3月16日。
現在確実なのは、この時空転移によって地球からこの惑星へとやってきたのが北海道、本州、四国、九州、沖縄と、その他日本が領有している島嶼であるという事だった。
日本政府が領有権を主張している北方領土と竹島もその中に含まれていたため、竹島は駐留している韓国警察及び、
震災当時に付近を航行中だった海洋警察庁の警備艦が存在を確認されている。
北方領土もロシアの住人と、やはりロシアの沿岸警備隊がそのまま付いてきている状態となっていた。
彼らは今の所、本国と切り離された状態であることは認識しているが、今なお日本に対してそれぞれの領有権を主張している。
日本政府は彼らに対し、ひとまず意思を尊重、配慮して現状を維持しひとまずこの問題を置く事を決定。
そっちに関わっている暇が無かったし、彼らが意地を張れるのもどうせ時間の問題である。
時空転移した先の世界は地球によく似ている。
ロシア・朝鮮半島・中国ににた大陸東部の地形は既に確認された通りであり、
北海道宗谷岬の沖には樺太に相当するらしき島影が見え、日本の西端である与那国島の向こうには台湾のような島がある
だがひとつ、不明な点があった。
ここまで地球に酷似した惑星なら、元々この世界には日本列島は無かったのか?
それとも時空転移の際にそっくりそのまま、こちらの列島が我々の元居た地球に交換の形で転移してしまったのか?
そこだけは、まだこの時点では判明していなかった。
既に日本政府は震災以後の異常事態に対して情報を完全に公開し、日本列島が地球とは異なる惑星に時空転移したこと、
そして、世界から孤立したために資源や食糧の輸入がストップし危機的状態に陥った事、それを踏まえ、
当面の危機を乗り越える間は経済を統制することなどを宣言していた。
しかし、国民は宣言をしたものの何の事態の進展もないままの政府に対し不信感を強めていき、野党も表面上は
この危機的状況に対して震災前の対立姿勢を一転、与野党は一致して危機状況対応対応特措法の早期成立に合意したものの、具体的な状況の解決策には激しく対立を続けていた。
断たれた資源や食糧をどこから調達するのか、という事については、やはり現地で手に入れるほかに道は無い。
この惑星のロシア・韓国・中国に相当する地域にもどうやら人が居住し、なんらかの国家組織が存在するというのは推測できたが、
それらとどうやって接触を図り、国交を結んで資源や食糧を買い付けるのかには様々な議論が飛んだ。
そもそも、この惑星、この世界の住人達は他者に対して友好的な存在なのだろうか?
突然出現した日本国を警戒し、攻撃を仕掛けてこないとは言い切れないだろうか?
彼らの文明水準は、木造帆船などが確認されていることから高くは無いのではないか?
もし国交を結ぶ事ができたとして、資源や食糧は必要な量を調達できるのか? また、日本まで輸送ができるのか?
既に国内の一部では不安から明日にも全ての資源がなくなるかのようなデマが飛び交い、個人・家庭ごとに物資の買占め・買い置きや値上がりなどが始まっていたが、それでも暴動や略奪に発展しないのは流石は国民性と言えた。
ネットは回線が重すぎて、その大部分が静かだった。
それまで国民同士を繋いでいたソーシャルコミュニティなどが半分以上機能しなくなり、新たな国内サーバーが設置されるなど改善に努めていたが、震災前のネット状態を取り戻すのはまだ難しかった。
一部の国民は日本が資源と食糧を手に入れるためにはこの世界の海外に進出しなければならない事を知っていたし、TVに出演する専門家たちもその必要性を強く説いた。
その一方で、それは武力侵略に繋がり憲法違反になる可能性や、自衛隊が戦前の軍部の暴走を踏襲することを警戒して反対する声も
あがり、TVの報道番組内でも専門家同士が激しい議論に発展することも度々あった
それを見た視聴者から、ネット上の掲示板に議論や質問が飛び火する事もあり急激なアクセス数の増加により折角新設したサーバーが度々落ちると言った事も幾つか発生した。
しかし、それら掲示板の中の特定のごく一部は、まるでこういう事を予期していたかのように、妙に落ち着いていた。
「まさかリアルでF世界への転移が起こると思って居なかった」
「まだF世界と決まった訳じゃないだろ」
「宇宙の何処かの別の惑星説があるけどそれにしては大陸の形が地球と似すぎ そこでパラレルワールド説を推す エルフがいるかは知らんけど」
「帆走飛行船がある程度にはファンタジーな世界である事は確実。 なんにせよこっちの世界の生物とか国家とか産業の情報がまだ何にも無い 早く調査しろよ」
「衛星写真で人が住んでそうな所とかわからんの?」
「わかっても文明が中世レベルだと都市の規模が小さすぎて判りにくい 観測機飛ばして航空写真が欲しい所」
「竹島一緒に召喚されてて韓国ザマァw あいつら水や食糧の補給無くなってどうやって生きるのw」
「そういや在日外国人どうすんだろ ニュースとかで何にも言われないけど」
「言ってはなんだが、こういう事がリアルに起こって一気に活気を取り戻したな 懐かしい名前が一杯だ、過去の住人や職人が殆ど戻ってきてるんじゃないか」
「それにしても内閣の対応が悪すぎる 俺らはこの先の展開がある程度予見というか予習できてるけど、首相や官房長官は危機感とか現実感とか無いんじゃないか?」
「現実に起こってみると全く笑えない しかも今の与党とか少しも期待できない」
「だれか首相官邸にここの作品や議論のログと、『ゲート』の1~3巻を送ってやれよ」
「やっぱ自衛隊は中世的なこっちの世界の軍と戦うことになるんだろうか? 海外進出するにしても、向こうが攻めてくるにしても」
「日本が転移したんじゃなくて、こっちの世界の連中が日本を呼んだってのはあるかもな スレタイ通りに そしたらF世界軍との戦争はありうる」
「何の目的で呼んだのかによる。 勇者様呼ぶつもりで日本を召喚しちゃったのかもしれないし、魔王と戦うかもしれんぞ」
「とりあえず地本に連絡してもし召集があったら応じる旨を伝えてきた。 予備自に出番があるか知らんけど」
「営内から書き込んでるが、災害派遣に出ている連中の他は『待機中』だ。 外出許可が当分下りない身の上だよ。
あと、海岸線とか警戒しなきゃいけないと思うんだが海保と警察任せなのが歯がゆい。 日本の警察じゃ沿岸監視に手が足りないだろう」
「今から自衛隊入って間に合うかな…」
「問題はだ。 本スレでも分家でもさんざん言われてきた事だけど、このままだと日本は資源を得る前に崩壊する。
民間への燃料供給規制が始まって、海外の輸出先も無くなった工場とかが停止して石油や電気の消費量を抑えようとしてるけど
国会中継とかの政治情勢見てるとSSみたいに転移してすぐ、資源をえるために海外進出ってすんなり決まりそうにない」
「食糧は来年以降持たないな。 石油は下手すると半年。 こっちの大陸で原油が手に入っても、石油にして日本まで持ってこれるようになるには相当な時間が要る。 石油採掘施設と精製施設を急ピッチで建設して、港湾整備…」
「マンパワーをつぎ込みまくって強引に突貫工事……結局時間が無さすぎるか」
「地球と地形が同じなら、地下資源の埋蔵地域はほぼ同じと考えられる。 調査や試掘をすっ飛ばせるのは救いだな」
「原発止まってるのが痛い。 夏には電力不足で本気で死人が出るぞ」
「風力と太陽光発電を増設しまくるって案が出てる。 正直足りな過ぎるけど。 あと人造石油と石油藻のプラントを大量に建設する動きもある。 なんだかんだ省庁とか企業はやれる事に動き始めてるな」
「この際数万人規模の犠牲者は避けられないべ。 あとはどのようにして、被害や犠牲を少なくして日本をギリギリ生き延びさせる所まで持っていくか。
既に10人が死ぬのが確実で、残り人数は30人、救助が遅れると一人ずつ死んで行くとしても助ける行動のスタートが早ければ最終的な被害は少なくなる」
「でも俺らがこうして議論したって現実的にできることって何にもなくね」
「…やりようによっては、あるかも知れない」
「何があるってんだよ?」
「情報戦…? 国内向けの」
ネットの片隅で、空想ごとが現実になったとき、同様に空想ごとを現実化しようと動き始めた連中が居た。
3月17日。
福岡市内の繁華街の薄暗い路地裏を、外套を纏いフードを目深に被った不審な人間たちが疾走していた。
既に節電計画が段階的に始まり、店舗の半数以上が営業を停止し明かりの極端に少なくなった繁華街は表通りすら暗く、裏通りはいつにも増して暗い。
先頭の一人が水溜りを飛び越え、続く一人はそれを踏み込んでパシャという音と水しぶきを上げ、後尾の一人は脇に避けた。
彼らの後ろから、二人組みの警察官が「止まれ! 止まりなさい!」と叫びながら追って来る。
震災及び転移以後、全国各地で治安が悪化の傾向を見せ、特に在日外国人の一部による窃盗などが多発しているために県警察は特に警邏行動に力を入れていた。
そんな中、まだ気温の低い3月とはいえ頭から足元までをすっぽりと覆う外套に身を包んだ怪しい三人組を見かけたため、職務質問をしようと近づいて声を掛けた所、彼らが急に逃げ出したため、追いかけることになったのだ。
若い巡査とベテランの巡査長の二人は全力で彼らを追う。
路地の先で道はT字路に分かれており、追われる三人組は一瞬だけ立ち止まってお互いに視線を合わせると、示し合わせたかのように1人と2人に別れて別々の方向へと走った。
2人組みは真っ直ぐ、1人の方は横道へ。
それを見てベテランの巡査長は無線機を使い、彼らが二手に分かれたことを付近にて応援に駆けつけているだろう別組の同僚に伝え、自分たちは2人の方を追うべくそのまま真っ直ぐの道を選んだ。
警察官のペアがT字路を通り過ぎた時、横道に逃げていったはずの外套を被った1人が戻ってきて外套を跳ね上げて棒状の物体を警察官たちの背中へと向ける。
後ろを走っていた若い方の巡査がそれに気づいて振り返るよりも早く、棒の先端…卵型の金属物体が取り付けられたそこから青い光が迸り、光が稲妻へと変化して若い巡査を襲った。
後輩でもある相棒の悲鳴に、ベテランの巡査は振り返る。
若い巡査の体からは肉の焼け焦げる異臭と共に煙が立ち上り、衣服や肌が黒く焦げた状態で、数秒の間彼は立ち尽くしていたものの、やがてゆっくりと倒れて力を失った。
ベテランの巡査の後ろでも足音がし、逃げていた2人の不審者が戻ってきた事を彼は知った。
そして、その手に小ぶりの、暴力団関係者が所持しているドスにも似た刀剣が握られているのも。
無線機で応援を……いや、拳銃を抜き、威嚇、そうじゃない発砲……その思考の一瞬の刹那、巡査は飛び込んできた凶漢の突き出す刃を腹部に受け、何度も抉るように突き上げられて絶命した。
警察官2名を殺害した不審者たちは、お互いに汗の流れ強張る顔を見合わせながら、日本語にどこか似た部分のある言語で言葉を交わした。
「タイカでも無い。 ウルシアでも無い。 都市の様子はまるで第3期文明の遺跡を蘇らせたかのよう。
民の話す言葉、髪や目、肌の特徴は、しいて言うならば我らもしくはヤウフに似ている。
一体こいつらは何者で、どこの国から来た人間なのだ」
「少なくとも、わずかな間に本国を侵略し、これだけ大きな町を作り上げられる技術と国力を持った恐るべき相手だというのは確実です」
「わからぬ。 だが、考えなくてもいい。 我々の任務は、見たものをありのままに報告するだけでいい」
この日、福岡県警は2名の殉職者を出し、容疑者と思われる不審な三人組が緊急手配されたが、その行方はようとして知れなかった。
また、この三人組以外にも同様の格好をした不審な複数の人物が目撃され、市民や警察官による通報や目撃報告が相次いだ。
しかし、それらが報道され警察が一般市民に不審者への警戒を呼びかける頃には、彼らは来た時と同様、数隻の小船にて沖合いの船へと脱出していた後だったのである。
おまけ
直前までちょっと迷った物 >>251の会話、現地語版
「タイカであなー ウルシアであなー みやこんさまばまあででーさんきぶんめいばいづかをふっかあせたさま
やっこばはなすもんば、へえこやまあこ、はだばふうば、よってゆうならわがへだんばヤウフのよった
いっで、こんらはなにもんで、どこんくにがらばぎだやっこだのよ」
「すらずんば、しいたらまんにほんもをおかし、こんばがったらまじをたてんばわざどぢからばもった、こわがやっこだばいうんはきまりだべさ」
「げえさん んだも、だあもつかんでえが わがらのかせぐば、みだもんをそんもんにおりつだわずだけでえが」
…そのまんまだと何を話してるのかさっぱりだし、
()付きで日本語訳を併記しようと思ったけど、それだったら日本語訳そのままでいいんじゃないかと思って
結局投下では>>251のようにした
現在確実なのは、この時空転移によって地球からこの惑星へとやってきたのが北海道、本州、四国、九州、沖縄と、その他日本が領有している島嶼であるという事だった。
日本政府が領有権を主張している北方領土と竹島もその中に含まれていたため、竹島は駐留している韓国警察及び、
震災当時に付近を航行中だった海洋警察庁の警備艦が存在を確認されている。
北方領土もロシアの住人と、やはりロシアの沿岸警備隊がそのまま付いてきている状態となっていた。
彼らは今の所、本国と切り離された状態であることは認識しているが、今なお日本に対してそれぞれの領有権を主張している。
日本政府は彼らに対し、ひとまず意思を尊重、配慮して現状を維持しひとまずこの問題を置く事を決定。
そっちに関わっている暇が無かったし、彼らが意地を張れるのもどうせ時間の問題である。
時空転移した先の世界は地球によく似ている。
ロシア・朝鮮半島・中国ににた大陸東部の地形は既に確認された通りであり、
北海道宗谷岬の沖には樺太に相当するらしき島影が見え、日本の西端である与那国島の向こうには台湾のような島がある
だがひとつ、不明な点があった。
ここまで地球に酷似した惑星なら、元々この世界には日本列島は無かったのか?
それとも時空転移の際にそっくりそのまま、こちらの列島が我々の元居た地球に交換の形で転移してしまったのか?
そこだけは、まだこの時点では判明していなかった。
既に日本政府は震災以後の異常事態に対して情報を完全に公開し、日本列島が地球とは異なる惑星に時空転移したこと、
そして、世界から孤立したために資源や食糧の輸入がストップし危機的状態に陥った事、それを踏まえ、
当面の危機を乗り越える間は経済を統制することなどを宣言していた。
しかし、国民は宣言をしたものの何の事態の進展もないままの政府に対し不信感を強めていき、野党も表面上は
この危機的状況に対して震災前の対立姿勢を一転、与野党は一致して危機状況対応対応特措法の早期成立に合意したものの、具体的な状況の解決策には激しく対立を続けていた。
断たれた資源や食糧をどこから調達するのか、という事については、やはり現地で手に入れるほかに道は無い。
この惑星のロシア・韓国・中国に相当する地域にもどうやら人が居住し、なんらかの国家組織が存在するというのは推測できたが、
それらとどうやって接触を図り、国交を結んで資源や食糧を買い付けるのかには様々な議論が飛んだ。
そもそも、この惑星、この世界の住人達は他者に対して友好的な存在なのだろうか?
突然出現した日本国を警戒し、攻撃を仕掛けてこないとは言い切れないだろうか?
彼らの文明水準は、木造帆船などが確認されていることから高くは無いのではないか?
もし国交を結ぶ事ができたとして、資源や食糧は必要な量を調達できるのか? また、日本まで輸送ができるのか?
既に国内の一部では不安から明日にも全ての資源がなくなるかのようなデマが飛び交い、個人・家庭ごとに物資の買占め・買い置きや値上がりなどが始まっていたが、それでも暴動や略奪に発展しないのは流石は国民性と言えた。
ネットは回線が重すぎて、その大部分が静かだった。
それまで国民同士を繋いでいたソーシャルコミュニティなどが半分以上機能しなくなり、新たな国内サーバーが設置されるなど改善に努めていたが、震災前のネット状態を取り戻すのはまだ難しかった。
一部の国民は日本が資源と食糧を手に入れるためにはこの世界の海外に進出しなければならない事を知っていたし、TVに出演する専門家たちもその必要性を強く説いた。
その一方で、それは武力侵略に繋がり憲法違反になる可能性や、自衛隊が戦前の軍部の暴走を踏襲することを警戒して反対する声も
あがり、TVの報道番組内でも専門家同士が激しい議論に発展することも度々あった
それを見た視聴者から、ネット上の掲示板に議論や質問が飛び火する事もあり急激なアクセス数の増加により折角新設したサーバーが度々落ちると言った事も幾つか発生した。
しかし、それら掲示板の中の特定のごく一部は、まるでこういう事を予期していたかのように、妙に落ち着いていた。
「まさかリアルでF世界への転移が起こると思って居なかった」
「まだF世界と決まった訳じゃないだろ」
「宇宙の何処かの別の惑星説があるけどそれにしては大陸の形が地球と似すぎ そこでパラレルワールド説を推す エルフがいるかは知らんけど」
「帆走飛行船がある程度にはファンタジーな世界である事は確実。 なんにせよこっちの世界の生物とか国家とか産業の情報がまだ何にも無い 早く調査しろよ」
「衛星写真で人が住んでそうな所とかわからんの?」
「わかっても文明が中世レベルだと都市の規模が小さすぎて判りにくい 観測機飛ばして航空写真が欲しい所」
「竹島一緒に召喚されてて韓国ザマァw あいつら水や食糧の補給無くなってどうやって生きるのw」
「そういや在日外国人どうすんだろ ニュースとかで何にも言われないけど」
「言ってはなんだが、こういう事がリアルに起こって一気に活気を取り戻したな 懐かしい名前が一杯だ、過去の住人や職人が殆ど戻ってきてるんじゃないか」
「それにしても内閣の対応が悪すぎる 俺らはこの先の展開がある程度予見というか予習できてるけど、首相や官房長官は危機感とか現実感とか無いんじゃないか?」
「現実に起こってみると全く笑えない しかも今の与党とか少しも期待できない」
「だれか首相官邸にここの作品や議論のログと、『ゲート』の1~3巻を送ってやれよ」
「やっぱ自衛隊は中世的なこっちの世界の軍と戦うことになるんだろうか? 海外進出するにしても、向こうが攻めてくるにしても」
「日本が転移したんじゃなくて、こっちの世界の連中が日本を呼んだってのはあるかもな スレタイ通りに そしたらF世界軍との戦争はありうる」
「何の目的で呼んだのかによる。 勇者様呼ぶつもりで日本を召喚しちゃったのかもしれないし、魔王と戦うかもしれんぞ」
「とりあえず地本に連絡してもし召集があったら応じる旨を伝えてきた。 予備自に出番があるか知らんけど」
「営内から書き込んでるが、災害派遣に出ている連中の他は『待機中』だ。 外出許可が当分下りない身の上だよ。
あと、海岸線とか警戒しなきゃいけないと思うんだが海保と警察任せなのが歯がゆい。 日本の警察じゃ沿岸監視に手が足りないだろう」
「今から自衛隊入って間に合うかな…」
「問題はだ。 本スレでも分家でもさんざん言われてきた事だけど、このままだと日本は資源を得る前に崩壊する。
民間への燃料供給規制が始まって、海外の輸出先も無くなった工場とかが停止して石油や電気の消費量を抑えようとしてるけど
国会中継とかの政治情勢見てるとSSみたいに転移してすぐ、資源をえるために海外進出ってすんなり決まりそうにない」
「食糧は来年以降持たないな。 石油は下手すると半年。 こっちの大陸で原油が手に入っても、石油にして日本まで持ってこれるようになるには相当な時間が要る。 石油採掘施設と精製施設を急ピッチで建設して、港湾整備…」
「マンパワーをつぎ込みまくって強引に突貫工事……結局時間が無さすぎるか」
「地球と地形が同じなら、地下資源の埋蔵地域はほぼ同じと考えられる。 調査や試掘をすっ飛ばせるのは救いだな」
「原発止まってるのが痛い。 夏には電力不足で本気で死人が出るぞ」
「風力と太陽光発電を増設しまくるって案が出てる。 正直足りな過ぎるけど。 あと人造石油と石油藻のプラントを大量に建設する動きもある。 なんだかんだ省庁とか企業はやれる事に動き始めてるな」
「この際数万人規模の犠牲者は避けられないべ。 あとはどのようにして、被害や犠牲を少なくして日本をギリギリ生き延びさせる所まで持っていくか。
既に10人が死ぬのが確実で、残り人数は30人、救助が遅れると一人ずつ死んで行くとしても助ける行動のスタートが早ければ最終的な被害は少なくなる」
「でも俺らがこうして議論したって現実的にできることって何にもなくね」
「…やりようによっては、あるかも知れない」
「何があるってんだよ?」
「情報戦…? 国内向けの」
ネットの片隅で、空想ごとが現実になったとき、同様に空想ごとを現実化しようと動き始めた連中が居た。
3月17日。
福岡市内の繁華街の薄暗い路地裏を、外套を纏いフードを目深に被った不審な人間たちが疾走していた。
既に節電計画が段階的に始まり、店舗の半数以上が営業を停止し明かりの極端に少なくなった繁華街は表通りすら暗く、裏通りはいつにも増して暗い。
先頭の一人が水溜りを飛び越え、続く一人はそれを踏み込んでパシャという音と水しぶきを上げ、後尾の一人は脇に避けた。
彼らの後ろから、二人組みの警察官が「止まれ! 止まりなさい!」と叫びながら追って来る。
震災及び転移以後、全国各地で治安が悪化の傾向を見せ、特に在日外国人の一部による窃盗などが多発しているために県警察は特に警邏行動に力を入れていた。
そんな中、まだ気温の低い3月とはいえ頭から足元までをすっぽりと覆う外套に身を包んだ怪しい三人組を見かけたため、職務質問をしようと近づいて声を掛けた所、彼らが急に逃げ出したため、追いかけることになったのだ。
若い巡査とベテランの巡査長の二人は全力で彼らを追う。
路地の先で道はT字路に分かれており、追われる三人組は一瞬だけ立ち止まってお互いに視線を合わせると、示し合わせたかのように1人と2人に別れて別々の方向へと走った。
2人組みは真っ直ぐ、1人の方は横道へ。
それを見てベテランの巡査長は無線機を使い、彼らが二手に分かれたことを付近にて応援に駆けつけているだろう別組の同僚に伝え、自分たちは2人の方を追うべくそのまま真っ直ぐの道を選んだ。
警察官のペアがT字路を通り過ぎた時、横道に逃げていったはずの外套を被った1人が戻ってきて外套を跳ね上げて棒状の物体を警察官たちの背中へと向ける。
後ろを走っていた若い方の巡査がそれに気づいて振り返るよりも早く、棒の先端…卵型の金属物体が取り付けられたそこから青い光が迸り、光が稲妻へと変化して若い巡査を襲った。
後輩でもある相棒の悲鳴に、ベテランの巡査は振り返る。
若い巡査の体からは肉の焼け焦げる異臭と共に煙が立ち上り、衣服や肌が黒く焦げた状態で、数秒の間彼は立ち尽くしていたものの、やがてゆっくりと倒れて力を失った。
ベテランの巡査の後ろでも足音がし、逃げていた2人の不審者が戻ってきた事を彼は知った。
そして、その手に小ぶりの、暴力団関係者が所持しているドスにも似た刀剣が握られているのも。
無線機で応援を……いや、拳銃を抜き、威嚇、そうじゃない発砲……その思考の一瞬の刹那、巡査は飛び込んできた凶漢の突き出す刃を腹部に受け、何度も抉るように突き上げられて絶命した。
警察官2名を殺害した不審者たちは、お互いに汗の流れ強張る顔を見合わせながら、日本語にどこか似た部分のある言語で言葉を交わした。
「タイカでも無い。 ウルシアでも無い。 都市の様子はまるで第3期文明の遺跡を蘇らせたかのよう。
民の話す言葉、髪や目、肌の特徴は、しいて言うならば我らもしくはヤウフに似ている。
一体こいつらは何者で、どこの国から来た人間なのだ」
「少なくとも、わずかな間に本国を侵略し、これだけ大きな町を作り上げられる技術と国力を持った恐るべき相手だというのは確実です」
「わからぬ。 だが、考えなくてもいい。 我々の任務は、見たものをありのままに報告するだけでいい」
この日、福岡県警は2名の殉職者を出し、容疑者と思われる不審な三人組が緊急手配されたが、その行方はようとして知れなかった。
また、この三人組以外にも同様の格好をした不審な複数の人物が目撃され、市民や警察官による通報や目撃報告が相次いだ。
しかし、それらが報道され警察が一般市民に不審者への警戒を呼びかける頃には、彼らは来た時と同様、数隻の小船にて沖合いの船へと脱出していた後だったのである。
おまけ
直前までちょっと迷った物 >>251の会話、現地語版
「タイカであなー ウルシアであなー みやこんさまばまあででーさんきぶんめいばいづかをふっかあせたさま
やっこばはなすもんば、へえこやまあこ、はだばふうば、よってゆうならわがへだんばヤウフのよった
いっで、こんらはなにもんで、どこんくにがらばぎだやっこだのよ」
「すらずんば、しいたらまんにほんもをおかし、こんばがったらまじをたてんばわざどぢからばもった、こわがやっこだばいうんはきまりだべさ」
「げえさん んだも、だあもつかんでえが わがらのかせぐば、みだもんをそんもんにおりつだわずだけでえが」
…そのまんまだと何を話してるのかさっぱりだし、
()付きで日本語訳を併記しようと思ったけど、それだったら日本語訳そのままでいいんじゃないかと思って
結局投下では>>251のようにした