金二郎2等陸尉と森を進む。
都合よく腰に刺さっていた山刀に気味悪さを感じながら使い藪を切り開きながら歩く。
高温多湿、無駄にカラフルな動植物と巨大な木々。
植生はTVで見た南国の何処かに似ている。
私は此処が日本でないと実感した。
長い間森に人の手は入っていないのか草が生い茂り歩くに苦労する。
遭難対策に適当な蔓をロープにして集合場所へ結び付けておく。
最優先は水源探しだ。水が無ければ乾いて死ぬ。
水は飲む以外にも調理も出来るし加工にも使える、体や傷口も洗える。
水がある場所には動物も居て食べられる物も多い。
ある意味食糧よりも重要だ。
「涼菟、どう思う。
自分の知らない間に武装されて、山岳用の装具まで持たされて
見知らぬ山の中へ誘拐だ。おまけに化け物と来た」
「どう、とは金二郎2等陸尉。いえ、私も頭が混乱しているもので」
「階級は付けなくていい、他人行儀だ」
「しかし……軍規で」
「此処は敵の領域だ。もし敵にスナイパーが居て話を聞かれていたらどうする?
真っ先に上官であるわたしが狙われる、責任取れるのか」
「レンジャー」
レンジャー隊員は上官の命令は絶対だ。答えるときはレンジャー!と叫ばなくてはいけない。
「レンジャーもいらない、特殊作戦郡の男が言っていたはずだ」
「は、はい」
「レンジャーと判れば、敵は真っ先にわたしたちを狙う。判らずとも目立つから狙われる。
だからレンジャーと呼ぶのは禁止する、実戦だと思え。応答は了解か、ヤー!だ」
「了解」
金二郎2等陸尉は油断無く周囲を警戒しながら言った。
「此処に連れ込んだ奴がどんな目的で行動したのかが問題だ」
予めこうなる事を予測していたように……むしろ確信を持って仕組まれた、
テントに山刀、水筒、非常食、その他もろもろ、そして銃。
書き置きの一つも入れておけばいいだろうに、無言で入っていたそれらに嫌味を感じる。
「判らないことが多すぎます。化け物が何で、どんな目的で製造されているのか。
何を期待されて連れて来られたのか」
「ただ」
何も私には判らなかったが、半ば確信めいたものだけが頭にあった。
「ただ?」
「背嚢を用意した人物はわたしたちに死なないで欲しいと思ったのではないでしょうか」
糞が。
克秀1等陸尉をポイントマンに辰哉2等陸尉が藪を進む
「1等陸尉は何かあるんだろう?言えないものが」
「さあな、オレにはあんたが不自然に思える。死体見てもたいして動揺してねえ」
「冬季山岳レンジャーは過酷なんだ、試験でも毎年死者が出る」
「へえ」
辰哉はホルスターからP220を抜いた。撃鉄を上げる。
フレームをスライドさせて構えるまで一挙動。
「事情を説明してもらおうか、特戦」
前を歩く克秀に音は聞こえたはずだ。
「死にたいか」
と克秀は言った。
妙な怖気を感じた。
P220をホルスターに収める。
「冗談だ」
「そうか」
ふざけた口調を止めた克秀の声は底冷えしていた。
「おお怖い怖い」
涼菟達は小川を見つけていた。
流れが緩やかで歩いて渡れるほど浅い。
石は丸く付近にはシダ類やコケ類、陰性植物が生えているところから考えるに
大雨などで急に出来た川ではないということになる。
つまりこのまま下れば支流から本流へ到達できる可能性ありということだ。
「水が見つかったぞー!」
「よくやった新人!」
「今行く」
足元に流れる水音に私は少しだけ安堵した。
――――――――――――――――
―――――――――――――――
―――――――
「なあ、救助が来ると思うか?」
辰哉2等陸尉が言った。
「こない」
「来ないね」
「駄目、でしょう」
「やはり」
満場一致の否決であった。
野戦技能を持つレンジャーが揃って誘拐され森の中へ放置される意味を皆薄々勘付いている。
誰もが焦っているはずだ、しかし誰もに態度に表さない。
恐怖は表に出してしまえば最後、恐慌は広がると理解しているからだ。
一人逃げれば総崩れになる、だから絶対に逃げるな。
私はそうやって訓練で教えられてきたし、自身でも思っている。
「まあ、すぐ水が見つかってよかったなぁ。汚染されて飲めないということはなさそうだしな」
「汚染か?さっきも放射能を気にしていたな、何か見つけたのか?」
金二郎2等陸尉が克秀1等陸尉に訊ねる。
「いんや、BC兵器にUAVだろ、核撃たれていてもおかしくないかなってな」
「第三次大戦か」
辰哉2等陸尉の顔は険しい。
「まっ、そういうことだ」
「いえいえいえそこは否定するところでしょう!皆さん黙って暗いですよ」
私は空気を呼んだ。
「…………」
「…………」
「…………」
帰って来たのは無言の肯定だった。
空気は重い。
「尾原 克秀(オハラ カツヒデ)特殊作戦郡所属、1等陸尉」・・・・・・若作り、口調悪し、謎レンジャー
「柿崎 金二郎(カキザキ キンジロウ)第一空挺団、2等陸尉」・・・・・・割とイケメン、エリート、空レンジャー
「弥富 辰哉(ヤトミ タツヤ)北部方面隊第七、2等陸尉」・・・・・・・おっさん、ベテラン、冬レンジャー
「夏乃 涼菟(ナツノ リョウト)所属未定、3等陸曹」・・・・・・新人、ノーマルレンジャー
都合よく腰に刺さっていた山刀に気味悪さを感じながら使い藪を切り開きながら歩く。
高温多湿、無駄にカラフルな動植物と巨大な木々。
植生はTVで見た南国の何処かに似ている。
私は此処が日本でないと実感した。
長い間森に人の手は入っていないのか草が生い茂り歩くに苦労する。
遭難対策に適当な蔓をロープにして集合場所へ結び付けておく。
最優先は水源探しだ。水が無ければ乾いて死ぬ。
水は飲む以外にも調理も出来るし加工にも使える、体や傷口も洗える。
水がある場所には動物も居て食べられる物も多い。
ある意味食糧よりも重要だ。
「涼菟、どう思う。
自分の知らない間に武装されて、山岳用の装具まで持たされて
見知らぬ山の中へ誘拐だ。おまけに化け物と来た」
「どう、とは金二郎2等陸尉。いえ、私も頭が混乱しているもので」
「階級は付けなくていい、他人行儀だ」
「しかし……軍規で」
「此処は敵の領域だ。もし敵にスナイパーが居て話を聞かれていたらどうする?
真っ先に上官であるわたしが狙われる、責任取れるのか」
「レンジャー」
レンジャー隊員は上官の命令は絶対だ。答えるときはレンジャー!と叫ばなくてはいけない。
「レンジャーもいらない、特殊作戦郡の男が言っていたはずだ」
「は、はい」
「レンジャーと判れば、敵は真っ先にわたしたちを狙う。判らずとも目立つから狙われる。
だからレンジャーと呼ぶのは禁止する、実戦だと思え。応答は了解か、ヤー!だ」
「了解」
金二郎2等陸尉は油断無く周囲を警戒しながら言った。
「此処に連れ込んだ奴がどんな目的で行動したのかが問題だ」
予めこうなる事を予測していたように……むしろ確信を持って仕組まれた、
テントに山刀、水筒、非常食、その他もろもろ、そして銃。
書き置きの一つも入れておけばいいだろうに、無言で入っていたそれらに嫌味を感じる。
「判らないことが多すぎます。化け物が何で、どんな目的で製造されているのか。
何を期待されて連れて来られたのか」
「ただ」
何も私には判らなかったが、半ば確信めいたものだけが頭にあった。
「ただ?」
「背嚢を用意した人物はわたしたちに死なないで欲しいと思ったのではないでしょうか」
糞が。
克秀1等陸尉をポイントマンに辰哉2等陸尉が藪を進む
「1等陸尉は何かあるんだろう?言えないものが」
「さあな、オレにはあんたが不自然に思える。死体見てもたいして動揺してねえ」
「冬季山岳レンジャーは過酷なんだ、試験でも毎年死者が出る」
「へえ」
辰哉はホルスターからP220を抜いた。撃鉄を上げる。
フレームをスライドさせて構えるまで一挙動。
「事情を説明してもらおうか、特戦」
前を歩く克秀に音は聞こえたはずだ。
「死にたいか」
と克秀は言った。
妙な怖気を感じた。
P220をホルスターに収める。
「冗談だ」
「そうか」
ふざけた口調を止めた克秀の声は底冷えしていた。
「おお怖い怖い」
涼菟達は小川を見つけていた。
流れが緩やかで歩いて渡れるほど浅い。
石は丸く付近にはシダ類やコケ類、陰性植物が生えているところから考えるに
大雨などで急に出来た川ではないということになる。
つまりこのまま下れば支流から本流へ到達できる可能性ありということだ。
「水が見つかったぞー!」
「よくやった新人!」
「今行く」
足元に流れる水音に私は少しだけ安堵した。
――――――――――――――――
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「なあ、救助が来ると思うか?」
辰哉2等陸尉が言った。
「こない」
「来ないね」
「駄目、でしょう」
「やはり」
満場一致の否決であった。
野戦技能を持つレンジャーが揃って誘拐され森の中へ放置される意味を皆薄々勘付いている。
誰もが焦っているはずだ、しかし誰もに態度に表さない。
恐怖は表に出してしまえば最後、恐慌は広がると理解しているからだ。
一人逃げれば総崩れになる、だから絶対に逃げるな。
私はそうやって訓練で教えられてきたし、自身でも思っている。
「まあ、すぐ水が見つかってよかったなぁ。汚染されて飲めないということはなさそうだしな」
「汚染か?さっきも放射能を気にしていたな、何か見つけたのか?」
金二郎2等陸尉が克秀1等陸尉に訊ねる。
「いんや、BC兵器にUAVだろ、核撃たれていてもおかしくないかなってな」
「第三次大戦か」
辰哉2等陸尉の顔は険しい。
「まっ、そういうことだ」
「いえいえいえそこは否定するところでしょう!皆さん黙って暗いですよ」
私は空気を呼んだ。
「…………」
「…………」
「…………」
帰って来たのは無言の肯定だった。
空気は重い。
「尾原 克秀(オハラ カツヒデ)特殊作戦郡所属、1等陸尉」・・・・・・若作り、口調悪し、謎レンジャー
「柿崎 金二郎(カキザキ キンジロウ)第一空挺団、2等陸尉」・・・・・・割とイケメン、エリート、空レンジャー
「弥富 辰哉(ヤトミ タツヤ)北部方面隊第七、2等陸尉」・・・・・・・おっさん、ベテラン、冬レンジャー
「夏乃 涼菟(ナツノ リョウト)所属未定、3等陸曹」・・・・・・新人、ノーマルレンジャー