いつもの帰り道。こなたと私は夕暮れの道を歩いていた。
テストも終わり夏休みも間近な日、少し涼むつもりで入った喫茶店に長居してしまった。気付けばこの時間だ。
「結構遅くなっちゃったわね」
「喫茶店涼しいからね。つい長居しちゃうんだよね~」
長く伸びた影。その二つの影の真ん中には二人の手が重なっていた。歩くたびに手がゆらゆらと振れる。
とりとめのない話。それがとても充実しているように思う。私の手にこなたの体温を感じる。
橙色に輝く空。街が霞み、私とこなたを包む。
「…がみ?かがみ?」
はっとする。どうやらぼんやりとしていたらしい。
「どうしたのさ、かがみ。ぼーっとしちゃってさ」
拗ねたように少し唇を尖らせる。そんな何気ない仕草さえも私を虜にする。本当、可愛いな。
「ん、ちょっと夕暮れに見とれてて」
「へぇ~。かがみも乙女っぽいとこがあるんだ」
からかうような声。
「うっさい。でも見てよ。空も街も私達もみんなオレンジ色に染まってる。綺麗じゃない」
「そうだね~」
こなたもうっとりして景色に見入っている。
テストも終わり夏休みも間近な日、少し涼むつもりで入った喫茶店に長居してしまった。気付けばこの時間だ。
「結構遅くなっちゃったわね」
「喫茶店涼しいからね。つい長居しちゃうんだよね~」
長く伸びた影。その二つの影の真ん中には二人の手が重なっていた。歩くたびに手がゆらゆらと振れる。
とりとめのない話。それがとても充実しているように思う。私の手にこなたの体温を感じる。
橙色に輝く空。街が霞み、私とこなたを包む。
「…がみ?かがみ?」
はっとする。どうやらぼんやりとしていたらしい。
「どうしたのさ、かがみ。ぼーっとしちゃってさ」
拗ねたように少し唇を尖らせる。そんな何気ない仕草さえも私を虜にする。本当、可愛いな。
「ん、ちょっと夕暮れに見とれてて」
「へぇ~。かがみも乙女っぽいとこがあるんだ」
からかうような声。
「うっさい。でも見てよ。空も街も私達もみんなオレンジ色に染まってる。綺麗じゃない」
「そうだね~」
こなたもうっとりして景色に見入っている。
私達は足を止めて、景色に見入っていた。
「でもさ……」
唐突にこなたが口を開く。
「夕暮れってさ、今は綺麗でも沈む直前って真っ赤になるじゃん」
「そうだけど、それがどうしたのよ?」
「私さ、あの瞬間がなんかやなんだ」
「…………」
無言の時間が流れる。
私は体をかがめ、顔をこなたと同じ高さに合わせる。こなたはまだ夕暮れを眺めているから気付かない。
「こなた」
私の声に振り向いた。
そして、
「んむっ!?」
唇と唇が合わさった。
こなたの目が見開かれる。びっくりしちゃって。
「な~に辛気くさいこと言ってんの。せっかく二人きりなのに」
びっくりしているこなたに、意地悪く言ってやった。こなたの顔はオレンジ色から更に赤くなっている。
「不意打ちは卑怯だよ……」
「へへ~ん」
上目使いで睨むこなた。それに対してからかう私。
そしてすぐに二人して苦笑し、
「……帰ろっか」
「……そうだね」
いつの間にか離れていた手を、もう一度つなぎ歩き出した。
私とこなたが別れる交差点。お互い、名残惜しげに手を離す。
「じゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」
私が背を向け歩き出した瞬間。
「かがみ!」
呼ばれて振り返った。
こなたの顔が目の前にあった。そして唇には柔らかい感触。
「っぷは」
こなたが離れる。
「さっきの仕返し」
照れくさそうな、でもいつものニヤケ顔。
「じゃあね~かがみん」
そう言うと、こなたは走って行ってしまった。しばらくの後、私も歩き出す。
唇に残る、こなたの感触。自然に顔がにやける。幸福感でふわふわしながら私は家に向かった。
恋は麻薬とは言ったものだ。麻薬など吸ったことはないが、確かにこれは気持ちよい。
依存するのも無理はないと思う。……いや、既に私は依存しているんだ。こなたに。
「………ん?」
ふと、こなたの事でいっぱいの私の目に夕暮れが飛び込んできた。
沈みかけた太陽は先ほどのオレンジとは違う、赤色に輝いていた。
ゾクリとするほどの赤い光と黒い影。周りが全て赤と黒で塗りつぶされているように見えた。
予感のようなものを感じた。それも、嫌な。
「………!」
私はぶんぶんと頭を振って、その考えを追い出そうとした。しかし、頭にこびりついたようにその予感は離れない。
私はそれを振り切るように歩き出した。
気のせいに決まっている。だが嫌な予感ほど当たってしまうものだ。
「でもさ……」
唐突にこなたが口を開く。
「夕暮れってさ、今は綺麗でも沈む直前って真っ赤になるじゃん」
「そうだけど、それがどうしたのよ?」
「私さ、あの瞬間がなんかやなんだ」
「…………」
無言の時間が流れる。
私は体をかがめ、顔をこなたと同じ高さに合わせる。こなたはまだ夕暮れを眺めているから気付かない。
「こなた」
私の声に振り向いた。
そして、
「んむっ!?」
唇と唇が合わさった。
こなたの目が見開かれる。びっくりしちゃって。
「な~に辛気くさいこと言ってんの。せっかく二人きりなのに」
びっくりしているこなたに、意地悪く言ってやった。こなたの顔はオレンジ色から更に赤くなっている。
「不意打ちは卑怯だよ……」
「へへ~ん」
上目使いで睨むこなた。それに対してからかう私。
そしてすぐに二人して苦笑し、
「……帰ろっか」
「……そうだね」
いつの間にか離れていた手を、もう一度つなぎ歩き出した。
私とこなたが別れる交差点。お互い、名残惜しげに手を離す。
「じゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」
私が背を向け歩き出した瞬間。
「かがみ!」
呼ばれて振り返った。
こなたの顔が目の前にあった。そして唇には柔らかい感触。
「っぷは」
こなたが離れる。
「さっきの仕返し」
照れくさそうな、でもいつものニヤケ顔。
「じゃあね~かがみん」
そう言うと、こなたは走って行ってしまった。しばらくの後、私も歩き出す。
唇に残る、こなたの感触。自然に顔がにやける。幸福感でふわふわしながら私は家に向かった。
恋は麻薬とは言ったものだ。麻薬など吸ったことはないが、確かにこれは気持ちよい。
依存するのも無理はないと思う。……いや、既に私は依存しているんだ。こなたに。
「………ん?」
ふと、こなたの事でいっぱいの私の目に夕暮れが飛び込んできた。
沈みかけた太陽は先ほどのオレンジとは違う、赤色に輝いていた。
ゾクリとするほどの赤い光と黒い影。周りが全て赤と黒で塗りつぶされているように見えた。
予感のようなものを感じた。それも、嫌な。
「………!」
私はぶんぶんと頭を振って、その考えを追い出そうとした。しかし、頭にこびりついたようにその予感は離れない。
私はそれを振り切るように歩き出した。
気のせいに決まっている。だが嫌な予感ほど当たってしまうものだ。
ホントかがみって可愛いんだよね~。あのキスの後の顔なんか特に。
「……かがみ」
愛する人の名が、自然に口からこぼれる。
最初は女が女を好きになるなんておかしいし、世間的にも認められるわけないって思ってたよ。
でも、その気持ちは小さくなるどころかどんどん膨らんでったんだ。かがみを想うだけで心臓がドキドキってね。
これが、恋なんだって思った。
んで、気付いてからは大変だったんだよね。かがみと一緒にいるだけで緊張しちゃうんだから、うまく話せなくなっちゃってさ。
そしたら、かがみと2人っきりで帰った時にかがみ、様子がおかしい私を心配してくれたんだよね。その時、私はひらめいたんだ。このシチュなら、エロゲーなら三択の中に必ず告白の選択肢があるって。
迷わず、告白を選択した。
『かがみ!私、かがみが好きなんだ!』
溜め込むのは私らしくない。ちょっと声が裏返ったけど、言えた。
……もちろん断られるかもしれないって思ってたよ。むしろ断られて当然だしね。
でも、かがみは真っ赤になってて、照れくさそうに言ってくれた。
『私も、こなたの事……好きだよ』
それから私たちは恋人になった。
そうして現在にいたるわけ。
かがみの事を考えてたら、結構時間が過ぎちゃった。
オレンジの夕焼けは、すっかり消え去り街中が真っ赤に染まってる。……血みたいで気持ち悪い。
「…………」
なんかセンチメンタルな気持ちになってきちゃったよ。私らしくない。
早く帰って終わってないゲームの続きでもやろっと。
そういえばもうすぐ夏休みだし、これからかがみといっぱい遊べる。
海行ったり、お祭り行ったり、花火したり、スイカ食べたり……
でも、私のそんな考えはある音にかき消された。
クラクション。
「………え?」
激しい衝撃。
私の体は宙に飛んだ。不思議と痛みは感じない。
目に入ってきたのは夕暮れ。血のように赤い空。そして、私の赤い血。
その景色を最後に私の意識は途切れた。
「……かがみ」
愛する人の名が、自然に口からこぼれる。
最初は女が女を好きになるなんておかしいし、世間的にも認められるわけないって思ってたよ。
でも、その気持ちは小さくなるどころかどんどん膨らんでったんだ。かがみを想うだけで心臓がドキドキってね。
これが、恋なんだって思った。
んで、気付いてからは大変だったんだよね。かがみと一緒にいるだけで緊張しちゃうんだから、うまく話せなくなっちゃってさ。
そしたら、かがみと2人っきりで帰った時にかがみ、様子がおかしい私を心配してくれたんだよね。その時、私はひらめいたんだ。このシチュなら、エロゲーなら三択の中に必ず告白の選択肢があるって。
迷わず、告白を選択した。
『かがみ!私、かがみが好きなんだ!』
溜め込むのは私らしくない。ちょっと声が裏返ったけど、言えた。
……もちろん断られるかもしれないって思ってたよ。むしろ断られて当然だしね。
でも、かがみは真っ赤になってて、照れくさそうに言ってくれた。
『私も、こなたの事……好きだよ』
それから私たちは恋人になった。
そうして現在にいたるわけ。
かがみの事を考えてたら、結構時間が過ぎちゃった。
オレンジの夕焼けは、すっかり消え去り街中が真っ赤に染まってる。……血みたいで気持ち悪い。
「…………」
なんかセンチメンタルな気持ちになってきちゃったよ。私らしくない。
早く帰って終わってないゲームの続きでもやろっと。
そういえばもうすぐ夏休みだし、これからかがみといっぱい遊べる。
海行ったり、お祭り行ったり、花火したり、スイカ食べたり……
でも、私のそんな考えはある音にかき消された。
クラクション。
「………え?」
激しい衝撃。
私の体は宙に飛んだ。不思議と痛みは感じない。
目に入ってきたのは夕暮れ。血のように赤い空。そして、私の赤い血。
その景色を最後に私の意識は途切れた。