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ファンとして

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『ファンとして』


「~♪」
 隣では私の親友が鼻歌を歌っている。
 何だっけ……確か、三十路岬だったっけ?
 演歌を鼻歌……ってのもなんか変わってるような気がするけど。
 今日は、こなたがファンだという小神あきらの握手会ということで
 なぜか分からないけれど私まで連れてこられた。

「それにしても、アニメとかゲームばっかりだと思ってたんだけど、3次元のファンもやってるなんて驚いたわ」
「あきら可愛いじゃん♪」
 まぁそりゃそうだけどさ……
 でもあの性格はどうかと思うんだけど。

 ……あれ?もしかしてこの子、裏表のある人が好きなのかな。
 小神あきらもそうだけど、私のこともツンデレとか嬉しそうに言ってるし。

「どういうところが好きなの?」
「え、かがみ何それ?」
「ファンっていうからには、惹かれるところがあるんでしょ?」
「あ~そういう意味か。なんか雰囲気がトゲトゲしかったから何かと思ったよ」
 その見当は当たってると思うわ。
「ん~そうだねぇ~……かわいいってのもあるけど、かがみ顔怖いよ。
親近感っていうのかな?なんか親しみやすいんだよね、話し方とかさ。かがみ肩痛いって、手離してよ。
それから性格も結構私好みなんだよね。かがみ顔近いって、ちょ、なんで唇尖がってるの?」
 なるほど……羨ましいわ、小神あきら。
 それにしても、かなり人気あるのね。行列がすごいわ。
 こなたが一言「かがみ好きだよ」って言ってくれれば、こいつら蹴散らしてくるのに。

 並び始めてから30分ほど経った頃、ようやく当人の声が聞こえる距離まで近づいたみたいだ。
 ここからはあきらの姿は見えないけれど、少し離れたところに……誰だっけ……しろいしだっけ?
 こなたのクラスメイトで、小神あきらのアシスタントをしてる彼が見て取れた。
 その……誰だっけ……はくいしだっけ? が、水とタオルを持ってニコニコ顔で待機している。
 「きゃるーん☆」だとか「うっきゅー☆」だとか聞こえるのがあきらの声なんだろうか。

 ふと、その……誰だっけ……しろいわだっけ? と、目があった。
 その後、彼の目線が隣のこなたに移された途端、その細い目が限界まで開かれた
 その……誰だっけ……WhiteStoneだっけ? は、両手に持っていたものを投げ捨てると
 凄まじいスピードであきらに近づき、耳元で何かを囁いた。
 刹那……あきらが笑顔のままで固まった。

「どけよ」
 ……?
 何今の声……
「お前らどけって言ってんのよぉ!!」
 突然、小神あきらが大声でファンに罵声を浴びせ始めた。
「あの……あきらさん? 握手を」
 順番を待っていたのだろう、少しぽっちゃりした中年くらいの男性があきらの前にしゃしゃり出た。

「あ゛? あんたまだいたのかこのハ○デ○!! 邪魔だなあっちいけよ○ぇんだよ、鼻曲がるじゃねーか!!
てめーなんか、そこのラーメン屋でチャーシューにでもされてこいってのよ!!」
 そういって指差したラーメン屋の前には、なぜか店長らしき人がいろいろ分からないものを持って
 ニコニコ顔で立っていた。
 いや、店長なんなんだ。
 ってかあんたも言われた通りラーメン屋に向かうなよ。
「あのー」
「なによあんた? んな○と皮だけの分際が私に何の用よ!! お前は理科準備室の片隅にでも佇んでろってんだよ!!」
 いきなりどうしたんだろう……
 だが一向に行列は動こうとしない。
「……んがぁああぁぁあぁあああ!! 白石ぃいぃいいぃぃいぃぃぃいいい!!」
「はいあきら様!!」
 またもや元のポジションで待機していた……誰だっけ……くろにしだっけ? があきらに呼ばれ近くに駆け寄る。
「この腐れども、なんとかしなさいよ!!」
「了解しましたあきら様!!」
 目をらんらんと輝かせながら、チェーンソーをブイブイいわせながら、行列を散らしていく……誰だっけ……くもぎしだっけ?
「おらおらお前らどっかいけぇ!! あきら様が邪魔だっていってんだろぉがぁあぁああぁあぁぁあああ!!」
 狂気乱舞……いや、凶器乱舞か?
 瞬く間に行列は解散した。
「白石ぃいぃいいぃぃいぃぃぃいいい!!」
「はいあきら様!!」
「お連れしろぉおぉおおぉぉおぉおおお!!」
「イエッサー!!」
 突然、小神あきらと私たち……正確にはこなたの間に赤ジュータンが敷かれた。
 隣ではいつの間にか……誰だっけ……鈴木だっけ? が、花吹雪をこなたに向けて振り撒いている。


「泉こなたさん、よくぞおいでくださいました♪ あきら感激ですぅ~☆」
 あきらの目の前までやってくると、さっきまでの猫かぶり状態になった小神あきらが、こなたを満面の笑みで迎えた。
 隣にいる私は空気扱いされている。
 ……こら、同情したように肩に手を置くな……誰だっけ……佐藤でいいや。

「こなた様、今日はどうしてあきらのところに?」
 ……様?
「え? その、ファンなので、握手してもらいに」
「ぶふぉあぁああ!!」
 上空に向かって盛大に吐血するあきら。
 空を舞う無数の雫は、私たちの目に映る景色を投影して、複雑に光る。
 その色はさながら、季節外れの桜の花びらみたいだった……
 などと一瞬詩人になった私の顔に、その雫が降り注ぐ。
 視界が真っ赤だ。
 不意に、私の手にタオルが差し出された。
 どうやらアシスタントが渡してくれてるみたいだ。
 あんた、結構いいところあるのね……えっと……マイク。 

「白石聞いた!? こなた様が私のファンだって!!」
「おめでとうございますあきら様!!」
 いつの間に来たのだろうオーケストラが、あきらの後ろでファンファーレを奏で始めた。
「うぅ~、あきら感涙ですこなた様ぁ~♪」
 こなたの手を取りぶんぶんと縦に振るあきら。
 こなたは怯えながらも口を開いた。
「あ、握手も終わったし……わ、私はこれで!! では!!」
 私はその日、初めて人間の残像を見た。
 気がつけばこなたは、遥か遠くに……
「あぁ~こなたお姉さまぁ~ん。何処に~」
「……」
 この人こういう人だったのか……
「くぅ~……白石ぃいぃいいぃぃいぃぃぃいいい!!」
「はい!! あきら様!!」
「そこの川に飛び込んでこい!!」
「はい!!」
 やるのか。
 止める間もなく、マイクは近くの橋へと一目散に駆けていった。
 取り合えず私は、こなたが取りこぼしていったサイン入りの『三十路岬』のCDを持って帰路に着いた。
 こなた褒めてくれるかな。
 そのままにゃんにゃんまでいけるかな。


 後日、こなたに小神あきらファンのことを聞いたんだけれど。
 あれだけされてもファンが減らないのは、ファン曰く「あのスリリングデンジャープレッシャーがたまらない」とのことらしい。
 へーそうなんだ、あ、そういえばこれ。CDもらい忘れたでしょ?
 ということを口実にこなたを襲おうとしたら怒られた。













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コメント:
  • あきらファンは全員ドM…いや、ミンチにされたらMもSも無いってば! -- 名無しさん (2011-05-01 04:43:29)
  • いんじゃね?
    -- ももんが (2009-05-07 05:24:58)
  • 最後ww -- 名無しさん (2009-03-28 20:00:51)
  • ブルータスお前ばか(笑) -- 名無しさん (2008-11-18 23:15:59)
  • ちょw -- 名無しさん (2008-07-31 01:38:10)
  • 白石→→→→マイクwwwww -- 佐藤 (2008-07-26 23:31:18)
  • でも一番怖いのはあのチェーンソー持った………誰だっけ………田中?だと思う。 -- 名無しさん (2008-01-05 11:05:26)
  • ブルータス、お前もかwwwwwwww -- 将来ニートになるかも (2007-10-09 15:40:07)
  • お前もかあきら…
    つかかがみわざとやってねーかw -- 名無しさん (2007-10-09 10:59:41)

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