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星に願いを 第3話

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 3. (かがみ視点)


「おねえちゃんが『こなちゃん』で、こなちゃんが『おねえちゃん』なの? 」
 トレードマークのリボンの上に、クエスチョンマークを幾つも飛ばしながら、
つかさは私とこなたの顔を交互に見比べている。
 第三者から見れば、入れ替わりなんて信じられないのは当たり前なのだが。
「そういうこと」
「全然分かんないよ 」
 予想どおりの反応だ。
 しかし、つかさにはどうしても納得してもらわないと話が進まない。
 やむをえず、以前つかさが家で起こした失敗話をするはめになった。
「ええっ、こなちゃんがなんでそんな事…… もしかして、
お姉ちゃんが話したの? 」
 珍しく頬を膨らまして、『かがみ』の姿をしたこなたをにらんでいる。
 怒った表情ですら可愛らしいと思ってしまうのは、姉馬鹿というしかない。

「わ、私、知らないよ~ 」
 完全な濡れ衣を着せられたこなたは、ぶんぶんとテールを振り回して否定する。
「それから、こんな事もあったわね」
 畳み掛けるように、小1の時に近くの空き家に忍び込んで秘密基地と称して
遊んだ話を、詳しく教えてあげると、つかさの顔つきが変わった。

「ほ、ほんとうにお姉ちゃん? 」
「少しは信じてくれた? 」
「う…… うん」
 疑問を残しながらも、どうやら納得してくれたようだ。
「つかさ。こなたと私は、身体が元に戻るまでは入れ替わって
生活しなきゃいけない。だからつかさには、こなたに柊家のことを
教えてほしいのよ」
「それはいいけど。私は何をすればいいの?」
「つかさが、家でのお父さんやお母さん、お姉ちゃん達と会話をする時に、
こなたのフォローしてほしいの」
「ちょっと、自信ないなあ」
「つかさは心配することないよー」
 こなたは相変わらずのマイペースだ。
 当事者なんだから少しは危機感を持ってほしいものだ。
 しかし、ここはマイペース娘の適応能力の高さに期待するしかない。

「でも、つかさと一つ屋根の下で暮らすなんてどきどきするね」
「へ!? 」
 今なんて言ったコイツ?
 私は真意を測りかねて、声をあげてしまった。
「今までさ。つかさと二人きりで過ごす機会ってあんまりなかったんだよね。 
百合フラグがたたない、とか思っていたけど」
 こなたの何気ない言葉に私の心はずきんと痛んだ。
 もしかして、こなたはつかさのことが…… 疑惑と不安がよぎって、
胸のあたりがチクチク痛む。
「まっ、よろしくね。つかさ」
「うん」
 つかさは、こなたが何気なく出した手をいつものほんわかした
笑顔で握り返した。
 たったそれだけのことが気になってしまい、私の心はひどく泡立っていた。

 ゆたかちゃんは、つかさ同様、こなたと私が入れ替わったという話を
聞かされた時は目を白黒していた。
 しかし、こなたとゆたかちゃんの二人しか知らない過去を、
『私』の姿をしたこなたから聞くことによって、一応は信じてくれたようだ。

「これからは、かがみ先輩をお姉ちゃんと呼ぶことにするんですね」
 ゆたかちゃんは私に、タンポポのような笑顔を向けてくれた。
「かわいい…… 」
 ゆたかちゃんは、小柄なこなたより更に小さい。小動物のような
つぶらな瞳もあいまって、ぎゅっと抱きしめたくなるような
愛らしさが醸し出される。
 私が成長する過程で、置いてきてしまった貴重なモノをまだ持っている
のだろうか。
 一応、つかさとゆたかちゃんの納得が得られたので、私とこなたは
お互いの家族情報を交換することにした。
 家族の呼び方から始まって、親戚等の人間関係から、家での慣習や
家事などの役割分担。
 そして、お互いのクラスの友人関係等、話はかなり
深いところまで進んでいった。
 当面は困らないだろうというところまで、情報の交換を終えると
いつの間にか正午を過ぎていた。

「こなちゃん。そろそろ、帰らなくっちゃだめだよ」
 つかさがこなたを促す。確か、午後は神社の境内を掃除することに
なっているはずだ。
「かがみも頼むよ。今日5時からバイトのシフト入っているから」
 こなたは立ち上がりながら、小さく笑った。
「げっ」
 こなたがコスプレ喫茶のバイトをしていることは知っているし、
実際に行ったこともあるが、いきなりの試練かい。
 これからどうなっちゃうのだろうと、暗澹たる気持ちに陥らざるを
得なかった。


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星に願いを 第4話へ続く










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  • この3話の時点でOVA化
    を望んでしまいます。とても
    良いですね。 -- チャムチロ (2012-08-22 21:48:43)

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