23-251氏に戻る
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1. (かがみ視点)
目が覚めたら、私はこなたの姿になっていた。
昨夜は自宅のベッドで寝ていたはずなのに、何故か、椅子に座った状態で
目が覚めた。身体を起こして、周りを見渡すといきなり、
こなたの部屋が瞳に映る。
私は混乱しながら、何度も首をめぐらせた。そして、机に置かれた鏡に
写った姿を見た時、私は仰天した。
目が覚めた。身体を起こして、周りを見渡すといきなり、
こなたの部屋が瞳に映る。
私は混乱しながら、何度も首をめぐらせた。そして、机に置かれた鏡に
写った姿を見た時、私は仰天した。
「嘘…… 冗談やめてよ」
真っ青になりながら、机に置かれた鏡を何度も見直す。けれども、小柄な体、
自然に任せたままの流れるような長い髪、そして、狐みたいな悪戯そうな顔。
何度、鏡を見直しても泉こなたそのものだった。
「じゃあ。私の身体は…… まさかこなたが」
その時、少し離れた場所から、声が聞こえていた。
「こなたお姉ちゃん。電話だよ」
確かこなたの従姉妹であるゆたかちゃんだ。こなたの2学年下で、
純粋で素直そうな子。
真っ青になりながら、机に置かれた鏡を何度も見直す。けれども、小柄な体、
自然に任せたままの流れるような長い髪、そして、狐みたいな悪戯そうな顔。
何度、鏡を見直しても泉こなたそのものだった。
「じゃあ。私の身体は…… まさかこなたが」
その時、少し離れた場所から、声が聞こえていた。
「こなたお姉ちゃん。電話だよ」
確かこなたの従姉妹であるゆたかちゃんだ。こなたの2学年下で、
純粋で素直そうな子。
「今、行くから」
部屋を飛び出して電話機まで駆け寄ると、受話機を大事そうに抱えながら、
小柄な少女が微笑んでいる。
「柊先輩からだよ。お姉ちゃん」
「『どちら』かな? 」
既に予想はついていたが、敢えて尋ねてみる。
「あっ、ごめんなさい。かがみ先輩の方」
(こなただ! )
焦る気持ちを懸命に抑えながら、受話器を耳に当てた。
部屋を飛び出して電話機まで駆け寄ると、受話機を大事そうに抱えながら、
小柄な少女が微笑んでいる。
「柊先輩からだよ。お姉ちゃん」
「『どちら』かな? 」
既に予想はついていたが、敢えて尋ねてみる。
「あっ、ごめんなさい。かがみ先輩の方」
(こなただ! )
焦る気持ちを懸命に抑えながら、受話器を耳に当てた。
「もしもし」
「かがみんや。おはよう」
声色はかがみ自身のもので、口調はこなたのもの。
「こなっ…… 」
こなたの名前を言おうとして、ゆたかちゃんがすぐ近くにいることに
気がついた。慌てて受話器を手でふさぎながら、彼女に声をかける。
「かがみんや。おはよう」
声色はかがみ自身のもので、口調はこなたのもの。
「こなっ…… 」
こなたの名前を言おうとして、ゆたかちゃんがすぐ近くにいることに
気がついた。慌てて受話器を手でふさぎながら、彼女に声をかける。
「ありがとう。ゆたかちゃん。いやっ、ゆーちゃん」
はにかむ様な微笑を見せて頷いて、ゆたかちゃんは傍を離れていったが、
完全に姿が消えるまでは、私は何も言わなかった。
「どったの? かがみ」
「あんた『こなた』だよね」
「その通りだよ」
この上もない異常事態だというのに、もう一方の当事者は、妙に
落ち着いている。
はにかむ様な微笑を見せて頷いて、ゆたかちゃんは傍を離れていったが、
完全に姿が消えるまでは、私は何も言わなかった。
「どったの? かがみ」
「あんた『こなた』だよね」
「その通りだよ」
この上もない異常事態だというのに、もう一方の当事者は、妙に
落ち着いている。
「あんたねえ。ちょっとは驚かないの? 」
「入れ替わったものはしょうがないじゃん」
「どうすんのよ」
「私に言われてもね」
確かに、自分が思いつかないことを、こなたに要求しても仕方がない。
私は冷静さを取り戻し、こなた側の状況を尋ねることにした。
「入れ替わったものはしょうがないじゃん」
「どうすんのよ」
「私に言われてもね」
確かに、自分が思いつかないことを、こなたに要求しても仕方がない。
私は冷静さを取り戻し、こなた側の状況を尋ねることにした。
「こなたも、朝ベッドで起きたら、私の姿に変わっていたの? 」
「うーん。正確にはちょっと違うかな」
「どういうこと? 」
「昨日、黒井先生達とネトゲしてたら、寝落ちしちゃってね」
「相変わらず最低だな」
「寝落ちを最低って断言できるって、だいぶこちら側に来たね。かがみん」
「そ、そんなことより先を話しなさいよっ」
焦った口調になって続きを促す。
「目が覚めたら、かがみの部屋のベッドだったね。そんでもって
鏡を見ると、身体もかがみになっていたから、あー入れ替わったんだなと
分かったけど」
淡々とした口調で話されると、無性にいらいらしてしまうのはどうしてだろう?
「うーん。正確にはちょっと違うかな」
「どういうこと? 」
「昨日、黒井先生達とネトゲしてたら、寝落ちしちゃってね」
「相変わらず最低だな」
「寝落ちを最低って断言できるって、だいぶこちら側に来たね。かがみん」
「そ、そんなことより先を話しなさいよっ」
焦った口調になって続きを促す。
「目が覚めたら、かがみの部屋のベッドだったね。そんでもって
鏡を見ると、身体もかがみになっていたから、あー入れ替わったんだなと
分かったけど」
淡々とした口調で話されると、無性にいらいらしてしまうのはどうしてだろう?
「こなたは、これが『とんでもないこと』だとは思わないの? 」
「入れ替わりネタって、ギャルゲとかでもたまにあるじゃん」
「女子高生がギャルゲ言うな」
「どんな状況でも、律儀に突っ込みを忘れないかがみ萌え」
「馬鹿! 」
駄目だ…… 全く危機感が無い。むしろハプニングを楽しんでいる様に
しか思えない。
「入れ替わりネタって、ギャルゲとかでもたまにあるじゃん」
「女子高生がギャルゲ言うな」
「どんな状況でも、律儀に突っ込みを忘れないかがみ萌え」
「馬鹿! 」
駄目だ…… 全く危機感が無い。むしろハプニングを楽しんでいる様に
しか思えない。
大きくため息をついたが、ふいに疑問がわき上がり、そのまま口に
出していた。
「それにしても変よ」
「どったの? 」
出していた。
「それにしても変よ」
「どったの? 」
「だって、普通入れ替わりって、二人が同じ場所にいるときに発生するはずよ」
私はライトノベルをよく読むが、人格が入れ替わるというストーリーも皆無ではない。
私はライトノベルをよく読むが、人格が入れ替わるというストーリーも皆無ではない。
「どうゆうこと? 」
「例えば、二人揃って階段から落ちたとかいう、アクシデントの拍子に人格が
入れ替わったのならわかるけど、今回は、二人とも全然違う場所でしょ」
「まあ、そだね」
「それがおかしいのよ」
「そうかなあ」
首をかしげていそうなこなたに構わず、矢継ぎ早に言葉を続ける。
「こなた。ネットゲームで寝落ちしたのって何時頃? 」
「うーん。確か、4時は回っていたと思うけどね」
「最低ラインが4時か。目が覚めたのは? 」
「だいたい8時かな」
私が目覚める10分ほど前だ。
「例えば、二人揃って階段から落ちたとかいう、アクシデントの拍子に人格が
入れ替わったのならわかるけど、今回は、二人とも全然違う場所でしょ」
「まあ、そだね」
「それがおかしいのよ」
「そうかなあ」
首をかしげていそうなこなたに構わず、矢継ぎ早に言葉を続ける。
「こなた。ネットゲームで寝落ちしたのって何時頃? 」
「うーん。確か、4時は回っていたと思うけどね」
「最低ラインが4時か。目が覚めたのは? 」
「だいたい8時かな」
私が目覚める10分ほど前だ。
「そうするとこの4時間の間に、人格を入れ替える『何か』が起きたのね」
「かがみん? 」
「だって、私、昨日から今日にかけては特に何もしなかった。あんたは
何か心あたりある? 」
「いつもと変わらないよ」
「だったら、第三者がやった可能性があると思うの」
「考えすぎじゃないかなあ? むしろ夢オチの気がするよ」
「かがみん? 」
「だって、私、昨日から今日にかけては特に何もしなかった。あんたは
何か心あたりある? 」
「いつもと変わらないよ」
「だったら、第三者がやった可能性があると思うの」
「考えすぎじゃないかなあ? むしろ夢オチの気がするよ」
こなたが大きなあくびをしている姿が、電話越しにもありありと分かったので、
私はきつい口調で言った。
「ほっぺたつねってみなさいよ」
「痛い」
「だから、夢なんかじゃないわ」
「そういうこと…… みたいだね」
不詳、不詳ながら、こなたは納得したようだ。
私はきつい口調で言った。
「ほっぺたつねってみなさいよ」
「痛い」
「だから、夢なんかじゃないわ」
「そういうこと…… みたいだね」
不詳、不詳ながら、こなたは納得したようだ。
入れ替わりが現実ならば、どうやって対応するかに、思考を切り替えなくてはいけない。
この辺りが、こなたから夢がないとか現実的と言われる理由かもしれない。
「とにかくこなた。今日あんたの家、ああっ、言いにくい!『泉家』に
来てくれない? つかさも誘ってね。」
「つかさも? 」
「あの子、おっとりしているけど、双子だから流石に気づくはずよ。
きちんと状況を説明しないといけない。それにつかさには、『柊家』つまり
私の家族との会話について、サポートしてもらう必要があるわ。
でないと、私が記憶喪失娘になっちゃうから」
この辺りが、こなたから夢がないとか現実的と言われる理由かもしれない。
「とにかくこなた。今日あんたの家、ああっ、言いにくい!『泉家』に
来てくれない? つかさも誘ってね。」
「つかさも? 」
「あの子、おっとりしているけど、双子だから流石に気づくはずよ。
きちんと状況を説明しないといけない。それにつかさには、『柊家』つまり
私の家族との会話について、サポートしてもらう必要があるわ。
でないと、私が記憶喪失娘になっちゃうから」
「流石に頭の回転が速いね。でも、かがみの家だと駄目なの?」
「うちは家族が多いから、秘密めいた話には向かないでしょ。それに泉家の
情報についても教えて欲しいから」
「うちは家族が多いから、秘密めいた話には向かないでしょ。それに泉家の
情報についても教えて欲しいから」
暫く無言が続いた後、電話口からのんびりした声が聞こえてきた。
「わかった。10時に行く」
「遅れないでよ」
「イエス・サージェント」
受話器を置くと、どっと疲れが出てくる。
私は両肩を落としながら、今日何度目か分からないため息をついた。
「わかった。10時に行く」
「遅れないでよ」
「イエス・サージェント」
受話器を置くと、どっと疲れが出てくる。
私は両肩を落としながら、今日何度目か分からないため息をついた。
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星に願いを 第2話へ続く
星に願いを 第2話へ続く
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- とても、面白い作品ですね、
まだ読み始めですが、一気
に読めそうです -- チャムチロ (2012-08-22 21:37:46)