衛星などは通じるものの、それ以外のほとんどの衛星が消失。
また、地震直後より日本周辺を飛行・航行中の国際線や船舶が日本各地の空港や港に殺到する。
一部以外のGPS衛星の消失により、航法管制装置が機能しなくなったこと、また日本以外の空港との連絡が途絶したため避難して来たのだ。
16時30分、首相による緊急会見。
海外との完全連絡途絶に対する政府の公式発表と、原因究明に向けて動く旨と、国民への冷静な行動の呼びかけが行われる。
連絡途絶の原因に対し、EMP効果の可能性が示唆。
機能の半分以上停止したインターネットではまだ生きている掲示板にて、核戦争や太陽フレアの異常などが推測・議論される
同日夜。
各地の天文台から「星座の形が違う」「月齢が進んでいる」「火星や金星が無い、火星や金星とは異なる今まで無かった惑星がある」などの報告が入る。
アマチュア天文家を中心にネットにリークされたその情報は、一部架空戦記ジャンルやSFジャンル、某スレッド、
某作品の読者・住人層の避難所臨時掲示板を中心に沸騰、地球ではない別の惑星に日本が転移した、という説が他の掲示板にも拡大する。
未曾有の巨大地震で日本以外の全世界が壊滅し、地軸にも影響があったのだ、とする反論も散見されたが、どのみち荒唐無稽な説に過ぎないのは同じだった。
やがて、アクセス数の増加によりサーバーがダウンするまでこの話題は加熱した。
明けて12日。 事態の進展は見えず。 政府閣僚と関係各省庁は対応に追われる。
依然として海外との連絡は復旧せず、産業界を中心に不安の空気が蔓延し始める。
資源・食糧の輸入が完全ストップし、原子力発電所は一斉停止したままで休止中の火力発電所がフル稼働して電力を賄っていた。
それよりも道路寸断により孤立した地域では自衛隊・警察・消防などによる支援活動と道路・電線の復旧が行われていたが、
一部の流通が麻痺したことにより早くも被災地域での燃料・物資の不足が心配される。
とりあえずヘリコプターによる被災地への物資輸送が行われた。
電力会社および原子力保安院から停止中の原子力発電所について報告が上がる。
停止中の原子炉内の温度は、停止中であっても核燃料棒の反応により一定以下に冷却を継続しなければならないのだが、その温度が下がっている。
核燃料棒が全くといって良いほど反応を起こさない。 これは、原子力発電所が復旧・再稼動するどころか完全に機能しなくなった事を示していた。
その原因は全く不明で、招聘された国内の核物理学者・専門家たちは揃えた首を捻ることしかできない。
ただちに試算がなされ、原発による電力供給に頼れない状態で、火力発電を中心に燃料を消費した場合、国内の化石燃料資源が早期に枯渇する危機に陥る可能性が指摘される。
政府閣僚は資源と経済の統制が必要になった事実に直面した。
なお、核燃料棒が反応を起こさないだけで、放射線は変わらず計測されている事が追加報告される。
これにより核燃料棒は使用中のものも使用済みのものも、等しく単なる処理が厄介な廃棄物と化した。
13日。
この日、空自のレーダーサイトは領空に不明な飛行物体を探知。
直ちに西部航空方面隊築城基地にスクランブル発進が通達、F-15Jが2機、離陸した。
目標となる国籍不明機は対馬上空約1000mを、かなりの低速で南下中で、気球か飛行船と思われていた。
しかし、現場空域に到着した空自機は、多少予想を裏切られる後継を眼にすることになる。
「なんだアレは?」
そのパイロットの呟きは、確かに「何だ?」としか言い表せない、目標の国籍不明機の奇妙さを形容するのに充分な困惑で満たされていた。
それは確かに、飛行船のような形状をしているのだが、ゴンドラ部分が木造の船舶の様な形をしており、そして大きい。
さらに、ゴンドラの下部には帆船のマストを逆さまにしたような、帆とマストが伸びており、その帆で風を受ける以外に推進力を得るエンジンらしきものは飛行船には取り付けられて居ない。
国際周波数で呼びかけても応答は無く、F-15Jの機体を接近させるとゴンドラの甲板からは乗組員らしき人間たちが何人も、こちらを指差して驚いている様子が見えた。
その後、飛行船の様な不明機は進路を変えて北上、度重なる空自機の呼びかけにも応じずそのまま領空を離脱して、朝鮮半島方面に向かった。
空自機は不明機が領空外に出た時点で帰投。
この領空侵犯事件はただちに内閣に報告され、夕方のニュースでは早くも報道されていた。
また、この日は他にも全国各地の漁港で、今まで見たことも無い新種の魚が水揚げされ地方紙の一面を賑わした。
震災の影響で深海魚が浮上してきたのでは?とも噂された。
14日。
空自からF-15J、RF-4EJ、海自のP-3C哨戒機や護衛艦がロシア・韓国・中国沿岸に調査に向かった。
未だ連絡の途絶したままの周辺各国に対し、何が起きているのかの情報を少しでも収集するためである。
11日時点で既に米軍は電子戦偵察機を中心として情報収集活動を行っていたが、そちらは何の手がかりも無かった。
また、グアム・サイパンの米軍基地に向けて輸送機を直接飛ばし向かわせたが、そちらも行ったっきり何の連絡も返らない。
調査は翌15日まで行われ、判った事があった。 が、それは容易には事実だと認めるのが難しい事態であった。
「地球の極東アジアと地形が似ているが、海岸線が微妙に違う」事。
ロシア・韓国・中国ともに民間船舶、沿岸警備隊、海軍の艦船と遭遇する事が一切無い事、代わりに海上で目撃されたのは
大昔の帆船の様な木造船舶、そして先日の国際不明機の様な謎の飛行船の様な飛行物体が沿岸海域の上空で観測されただけであった。
事態はここに至って混迷を極め、また何が起こっているのか、木造帆船や飛行船らしき物体がどこの所属なのかも不明なために
不用意な刺激を与えることを避け、遠距離から視認するのみで必要以上の接触は現時点では行われなかった。
この報告を受け、海岸線の地形が異なる事は、あの地震は日本だけでなく東アジア一帯を襲ったもので、
それによる津波の影響では?という推測もなされ、津波による被害で港湾と船舶がダメージを負い、帆船しか使用できないのでは、という推論にまで拡大したが、それはさすがに無理があるとされた。
それに、帆船の様なマストを吊り下げた飛行船については、説明が付かない。
あんな風を受けすぎて安定しない飛行物体が成立するはずは無いのだ。
ただでさえ風に流されやすい飛行船という存在にマストは完全な邪魔である。 真っ直ぐ進むことさえ難しいはずだ。
そういった非現実的な推測とそれへの反論、そして説明の付かない、この震災以降の異常な事態に専門家と閣僚達は頭を悩ませながらもどうにか現実的な現状の解明と
解決策を見出すべく議論を交わしているが、事態は何ら進展せず国民の不安は高まり、それが感染したのか与党内からも不安・不和の種が芽吹き始めている。
しかし、気象衛星や情報収集衛星がもたらした新たな報告…それ自体は3月11日時点でわかっていたものの、
何度も何度も間違いではないかの念入りな確認と、あまりに衝撃的な事実に報告が差し控えられて居た為に遅れた、決定的な証拠に
政府も国民も確固たる事実を認めざるを得なかった。
大陸のおおまかな、全体的なシルエットは確かに地球のアジアと酷似し、一見しただけでは、ユーラシア大陸そのものに見えた。
だが、その形状は細部で微妙に違った。 遼東半島が欠けていたり、あるいは無いはずの半島が大陸から突き出ていたりさえした。
米軍の、つい最近通信が回復し存在が確認された偵察衛星からの情報も同じような状況だった。
地球を周回しながら惑星の裏側を偵察してきたその衛星は、ヨーロッパ地域や中央アジアの地形が完全に異なる…
イギリスが大陸と繋がっていたり、黒海や紅海が干上がって存在しない事、中東やアフリカ北部が緑地に覆われていること等を報告した。
ここに来て、ようやく彼らは日本が地球ではないどこか別の惑星に時空転移したのだと言う事を認めざるを得なくなったのだった。
そして、同3月15日の夜半。
福岡県福岡市の博多湾のはずれの漁港に、海自や海上保安庁の眼を潜り抜けて沖合いに領海侵入した船舶から漕ぎ出された数隻の小船が闇に紛れてたどり着き、数名の人間が上陸した。
闇に紛れる色合いの外套を纏い、腰に短めの刀剣を帯びた不法侵入者たちは乗って来た小船に棒状のなにかを向け、棒の先端から青い光を放つと小船は靄に包まれたかのように透明化して見えなくなる。
そして偽装を済ませた彼らは、遠くに見える福岡市内のネオンの明かりに向けて身をかがめながらゆっくりと歩き始めた。
日本全国に震度5~6の地震発生。 震源地は不明。
各地の原子力発電は緊急炉心停止。 インターネット、電話回線の不通。
45都道府県全域で停電、土砂崩れによる道路寸断、地面の液状化現象、陥没、ダムの決壊、また沿岸地域での津波発生などが報告された。
地震発生から約一時間後、首相官邸に地震災害対策本部の設置。
全国の地震・津波による被害の規模はそれほど大きくなかったものの、あまりにも被災範囲が広く多すぎたために
一時的に対策本部は寄せられる報告にパニックを起こしかけた。
地方自治体の要請により自衛隊に災害派遣出動が要請された県も多く、同日夕刻までに全国の駐屯地に指令が下った。
地震によって送電線が歪んだり倒れた地域を除き、停電は10分以内に復旧していた。
同時に国内の電話回線は復旧するも、インターネット回線は未復旧、または、非常に負荷がかかるという報告が寄せられる。
原因はサーバーの応答がない事で、海外にサーバーを置くものは完全に全滅。
わずかな国内サーバーのみが生き残っているだけだった。
さらに、海外とのあらゆる通信回線の不調……正確には断絶が報告される。
民間の通信網だけではなく、ホットラインすら消失。
在日米軍はアメリカ本土ならびに日本国内以外の全ての軍事通信回線網が消失した事を、地震発生から15分以内に把握。
緊急事態に移行する。
一部の気象衛星、GPS衛星、米軍の通信衛星などは通じるものの、それ以外のほとんどの衛星が消失。
また、地震直後より日本周辺を飛行・航行中の国際線や船舶が日本各地の空港や港に殺到する。
一部以外のGPS衛星の消失により、航法管制装置が機能しなくなったこと、また日本以外の空港との連絡が途絶したため避難して来たのだ。
16時30分、首相による緊急会見。
海外との完全連絡途絶に対する政府の公式発表と、原因究明に向けて動く旨と、国民への冷静な行動の呼びかけが行われる。
連絡途絶の原因に対し、EMP効果の可能性が示唆。
機能の半分以上停止したインターネットではまだ生きている掲示板にて、核戦争や太陽フレアの異常などが推測・議論される
同日夜。
各地の天文台から「星座の形が違う」「月齢が進んでいる」「火星や金星が無い、火星や金星とは異なる今まで無かった惑星がある」などの報告が入る。
アマチュア天文家を中心にネットにリークされたその情報は、一部架空戦記ジャンルやSFジャンル、某スレッド、
某作品の読者・住人層の避難所臨時掲示板を中心に沸騰、地球ではない別の惑星に日本が転移した、という説が他の掲示板にも拡大する。
未曾有の巨大地震で日本以外の全世界が壊滅し、地軸にも影響があったのだ、とする反論も散見されたが、どのみち荒唐無稽な説に過ぎないのは同じだった。
やがて、アクセス数の増加によりサーバーがダウンするまでこの話題は加熱した。
明けて12日。 事態の進展は見えず。 政府閣僚と関係各省庁は対応に追われる。
依然として海外との連絡は復旧せず、産業界を中心に不安の空気が蔓延し始める。
資源・食糧の輸入が完全ストップし、原子力発電所は一斉停止したままで休止中の火力発電所がフル稼働して電力を賄っていた。
それよりも道路寸断により孤立した地域では自衛隊・警察・消防などによる支援活動と道路・電線の復旧が行われていたが、
一部の流通が麻痺したことにより早くも被災地域での燃料・物資の不足が心配される。
とりあえずヘリコプターによる被災地への物資輸送が行われた。
電力会社および原子力保安院から停止中の原子力発電所について報告が上がる。
停止中の原子炉内の温度は、停止中であっても核燃料棒の反応により一定以下に冷却を継続しなければならないのだが、その温度が下がっている。
核燃料棒が全くといって良いほど反応を起こさない。 これは、原子力発電所が復旧・再稼動するどころか完全に機能しなくなった事を示していた。
その原因は全く不明で、招聘された国内の核物理学者・専門家たちは揃えた首を捻ることしかできない。
ただちに試算がなされ、原発による電力供給に頼れない状態で、火力発電を中心に燃料を消費した場合、国内の化石燃料資源が早期に枯渇する危機に陥る可能性が指摘される。
政府閣僚は資源と経済の統制が必要になった事実に直面した。
なお、核燃料棒が反応を起こさないだけで、放射線は変わらず計測されている事が追加報告される。
これにより核燃料棒は使用中のものも使用済みのものも、等しく単なる処理が厄介な廃棄物と化した。
13日。
この日、空自のレーダーサイトは領空に不明な飛行物体を探知。
直ちに西部航空方面隊築城基地にスクランブル発進が通達、F-15Jが2機、離陸した。
目標となる国籍不明機は対馬上空約1000mを、かなりの低速で南下中で、気球か飛行船と思われていた。
しかし、現場空域に到着した空自機は、多少予想を裏切られる後継を眼にすることになる。
「なんだアレは?」
そのパイロットの呟きは、確かに「何だ?」としか言い表せない、目標の国籍不明機の奇妙さを形容するのに充分な困惑で満たされていた。
それは確かに、飛行船のような形状をしているのだが、ゴンドラ部分が木造の船舶の様な形をしており、そして大きい。
さらに、ゴンドラの下部には帆船のマストを逆さまにしたような、帆とマストが伸びており、その帆で風を受ける以外に推進力を得るエンジンらしきものは飛行船には取り付けられて居ない。
国際周波数で呼びかけても応答は無く、F-15Jの機体を接近させるとゴンドラの甲板からは乗組員らしき人間たちが何人も、こちらを指差して驚いている様子が見えた。
その後、飛行船の様な不明機は進路を変えて北上、度重なる空自機の呼びかけにも応じずそのまま領空を離脱して、朝鮮半島方面に向かった。
空自機は不明機が領空外に出た時点で帰投。
この領空侵犯事件はただちに内閣に報告され、夕方のニュースでは早くも報道されていた。
また、この日は他にも全国各地の漁港で、今まで見たことも無い新種の魚が水揚げされ地方紙の一面を賑わした。
震災の影響で深海魚が浮上してきたのでは?とも噂された。
14日。
空自からF-15J、RF-4EJ、海自のP-3C哨戒機や護衛艦がロシア・韓国・中国沿岸に調査に向かった。
未だ連絡の途絶したままの周辺各国に対し、何が起きているのかの情報を少しでも収集するためである。
11日時点で既に米軍は電子戦偵察機を中心として情報収集活動を行っていたが、そちらは何の手がかりも無かった。
また、グアム・サイパンの米軍基地に向けて輸送機を直接飛ばし向かわせたが、そちらも行ったっきり何の連絡も返らない。
調査は翌15日まで行われ、判った事があった。 が、それは容易には事実だと認めるのが難しい事態であった。
「地球の極東アジアと地形が似ているが、海岸線が微妙に違う」事。
ロシア・韓国・中国ともに民間船舶、沿岸警備隊、海軍の艦船と遭遇する事が一切無い事、代わりに海上で目撃されたのは
大昔の帆船の様な木造船舶、そして先日の国際不明機の様な謎の飛行船の様な飛行物体が沿岸海域の上空で観測されただけであった。
事態はここに至って混迷を極め、また何が起こっているのか、木造帆船や飛行船らしき物体がどこの所属なのかも不明なために
不用意な刺激を与えることを避け、遠距離から視認するのみで必要以上の接触は現時点では行われなかった。
この報告を受け、海岸線の地形が異なる事は、あの地震は日本だけでなく東アジア一帯を襲ったもので、
それによる津波の影響では?という推測もなされ、津波による被害で港湾と船舶がダメージを負い、帆船しか使用できないのでは、という推論にまで拡大したが、それはさすがに無理があるとされた。
それに、帆船の様なマストを吊り下げた飛行船については、説明が付かない。
あんな風を受けすぎて安定しない飛行物体が成立するはずは無いのだ。
ただでさえ風に流されやすい飛行船という存在にマストは完全な邪魔である。 真っ直ぐ進むことさえ難しいはずだ。
そういった非現実的な推測とそれへの反論、そして説明の付かない、この震災以降の異常な事態に専門家と閣僚達は頭を悩ませながらもどうにか現実的な現状の解明と
解決策を見出すべく議論を交わしているが、事態は何ら進展せず国民の不安は高まり、それが感染したのか与党内からも不安・不和の種が芽吹き始めている。
しかし、気象衛星や情報収集衛星がもたらした新たな報告…それ自体は3月11日時点でわかっていたものの、
何度も何度も間違いではないかの念入りな確認と、あまりに衝撃的な事実に報告が差し控えられて居た為に遅れた、決定的な証拠に
政府も国民も確固たる事実を認めざるを得なかった。
大陸のおおまかな、全体的なシルエットは確かに地球のアジアと酷似し、一見しただけでは、ユーラシア大陸そのものに見えた。
だが、その形状は細部で微妙に違った。 遼東半島が欠けていたり、あるいは無いはずの半島が大陸から突き出ていたりさえした。
米軍の、つい最近通信が回復し存在が確認された偵察衛星からの情報も同じような状況だった。
地球を周回しながら惑星の裏側を偵察してきたその衛星は、ヨーロッパ地域や中央アジアの地形が完全に異なる…
イギリスが大陸と繋がっていたり、黒海や紅海が干上がって存在しない事、中東やアフリカ北部が緑地に覆われていること等を報告した。
ここに来て、ようやく彼らは日本が地球ではないどこか別の惑星に時空転移したのだと言う事を認めざるを得なくなったのだった。
そして、同3月15日の夜半。
福岡県福岡市の博多湾のはずれの漁港に、海自や海上保安庁の眼を潜り抜けて沖合いに領海侵入した船舶から漕ぎ出された数隻の小船が闇に紛れてたどり着き、数名の人間が上陸した。
闇に紛れる色合いの外套を纏い、腰に短めの刀剣を帯びた不法侵入者たちは乗って来た小船に棒状のなにかを向け、棒の先端から青い光を放つと小船は靄に包まれたかのように透明化して見えなくなる。
そして偽装を済ませた彼らは、遠くに見える福岡市内のネオンの明かりに向けて身をかがめながらゆっくりと歩き始めた。