4人(の他にも客はいるが)を乗せたバスは、糟日部駅に着いた。4人はバスを降りる。
その時、4人の前に一人の女性が現れ、声をかけてきた。
「あなたたち、『みーみー戦隊』の方ね?」
その時、4人の前に一人の女性が現れ、声をかけてきた。
「あなたたち、『みーみー戦隊』の方ね?」
その言葉に対する反応は、4人の中で2つに分かれた。
白石とみなみは、この人が敵である可能性があると見て、とっさに戦う構えを取ろうとする。
しかしみゆきとみさおは、この人を見たことがあったので、誰だったか思い出そうとした。
先に思い出したのはみさお。
「もしかして、柊の母さん!? でも、なんで?」
「もしかしなくても、柊みきです。―――驚かせてしまったけど、実は私も、あなたたちと同じく「みー
みー戦隊」の一員らしいの。……詳しくは私にもよくわからないけど」
みきは、一人ひとりと握手を交わす。
「それで、早速本題だけど。あなたたち、さっき学校で大変な目に遭ったりしなかった?」
どうやら、みきも『えねみーみー』の気配を感じ取っていたらしい。
4人は、さっきの学校での『えねみーみー』のこと、そしてゆたかのことをみきに説明した。
白石とみなみは、この人が敵である可能性があると見て、とっさに戦う構えを取ろうとする。
しかしみゆきとみさおは、この人を見たことがあったので、誰だったか思い出そうとした。
先に思い出したのはみさお。
「もしかして、柊の母さん!? でも、なんで?」
「もしかしなくても、柊みきです。―――驚かせてしまったけど、実は私も、あなたたちと同じく「みー
みー戦隊」の一員らしいの。……詳しくは私にもよくわからないけど」
みきは、一人ひとりと握手を交わす。
「それで、早速本題だけど。あなたたち、さっき学校で大変な目に遭ったりしなかった?」
どうやら、みきも『えねみーみー』の気配を感じ取っていたらしい。
4人は、さっきの学校での『えねみーみー』のこと、そしてゆたかのことをみきに説明した。
「そう……。やっぱり、事態はかなり深刻なようね。もたもたしている余裕はないわ」
「やっぱり、って……、そちらでも何かあったんですか?」
「ええ。最近――― それこそ、ここ何日かのことだけど、主に夕方くらいから、それまでになく強い邪悪
な気配を感じることが増えたの。それがどういうことを表すか、わかる?」
「……敵が、増えたって事ですか?」
「半分当たりね。でも、それだけでは不十分。大事なのはむしろその先よ」
一旦言うのを止めて、4人の顔を一度見てから、みきは続けた。
「自分のすぐ近くに、その気配を発するものがある、ということ」
「それって、……みきさんの家族の中に、敵がいるということですか?」
みきは無言で頷いた。それと共にしばらく沈黙が流れた後、みきが再び続ける。
「それで、このあとみんなに、うちに来てほしいんだけど。みんな、時間とか大丈夫?」
だめだと言う者はいなかった。ただ、みなみとみゆきの用事もあるため、先に全員で泉家に寄ってから
柊家に向かうことに。
「やっぱり、って……、そちらでも何かあったんですか?」
「ええ。最近――― それこそ、ここ何日かのことだけど、主に夕方くらいから、それまでになく強い邪悪
な気配を感じることが増えたの。それがどういうことを表すか、わかる?」
「……敵が、増えたって事ですか?」
「半分当たりね。でも、それだけでは不十分。大事なのはむしろその先よ」
一旦言うのを止めて、4人の顔を一度見てから、みきは続けた。
「自分のすぐ近くに、その気配を発するものがある、ということ」
「それって、……みきさんの家族の中に、敵がいるということですか?」
みきは無言で頷いた。それと共にしばらく沈黙が流れた後、みきが再び続ける。
「それで、このあとみんなに、うちに来てほしいんだけど。みんな、時間とか大丈夫?」
だめだと言う者はいなかった。ただ、みなみとみゆきの用事もあるため、先に全員で泉家に寄ってから
柊家に向かうことに。
数十分後、泉家に到着した5人は、家に誰かいないかを調べていた。
ただ、普通に呼び鈴を鳴らすだけでは、もしかしたら居留守を使われてしまうかもしれない。
そこで、メンバーを有効活用した芝居をしてみることに。
ただ、普通に呼び鈴を鳴らすだけでは、もしかしたら居留守を使われてしまうかもしれない。
そこで、メンバーを有効活用した芝居をしてみることに。
「泉さーん、宅配便でーす。―――泉さーん、いませんかー?」
白石演じる、宅配便の人。
白石演じる、宅配便の人。
「泉さーん、回覧板ですよー。……あら、留守かしら?泉さーん?」
みき演じる、近所の人A。
みき演じる、近所の人A。
その後、みゆきとみなみが、普通にこなたやゆたかを呼んだりした。
が、結局、どの方法を取っても全く反応はなかった。
「やはり、留守なのでしょうか……」
「そうみたいだなー。……となると、やっぱり、……柊に聞いてみるのが一番かなー」
その言葉の途中で、みさおの顔が一瞬曇った。
が、結局、どの方法を取っても全く反応はなかった。
「やはり、留守なのでしょうか……」
「そうみたいだなー。……となると、やっぱり、……柊に聞いてみるのが一番かなー」
その言葉の途中で、みさおの顔が一瞬曇った。
「みんな、心の準備はいい?」
柊家の最寄り駅の改札を出る直前、みきは立ち止まり、4人に質問した。
しかし、皆、すぐには頷けなかった。何しろ、今回の柊家訪問の目的は「こなたの居場所を聞く」こと
ではあるが、それに「えねみーみー退治」が加わっているのだ。
ただし、ここで首を横に振るという選択肢は、用意されていなかった。
「じゃあ、行きましょう」
ばらばらだが全員が返事をしたのを見て、みきは改札のほうへ歩き出す。4人もそれに続いた。
柊家の最寄り駅の改札を出る直前、みきは立ち止まり、4人に質問した。
しかし、皆、すぐには頷けなかった。何しろ、今回の柊家訪問の目的は「こなたの居場所を聞く」こと
ではあるが、それに「えねみーみー退治」が加わっているのだ。
ただし、ここで首を横に振るという選択肢は、用意されていなかった。
「じゃあ、行きましょう」
ばらばらだが全員が返事をしたのを見て、みきは改札のほうへ歩き出す。4人もそれに続いた。
ここでも、いきなり5人全員で突入、ということはしない。
まず、みきが一人で家に入り、かがみに、みゆきに会ったと伝える。その様子は外からでは見ることが
できないが、適度にタイミングを見計らってみゆきとみなみが突入。そしてさらにしばらく間隔をあけて、
みゆきとみなみがいることなど知らなかったかのように、みさおも突入。
その後、みきは、3人がかがみの部屋に入ったことを確認してから、人数分(かがみと3人の他に、
あやのもいた。みきはそのことは確認済み)の飲み物を用意し、かがみの部屋に入る。
ちなみに、白石は外で待機。なぜって、白石が突入したらそれだけで不自然に思われかねないからだ。
まず、みきが一人で家に入り、かがみに、みゆきに会ったと伝える。その様子は外からでは見ることが
できないが、適度にタイミングを見計らってみゆきとみなみが突入。そしてさらにしばらく間隔をあけて、
みゆきとみなみがいることなど知らなかったかのように、みさおも突入。
その後、みきは、3人がかがみの部屋に入ったことを確認してから、人数分(かがみと3人の他に、
あやのもいた。みきはそのことは確認済み)の飲み物を用意し、かがみの部屋に入る。
ちなみに、白石は外で待機。なぜって、白石が突入したらそれだけで不自然に思われかねないからだ。
「みんな、いらっしゃい。飲み物、オレンジジュースでよかったかしら?」
さて、飲み物をもってかがみの部屋に入ったみきは、おぼんをテーブルに置き、それぞれのコップに
飲み物を注ぎ始めた。かがみがそれを見て、私が注ぐと申し出る。
ここでみゆきは、本題・こなたの居場所についてかがみに尋ねた。
「な、何?みゆき、こなたに用事でもあるの?」
「いえ、私ではなく、みなみさんが」
「… 一昨日から、ゆたかが学校に来ていないんです。だから、体調を崩したのかな、と思って、ゆたかの
お見舞いのために泉先輩の家に行ったんですけど、…3日とも、誰もいなかったから」
「行った時間がよくなかった、とかじゃないの?」
「そう思って、家に帰ってからも電話はしてみたし、昨日は1時間くらい待ってみたんですけど、…それ
でも結局、一度も連絡が取れなくて…」
そこまで聞いたかがみが一瞬視線をそらして何かをつぶやいたのを、4人は見逃さなかった。
「かがみさん、どうかしましたか?」
「いや、別に。なんでもないわよ……」
「私の経験上、柊のこの言い方の裏には、何かが隠れていそうだぜ」
「あら、かがみ。隠し事はよくないわね」
「…何か、知っているんですか?」
さて、飲み物をもってかがみの部屋に入ったみきは、おぼんをテーブルに置き、それぞれのコップに
飲み物を注ぎ始めた。かがみがそれを見て、私が注ぐと申し出る。
ここでみゆきは、本題・こなたの居場所についてかがみに尋ねた。
「な、何?みゆき、こなたに用事でもあるの?」
「いえ、私ではなく、みなみさんが」
「… 一昨日から、ゆたかが学校に来ていないんです。だから、体調を崩したのかな、と思って、ゆたかの
お見舞いのために泉先輩の家に行ったんですけど、…3日とも、誰もいなかったから」
「行った時間がよくなかった、とかじゃないの?」
「そう思って、家に帰ってからも電話はしてみたし、昨日は1時間くらい待ってみたんですけど、…それ
でも結局、一度も連絡が取れなくて…」
そこまで聞いたかがみが一瞬視線をそらして何かをつぶやいたのを、4人は見逃さなかった。
「かがみさん、どうかしましたか?」
「いや、別に。なんでもないわよ……」
「私の経験上、柊のこの言い方の裏には、何かが隠れていそうだぜ」
「あら、かがみ。隠し事はよくないわね」
「…何か、知っているんですか?」
かがみはついに、4人から受けるプレッシャーに耐えられなくなった。そしてついに
「……わかったわよ、そこまで言うんなら―――峰岸、いくわよ!」
急に立ち上がって言うと、かがみとあやのの目が赤く光った。―――『えねみーみー』であるサインだ。
しかしここで、みゆきが二人を一旦制止する。
「待ってください!ここでは危ないですから、とりあえず外に出ましょう!」
これにはかがみ・あやのも同意した。やはり部屋の中で戦うのは無理がある。
「……わかったわよ、そこまで言うんなら―――峰岸、いくわよ!」
急に立ち上がって言うと、かがみとあやのの目が赤く光った。―――『えねみーみー』であるサインだ。
しかしここで、みゆきが二人を一旦制止する。
「待ってください!ここでは危ないですから、とりあえず外に出ましょう!」
これにはかがみ・あやのも同意した。やはり部屋の中で戦うのは無理がある。
外へ出る途中、みさおは、みきがいないことに気付いた。
その場で立ち止まってきょろきょろしていると、みさおは、さっきまで自分たちがいた部屋のドアの
隙間から、蛍光灯のものとは違う、強い光が漏れてきているのを見た。
その方向に近づき、ドアを開けたみさおは、強烈な光に思わず目を閉じてしまう。
その場で立ち止まってきょろきょろしていると、みさおは、さっきまで自分たちがいた部屋のドアの
隙間から、蛍光灯のものとは違う、強い光が漏れてきているのを見た。
その方向に近づき、ドアを開けたみさおは、強烈な光に思わず目を閉じてしまう。
しばらく後、ようやく光が収まったのでみさおが目を開けると、そこにはみきの姿があった。
ただし、みきの恰好は、ついさっきまでと異なり、巫女装束姿となっていた。
「みーみー戦隊 みーバイオレット、ただいま参上!」
ポーズまで決めてそう言った直後、みきは、目の前にいたみさおに気付き、急速に赤面。
「あらっ!? み、みさおちゃん!? な、なに、どうしたの?忘れ物?」
「……い、今の光……、もしかして……、……へ、……変身!?」
みさおとみきは、それぞれ驚きと恥ずかしさからしばらく沈黙。が、その沈黙はみさおが破る。
「うぉーっ、いいなーっ!私も変身とかしてみたいぜーっ!」
みきは、目を輝かせて自分を見るみさおを、なんとか落ち着かせようとする。
「ほ、ほら。そんなことより早く行きましょう?みんな待ってるわよ」
ただし、みきの恰好は、ついさっきまでと異なり、巫女装束姿となっていた。
「みーみー戦隊 みーバイオレット、ただいま参上!」
ポーズまで決めてそう言った直後、みきは、目の前にいたみさおに気付き、急速に赤面。
「あらっ!? み、みさおちゃん!? な、なに、どうしたの?忘れ物?」
「……い、今の光……、もしかして……、……へ、……変身!?」
みさおとみきは、それぞれ驚きと恥ずかしさからしばらく沈黙。が、その沈黙はみさおが破る。
「うぉーっ、いいなーっ!私も変身とかしてみたいぜーっ!」
みきは、目を輝かせて自分を見るみさおを、なんとか落ち着かせようとする。
「ほ、ほら。そんなことより早く行きましょう?みんな待ってるわよ」
みさおとみきが遅れて外(神社の境内)に出ると、先に出ていたみーみー戦隊残りの3人(白石も合流
済み)と今回のえねみーみー2人は既に、10歩程度の距離をとって対峙していた。
味方はともかく敵も、律儀にも、みきとみさおが来るのを待っていたらしい。
「柊、あやの。私らが揃うのを待ってくれるなんて、お前ら、敵とはいえ、やっぱりいい奴なんだなー」
「……あんたがどういう意図でそんなこと言ってんのか知らないけど、いくら煽てても、私らは手加減
なんかしないわよ。―――たとえ、お母さんが相手でもね!」
「みさちゃん。私たちと戦うのが嫌なら、手加減してくれてもいいんだよ?その方が私たちも楽だし」
笑みを浮かべてそう言うあやのを見たみさおは、あぁ、今この二人は本当に敵なんだな、と実感した。
済み)と今回のえねみーみー2人は既に、10歩程度の距離をとって対峙していた。
味方はともかく敵も、律儀にも、みきとみさおが来るのを待っていたらしい。
「柊、あやの。私らが揃うのを待ってくれるなんて、お前ら、敵とはいえ、やっぱりいい奴なんだなー」
「……あんたがどういう意図でそんなこと言ってんのか知らないけど、いくら煽てても、私らは手加減
なんかしないわよ。―――たとえ、お母さんが相手でもね!」
「みさちゃん。私たちと戦うのが嫌なら、手加減してくれてもいいんだよ?その方が私たちも楽だし」
笑みを浮かべてそう言うあやのを見たみさおは、あぁ、今この二人は本当に敵なんだな、と実感した。
「じゃあ、始めましょ。……バトル、スタート!」
かがみの合図とともに、かがみは少し後ろに下がって、何かを唱え始めた。その前にあやのが立つ。
一方、みーみー戦隊もすぐには動かない。先にみゆきが『wikiフラッシュ』で敵の情報を集めるからだ。
「今回の敵は二人。しかし、かがみさん、峰岸さんはともに、体力、素早さがかなりあります。しかし、
それ以上に、攻撃が脅威ですね。かがみさんはシューティング系特殊能力を駆使した遠距離攻撃、峰岸
さんは自らの姿をくらませてからの不意打ちを得意としており、その二人の―――はっ!? あれっ!?」
みゆきは、視界が急にぼやけたことに動揺せざるを得ない。
かがみの合図とともに、かがみは少し後ろに下がって、何かを唱え始めた。その前にあやのが立つ。
一方、みーみー戦隊もすぐには動かない。先にみゆきが『wikiフラッシュ』で敵の情報を集めるからだ。
「今回の敵は二人。しかし、かがみさん、峰岸さんはともに、体力、素早さがかなりあります。しかし、
それ以上に、攻撃が脅威ですね。かがみさんはシューティング系特殊能力を駆使した遠距離攻撃、峰岸
さんは自らの姿をくらませてからの不意打ちを得意としており、その二人の―――はっ!? あれっ!?」
みゆきは、視界が急にぼやけたことに動揺せざるを得ない。
一瞬、何があったのか理解できなかったみゆきだが、いつの間にか、眼鏡を持ったあやのがすぐ隣に
いるのを見たことで、状況を理解した。
「わ、私の眼鏡、返してください!お願いします!」
みゆきの眼鏡はただの眼鏡ではない。たとえば、wikiフラッシュを使うにはあの眼鏡が必要なのだ。
そしてそのことは、あやの・かがみも知っている。
「だーめ♪ 柊ちゃんも言ってたでしょ?私たちは手加減しないって。―――柊ちゃん、あとお願いね」
そういうと、あやのはすっと姿を消した。みゆきはあやのを探す。が、本当はそんな場合ではなかった。
かがみが両腕を前のほうにのばすと、その両手の手のひらにライトパープルの光の球が出現し、それは
みるみるうちに膨張していった。そして
「ツイン・レーザーッ!!」
かがみの手のひらから、みゆきに向かって強烈な光が発射された。
みゆきは、光の軌道から逃れるべく横方向に走り出した。が、レーザーは、途中からみゆきを追尾し、
結局みゆきの背中に直撃。しかもそのほぼ同時、慌てていたみゆきは、白石に衝突してしまっていた。
いるのを見たことで、状況を理解した。
「わ、私の眼鏡、返してください!お願いします!」
みゆきの眼鏡はただの眼鏡ではない。たとえば、wikiフラッシュを使うにはあの眼鏡が必要なのだ。
そしてそのことは、あやの・かがみも知っている。
「だーめ♪ 柊ちゃんも言ってたでしょ?私たちは手加減しないって。―――柊ちゃん、あとお願いね」
そういうと、あやのはすっと姿を消した。みゆきはあやのを探す。が、本当はそんな場合ではなかった。
かがみが両腕を前のほうにのばすと、その両手の手のひらにライトパープルの光の球が出現し、それは
みるみるうちに膨張していった。そして
「ツイン・レーザーッ!!」
かがみの手のひらから、みゆきに向かって強烈な光が発射された。
みゆきは、光の軌道から逃れるべく横方向に走り出した。が、レーザーは、途中からみゆきを追尾し、
結局みゆきの背中に直撃。しかもそのほぼ同時、慌てていたみゆきは、白石に衝突してしまっていた。
直後、夕方の神社の境内に、みゆきと、白石の声が響く。
「お、おい、大丈夫か?―――て、ぬおわっ!」
みゆきが倒れているのを見て駆けつけたみさおは、みゆきを見て思わず声をあげてしまった。
俯けに倒れたみゆきの下に、白石が仰向けに倒れていたのだ。誤解を受けても仕方ないような光景だ。
「す、すまん。……ごゆっくりーっ!」
どこかで聞いたような台詞を残して、みさおはみゆきの側から走り去ってしまった。
もっとも、みさおはそのままの勢いで、隙を見せていたかがみに体当たりを喰らわせたのだが。
みゆきが倒れているのを見て駆けつけたみさおは、みゆきを見て思わず声をあげてしまった。
俯けに倒れたみゆきの下に、白石が仰向けに倒れていたのだ。誤解を受けても仕方ないような光景だ。
「す、すまん。……ごゆっくりーっ!」
どこかで聞いたような台詞を残して、みさおはみゆきの側から走り去ってしまった。
もっとも、みさおはそのままの勢いで、隙を見せていたかがみに体当たりを喰らわせたのだが。
しばらくしてから、みゆきと白石は、自分の状況に気付く。
「ホ、ホワイト!大丈夫ですか!? ケガとかないですか!?」
「だ、大丈夫ですよ!むしろ柔らかくて…あーいえ何でもありませんよ!?」
「あの…」
みさおとほぼ入れ替わりに駆けつけていたみなみは、ここでようやく二人に気付いてもらえた。
「グ、グリーン!? いやこれはその、別にピンクと『おかしな事』をしたとかそういうわけでは―――」
「…『おかしな事』って、なに?」
みなみが、頬を少し赤らめながら白石に尋ねた。が、白石とみゆきは恥ずかしがって、何も言えない。
「…そんなことより、ここに固まっていたら、また撃たれるかも。戦闘は終わっていないから…」
急に平常心に戻ったみなみの発言にはっとして、二人はようやく立ち上がる。
「そうですね。……ただ、さっき、眼鏡を峰岸さんに取られてしまいまして、私にはあれがないと……」
「…わかった」
みなみはそう答えると、みきと格闘しているあやのの方に走り出した。
「ホ、ホワイト!大丈夫ですか!? ケガとかないですか!?」
「だ、大丈夫ですよ!むしろ柔らかくて…あーいえ何でもありませんよ!?」
「あの…」
みさおとほぼ入れ替わりに駆けつけていたみなみは、ここでようやく二人に気付いてもらえた。
「グ、グリーン!? いやこれはその、別にピンクと『おかしな事』をしたとかそういうわけでは―――」
「…『おかしな事』って、なに?」
みなみが、頬を少し赤らめながら白石に尋ねた。が、白石とみゆきは恥ずかしがって、何も言えない。
「…そんなことより、ここに固まっていたら、また撃たれるかも。戦闘は終わっていないから…」
急に平常心に戻ったみなみの発言にはっとして、二人はようやく立ち上がる。
「そうですね。……ただ、さっき、眼鏡を峰岸さんに取られてしまいまして、私にはあれがないと……」
「…わかった」
みなみはそう答えると、みきと格闘しているあやのの方に走り出した。
みなみが近づくと、あやのは再び姿をくらませた。
ここで、先ほどかがみに特攻してきたみさおもやってきた。みなみは、あやのからみゆきの眼鏡を取り
戻さなければならないことを、みさおに伝える。
みさおもそれを了解。みなみとみさおは、あやのを捕らえるための作戦を練る。
戻さなければならないことを、みさおに伝える。
みさおもそれを了解。みなみとみさおは、あやのを捕らえるための作戦を練る。
「なー、グリーン。柊を倒すのに、グリーンの力をちょっと借りたいんだけど」
「…私にできることなら」
「助かるぜー。いや、さっき柊に体当たり食らわせて来たら思いのほか効いてさ。せっかくだから、私と
グリーンが、二人同時に体当たりを仕掛けたらいいじゃん、って思って。 私が柊の前から攻めるから、
グリーンは背後から行ってくんないか?」
「…わかった」
その頃かがみは、シューティングゲームの通常ショットのようなもので、逃げ惑う白石を翻弄していた。
「…私にできることなら」
「助かるぜー。いや、さっき柊に体当たり食らわせて来たら思いのほか効いてさ。せっかくだから、私と
グリーンが、二人同時に体当たりを仕掛けたらいいじゃん、って思って。 私が柊の前から攻めるから、
グリーンは背後から行ってくんないか?」
「…わかった」
その頃かがみは、シューティングゲームの通常ショットのようなもので、逃げ惑う白石を翻弄していた。
「よし。じゃ、「せーの、はい」で作戦開始な」
みさおの指示にみなみが頷く。それを見たみさおは、一回深呼吸をしてから、作戦開始の合図を出す。
その瞬間、みなみは後ろから両腕をつかまれた。みなみが後ろを見ると、そこには笑顔のあやのがいた。
「つかまえた。―――あなた達の敵は、柊ちゃん一人じゃないってこと、忘れてない?」
「私があやのの存在を忘れるとでも思ったか?あやの」
みなみへの質問に答えたのは、自分で出した合図で、かがみの方へ向かわずにあやのの後ろに回りこみ
あやのの腕の自由を奪った、みさおだった。
「みさちゃん!? なんで――― あっ、さては二人とも、最初からこうするつもりだったの!?」
「今頃気付いても遅いぜ、あやの。……さあ、おとなしくグリーンを解放して、そしてピンクから奪った
眼鏡を返してもらおうか」
「……そんな簡単に、オッケーすると思う?」
現状で自分より危険な状況にあるみなみを盾に、あやのは反抗してみる。だがみさおには通用しない。
「ほーう。あやずいぶん強気だな。でもいいのか?なんなら、あやのがクラスの男子と出来てる、って
ウソの情報を、兄貴に流してやってもいいんだぜー?」
みさおのこの脅しは、あやのに対して絶大な効果を発揮する。
「うぅ、みさちゃん、ひどい……」
「さあさあ、それが嫌なら、グリーンと眼鏡をさっさと返せ」
あやのは、泣く泣くこれに応じた。解放されたみなみが、取り返した眼鏡をみゆきに渡しに行く。
みさおの指示にみなみが頷く。それを見たみさおは、一回深呼吸をしてから、作戦開始の合図を出す。
その瞬間、みなみは後ろから両腕をつかまれた。みなみが後ろを見ると、そこには笑顔のあやのがいた。
「つかまえた。―――あなた達の敵は、柊ちゃん一人じゃないってこと、忘れてない?」
「私があやのの存在を忘れるとでも思ったか?あやの」
みなみへの質問に答えたのは、自分で出した合図で、かがみの方へ向かわずにあやのの後ろに回りこみ
あやのの腕の自由を奪った、みさおだった。
「みさちゃん!? なんで――― あっ、さては二人とも、最初からこうするつもりだったの!?」
「今頃気付いても遅いぜ、あやの。……さあ、おとなしくグリーンを解放して、そしてピンクから奪った
眼鏡を返してもらおうか」
「……そんな簡単に、オッケーすると思う?」
現状で自分より危険な状況にあるみなみを盾に、あやのは反抗してみる。だがみさおには通用しない。
「ほーう。あやずいぶん強気だな。でもいいのか?なんなら、あやのがクラスの男子と出来てる、って
ウソの情報を、兄貴に流してやってもいいんだぜー?」
みさおのこの脅しは、あやのに対して絶大な効果を発揮する。
「うぅ、みさちゃん、ひどい……」
「さあさあ、それが嫌なら、グリーンと眼鏡をさっさと返せ」
あやのは、泣く泣くこれに応じた。解放されたみなみが、取り返した眼鏡をみゆきに渡しに行く。
しかし、みさおはまだあやのを解放しない。
「あの……みさちゃん? 私、返すものは返したし、私もそろそろ放してほしいんだけど……」
「まあ、もうちょっと我慢しろって。痛くはしないからさ。―――じゃ、みんな。柊のことは頼んだぜー」
みんなに聞こえるように言った後、みさおはあやのの顔を覗き込んでニヤリとする。
「な、何するつもり?ちょっと怖い……!」
「あやの、覚悟! 奥義・『あたしらさながら背景ですぜ!』!」
「あの……みさちゃん? 私、返すものは返したし、私もそろそろ放してほしいんだけど……」
「まあ、もうちょっと我慢しろって。痛くはしないからさ。―――じゃ、みんな。柊のことは頼んだぜー」
みんなに聞こえるように言った後、みさおはあやのの顔を覗き込んでニヤリとする。
「な、何するつもり?ちょっと怖い……!」
「あやの、覚悟! 奥義・『あたしらさながら背景ですぜ!』!」
「峰岸と日下部が消えた!? 何があったの?二人はどこ行ったのよ!?」
周囲を見渡してみると、境内の端で背景と化している二人がいた。
みーみー戦隊も、みゆきを除いては皆、何が起こったのかほとんど理解できないようだ。
「では、今の技について、少々解説をさせてもらいますね」
一同注目。みゆきのターン。
「この『あたしらさながら背景ですぜ』は、みーみー戦隊の中でも、みーブラウンのみが使える特殊技。
これは、戦闘中、本人に加えて、その時にブラウンに触れている人を背景と同化させることで、戦闘から
強制的に離脱させるものです。この方法で戦闘から離脱した場合、その戦闘が終了するまでは「戻って」
来ることができないため、今回のように敵を巻き添えにすれば、一撃必殺の攻撃という意味を持ちます。
しかしその代償として、その戦闘が終了するまでブラウンも戦闘に参加することができなくなってしまう
ため、使いどころをよく考える必要がありますね」
ここで言える事は、この時点で残る『えねみーみー』は、かがみ一人になった、ということだ。
周囲を見渡してみると、境内の端で背景と化している二人がいた。
みーみー戦隊も、みゆきを除いては皆、何が起こったのかほとんど理解できないようだ。
「では、今の技について、少々解説をさせてもらいますね」
一同注目。みゆきのターン。
「この『あたしらさながら背景ですぜ』は、みーみー戦隊の中でも、みーブラウンのみが使える特殊技。
これは、戦闘中、本人に加えて、その時にブラウンに触れている人を背景と同化させることで、戦闘から
強制的に離脱させるものです。この方法で戦闘から離脱した場合、その戦闘が終了するまでは「戻って」
来ることができないため、今回のように敵を巻き添えにすれば、一撃必殺の攻撃という意味を持ちます。
しかしその代償として、その戦闘が終了するまでブラウンも戦闘に参加することができなくなってしまう
ため、使いどころをよく考える必要がありますね」
ここで言える事は、この時点で残る『えねみーみー』は、かがみ一人になった、ということだ。
「残りはかがみさん一人ですか。こっちは四人いるし、楽勝っすね!」
「…そうやって、決めつけてしまうのは、危険だと思います…」
「そうよ、ホワイト君。こういうのは最後の最後まで、何が起こるか分からないものよ」
この忠告は、すぐに意味を持つこととなる。
「…そうやって、決めつけてしまうのは、危険だと思います…」
「そうよ、ホワイト君。こういうのは最後の最後まで、何が起こるか分からないものよ」
この忠告は、すぐに意味を持つこととなる。
「相手が私一人なら、楽勝……? その言葉、後悔させてあげるわ……」
かがみの目が、変わった。白石の言葉が、かがみを本気にさせてしまったのだ。
かがみは、みーみー戦隊に向かって、絶え間ない「通常ショット攻撃」を始める。
通常ショット攻撃といっても、ばかにすることはできない。攻撃は最大の防御とはよく言ったもので、
絶え間ない攻撃は、みーみー戦隊がかがみに近づいて攻撃することを防いだだけでなく、離れたところ
からのみなみの「イーグルボール」さえも撃破した。(ただし、みきの御幣(ごへい・神祭具の一つ)の
先から霊力を発射する攻撃だけは、かがみにも防げなかった。)
かがみの目が、変わった。白石の言葉が、かがみを本気にさせてしまったのだ。
かがみは、みーみー戦隊に向かって、絶え間ない「通常ショット攻撃」を始める。
通常ショット攻撃といっても、ばかにすることはできない。攻撃は最大の防御とはよく言ったもので、
絶え間ない攻撃は、みーみー戦隊がかがみに近づいて攻撃することを防いだだけでなく、離れたところ
からのみなみの「イーグルボール」さえも撃破した。(ただし、みきの御幣(ごへい・神祭具の一つ)の
先から霊力を発射する攻撃だけは、かがみにも防げなかった。)
この状況がしばらく続いたところで、かがみは一旦攻撃を止めた。
えねみーみーといえども、攻撃に必要な体力その他諸々の力には限りがある。さっきからの連続攻撃で
その力を大量に消費し、また、みきの攻撃をいくらか喰らったかがみは、その力の回復のためのしばらく
の休憩が必要だったのだ。
一方、かがみのここまでの攻撃でみなみ(特殊能力・「フライ・ハイ」を使い上空から攻撃しようと
して被弾)と白石(かがみの怒りの集中攻撃により)が倒れたみーみー戦隊は、かがみが攻撃を止めた
ことで、二人の手当てを行う余裕ができた。
えねみーみーといえども、攻撃に必要な体力その他諸々の力には限りがある。さっきからの連続攻撃で
その力を大量に消費し、また、みきの攻撃をいくらか喰らったかがみは、その力の回復のためのしばらく
の休憩が必要だったのだ。
一方、かがみのここまでの攻撃でみなみ(特殊能力・「フライ・ハイ」を使い上空から攻撃しようと
して被弾)と白石(かがみの怒りの集中攻撃により)が倒れたみーみー戦隊は、かがみが攻撃を止めた
ことで、二人の手当てを行う余裕ができた。
「これでみんな、大丈夫ね」
みーみー戦隊サイドは、残っていたみきとみゆきが 共に回復技を使えるメンバーであったことも幸いし、
4人とも(※みさおは離脱中)が戦えるようになるまでさほど時間はかからなかった。
一方かがみは、力が回復するどころか、攻撃を止めてから余計に疲れがたまったようにさえ感じていた。
(はぁ…、はぁ…、…うそっ、向こうはもう立ち直ったの? ……しまったな、せめてお母さんかみゆきを
先に倒せていれば、もうちょっと、時間がとれたかもしれないのに。……やっぱり、一人じゃ無理だって
こと?……でも、反撃しないと、負けちゃう!……ええい、やるしかない!)
かがみが力を振り絞って、みーみー戦隊からの反撃に備えようとしたまさにそのとき。お姉ちゃーん、
という声と足音が気付いてくることにみんなは気付き、みーみー戦隊も一旦動きを止めた。
みーみー戦隊サイドは、残っていたみきとみゆきが 共に回復技を使えるメンバーであったことも幸いし、
4人とも(※みさおは離脱中)が戦えるようになるまでさほど時間はかからなかった。
一方かがみは、力が回復するどころか、攻撃を止めてから余計に疲れがたまったようにさえ感じていた。
(はぁ…、はぁ…、…うそっ、向こうはもう立ち直ったの? ……しまったな、せめてお母さんかみゆきを
先に倒せていれば、もうちょっと、時間がとれたかもしれないのに。……やっぱり、一人じゃ無理だって
こと?……でも、反撃しないと、負けちゃう!……ええい、やるしかない!)
かがみが力を振り絞って、みーみー戦隊からの反撃に備えようとしたまさにそのとき。お姉ちゃーん、
という声と足音が気付いてくることにみんなは気付き、みーみー戦隊も一旦動きを止めた。
「つかさ!? どうしたのよ!」
「つかさ……、かがみの方に味方したのね……!?」
「うわぁ、お母さんごめんなさい!でも、これ、お姉ちゃん専用だから!お姉ちゃん、使ってー!」
そういうとつかさは、かがみに何かを投げてよこした。かがみは何とか受け取りに成功。
「つかさーっ!何投げてんのよ!危ないでしょ!ちょっとは考えなさいよ!」
「ごめーん。でもそれ、効き目はすごいから!お姉ちゃん、あとはがんばってー!」
そういうと、つかさは去っていった。
「つかさ……、かがみの方に味方したのね……!?」
「うわぁ、お母さんごめんなさい!でも、これ、お姉ちゃん専用だから!お姉ちゃん、使ってー!」
そういうとつかさは、かがみに何かを投げてよこした。かがみは何とか受け取りに成功。
「つかさーっ!何投げてんのよ!危ないでしょ!ちょっとは考えなさいよ!」
「ごめーん。でもそれ、効き目はすごいから!お姉ちゃん、あとはがんばってー!」
そういうと、つかさは去っていった。
つかさがかがみに投げて渡したものは、「バルサミコ酢」と書かれたラベルが貼られている瓶。
(これを……、どうしろと……!?)
かがみは少し考えた後、一つの考えに到る。
(はっ、わかった!これはポーションの一種ね?飲むのはちょっと怖い気もするけど、……まあ、良薬は
口に苦し、って言うし。多分あり得なくもないわよね。そうと決まれば、躊躇ってる時間はないわね!)
覚悟を決めたかがみは、瓶の栓を開け、のどを鳴らしながら、瓶の中身を勢いよく飲みだした。
(これを……、どうしろと……!?)
かがみは少し考えた後、一つの考えに到る。
(はっ、わかった!これはポーションの一種ね?飲むのはちょっと怖い気もするけど、……まあ、良薬は
口に苦し、って言うし。多分あり得なくもないわよね。そうと決まれば、躊躇ってる時間はないわね!)
覚悟を決めたかがみは、瓶の栓を開け、のどを鳴らしながら、瓶の中身を勢いよく飲みだした。
3秒後、かがみは口に含んだバルサミコ酢を勢いよく噴き出し、へたりこみながら咳き込んだ。
ワインのような味がするとされるバルサミコ酢でも、さすがに、一気飲みをするのは間違っている、と
言えよう。というか、そもそも飲用ではないはずだ。
ただ、かがみのこの行為も、全くの失敗とはいえなかった。
「今は、私たちにとってチャンスなんだろうけど…、攻撃しちゃ、だめな気がする…」
「そうね。せめて、ちゃんと立てるようになるくらいまでは待ってあげたほうが……」
みーみー戦隊は、攻撃を見合わせている。かがみにとっては嬉しい誤算だった。
ワインのような味がするとされるバルサミコ酢でも、さすがに、一気飲みをするのは間違っている、と
言えよう。というか、そもそも飲用ではないはずだ。
ただ、かがみのこの行為も、全くの失敗とはいえなかった。
「今は、私たちにとってチャンスなんだろうけど…、攻撃しちゃ、だめな気がする…」
「そうね。せめて、ちゃんと立てるようになるくらいまでは待ってあげたほうが……」
みーみー戦隊は、攻撃を見合わせている。かがみにとっては嬉しい誤算だった。
しばらく後、かがみは自分の身体の異変を感じた。
(なんなの、この感覚……!? 身体の中が、すごく熱い!身体じゅうにどんどんエネルギーが溜まって、
このままじゃ、抑えきれなくなりそう!私、一体どうなるのよーっ!?)
一瞬本気で死を意識したかがみだったが、しばらくすると、それとは全く違う考えを持ち始めていた。
バルサミコ酢の「効き目」に、ついに気付いたのだ。
(なんなの、この感覚……!? 身体の中が、すごく熱い!身体じゅうにどんどんエネルギーが溜まって、
このままじゃ、抑えきれなくなりそう!私、一体どうなるのよーっ!?)
一瞬本気で死を意識したかがみだったが、しばらくすると、それとは全く違う考えを持ち始めていた。
バルサミコ酢の「効き目」に、ついに気付いたのだ。
「この気配……、まずいわ!」
その効き目に気付いたのは、かがみだけではない。
ほぼ同じ頃、みきも、娘の異変と、それに伴う自分たちの身の危険を感じ取った。
「かがみの「力」の回復速度が、ありえない位に上がっている!」
そう。かがみの飲んだバルサミコ酢の効果は、「毎ターン終了後、自分のMPを全回復」といった感じ。
しかも、それを用法・用量とか完全無視で(そもそも書かれてはいないが)飲んだのだから、その効果は
本来の強さよりさらに強まってしまっている。
それは、ここからしばらくの間、かがみが、たとえ最強攻撃でさえも使い放題であることを意味する。
その効き目に気付いたのは、かがみだけではない。
ほぼ同じ頃、みきも、娘の異変と、それに伴う自分たちの身の危険を感じ取った。
「かがみの「力」の回復速度が、ありえない位に上がっている!」
そう。かがみの飲んだバルサミコ酢の効果は、「毎ターン終了後、自分のMPを全回復」といった感じ。
しかも、それを用法・用量とか完全無視で(そもそも書かれてはいないが)飲んだのだから、その効果は
本来の強さよりさらに強まってしまっている。
それは、ここからしばらくの間、かがみが、たとえ最強攻撃でさえも使い放題であることを意味する。
「さっき、私に攻撃せずにいてくれたことを感謝するわ。……でも、その恩は仇で返してあげる!」
かがみが立ち上がってそう言うと、かがみの左手の上に光球が出現。そしてその光球はすぐに、小学校
の運動会の大玉転がしで使う大玉くらいのサイズにまで大きくなった。
「みんな、散らばって逃げて!」
みきがそう言うのとほぼ同時、かがみは光球を発射。
偶然その光球の進路上にいたみなみは、咄嗟に「フライ・ハイ」で跳んで光球を避けたため無事だった。
みなみが着地してかがみの方を見たときには、既に2発目が発射されるところだった。2発目はみゆき
の方へ向かったが、みゆきは避けることに成功。
「あんなのが直撃したら、一たまりもありません!それを撃ち放題だなんて!」
その時既にかがみは、3発目の発射準備をほぼ完了させていた。まさにずっとかがみのターン。
3発目が、今度はみきのいる方向に向かって放たれた。
しかし、みきは逃げるどころか、どこから出してきたのか直径50cm以上ありそうな、円形の「何か」
を胸の前で持ち、光の方を向いて動かない。
かがみが立ち上がってそう言うと、かがみの左手の上に光球が出現。そしてその光球はすぐに、小学校
の運動会の大玉転がしで使う大玉くらいのサイズにまで大きくなった。
「みんな、散らばって逃げて!」
みきがそう言うのとほぼ同時、かがみは光球を発射。
偶然その光球の進路上にいたみなみは、咄嗟に「フライ・ハイ」で跳んで光球を避けたため無事だった。
みなみが着地してかがみの方を見たときには、既に2発目が発射されるところだった。2発目はみゆき
の方へ向かったが、みゆきは避けることに成功。
「あんなのが直撃したら、一たまりもありません!それを撃ち放題だなんて!」
その時既にかがみは、3発目の発射準備をほぼ完了させていた。まさにずっとかがみのターン。
3発目が、今度はみきのいる方向に向かって放たれた。
しかし、みきは逃げるどころか、どこから出してきたのか直径50cm以上ありそうな、円形の「何か」
を胸の前で持ち、光の方を向いて動かない。
みきが手に持っている円形の物に光球がぶつかる寸前、その円形の物体の、光球側の面は光を発しだし、
その光は光球を押しはじめ、ついには光球をはね返した。
ここで明かしておくと、みきの持っていた「円形の物体」、それは、鏡だった。
その光は光球を押しはじめ、ついには光球をはね返した。
ここで明かしておくと、みきの持っていた「円形の物体」、それは、鏡だった。
かがみの放った光球は、みきの鏡にはねかえされた。しかしかがみは、何が起こったのか理解できて
いなかった。そして、かがみが自分の身の危険に気付いたときには、もう手遅れだった。
いなかった。そして、かがみが自分の身の危険に気付いたときには、もう手遅れだった。
かがみの断末魔の叫び声が響いたところで光球は消え、神社は時刻相応の薄暗さに包まれた。
「かがみ!」
光球の直撃を受けて倒れたかがみの元に、真っ先にみきが駆け寄る。
「……息はしている。なんとか大丈夫そうね」
残りのメンバーも、かがみのもとに駆け寄る。
そのとき、かがみの身体から、煙のようなものが出はじめた。これは、『えねみーみー』が倒された際に
出るもので、これを出しきってしまえば、その人は「普通の人間」にもどる。
先の教室での戦闘時にも、説明こそ省いたが、みーみー戦隊はこの光景を見ているので、既に知って
「うおっ!あやのと柊から、なんか煙みたいなものがっ!なんじゃこりゃぁっ!」
――いるはずなんだが。意味までよく理解していないという人もいたようだ。ちなみに、背景化していた
二人は、かがみが倒れた段階で戦闘が終わったため、さっき戻ってきたのだ。
かがみから「煙」が出終わると、みきはかがみに対し、生命力回復の祈祷を始めた。
光球の直撃を受けて倒れたかがみの元に、真っ先にみきが駆け寄る。
「……息はしている。なんとか大丈夫そうね」
残りのメンバーも、かがみのもとに駆け寄る。
そのとき、かがみの身体から、煙のようなものが出はじめた。これは、『えねみーみー』が倒された際に
出るもので、これを出しきってしまえば、その人は「普通の人間」にもどる。
先の教室での戦闘時にも、説明こそ省いたが、みーみー戦隊はこの光景を見ているので、既に知って
「うおっ!あやのと柊から、なんか煙みたいなものがっ!なんじゃこりゃぁっ!」
――いるはずなんだが。意味までよく理解していないという人もいたようだ。ちなみに、背景化していた
二人は、かがみが倒れた段階で戦闘が終わったため、さっき戻ってきたのだ。
かがみから「煙」が出終わると、みきはかがみに対し、生命力回復の祈祷を始めた。
「……、……お、お母さん!? ……あれ、私、どうして……」
しばらくして、かがみは意識を取り戻した。それを見たみきはほっと胸をなでおろし、少し離れて見
守っていた他の皆は、かがみの近くに集まった。それを見て、かがみの目からは、大粒の涙が流れる。
「ほら、かがみ。泣かなくてもいいでしょ?ね?」
そう言いながらみきはかがみの頭をなでるが、しばらくかがみの涙は止まりそうにない。
しばらくして、かがみは意識を取り戻した。それを見たみきはほっと胸をなでおろし、少し離れて見
守っていた他の皆は、かがみの近くに集まった。それを見て、かがみの目からは、大粒の涙が流れる。
「ほら、かがみ。泣かなくてもいいでしょ?ね?」
そう言いながらみきはかがみの頭をなでるが、しばらくかがみの涙は止まりそうにない。
とりあえず全員で一旦かがみの部屋に戻る(白石は初潜入だが)と、早速、証人喚問が行われた。
「まず、なんで柊とあやのが『えねみーみー』になっちまったのか、ってあたりから聞かせてもらおうか」
この質問に対し、ようやく泣き止んだかがみが、小さく頷いてから答える。
「まず、なんで柊とあやのが『えねみーみー』になっちまったのか、ってあたりから聞かせてもらおうか」
この質問に対し、ようやく泣き止んだかがみが、小さく頷いてから答える。
かがみの供述は、だいたいこんな感じだ。
先日、かがみはこなたに誘われて、学校帰りに二人でアニメイトに寄った。その日かがみは、本当は
まっすぐ帰るつもりだったが、正体不明の大きな威圧を感じ、断れなかった。
その帰り、かがみはこなたの家に「寄らされ」、そこで無理矢理「えねみーみー」にされてしまった。
かがみも一応抵抗はしたが、こなたとそうじろうには、全く歯が立たなかった。
翌日、かがみは学校で、あやのとみさおを味方にしようと試みた。しかし、あやのはついてきたものの、
みさおは直感でこれを回避した。ちなみにつかさは、誘われたものの、明確な返事をまだしていなかった。
その日の放課後、かがみはこなたの家に行き、ゆたかを「悪の親玉」のもとへ連れ出す手助けをした。
先日、かがみはこなたに誘われて、学校帰りに二人でアニメイトに寄った。その日かがみは、本当は
まっすぐ帰るつもりだったが、正体不明の大きな威圧を感じ、断れなかった。
その帰り、かがみはこなたの家に「寄らされ」、そこで無理矢理「えねみーみー」にされてしまった。
かがみも一応抵抗はしたが、こなたとそうじろうには、全く歯が立たなかった。
翌日、かがみは学校で、あやのとみさおを味方にしようと試みた。しかし、あやのはついてきたものの、
みさおは直感でこれを回避した。ちなみにつかさは、誘われたものの、明確な返事をまだしていなかった。
その日の放課後、かがみはこなたの家に行き、ゆたかを「悪の親玉」のもとへ連れ出す手助けをした。
「…その「悪の親玉」は、一体どこにいるんですか!? ゆたかは、その「親玉」の所にいるんですか!?」
供述を聞いたみなみは、声を震わせてかがみに問い詰めた。かがみは泣きそうになりながら答える。
「……「親玉」がどこにいるのかは、私は知らない……聞かされていないの。でも、こなたが知っている
はずよ。こなたが家にいないのなら、きっと、こなたのおじさんと一緒にアキバにいるわ。でも……、
でも、あの二人は強敵よ。私なんかよりも、ずっと……」
「…そんなの、関係ない!…相手が強いからってひるんでいても、ゆたかは帰ってこない…!」
「みなみさんの言うとおりです。それに、一人では倒せないほど強い敵も、5人がうまく力を合わせれば
勝てるかもしれません。善は急げと言いますし、ゆたかさんのためにも、今から行きましょう!」
「そうこなくっちゃ!そのために私ら5人で『みーみー戦隊』してるんだしさ。……まー、約一名、まだ
大した活躍をしてねー奴もいるみたいだけど。なー、白石ぃ」
「し、失礼な!次こそはもっと活躍できる……、はず……です……」
「まあまあ……。じゃあみんな、もう暗いけど、今から行くのね?」
すぐに4人とも、はいと答えた。もう時間が遅いからといって、ゆたかにこれ以上余分に辛い思いを
させるわけにはいかない。
「わかったわ、行きましょう。―――かがみ。私、今日は遅くなるからって、みんなに言っておいてね」
供述を聞いたみなみは、声を震わせてかがみに問い詰めた。かがみは泣きそうになりながら答える。
「……「親玉」がどこにいるのかは、私は知らない……聞かされていないの。でも、こなたが知っている
はずよ。こなたが家にいないのなら、きっと、こなたのおじさんと一緒にアキバにいるわ。でも……、
でも、あの二人は強敵よ。私なんかよりも、ずっと……」
「…そんなの、関係ない!…相手が強いからってひるんでいても、ゆたかは帰ってこない…!」
「みなみさんの言うとおりです。それに、一人では倒せないほど強い敵も、5人がうまく力を合わせれば
勝てるかもしれません。善は急げと言いますし、ゆたかさんのためにも、今から行きましょう!」
「そうこなくっちゃ!そのために私ら5人で『みーみー戦隊』してるんだしさ。……まー、約一名、まだ
大した活躍をしてねー奴もいるみたいだけど。なー、白石ぃ」
「し、失礼な!次こそはもっと活躍できる……、はず……です……」
「まあまあ……。じゃあみんな、もう暗いけど、今から行くのね?」
すぐに4人とも、はいと答えた。もう時間が遅いからといって、ゆたかにこれ以上余分に辛い思いを
させるわけにはいかない。
「わかったわ、行きましょう。―――かがみ。私、今日は遅くなるからって、みんなに言っておいてね」
みーみー戦隊一同が かがみの部屋を出る直前、かがみは5人に向かって言った。
「みんな、絶対負けちゃだめよ!こなたを正気に戻して、ゆたかちゃんを助けだして!頼んだわよ!」
その言葉に、みさおが代表して答える。
「言われなくてもわかってるって。――― あ、そうそう、あやのー。今日うち、親いないからさ。兄貴と
いちゃいちゃするんなら、今日はチャンスだぜー」
あやのの顔がボンッと赤くなるのを見てから、みーみー戦隊は今度こそ、かがみの部屋を出た。
「みんな、絶対負けちゃだめよ!こなたを正気に戻して、ゆたかちゃんを助けだして!頼んだわよ!」
その言葉に、みさおが代表して答える。
「言われなくてもわかってるって。――― あ、そうそう、あやのー。今日うち、親いないからさ。兄貴と
いちゃいちゃするんなら、今日はチャンスだぜー」
あやのの顔がボンッと赤くなるのを見てから、みーみー戦隊は今度こそ、かがみの部屋を出た。
【続】
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- そうか、あやの、もうそこまで…… -- 名無しさん (2009-05-17 00:48:04)
- 白石かわいそすww -- 名無しさん (2008-04-01 12:54:56)