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  • 退屈は死に至る病

児童文庫ロワ

退屈は死に至る病

最終更新:2022年07月24日 17:28

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だれでも歓迎! 編集
 その男たちは、みな同じ格好をしていた。
 鉛色のスーツに、鉛色の鞄を持ち、鉛色の帽子を被り、その下はツルツルのはげあたま。そして口には、小さな鉛色の葉巻。
 コンクリートのビルを思わせる無機質さが人の形をしたような男たちだ。
 色彩が無く黒か白かの濃淡すらも無い、文字通りの灰色の男たちは、みんな一つの人形のようなものの前に整列していた。

「つまり、この殺し合いを中止すると?」

 一列に並んだ男たちのなかで、真ん中の男が、驚くほどの棒読みでそう言った。まるで機械じかけの合成音声のような、平たい声だ。

「中止ではないロン。やり直しロン。」

 男の声に、なにかのマスコットキャラクターのような声が答えた。そして声にあわせて、男たちの前で、人形が肩をすくめた。
 白と黒の人形は、まるで人間には見えない格好なのに、男たちよりも人間らしい声で、鼻で笑いながら言った。

「ジョーカーとして参加者になってるカイが重症を負ったロン。アイツの周りには積極的なマーダーは置いてなかったんだけど〜殺る気スイッチが簡単に入るヤツもいたんだロン、グレラン打ち込まれてノびてるし、ステルスマーダーにしたかった下弦の壱はくたばるし、つまんなくなったロン。だ・か・ら〜……」

 ニヤリ、と柔らかさを感じさせない、ツルツルした人形の口が大きく三日月形に歪んだ。

「時間を巻き戻しちゃいま〜〜〜す!」

 そういうと人形は、手に持ったいかにもなスイッチを押した。すると、後ろの大きな画面に、デジタル時計が表示される。『06:00:00』という数字が、一秒ごとにカウントダウンを開始した。

「6時間後の7時15分ぐらいに過去に飛ぶようにセットしたロン。もう押しちゃったから今からは変えられないロ〜ン!」
「そうか。それは困ったねぇ。」
「ムム!? またお前、いつの間に現れたロン!」

 せせら笑う、なにかのキャラクターのような人形の得意げな声が、声色とともに驚いたものへと変わった。
 新たに発せられた声の主を探して、人形がキョロキョロと周囲を見渡す。

「ここだよ。」
「なっ、なにっ! どこにいたっ!」

 人形はわざとらしい語尾さえなくなり、慌てて振り返る。カウントダウンが進む画面の前の空中に、その少年はいた。
 灰色の男たちとも、白黒の人形とも違う、白の軍服のような服装に仮面をつけた格好。モノトーンな室内で、その少年だけは色を持っていた。

「ギロンパ、困るなあ、勝手にゲームをリセットしちゃ。」

 少年はふわりと音もなく空中から地面に降りると、ギロンパと呼ばれた人形に楽しそうに言った。歯ぎしりするような表情になったギロンパとは真逆の、仮面から覗く口元に笑みを浮かべて。
 ギロンパはもともと、デスゲームが趣味だった。未来の世界のネコ型ロボット的存在の彼は、そのためにわざわざ大掛かりな仕掛けを用意して、時には食べ物や武器まで用意して、あるいは石に変えたり急速に老化する薬物の入った首輪を開発したりした。
 だが、ギロンパが趣味と実益を兼ねて主催したギルティゲームは、たった数人の小学生に打ち破られた。疑心暗鬼を煽り、仲間割れをさせ、それでも気がつけば首輪を解除され、挙げ句の果てに爆破する会場に置いて行かれて脱出された。
 だが、それは問題ない。集めた小学生はそういうことができる人間たちだったし、脱出されてもまた誘拐する手はずもあった。なにより、ギロンパは時間を操れる。過去へと戻り、豊富な技術と工業力でひねり潰すことなど造作もない。曲がりなりにもゲームという形である必要はあるが、その範囲内でぶち殺すことなどいくらでもやりようはあった。

 それができない目の前の少年が現れるまでは。

 ギロンパは血眼になって少年の情報を探した。戸籍を調べDNAから血縁関係を探った。だが、何一つとして少年に繋がるものはなかった。
 まったくの空白なのだ。人が人として生きているのなら、必ずどこかでなにかの痕跡がある。それがない。そして、時間を操れる自分すらも及びがつかない謎の力。

(やっぱり間違いないロン! こいつはハッタリじゃなく時間を操れるロン!)
(ふざけるなふざけるなふざけるな! あの空条承太郎も、桃花・ブロッサムも! なんでギロンパ様の世界に入ってくるんだロン!)

 とてつもない過去か、あるいはとてつもない未来か。どちらかはわからないが、ギロンパは少年が自分と同じ時間を操れる人間だと確信した。それが殺し合いを中止しやり直す理由だった。
 帝王たるギロンパの世界に入門し、頭上に現れる不埒者。そんな存在を許しておけない、偉そうに喋りかけてくることに耐えられない。
 ギロンパにとってギロンパが上でそれ以外は下だ。そのトップとボトムの関係は絶対である。
 だから、ギロンパはこのある日突然現れた素性も探れぬ少年の言葉に乗り、この殺し合いを開いた。全ては少年と、彼が取りまきとして連れる灰色の男たちの能力を探り、奪い、抹殺するためだ。
 そしてそのための切り札は見つかった。ギロンパにとっては不本意極まりないが、時間を停められる承太郎や桃花は、少年を殺しうる存在だ。それはもろんギロンパにとっても天敵ではあるのだが、だからこそ有用性が信頼できる。

(コイツも時間を操れるなら、一発で殺しきらないとこっちの狙いに気づかれるロン。空条承太郎が向かってるのは上弦の陸を配置した豪華客船、オープニングとイヤミでもう二回も時を止めてるかもしれないのに、何度も連発されたらコイツも気づきかねないロン。桃花・ブロッサムもあのまま深海恭哉の近くにいられると時間をまた止めるかもしれない。こっちも保護しないとまずいロン……!)

 そのためにギロンパは、ジョーカーの氷室カイに危害が及んだことを理由に独断で時間を戻した。
 完全なる建前で、ギロンパとしてはカイも殺す気でいるのだが、近くにいる桃花を保護する理由づけとして最適だった。
 もちろんこれだけでは理由としては乏しいので、更なる口実は用意してある。

「困ってるのはこっちだロン。最初の話なら、知り合い同士でまとまってゲームの参加者にするはずだったロン。なのに、単独参戦が50人も60人もいるってどういうことロン! しかも誰とも合わずにあっさり死ぬとか、何もゲームに残せてないやつもいるロン! お前の人選なんだからなんであいつら参加させたのか言ってみロン!」
「……まいったねえ。それを言われると。一人だけで参加させても面白い子たちだと思ったんだ。まさかあんなかんたんに撃ち殺されたり殴り殺されたりするとはねぇ……」
「次は初期配置だけでなく人選にも関わらせロン! 拐ってきて保存してるおもちゃはたくさんあるロン、そいつらと入れ替えるロン! こっちはプロロン!」

 300人の参加者のうち60人以上は単独参戦だった。つまり2割以上である。これがどういう意味を持つか、ギロンパはよく理解していた。
 基本的にデスゲームは知り合い同士でヤッたほうが盛り上がる。知らない子供二人に殺し合わせるよりも、兄弟や姉妹や親友や恋人同士で殺し合わせる方が見ていて興奮できる。
 だから少年の用意した人選は明らかにデスゲームの王道から外れていた。たしかに不思議な力や一芸に秀でた子供もいたが、それを発揮する前に死体になってしまっては元も子もない。放送で名前を読み上げても、誰も知らないのなら、ニュース番組で流れる殺人事件の被害者の名前ぐらいの価値しかない。
 ギロンパの叱咤に少年の口元から笑みが消えた。

「まあ、もう変えられないならしょうがないか。わかったよ、次は参加者についても話し合おう。じゃあ、僕らは失礼するよ。」

 少年が手をかざすと、灰色の男たちと共に姿が消えた。
 「言うだけ言って逃げやがったロン」とギロンパはつぶやくが、内心では笑いたい気分だった。正論をぶつけられて尻尾を巻いて逃げ出したことで、自分の計画がバレずに進められる。

(でも、あのワープは危険ロン。用意したセンサーやレーダーでも、ヤツが何をしたのかまるでわからないロン。科学じゃなく魔法の力なのかロン? そんな非科学的なオカルトはありえないロン!)
(とにかく、あと6時間殺し合いをあまりやらせないようにする必要があるロン。ヤツにデータを晒すのはリスクが大きい、霧の濃度を高めて参加者が接触するチャンスを減らすロン。規模が大きいから時間戻すのにも時間がかかるから……そうだ、合成映像流してやるロン。ディープフェイクに気づくか試してやるロン……!)

 首輪の中の薬品の一部や、赤い霧の大部分は少年たちが用意したものとはいえ、今回のバトル・ロワイヤルの基本的な部分はギロンパがギルティゲームのために用意したものを流用したものである。都市や会場内に落ちている部品も少年たちへの外注とはいえ、設計もギロンパサイドであり、食品や生物なども仕様はギロンパが指定している。特に監視カメラや種々のシステム・プログラムはギロンパの技術が100%だ。会場内の都市にある監視カメラは全てギロンパが掌握し、それ以外には首輪でのみ参加者の動向を把握できる。そしてその首輪は薬品の一部以外全てギロンパ製だ。
 つまり、ギロンパの命令一つで、主催陣の監視の程度が決まる。
 ギロンパは密やかな意思を込めてコンソールを叩いた。



「それで、そのまま帰ってきちゃったの? いいの、アイツの好きにさせて?」
「面白そうだしいいんじゃないかな。ギロンパが何を企んでるか楽しみだよ。」
「あまり遊ぶなよ、『社長』。こちらが時間を操れぬとわかればなにをするかわからない。もっとも、私も参加者の人選には異議があったがね。」

 所変わって、少年は二人の男とテーブルを囲んでいた。
 最初に話した男の名前は、黒鬼。一見すると没個性的ながらも顔の良い、どこにでもいそうでなかなかいないイケメンという印象を周りに与えるが、その名の通りに彼は地獄の鬼である。赤い霧の提供者であり、首輪の薬品の一部の提供者であり、今回の殺し合いにおける人員の提供者であり、別のデスゲームの主催者だ。
 もう一方の少年を社長と呼んだ男の名前は、キャプテン・リン。艷やかな金髪を長く伸ばし豪奢な服装に身を包む若き青年は、まるでオペラの舞台から飛び出してきたような珍奇さとそれを自然と受け入れさせる風格を持つ。ラ・メール星は火の国・フラムの実権を自らの率いる火の鳥軍団をもって握った最高指導者である彼もまた、首輪の薬品の一部の提供者であり、今回の殺し合いにおける人員の提供者であり、そして物質的な用意の大部分のスポンサーである。

「参加者については君たち以外からも文句が出てるんだよね。そんなに変な選び方したかなあ?」
「大人が多すぎないかい? こどもが苦しむ方がみんな興奮するよ。」
「水沢パセリさえ参加者から外すのなら、こちらに言うことはない。彼女は我が国の王女の親類でね。身柄を保護しなくてはならないのだ。」

 そして彼らの前に座り、ポットから紅茶をついで飲む仮面の少年。その名前は、大形京。黒魔法の使い手であり、灰色の男たち・ギロンパ・黒鬼・リン、そしてこの場にいない全ての主催者を引き合わせた、黒幕である。
 変身・窃視・読心・洗脳・墓暴き・瞬間移動・時間停止……幼少よりその魔力に目をつけた魔女の虐待ともいえる英才教育により身につけた数々の黒魔法は、殺し合いを開くにあたって遺憾なくその力を振るった。

 その中でも殺し合いの根幹となったのが、画面に入り込む黒魔法である。

 この黒魔法は、彼の世界である『黒魔女さんが通る!!』において、黒鳥千代子ことチョコが『若おかみは小学生!』の世界に移動することも可能とした望外の神秘である。すなわち、擬似的な異世界への移動が可能となるのだ。
 ただし、この黒魔法を大形が使うにあたって、いくつかの制限がある。
 まず、『黒魔女さんが通る!!』の世界をAとし、『若おかみは小学生!』の世界をBとする。当然ながら、二つの世界は交わることはない。
 次に、『黒魔女さんが通る!!』の世界における『魔界』をA'とし、『若おかみは小学生!』の世界における『魔界』をB'とする。二つの魔界はそれぞれの世界において限定的に『魔界』でない世界、つまり人間の暮らす『普通の世界』と接し、同時に『魔界』同士でも限定的に接する。
 つまり、AはAと、A'はB'と、B'はBと、数珠繋ぎに繋がりがある。『黒魔女さんが通る!!』の世界は『黒魔女さんが通る!!の『魔界』を通じて『若おかみは小学生!』の『魔界』に通じ、『若おかみは小学生!』の世界に通じているのだ。

 そこで大形は考えた。条件さえ整えれば、本の中の世界を介して自由に行動できるのではないかと。
 大形は魔界を軸に様々な世界へと足を運んだ。中でも、こどもを使ってデスゲームを行う主催者たちは軸として最適であった。彼らは方向性の同じ悪意と、探れども真意も正体も把握しきれぬ謎に包まれていた。あとは簡単だった。地獄の鬼も、未来のロボットも、世界の共通言語は、「こどもが苦しむ姿が見たい」という邪悪な欲望と、「何かを得たい」というシンプルな願い。大形は、鬼には未来の技術の一端を見せ、ロボットには地獄の不可思議な超常現象を見せた。デスゲームという『魔界』により、様々な世界への足がかりを手に入れた彼は、そこで聞きかじったノウハウを横流しすることで強大なコネクションを極めて短期間で作り上げたのだ。

「社長、面会のお時間です。」
「そんな、ようやくギロンパの監視も落ち着いてお茶が飲めたのに。」
「プログラムの成功のためには、ここで無駄にする時間は無いと、我々社員一同は考えています、社長。」
「君たちは本当に時間にきびしいね……失礼するよ。次の会食の時に参加者について話し合おうか。」

 そしてそれを可能にした最大の立役者が、大形を社長にした灰色の男たちである。
 彼らは人々から契約によって時間を奪う。そして奪った時間を使うことで、大形では干渉しきれない世界であっても、大形より長時間、大形より口が上手く振る舞える。魔王と呼ぶにふさわしい黒魔法使いと言っても小学生である大形にとって、有能なビジネスマンである彼らは自分の手足として申し分の無いものだ。
 彼らは『モモ』の世界の時間泥棒。さして本を読まない大形に変わり、数々の児童文庫を侵略先として提案し、彼らの社長に就任することを求めてきた。なぜ、児童文庫ばかりを選んだのか——それは、彼らがある少女のような人間を自分たちの知らないところで大形に刺激を与えられないためだ——は大形にはわからなかったが、元々『若おかみは小学生!』の世界では自分のいる『黒魔女さんが通る!!』の世界が児童文庫として本になっているようなので、さして気にも止めなかった。
 彼にとって重要なのは、このプログラムの安定化だ。
 数多の児童文庫のキャラクターが一同に会したこの世界を基点に、更に様々な多数の世界への玄関口とする。そのためには、この殺し合いが打破されてはならず、また長引くほうがいい。時間を巻き戻されればまた安定化も最初からだが、大形の知識は巻き戻らないため更に効率的に動ける。同じことは主催者たちにも言えるため警戒は必要だが、大形には自分が負けるはずがないという油断と自信があった。また、デスゲームでは主催が破れた場合参加者全員がゲーム中の生死にかかわらず生還できる場合がある。大形はそれを利用し、主催を討たせ参加者を元の世界に返すことで、彼ら自体を異世界への扉として利用しようとしていた。
 つまり、大形にとってこの殺し合いは破綻しようと決着がつこうとどちらにせよ損をすることはないのだ。もちろん大形一人ではバトル・ロワイヤルを開くことはできないため破綻しないほうが望ましいが、破綻しても得るものはある。

「——良い子にしてた?」

 その一例に、大形は檻越しに話しかけた。
 灰色の男たちからは空にしか見えない牢獄は、全体に黒魔法による結界が張られ、神秘の瞳を持つものならば。それが超常の存在を捕らえるために用意されたものだとわかるだろう。
 『それ』のように、大形は既に高度な科学や神秘のなにかを多数有している。殺し合いの参加者として、あるいは支給品として集められたそれらの多くは、プログラムの成否問わず失われることが決定しているが、短い間にも有用な情報をもたらしている。大形には使いこなせずとも、誰かに横流せば利用価値も大きい。

「強気だね。そうだ、差し入れを持ってきたんだ。あれを。」

 当然そこに誰かがいるかのように、大形は牢獄へ向かって話した。灰色の男たちの一人が、大形の支持に従い、先程の会食から持ってきたプリンを、檻の隙間から床に置く。空の場所に誰かいるかのように置かれたそれはお供え物にも見えるが、実際お供え物だ。なにせ、中にいるのは『神』である。雛見沢という村で祀られる邪神だと、大形は灰色の男たちに言っていた。姿が見えない彼らは思うところはあってもそういうものだと受け入れる。これまでの間に、不気味な存在である彼らをしても理解の及びつかないものを様々に見てきた。いまさら田舎の邪神だか悪魔だかも気にするほどのものではない。

「じゃあまたね。あっ、君が気にしていた竜宮レナだっけ。彼女、死んだよ。」

 帰りがけに大形はそう言うと、わざとらしく耳を塞いだ。彼にだけ聞こえる声を邪神がわめいているのだろうが、この牢獄では大形以外に誰にも届くことはない。
 大形のこれまでの計画は人選に文句を言われたこと以外順調だ。あまり強い参加者をいれて破綻させたくないのでふつうの人を参加者にしたが、これまでのプログラムを見る限り多少は強い参加者を増やせと言われても問題はない。第一、本当に強すぎる存在は参加者にできない。一度、鬼舞辻無惨なる鬼のリーダーを捕まえに行ったときには、またたく間に皆殺しにされその後一切消息を追えなかった。他にも都市伝説やら妖怪やらで似たようなことが起きた。正体がわからないものは拐いにくいのだろう。
 大形のすべきことは一つ。主催者たちが余計なことをしないように目を光らせることだ。なにせデスゲームの主催者に悪の軍団のリーダーなどいかにも悪事をしそうな存在ばかり集まっている。チャンスさえあれば裏切りもいとわないだろう。特にギロンパは危険だ。彼に黒魔法を教え込んだ黒魔女と同じものを感じる。今頃自分を追い落とす策略を練っているだろうと大形は察していた。

「タブレットをくれる?」
「はい。こちらを。」
「ありがとう。さて、さっき見たと似はまだ10人しか死んでなかったけど、少しは増えたかな。」

 大形はタブレットに流れる殺し合いの映像を見る。それは既に、リアルタイムでギロンパのフェイクが紛れ込んだものだが、今はまだ気づかない。
 今はただ順調そうだと、喉を掻きながら思うだけであった。



※主催者が時間を巻き戻します。参加者が一部入れ替わり、バトル・ロワイヤルがリスタートします。
※主催者に新たに【灰色の男たち@モモ】、【ギロンパ@ギルティゲーム】、【大形京@黒魔女さんが通る!!】、【黒鬼@絶望鬼ごっこ】、【キャプテン・リン@パセリ伝説】が確定しました。

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