自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

第297話 遠ざかる物と来たる物

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第297話 遠ざかる物と来たる物

1486年(1946年)3月某日 某所

唐突に聞こえた聞き慣れぬ音

いや、聞き慣れぬ音ではなく、聞き忘れた音と言った方が正しいか
久しく聞かなかった砲声がなぜか、耳に入ってしまった

ここには砲台なぞなかった筈なのに……
でも、そんな事はもうどうでもいい

今は、飢えを抑えるために、とにかく眠り続けよう……


「今の砲声は一体なんだ!?」

詰所に居た今日の当直担当が、頓狂な声を上げながら押しかけてきた。
当直担当に聞かれた警備兵達も、わからないと言いたげに首を振るばかりで状況がさっぱり掴めない。
ただ、その直後に砲撃演習中に砲台の兵が、誤って実弾射撃を行ったため(本来は発砲訓練は行わない筈であった)、予定には無い発砲音が周囲に響き渡ってしまったのだ。
彼らはこれに仰天して、各地で事実確認に務めたのだが、結局は砲員のミスである事が判明したため、その日はそれで沙汰止みとなった。


3月4日 午後7時 カリフォルニア州サンディエゴ

太平洋艦隊情報参謀を務めるジョセフ・ロシュフォート大佐は、いつものように暗号解読室に詰めていた。

「大佐、今日の通信文は以上になります」
「ご苦労」

解読室に設けられた執務室で、部下から報告を受けたロシュフォートは、幾分気怠げな口調で言い返した。
この日も風邪を患っていた彼は、2度ほど咳き込んだあと、引き出しに置いた風邪薬を取り出し、用意していた水筒からコップに水を注ごうとした。
だが、運悪く、水筒の中身は空であった。

「チッ、また飲み干しちまったか」

眉間に皺を寄せながら、忌々しげに言う。
彼はゆっくりと立ち上がり、水筒に水を補給しようとした。
そのタイミングで、彼は解読室内がにわかに騒がしくなっている事に気付いた。

「妙に騒がしいな……誰か来たのか?」

ロシュフォートは、解読室の入り口である階段口に人だかりが出来ている様子が気になり、重い体を何とか動かして、その人だかりの中に入って行った。

「どうした?何事か?」

ロシュフォートは室内の職員達にそう聞きながら、人だかりの中に分け入り、そしてすぐに抜け出た。
すると、そこには……既に見知った顔と共に、今までに見た事もない人物……と言うよりかは、かなり特殊な顔の作り(見覚えはあるのだが、何故か特殊に見えた)の
人物が彼をまじまじと見つめていた。

「大佐!オークです!!」

唐突に、彼の右隣にいた、ミスリアル王国から派遣された解読員が興奮気味の口調でロシュフォートに言ってきた。

「オーク?彼がかね?」
「そうです!主にレーフェイル大陸や魔界で存在すると言われていましたが、まさか、このアメリカ本土で見れるとは……」
「あ、あの……」

それまでざわめいていた室内に、オークと呼ばれた人物の声が響く。
声はどちらかというと小さく、ざわめきにかき消されがちであった筈だが、その声が聞こえるや否や、室内は瞬時に静寂に包まれた。
オークと呼ばれた人物は、思わず戸惑ってしまったが、意外にも、その空気に負けまいとして、声を張り上げた。

「自分はクナリカ民国より来ました、ヴィピン・クロシーヴと申します!こちらのハーヴェイ中佐の勧めで、この度ご訪問させて頂きました。皆さん、書き物をした経験と、
少々の軍務経験しか無い自分ではありますが、今日一日、どうかよろしくお願い致します!」
「ハーヴェイ!久しぶりに再会したと思えば、これは一体なんだ?」

未だに状況が理解できないロシュフォートは、怪訝な表情を浮かべながら、ハーヴェイ中佐にすかさず聞いた。

「ロシュフォート先輩。先日の電報でちゃんと伝えたではありませんか。久しぶりにそちらへ遊びに行くのでその時はよろしくお願いしますと」
「ああ、そう言えば……って、ちょっと待て!俺は君だけが久しぶりにここへ来ると思っていたんだが」
「ちゃんと同行者1名と共に向かうと書いてありましたが」
「むむ……」

ロシュフォートは、予定にないオークの青年の訪問に戸惑いつつ、風邪で痛む頭で必死に電報の内容を思い出そうとするが、上手くいかない。
そもそも、その電報を受け取ったのは今から3日前であったが、彼はこの時も風邪を患っており、受け取った時も机に突っ伏して寝ている最中であったため、
大体の内容しか把握していなかった。

「というか先輩……その格好を見るに、今日は体調が思わしくないようですが?」

ハーヴェイ中佐は、青い顔をしながら柄模様のコートを着ているロシュフォートを見て、ようやく彼の状態に気付いた。

「その通りだ。ここ数日風邪のせいでイマイチなんだ」

ロシュフォートは一度咳き込んだ後、ハーヴェイ中佐から訪問の理由を聞いてみた。

「ところで、どうして君は、この青年を連れてここに来たんだね?」
「実はですね、先輩。彼は大した奴ですよ」
「大した奴だと?まぁ……体つきはがっしりとしているが」

ロシュフォートはクロシーヴの体をひとしきり見たが、理解し難いとばかりに首を捻った。
クロシーヴはそれを気にする事なく、肩にかけていた鞄を床に降ろし、中から何かを取り出した。

「ロシュフォート大佐殿……でよろしいですね?実は、私がこちらに連れてこられた理由ですが」
クロシーヴは本のような物を5冊取り出した。

「ハーヴェイ中佐殿からは、私が書いたこの本が、ここで役に立つかもしれないと言われました。そのため、私はクナリカからここに連れて来られたのです」
「ほう、物書きの経験があると言っていたが……もしかして、お国では名のある文豪だったのかね?」
「いえ……自分が考えたへんてこな物語を集め、それを自費で本にしただけで、本当はただのしがないオークです」
「ただのしがないオーク殿が書かれたにしては、綺麗な本じゃないか」

ロシュフォートは鞄から取り出された本を見るが、本に書かれた文字が今まで見た事の無い言語であるため、反射的に本の題名を彼に聞く。

「これは本の題名か……何と書いてあるのかね?」
「善人クポンと悪人クトインルです。話の内容としては……」

ロシュフォートの耳には、それ以上の言葉は聞こえて来なかった。
いや、ロシュフォートのみならず、解読室の職員全員が、その思考を凍り付かせていた。
しばらくの間、クロシーヴは本の内容を簡単に説明していたが、程なくして、彼は自分に注がれる視線に、殺気めいた物を感じ取るようになった。

「え……えっと……皆さん、如何されましたか?」

ロシュフォートは目を見開き、クロシーヴと本を交互に……そして、何度も見た後、唐突にクロシーヴに目を合わせた。

「君。元はマオンド軍で勤務していたと言っていたようだが、階級は貰っていたかね?」
「は、はぁ……徴兵で事務方を任されておりましたが、オークにしては手際がいいとか言われて、いつの間にか少尉殿と呼ばれるようになりまして、終戦前には
部下4、5人ほど付けて貰って軍務についておりましたが……あの、この事と何か関係が?」

ロシュフォートはしばし口を閉じていたが、無言のまま首を横に振りながら言葉を紡ぎ始めた。

「君の階級がどうだったかは関係はない。だが……君の書いた物語は、大いに関係がある」
「え……?」

クロシーヴは戸惑いの声を漏らすが、その直後、ロシュフォートは彼の両手を力強く握りしめた。

「よくぞ来てくれた!君こそ、この状況を打開する救世主だ!!」
「え……あ、あの、この本でどのような事をされるんですか?正直、何が何だか……」

状況が飲み込めていないクロシーヴは、戸惑いながらロシュフォートに聞く。
すると、ロシュフォートは彼の手を握ったまま、人だかりを掻き分けて大きな黒板の前まで連れ出した。

「君にはこの言語が分からないだろう。そう、これも」

ロシュフォートは、指示棒を手に取って黒板に書かれた言葉を、指示棒の先で次々と指していく。

当然、マオンド共通語しか分からない彼には、どれもこれもが理解できない言語である。
ただし、英語が初見という訳ではなく、米軍が進駐し、知り合いも出来てからは幾度となく目にした言葉ではあるが、英語を全く勉強していない彼にとっては、未だに
理解出来ない言語のままだ。
ロシュフォートは黒板の下まで指示棒の先をなぞってから、再び一番上の言葉に戻した。

「この言葉は……クポン、そして2番目はクトインルだ。猊下……とも呼ばれていたな?」
「は…はい!あ……まさか」
「君には非常に重い話となるが、ここではっきりと言おう」

ロシュフォートは、指示棒の先をクロシーヴの持つ本に向けた。

「君の本の内容が、我がアメリカ合衆国が戦っている敵国シホールアンルによって、暗号通信文として利用されている恐れがある。いや、利用されていると確信した」
「……そんな」
「念の為確かめてみよう」

ロシュフォートはそう言うと、黒板に書かれている言葉を次々と口にし始めた。
人物名、町の名前、動物の名前など……
黒板に書かれた言葉の羅列が三分の一ほど読み上げられ、更に続きを読もうとした時、

「大佐殿!もう……もうよろしいです」

クロシーヴはたまらず、ロシュフォートを制止した。
誰の目にも分かるように、たった数分の間にクロシーヴはすっかり憔悴しきっていた。

「シホールアンル帝国は、我が軍に魔法通信を傍受されていると気付いた後、暗号通信を大々的に使用して軍事作戦を展開し続けている。現在、合衆国軍を含む連合軍は
敵に対し、絶対的な優勢を確保し、今も攻勢を続けているが……このような状況でも敵の通信内容は解読できず、敵軍の部隊移動などの情報は、偵察によって得るしかない。
つまり、敵は不利な状況の中でも、我が連合軍に対して、絶えず犠牲を強いる事ができるのだ」
「勝つことはできるものの……それは膨大な犠牲を重ねた末のものになる……と?」

クロシーヴが恐る恐る聞くと、ロシュフォートは無言で大きく頷いた。

「上層部の予測では、シホールアンル帝国の完全な屈服はどのような経緯を辿ろうとも果たす事ができるが、それには、連合軍将兵50万の死傷が最低限見込まれていると
言われている。最悪の場合は100万以上の損失が覚悟されているが、我々としてはその犠牲者の数は余りにも膨大すぎる。シホールアンル側の犠牲者はその遥か上をいくだろう。
合衆国軍は敵が降伏するまで、敵の主要都市のみならず、地方都市はおろか、農作物の産地といったあらゆる物に戦略爆撃を行うかもしれない。そうなれば……
シホールアンル将兵のみならず、その一般市民にも凄まじい試練が待ち受ける事になる。これは、絶滅戦争に等しい」
「………」

クロシーヴが言葉を吐き出す事ができないまま、ロシュフォートは続ける。

「その影響でシホールアンルに対して、ある程度の妥協を認めた上での停戦も視野に入れるべき、という声も少なからず上がっている。だが、敵の現体制が残ったままの
停戦は、将来的に非常に不味い事になりかねないし、それ以前に同盟国は承認しない。仮に承認させたとしても、連合国内でも深刻な対立を生み出しかねない。今は、
優勢に見えて非常に危うい状況にあると言えるだろう」
「つまり、私の作品はこの戦争の終結を早め、あなた方の陣営を繋ぎ止める鍵になる……という事ですね?」
「その通りだ。理解が早くて助かる」
「………いいでしょう」

クロシーヴは腹をくくり、意を決した彼はロシュフォートに言う。

「私の作品をあなた方に提供いたします。この悲惨な戦争を、一刻も早く終わらせてください」
「いいのかね?」

ロシュフォートは幾分躊躇いがちに問い返すが、クロシーヴは無言で深く頷いた。

「ミスタークロシーヴ、ご協力に感謝する」

ロシュフォートは満足気にそう言いつつ、右手を差し出した。
クロシーヴは一瞬固まるも、最初は恐る恐ると、そしてしっかりと、その分厚い手でロシュフォートの手を握った。

「ほう、いい手だ。オーク族の者と握手するのは初めてだが、温かみのあるしっかりとした手だ。色々な経験もこの手でしてきた事だろう」
「ありがとうございます。それでは、私はこの作品をあなた方に提供いたします。後は好きに使ってください」
「うむ。早速だが、君の席を用意しようと思う。それまで」
「え……私の席……ですか?」
「そうだ。君にも敵の暗号解読のために一働きお願いしたいが」
「……ちょっと待ってください!」

唐突にクロシーヴは困惑し始めた。

「私は暗号の元となっているこの作品を提供し、少しばかり翻訳した後はあなた方に全てお任せしてここを去ると思っていたのですが……」
「何を言っている。君も今からこの暗号解読室のスタッフだ。見ての通り、ここは今いる人員だけでは幾分不足しておってね。猫の手も借りたいところなんだ。
そこに君がやってきたと言うわけだ!少々強引ですまないが、君も従軍時にはデスクワークをメインにやってたそうじゃないか。その経験をここでも活かしてもらいたい」
「強引すぎて眩暈がします。それ以前に、私は英語と言う物は限定的に知っているだけで、本格的な英語がわかる訳ではありません!」
「まあまあ、英語なんてすぐに理解できる簡単な言語だ。やってる内に慣れてくるさ」

(なんて無茶苦茶な!)

クロシーヴは、半ば青い顔で人ごとのように言うロシュフォートに対し、心中で驚いたものの、次第に成り行きに任せるのも良いかという感情も芽生え始めていた。

「はぁ……では、これも勉強でしょうし、ここでしばらくの間、ご一緒に働かせてもらいます」

クロシーヴの言葉を聞いた解読室のスタッフ達は、思わずどよめいたものの、そのすぐ後には飛び入り参加となったオークの若者を祝福し、大きな拍手と共に改めて出迎えたのであった。

「それでは、早速だが彼に席を用意してくれ。諸君らも既に知っているであろうが、彼はこれでも元士官だ。無礼のないように接してくれ」


3月6日 午後8時 カリフォルニア州サンディエゴ

急遽、アメリカ太平洋艦隊情報部所属の暗号解読室でスタッフとして働く事になったクロシーヴは、初めて目にする本格的な英語の前に目を回し続けていたが、
同僚のエルフや獣人達の手助けもあって、徐々に英語への理解度を高めつつあった。
また、彼の提供した自作小説は、敵の暗号解読にかなり効果的である事が判明し、こちらもまた、敵側の通信記録と味方偵察機が得た情報などを照らし合わせながら
解読への糸口を掴み始めていた。
そんな中、暗号解読室のリーダーであるロシュフォート大佐の執務室から、思いがけない罵声が響き渡ってきた。

「くそったれめ!シホット共、肝心な所でいらん事をしやがった!」

いつもは飄々とした雰囲気のロシュフォートにしては、珍しいほどの怒声であったが、しばらくしてから彼は、幾分よろめくような足取りで執務室から出てきた。

「諸君!聞いてくれ!」

ロシュフォートは、憤懣やる方ないといった表情のまま、解読室のスタッフらに注目を促した。
スタッフらは一様に手を止め、彼を注視する。
「先ほど、いいニュースと悪いニュースが入った!まず、いいニュースだが……恐ろしい事に、敵はとんでもない新兵器を、ある場所で開発中との情報が、捕虜を
尋問した結果明らかになった。そして悪いニュースだが」

ロシュフォートは、唐突にまた罵声を放ちそうになったが、それを押し殺して言葉を続けた。

「その情報源である捕虜は死んだ。肝心な言葉を放つ前に、頭を掻きむしって倒れた後……ポックリと逝ってしまったそうだ」

その瞬間、解読室の空気が一瞬にして冷たくなったように感じた。

「ただ、使えそうな情報が得られなかった訳ではない。クロシーヴ君」

名前を呼ばれたクロシーヴは、驚きながらも席を立った。

「は、はい!」

「敵から得た情報は少ないが、その中からとある作品から取ったような名前を、その捕虜は言っていたようだ。そこで君の出番と行きたい。捕虜から得た情報は、
間も無くこの解読室に運ばれる」
「そうでありますか……」
「無論、君の作品から取ったやつかどうかはまだ分からん。もしかしたら違うかもしれない。敵の近くに進みかけたと思いきや、今はまだ遠くの向こうにいるままだ」

ロシュフォートはクロシーヴから目を離し、スタッフらを見回しながら言い続けた。

「得た情報を照らし合わせるに必要な物は、何もクロシーヴ君の情報だけではない。あらゆる情報……航空偵察、傍受した敵の通信文、日付ごとの敵地上空の天候など、
ありとあらゆる物全てが必要になる!諸君も、解読作業を同時並行で行いながら、この新たな情報の分析に当たってもらいたい。いいな!」
「「はい!!」」

ロシュフォートに向けて、スタッフらは威勢の良い掛け声を放った後、これまで以上に作業に没頭し始めた。

1946年3月 帝国東海岸某所

秘密魔法施設最高責任者のオルヴォコ・ホーウィロは、その日の勤務を終えた後、久方ぶりに施設内に作った彼専用の休憩室に足を運んだ。

「フッフッフッフッ……やはりな」

ホーウィロは休憩室の室内に飾ってあった、薄紫色の装飾を見るなり、満足気に呟いた。
この休憩室は、最高責任者であるホーウィロ自身の自室であり、ここには様々な物が置かれていた。
室内は広く、部屋の角には人間2人が寝れそうな幅の広いベッドに高級そうな長いテーブル、それとは別に書斎机や、その背後にある本棚などが置かれているが、
その一角に置いてあった多数の蝋燭のような物が、薄紫色の光を炯々と放ちながら置かれている。
彼は、その中の一つが消えている事に気づき、更に不気味な笑みを浮かべた。

「愚か者めが。敵の尋問に屈して情報を吐こうとしよったな。だが、わしが埋め込んだ呪殺魔法が作動して、その薄汚い頭の中身をぐしゃぐしゃにしてやったわ」

彼はそう言ってから、高笑いを上げた。

「馬鹿な連合軍共め、思い知ったか。これが我が帝国の魔法技術だ!いずれはこの国から貴様らを蹴散らし、そして本国に乗り込んで好き放題してやるぞ」

ホーウィロはそう言って微笑みながら、棚から酒瓶を取り出し、グラスにワインを注いだ。
そして、本棚にある幾つかの本のような物を取り出す。
そして、本の中から取り出したのは、録画用の魔法石であった。
彼は部屋の中央にある、布で何かを覆っている台に近寄ると、その布を取り払った。
そこには、魔法映写機が設置されており、それは室内のソファー前にある壁に向けられていた。

「フフフフ、忙しすぎて見れなかったが、今日やっと眺められるぞ」

彼はシホールアンル語で書かれた言葉を見つめつつ、魔法石を映写機の中に収めていく。
その言葉は魔法石の中に記録された内容のタイトルが書かれており、彼が今見ようとしているのは、武装したカレアント兵の最期という物であった。
この休憩室は、彼が部下に命じて記録させた映像を確認するための部屋でもあるのだが、その映像の中身はどれも悲惨極まる物だった。
その内容は、ある物は実験体に処理される捕虜の映像を淡々と記録している物であったり、ある物は気まぐれで選んだ捕虜を武装させて、各種トラップを設置した
室内に放り込んで、その最期を記録させる物であったり、またある物は魔法生物にじわじわと殺害させる物など、いずれもが正気を疑う内容ばかりであった。
彼が今見ている映像の内容も、猫耳のカレアント女性兵にトラップを仕掛けた施設に放り込み、胴体に致命傷を受けさせた後、苦しむ捕虜に向けて更に多数の鋭利な刃物を
飛び込ませて無数に裁断するという、非常にショッキングな内容であった。
そして、彼はそれを見て楽しんでいた。

「あぁ……いい!非常に素晴らしい!!あの兵士の美しく、よくできた形の、それでいて鍛えられた筋肉質の肉体が、ああも無惨な姿になるとは……
いいぞぉ……とても素晴らしいぞぉ!!」

ホーウィロはひとしきり楽しむと、側に置いてあったワインを一息に飲み干した。

「はぁ……はぁ……こういう事が楽しめるから、この仕事はやめられん!強気な兵士が無惨に切り刻まれ、体に穴をあけられ、焼かれていく姿に興奮する!
男も良しだが、女ならなお良しいいいいいい!そのせいでここにある記録の性別がだいぶ偏ってしまったがねぇ……ハッハッハッ!」

彼は一瞬冷静になり、容器の記録日に目を通した。
記録の内容は2月14日になっている。
記録の撮影は2週間起きに3度行われていたが、この日を最後に記録の撮影は行われていない。
理由は簡単だ。

「それにしても……アメリカ機動部隊が駅と線路を派手に爆撃したせいで捕虜の仕入れができなくなるとは……全く持って腹立たしい!次の捕虜の中には、エルフの
上物も混じっていたと聞く。それを上手い具合に料理したかったのに……非常に腹が立つ!」

ホーウィロは激しく喚き散らした。
2月下旬、新たな捕虜1000名をこの秘密施設にて受領する予定であり、そのための特別列車が事前に鉄道駅で待機していたが、そこに敵の機動部隊から発艦した
夜間攻撃隊によって鉄道駅ごと爆砕されたため、捕虜の移送手段を喪失したのである。
このため、実験体の整備には、近場で採れた危険動物を使って調整にあたっているのだが、捕虜を使った調整と違うためか、実験体の完成は予定を大幅に遅れる事となった。

「まぁ良い……記録はまだまだあるぞ。そのうち、復旧作業も終わり、新しい列車も手配されるだろう。その時までは、こいつらを楽しむことにしよう」

ホーウィロは気を取り直すと、乱れたズボンを荒々しく脱ぎ去り、新たな魔法石を映写機に収めた後、いつもの記録確認を進めていった。

3月12日 午前11時 シホールアンル帝国首都ウェルバンル

首都ウェルバンルにある陸海軍合同司令部では、陸軍総司令官ルィキム・エルグマド元帥率いる陸軍総司令部の一同と、リリスティ・モルクンレル元帥率いる
海軍総司令部の面々がいつものように、各戦線の現状確認と今後の作戦についての確認や協議を行っていた。
陸海軍合同会議が始まって1時間経ったころ、陸軍総司令部作戦参謀のベルヴィク・ハルクモム中佐がとある報告に対して疑問を呈していた。

「質問してもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」

海軍側の作戦参謀が即答したあと、ハルクモムは口を開いた。

「先ほどお聞きいたしましたが、リーシウィルム沖周辺のアメリカ軍は多数の船舶を集結させていると申しておりましたな。その船舶はどのような目的で
その地域に集められているのでしょうか?」
「海軍情報部の分析では、現在帝国本土東部ならびに、先日より開始された帝国中部付近の攻勢を支援するための物資を、敵国本土や同盟国から移送してきた
輸送船団であると判断しております。数は正確にはわかりませんが……おおよそ300から、600近くかと」
「その輸送船団は、リーシウィルム南西部全体で確認された物でしょうか?」
「無論です。ただ、ここ最近はリーシウィルム港に船舶が集中しているようですが」
「リーシウィルム港のみにですか?」
「レンフェラルからの報告によると、そうなります」
「リーシウィルムは連合軍の一大兵站拠点だ。敵が旧ヒーレリ領からも攻勢を開始した今、ここからも補給物資の運搬が頻繁に行われる事は容易に想像できる。
海軍が確認した多数の船舶は、その補給物資を運にリーシウィルムに入港しているのだろう」

兵站参謀のラッヘル・リンブ大佐がそう言うと、ハルクモム中佐はなるほどと頷くが、それでも複雑そうな表情を浮かべていた。

「作戦参謀は、何か引っかかるものがあるのかね?」

エルグマドがハルクモムに質問を投げかけた。

「は……兵站参謀の言われる通りであると、私は思います」
「そう思うと言いつつも、いまいち納得できんと顔に書いてあるが?」
「いえ、そう言う訳では」
「エルグマド閣下、作戦参謀は何かご懸念を感じておられるのでしょうか?」

海軍側の魔道参謀であるヴィルリエ・フレギル少将がエルグマドに聞く。それに対してエルグマドは頭を横に振った。

「わしにはいまいち分からん。敵の状況としては、東部で首都を目標にした主攻撃と、それを補助する中部の補助攻撃を行い、それを敵の航空部隊が支援している
という状況だろう。あとは敵の海軍が、自慢の高速機動部隊とやらで本土西南部沿岸に嫌がらせの航空攻撃行って、目を逸らすのが一連の流れであると、わしは思っとる」

エルグマドは一瞬だけ、ハルクモムの目がはっとなった瞬間を見逃さなかった。

「ただ、作戦参謀は、わしとは別の何かが見えているようだ」
「作戦参謀……私としては貴官からはっきりとした意見を聞きたい。おぼろげながらでも構わないから、遠慮なく発言してもらいたい」

ここで、リリスティ・モルクンレル元帥がハルクモムに言う。
彼女はハルクモムの目を真っ直ぐ見据えた。

「では……これはあくまでも、私の考えではありますが、今ここで申し上げたいと思います。あまり多くの言葉を申す事はできませんが……私の疑問はただ一つ。
なぜ、いつもの上陸作戦をやらないのか?であります」
「上陸作戦?今この時期にかね?」

隣のリンブ大佐は、思わず声が裏返ってしまった。

「作戦参謀、いくらなんでも、そんな負担を増やすような事はせんと思うが」

エルグマドもハルクモムの疑問に否定的であった。

「我が軍にも余裕のあった1年前ならまだわかる。だが、今や敵は絶対的な優勢を確保したとも言える状況だ。2正面から行けば前進が確実に見込めるこの時期に、
わざわざ上陸作戦を行うとは考え難いがの」
「上陸作戦を行うとしても、どこに行くんだ?東海岸にかね?」

リンブ大佐はあり得ないとばかりにハルクモムに聞くが、ハルクモム自身もはっきりとは答えきれなかった。

「私としても、どこに上陸するかまでは正確に判断できません。しかしながら……上陸作戦自体は、敵は常に選択肢に入れられるという事実を、我々は今一度
重大視するべきではないでしょうか?現に、過去の戦闘では、敵は上陸作戦を行う事によって我が軍を圧迫し、その結果戦線を大きく後退させた経験を得ております。
それを発展させた形でまた実行する事も考えられると、私は思っております」

ハルクモムの言葉を聞いた海軍側の面々が、一段と表情を暗くする様子が見て取れた。
リリスティらには、海軍が惨敗したせいで帝国西部にも敵がやりたい放題にしているではないか!と言っているように聞こえたのだ。

「こういう結果に立ち至った過程に関しては……悔しいながらも、アメリカ側の方が艦艇の質や装備の質はもとより……気合いや勝利に対する意気込みでも我々に勝っていた、
という点でも大きかったでしょう。1年7ヶ月前の第1次レビリンイクル海戦で海軍側は来襲した敵の大艦隊を大負けさせた事も、昨年の第2次海戦で敵が猛り上がる
きっかけになったのかもしれません」

海軍側の空気が悪くなった様子を見計らったハルクモムは、心中で慌てつつ、平静な声音で海軍側も頑張った結果の上である、と言う含みを持たせながら言葉を続けた。

「話は逸れましたが、現状は帝国本土西部沿岸沖はアメリカ海軍の制海権下にあると見て間違いありません。それはつまり、敵が西部沿岸の好きな所に上陸作戦を行える事を
表しているとも言えます。私としては、敵がこの選択肢を選び、西部沿岸部のいずれかに上陸を行って何がしかの作戦を敢行し、こちら側に主戦線や第2戦線への増援を
やり難くしようとするのではないか?と予想しているのです」
「つまり、嫌がらせ目的で適当な兵力を上陸させ、こちら側の兵力を引きつけようとしている、と言う事になるのかね?」

エルグマドが聞くと、ハルクモムは即座に頷いた。

「それでは、ただただ戦力を分散させるだけにならないかね?私なら、そのような戦力があるのならば、主要な戦線に投入して圧力を強める事を考えるが」
「いえ、上陸作戦を行うのも悪くない案です。そして、アメリカはそのような無駄な事と思える作戦をいくらでもできる」

フレギル魔道参謀がリンブ兵站参謀に言い返す。

「なるほど……では、もし敵が西部へ上陸すると仮定した場合……シュヴィウィルグ運河の辺りが危ないかと思われます。あの辺りは北海岸への玄関口となっております。
また、軍需物資の輸送にも欠かせぬ重要拠点であり、もしここを襲撃されれば、我が軍はより一層苦しくなります」
「ふむ、物資の水上輸送路としての視点で語るか。さすがは兵站参謀だ」
「兵站参謀の言われる通り、新たに物資生産拠点として活動し始めた北部からの軍需物資が、前線に届かなくなるのはかなりの痛手となります」

エルグマドの感心した言葉に、ハルクモムが一言補足する。

「しかし、シュヴィウィルグ周辺はかねてより、陸軍が強固な防御陣地を構築しています。敵も当然、航空偵察でその事は確認しているでしょうから、ここに強襲上陸を
行うのは難しいと思われますが」

リリスティは敵のシュヴィウィルグ来襲は考え難いとばかりに、陸軍側に向けてそう言うが、ハルクモムはそうではなかった。

「いえ、シュヴィウィルグへの攻撃は、現時点では十分に考えられると思われます。現に、敵はそれを行うだけの戦力を有しております。閣下、もしもの事態に備えて、
シュヴィウィルグはもとより、シェルフィクル地域への強襲上陸も行われると仮定して、今後の作戦計画を練り直す必要があるかと思われます」
「となると……東部への戦力の転用は慎重にせねばならんの」

エルグマドは眉間に皺を寄せながら、ハルクモムに言う。

「3月中旬までに6個師団、4月初めに6個師団を転用する予定でありますが、減らしますか?」
「……3月中に送る6個師団はそのまま送る。だが、4月分の6個師団は転用を見合わせ、東北部で編成した3個師団と、帝都防衛軍団から幾らか抽出する事で不足分を補おう」

エルグマドはそう返答したが、それに総司令部参謀長が異を唱えた。

「お言葉でありますが、帝都防衛軍団から抽出するのは皇帝陛下の不興を買う恐れがあります。また、北東部で編成された師団は、12月中頃から1月末にかけて動員された兵が
中心の部隊で、練度に不安が残ります。それに対して、西部から抽出する部隊はいずれもが、部隊編成から1年以上経ちます。北東部で編成された師団と比べれば、比較的練度が
高く、戦闘時においては役に立つかと」
「ふむ……貴公の言う通りではあるが、4月に送る部隊は、その殆どがハルクモムが来襲を危惧する西部沿岸の防衛にあたっておる。西部沿岸には3個軍、12個師団がその任務に
当たっているが、事前の計画を遂行すれば、沿岸防衛軍は半減することになる。そこに、敵が強襲上陸を仕掛ければ、これに対応する部隊は6個師団のみになってしまうぞ」
「は……言われてみれば……」
「しかしながら、参謀長の懸念も十分理解できます。練度不十分の部隊を敵の攻勢にぶつければ、悲惨な事になるのは目に見えています。今、敵パットン軍の攻勢を受けている
部隊は練度優秀な部隊と練度不良の部隊が半々で入り混じっておりますが、練度不良の部隊はいずれも、損耗率7割以上を叩き出しているに対して、練度の高い部隊……
特に第76軍は4割から5割ほどの損耗で済んでおります。ただし、これは師団全体の話であり、第76軍もとある師団では師団司令部が爆撃した他、連隊本部が軒並み壊滅して
再編しなければ戦闘ができぬ師団も出てきている有様です。ですが……東部の部隊は今の所、予備兵力がまだあります。それと一緒に新たに抽出した師団も加えて敵の攻勢に
当てて行けば、敵軍の勢いも落ちていくでしょう」
「となると……西部からの戦力抽出は幾分抑え気味にする、と言う訳だな?」

エルグマドの問いに、ハルクモムは無言で頷いた。

「閣下、戦力抽出の件は、ひとまずこれで決まりでよろしいかと。次に問題なのが、いずれは、西部に来襲する敵の対応、それを標的とした一大航空作戦の実施に向けての
話をしたいと思うのですが」

参謀長は語調を変えてエルグマドに言った後、海軍側の面々にも顔を向けた。

「海軍側もご存知の通り、皇帝陛下は戦局悪化に伴う帝国臣民の士気低下を抑えるために、戦果を御所望であらせられます。特に、一目で分かりやすい戦果を期待している
とおっしゃられております。そこで目標にふさわしいと思われるのが、敵の海上部隊であります」

参謀長は幾分声を張り上げてから続きを言う。

「今回、来たる決戦に向けて、陸海軍から計1800のワイバーン、並びに飛空挺を密かにかき集め、これを西部侵攻を行う敵部隊に向かわせる予定ではありますが……敵の
これまでの行動を見る限り、まずは敵の空母機動部隊が複数に分散して、我が方の複数の拠点に最低でも1日、長くても2日か3日ほどの航空攻撃を行うと見込まれています。
その後、いずれかの拠点に何がしかの攻撃……艦砲射撃か、またはそれと同時に、上陸部隊を陸地に上げるか。推測しかできませんが、そのどちらかを確実に行うと予想します。
その前に、我が軍はかき集めた戦力を結集して、敵の分力……すなわち、敵の1個空母群を集中的に叩き、これを壊滅させる事に全力を尽くすと言う訳ですが……陸軍としては、
既に7割の部隊が戦力の分散配置を完了し、残り3割が到着次第、命令を待つのみとなっております。海軍側は召集したワイバーン隊を、今どの辺りまで進出させておられるでしょうか?」
「海軍ワイバーン隊も、西部沿岸の臨時基地に半数が移動済みで、残り半数は現在任地に移動中です」

海軍側の参謀長は、淀みない口調で陸軍側に返答する。
今回の作戦では、陸軍でワイバーン、飛空挺1400、海軍が400を集めて作戦に望む事となっている。
シホールアンル帝国軍は、先日行った特別指導要員動員の結果、航空戦力の大幅な拡充に成功し、使用できる航空戦力は3208となった。
今回使用する戦力は、その過半数の1800であり、使用戦力数を聞いたオールフェス・リリスレイ帝からは少なすぎるのではないか?との指摘があった。
だが、この1800という数字は、シホールアンル帝国が自由に使える限界の数であり、残りは各都市の防空戦力として当てざるを得なかった。
とはいえ、今回目標とする敵は、シホールアンルの航空戦力を警戒せず、ただ地上を蹂躙しようとする呑気な米機動部隊である。
犠牲は出るものの、1個空母群のみなら押し切れる上、確実に空母3、4隻は撃沈波できると見込まれている。
それを公表すれば、久方の大勝利に臣民は沸き立ち、士気も上がるであろうと、大多数がそう確信していた。
この話は何一つ懸念点が無いまま終わると思われたが……終盤になって、唐突にハルクモムが自らの考えを言い始めた。

「話も大詰めを迎えましたが……実は私なりの私見を申し述べたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」
「うむ。申してみよ」

エルグマドがそう答えると、彼は躊躇なく話し始めた。

「私個人の意見ではありますが……今回は敵機動部隊が攻撃の主目標と定めておりますが、ここは目標を敵の輸送船団に変更し、それらを徹底的に叩く、または上陸した敵部隊を
これまで同様、遊撃戦的な戦力運用を行って敵の侵攻や、敵飛行場の建設をひたすら妨害する事に集中し、こちら側の戦力損耗を極力抑えつつ、敵に出血を強いる戦法に専念する、
というのは如何でしょうか?」

この直後、室内にシラけ切った空気が流れた。

「作戦参謀……陛下は敵機動部隊の戦力を削ぐ事を重点に置けと命じられた。だが、君の案では敵機動部隊は放置して、敵の上陸部隊と輸送船団だけを叩こうとしているようだな。
それでは陛下の命に背く事になる上、肝心の敵空母を沈める事ができん」
「私は海軍の専門家でもなく、ましてやワイバーン乗りでもありません。ですが、敵機動部隊の主力は空母艦載機である事は理解しております。その艦載機隊をなるべく多く
落として敵空母の中身を削る事は、敵機動部隊の戦力を削る事と同一であると、私は思います。そして、同時並行で敵地上部隊や敵輸送船団を叩けば、敵に橋頭堡を拡大させる事なく、
終いには撤退に追い込む事も可能では無いかと。それはそれで、敵の侵攻を頓挫させて得た大きな勝利と言っても過言では無いと、小官は思った次第です」
「なるほど。叩き易い敵を叩けば、自然と敵も出血が重なり、終いには作戦続行が不可能になる。うむ、素晴らしい。やはり貴公はよく考えておるな。呼び戻した甲斐がある」

エルグマドは、素直にハルクモムを評価した。

「エルグマド閣下、ハルクモム中佐の懸念は、私も理解しています」

ここでリリスティが口を開いた。

「ですが、私としては、敵が上陸部隊を出すとは到底考えられません。敵は従来通りに機動部隊のみを派遣し、こちらの沿岸部に嫌がらせで航空攻撃を仕掛け、あとは数日近海に
留まって、繰り返し航空攻撃を行って引き返すだけになるかと」
「提督……」

ハルクモムは一瞬、不満そうに口を開きかけたが、言葉を紡げなかった。

「私も総司令官と同様の考えです。失礼ながら……ハルクモム中佐は幾分考えすぎでは無いでしょうか?確かに、西部上陸の可能性は無いとは言えない。だが、あるとは言えない
のも現状であり、現実として無い可能性の方が高い、と私は思います」

フレギル魔道参謀もそう言うと、室内の参加者達からも同意の声が上がり始めた。


会議は終了し、陸海軍の参加者達は一様に元の司令部に戻って行った。
ハルクモムもまた、エルグマドと共に陸軍総司令部へ向かおうとしていたが、その途中、彼はエルグマドに呼び止められた。

「作戦参謀、少しいいかね?」
「はっ、閣下」

彼はエルグマドの側に近寄った。

「今日も良い意見を出してくれたな。さっきも言ったが、その戦略眼は素晴らしいものがある。ただ、今日はそれが少し強すぎたな」
「出過ぎた真似をして申し訳ありません」

ハルクモムは思わず謝罪したが、エルグマドは両手を振りながらそれを制止した。

「いやいや、謝らんでよろしい。意見があればまずは言う。あの会議はそれを率先して行うところだ。何せこの国の未来がかかっておるのだからな、どんな意見でも言わねば始まらぬよ」

エルグマドはそう言いながら、ハルクモムの肩を優しく叩いた。

「こう言う日もある。今日はゆっくり休みたまえ」
「はい。それでは!」

ハルクモムは気落ちしていた表情から、いささか晴れた表情になり、エルグマドに敬礼して合同司令部から去っていった。
その後ろ姿を見ながら、エルグマドは小声で呟いた。

「作戦参謀の考えもわからんではないが……わしも敵が上陸部隊を送ってくるとは思えんな。わしなら目の前の戦線で敵を押した方が良いと考えるし、それが理に叶っている。
西部に来るのは、敵機動部隊だけで、地上部隊は目の前の戦線に投入されているであろう」

3月13日 午前7時 リーシウィルム港

「出港用意!」
「出港用意ー!!」

第5艦隊司令長官レイモンド・スプルーアンス大将は、艦隊旗艦である重巡洋艦インディアナポリスの艦橋で指揮下にある艦隊の出港を見届けていた。
旗艦インディアナポリスは、第58任務部隊第3任務群に所属し、インディアナポリスはその中の一員として行動する予定である。
そんな中、スプルーアンス座乗するインディアナポリスも、遂に出港の時が来た。
艦の深部にある機関部から唸り声のような機関音が鳴り響き、それは徐々に大きくなってきた。
インディアナポリスが動こうとする間、同じ TG58.3に所属する正規空母サラトガⅡが、その堂々たる巨体をゆっくりと前進させて、外海に向かいつつある。
サラトガの後を追うように軽空母ライトが、小柄な艦体をするすると滑らせながら外海に向けて出港していく。
この2空母の後を、3日前に修理から復帰したばかりのアイオワ級戦艦イリノイがその巨体を誇示するかのように続き、ゆっくりと外海へ向けて前進していく。
やがて、インディアナポリスも前進を始めた。
1930年代はじめに次々と建造された、条約型重巡の一員として就役した艦であるため、戦中に建造されたボルチモア級やデモイン級と比べて、だいぶ古臭さを感じるように
なってしまったが、乗員の練度はこれらの新鋭艦と比べて非常に高く、搭載されているレーダーや通信機などの電子兵装は、本国のドックで最新の物に改装されているため、
現代戦においても十分に通用する艦に仕上がっている。
対空兵装においては、新鋭艦と比べて搭載数は劣ってはいるものの、それでもなおVT新刊付きの5インチ両用砲8門を始めとし、40ミリ4連装機銃や20ミリ機銃を要所に
配置して、敵航空部隊の攻撃に適切に対処できるようになっている。
インディアナポリスはいわば、若くて覇気のある新進気鋭の保安官らに混じった、経験を積み重ね、堂々とした出立ちのベテラン保安官といった雰囲気を如実に醸し出していた。

「セントポール、後方より続航します!距離500メートル!」

見張り員から報告の声が入る。
TG58.3の僚艦も続々と出港しつつあるようだ。
スプルーアンスはふと、機動部隊の停泊地とはやや離れた場所にある、輸送船団の停泊地に目を向けた。
輸送船団の中にある1隻……アパラチアン級揚陸指揮艦のロッキー・マウントが視認できる。
アパラチアン級揚陸指揮艦は戦時急造のリバティ船を改造して建造された物で、見た目は他の輸送船と大差なく、兵員輸送も同時に行うが、他の船と違って大きな通信アンテナと
充実した通信設備を有しており、よく上陸部隊指揮の司令部として使用されている。
今回はアメリカ陸軍第15軍司令官であるヴァルター・モーデル中将が旗艦として座乗しており、作戦開始時はこのロッキー・マウントから指揮する予定である。

「しかし、世の中はよくわからん物ですな」

唐突に、隣に立っていた第5艦隊参謀長のカール・ムーア少将が口を開く。

「急にどうかしたかね?」
「ああ、いや……今回上陸部隊を指揮するモーデル中将ですが、将軍は元々、ドイツ国防軍で活躍してきた軍人です。あのまま、元の世界に居続けたら、合衆国はドイツと戦端を
開いていたかもしれません。言うなれば、モーデル将軍は我々を敵として出迎える未来が待っていた。ところが、異世界への転移という、全く予想だにしない怪奇現象のせいで、
敵となるはずだったアメリカ軍をこうして指揮している。傍目から見ればなんだこの状況は?と思うでしょうが……モーデル将軍も時々、そんな事を思われているのではないでしょうか」
「ふむ、確かにそうだろう。だが、モーデル将軍の故郷であるドイツはすでに亡き物と同等になり、彼の属していたドイツ国防軍もまた、文字通り消え去ってしまった。普通なら
失意のうちに隠遁してもおかしくないだろう。だが、彼は進んで合衆国軍に志願した」

スプルーアンスは昨日、出撃前の最終ブリーフィング後にモーデルと直に話したが、彼はモーデルに対して、ある印象を抱いていた。

「昨日会って話をした時に思ったが、モーデル将軍はかなりの自信家だと思う。ムーア君、最初会った時に、彼はなんと言ったと思うかね?私が来たからには作戦成功は間違い無いと
言ってきたのだ。それを昨日も言ってきたのだよ。しかも前回よりも自信たっぷりにね」
「完全充足の1個軍を任された上に、我が第5艦隊の護衛付きです。しかも、艦隊の規模でいえば世界最大で、世界最強という実績もついております。対して、敵は寄せ集めの
ワイバーンや航空機をあちこちで掻き集め、相次ぐ敗戦で指揮の低くなっていると予想される地上軍です。相当な自信が沸くのも無理はないですし、誰がやっても勝利は間違い無しです」

ムーア参謀長は陽気な口調で答えたが、スプルーアンスはいつも通り冷静そのものであった。

「その昔、私が尊敬するアドミラル・トーゴーは、日露戦争終結後に勝って兜の緒を締めよ、と申されていた。今の第5艦隊……いや、合衆国海軍は確かに、名実共に世界最強の
海軍となった。だが、トーゴー提督の言葉は、我が合衆国海軍、いや……合衆国軍全体に言える事だと、私は思う。参謀長、そうは思わんかね?」
「長官……」

スプルーアンスの一言を受けたムーアは、それ以上言葉を紡げなかった。

「まぁ、モーデル将軍は口だけではない。実力も確かだ。その彼が言うのなら、この作戦も成功するだろう。最も……」

スプルーアンスは視線を、大きく広がる青空に向ける。

「その第一段階でどれほどの敵が出現し、どれぐらいまでに削れるか……この戦いは、思っていたよりも簡単に済まないかもしれんぞ」

3月15日 午後1時 ウェルバンル

この日、陸海軍合同司令部では、陸海軍指導部の面々が緊急の作戦会議を開いていた。

「ご多忙の中、お集まり頂き感謝します。早速本題に入らせて頂きますが……」

海軍総司令官のリリスティ・モルクンレル元帥が、全員の顔に視線を回しながら説明していく。

「昨日より、アメリカ軍の大規模な輸送船団を含む大艦隊が、リーシウィルムより西方へ向けて出港中との報告が入りました。輸送船団は、複数の戦艦や小型空母を含む護衛艦隊の
援護を受けており、その総数は、暫定ながらも700はくだらぬとの事です」
「700!?」

陸軍側から驚きの声が上がった。

「まさか……本当に上陸作戦を行おうとしているのか?」
「陽動の可能性も考えられるかと」
「陽動で700隻もの輸送船団を出港させるか!?」
「普通はあり得ませんが、アメリカならやりかねないかと……」
「いくらアメリカでも、陽動だけでそんな手間を掛ける筈がないぞ。いくら制海権を保持しているとはいえ、そのような無駄な事はせん筈だ!それに、あのような大部隊を動かすと
なると、船団の中に地上部隊が乗り込んでいる事は間違い無い!」
「来るとしたらどこに上陸しようとしているのだ?シェルフィクルか?シュヴィウィルグか?」
「レビリンイクルの制圧を狙っているかもしれません」
「少数の戦力しか置いていないレビリンイクルに700隻以上の輸送船団を送りつけるのか?あの中には1、2個師団どころか、1個軍規模の部隊が詰め込まれている可能性がある!
やるとしたらシュヴィウィルグの制圧であろう」
「いやいや、小官としましては……」

陸軍側の面々は、たちまち混乱状態に陥った。
彼らは海軍側から報告を聞くまで、西部へ敵が上陸してくるとは思っていなかったのだ。
いや、全く想定していなかった訳ではないのだが、それでも、敵は正面の戦線に戦力を集中投入すると思い込んでいた。
だが、それは見事に覆されてしまった。

去る12日に、海軍側から空母部隊が出港し、西部沿岸に接近しつつあり、との報を受けた時は、好き放題に暴れ回る敵機動部隊を憎しみの念を抱きつつも、いつもの嫌がらせで
終わると考えていた。

事実、早くも今日の朝には、敵機動部隊から発艦したと思しき艦載機がヒレリイスルィを襲撃し、この他にも2箇所の拠点が同時に爆撃されたとの報せも司令部に届けられていた。
正午頃には、旧ヒーレリ領から西に40ゼルド(120キロ)離れた拠点にも艦載機が襲来したため、敵は計4つの拠点を時間差で攻撃を行っている。
早い所では、正午前に敵艦載機の第2波が襲来して銃爆撃を加えているという報せも入っており、敵機動部隊は前回同様、広く分散した状態で沿岸部の航空攻撃を実施している。
この知らせが届いた丁度5分後には、偵察騎がシュヴィウィルグ沖南70ゼルド(210キロ)沖を航行中の米機動部隊を発見しており、艦隊の規模としては1個空母群のみが航行中であった。
既に指定された秘密基地に展開したワイバーン隊や飛空挺隊の中には、即時攻撃を行うべしとの意見具申が相次いだが、この時点で出撃できるワイバーン隊や飛空挺隊は、事前の調整ミスや、
一部ワイバーン隊が未だに任地へ到達出来なかった事も影響したため、500前後しか集まらなかった。
それでもなお、一部の指揮官達は独断での出撃も辞さない構えであったが、この作戦のために、臨時航空集団司令官に任ぜられたスタヴ・エフェヴィク中将は従来通り、各隊が出撃準備を
整えてから敵機動部隊に当たるべきであり、少数ずつの出撃は許可せずと各隊に厳命したため、この敵機動部隊に対する攻撃は行われていなかった。
これには、総司令部内からもエフェヴィク中将を弱腰すぎると非難する者が複数いたが、エルグマドは逆にエフェヴィク中将の判断を評価していた。
現在発見された敵機動部隊は、空母5隻を主力とする比較的規模の大きな艦隊であり、これらの艦隊に大打撃を与えるには、現時点で出撃できる500騎では足りないと思われ、
敵空母撃沈にはあと300以上は必要と判断された。
エフェヴィク中将は、過去の苦い戦訓(過去にリプライザル級空母を初めとする敵機動部隊を攻撃し、ワイバーン隊に大損害を受けている)を反映して、更に数の揃う明日以降に全力で
攻撃を行うと決断したのであった。

目標は、敵の空母機動部隊。
しかも、敵は以前の勝利に慢心しきり、効率を重視するあまりに艦隊を各所に分散させたまま。
その分散した空母部隊を集中的に叩くだけ。
簡単に勝利できる……後に決定的な敗北が待っていようとも、久しく忘れていた勝利を得られるかもしれない。
前線部隊のみならず、首都の陸海軍首脳部までもが、そのような考えを抱いていた。
そこに、敵輸送船団大挙出撃の報告が入ったのである。
しかも、敵は例の如く、小型の低速空母を伴う大規模な護衛艦隊の支援を受けながら、確実に西部方面に向かいつつあった。

敵は嫌がらせではなく、本気で西部に上陸しようとしている!

この疑いようの無い事実に、誰しもが困惑し、司令部内は混乱の渦に包まれていた。
海軍総司令官リリスティと、陸軍総司令官エルグマドともう一人を除く各員が、あれやこれやと意見を言い合うが、どれもこれも要領を得ない。
リリスティの片腕とされるヴィルリエまでもが、この時ばかりはいい返事ができなかった。
「これ以上皆で言い合っても埒があかん!この際、はっきりと決めよう……陸軍としては、敵上陸作戦の先兵となる敵機動部隊に全力で対抗し、これを撃退する事に集中すべしと
思う次第だが……海軍側のお考えは如何様な物かな?」
「陸軍に同じく、目先の敵機動部隊に総力をぶつけるべきかと。戦力に余裕があるのならば、敵機動部隊のもう一群を叩いて壊滅させる事も可能と考えます。そうすれば、
この敵護送船団も、上陸は不可能と見て引き返すかもしれません」
「ふむ……期せずして上陸部隊の撃退も成し遂げられると。一石二鳥となるわけだな」

エルグマドは自信ありそうにそう言い放ったが、心中では果たして、この作戦が上手く行くのか疑問に思い始めていた。

「閣下、現地部隊に厳命致しましょう。第一の目標は敵機動部隊。余力あれば別の敵機動部隊も攻撃し、敵撃退に務めるべし。輸送船団はしばらくの間、考慮に入れる必要なし、と」
「それで行こう!2つの目標を攻撃するより、1つの目標を攻撃した方が気は楽であろう」

参謀長の進言すると、エルグマドは即答し、すぐさま命令が伝えられた。
この時、ハルクモム中佐が席から立ち上がった。

「閣下、失礼ながら少々休憩してもよろしいでしょうか?今日は少しばかり調子が優れないもので」
「?……ああ、よろしい。この際、緊急会議も休止し、1時間ほど休憩を取ろう」


合同司令部の便所内で、ハルクモムはこれまでに感じたことの無い不安感に襲われていた。

「敵機動部隊のみを狙えだと?馬鹿な!今の状態で敵機動部隊を叩いて勝利しても、そのあとはどうするんだ?」

彼は誰にも聞こえないような小声で呟き続ける。

「俺は過去の戦闘は資料でしか見た事がなかったが……敵はある程度の打撃を受けても、その場から撤退する確率は決して高くない。いや、むしろ意地になって戦線に留まる
可能性の方が高い。過去の海戦でも、敵は我が海軍と同等か、それ以上と見られる被害を受けても、頑として退かずに戦線を支えた事例があるじゃないか!そうなれば、
敵は強引にでも勝利へ向かう。海空戦の素人である俺ですら分かるのに……司令部内は決戦病に侵されてしまっている!」

ハルクモムは不安と焦りが混ざった表情を浮かべ、両手を力の限り握り締める。

「目標は2つに1つ……その1つが輸送船団と上陸部隊だ。敵機動部隊と戦えば、1日で膨大な量のワイバーンや飛空挺を喪失するが、敵船団と上陸部隊をゲリラ的戦法で叩けば、
損耗も抑えつつ、敵に一定の打撃を与え続ける事ができる。それを、彼らは理解できるはずなのに、なぜだ……」

ハルクモムは苦悶しながらそう呟くが、自らもまた、これ以上の進言を行うか否かで懊悩し続けた。

アメリカ第5艦隊 第58任務部隊編成図(1946年3月中旬)
第58任務部隊第1任務群
正規空母ランドルフ、ヴァリー・フォージ、軽空母ラングレー (245機)
戦艦アラバマ、重巡洋艦タスカルーサ、ヴィンセンス、軽巡洋艦ビロクシー、モントピーリア、サンディエゴ
駆逐艦24隻

第58任務部隊第2任務群
正規空母リプライザル、キティーホーク、軽空母ノーフォーク、タラハシー (380機)
戦艦ミズーリ、重巡洋艦カンバーランド、ボルチモア、ノーザンプトン、軽巡洋艦フェアバンクス、フレモント、デンバー
駆逐艦24隻

第58任務部隊第3任務群
正規空母サラトガ、モントレー、グラーズレット・シー、軽空母ロング・アイランド、ライト、 (335機)
戦艦ウィスコンシン、重巡洋艦デモイン、ボストン、セントポール、インディアナポリス、軽巡洋艦ウースター、ロアノーク、ウィルクスバール
駆逐艦24隻

第58任務部隊第4任務群
正規空母レンジャー、ゲティス・バーグ、軽空母サンジャシント、プリンストン、(290機)
重巡洋艦セイレム、ボイス、メーコン、軽巡洋艦メインフィス、スポケーン、サヴァンナ
駆逐艦24隻

艦載機数 計1250機

第53任務部隊(指揮官、ノーマン・スコット中将)
輸送船団1500隻(兵員輸送船、弾薬運搬艦、LST等)
陸軍第15軍(ヴァルター・モーデル中将指揮)6個師団搭乗
第14軍団
  第24歩兵師団
  第32歩兵師団
  第10機甲師団
第15軍団
  第45歩兵師団
  第46歩兵師団
  第18機甲師団


この他に海軍工兵大隊、陸軍工兵隊等の飛行場建設部隊や各種建築資材も同時に輸送

793:ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w:2024/06/28(金) 20:26:00 ID:qfrJHWYY0
輸送船団護衛 第54任務部隊(指揮官、ダニエル・キャラガン中将)
戦艦アリゾナ、コロラド、ウェストバージニア、メリーランド、カリフォルニア、テネシー、オクラホマ
重巡洋艦シカゴ、チェスター、ソルトレイクシティ、ペンサコラ
駆逐艦20隻

第56任務部隊(指揮官、トーマス・ブランディ中将)

第56任務部隊 第1任務群
護衛空母ガンビアベイ、キトカンベイ、マルヒナス、タウスラ、セティスベイ、ファスコドアイランド (168機)
護衛駆逐艦16隻

第56任務部隊 第2任務群
護衛空母シャムロックベイ、アーチャー、シャスター、イーベンルルク、リミラストレイト、メレヴェルト・ヒル (168機)
護衛駆逐艦16隻

第56任務部隊 第3任務群
護衛空母カーリアンポイント、シップレイベイ、ライダー、エスピリットゥ・サント、ベルフィ・ベイ、ガルクレルフ(168機)
護衛駆逐艦16隻

第56任務部隊 第4任務群
護衛空母リスカム・ベイ、ヨイツ・ベイ、ホウロナ・アイランズ、リルネ・エスペランス、カリーニン・ベイ、ミッション・ベイ(168機)
護衛駆逐艦16隻

第56任務部隊 第5任務群
護衛空母コメンスメント・ベイ、モンメロ・ガルフ、グラーズレット・ガルフ、ウェンレイ・エスペランス、ピュージェット・サウンド、ポイント・クルーズ(168機)
護衛駆逐艦16隻

第56任務部隊 第6任務群
護衛空母ケストレル、バルチャー、ミシシネワ、サンガモン、バザード、サンティー(180機)
護衛駆逐艦16隻

艦載機数 1020機

この他に、陸軍第7航空軍並びに、第1海兵航空団装備の航空機材を積載した護衛空母12隻が待機中

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