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星に願いを 第4話

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 4. (かがみ視点)


 こなたとつかさが帰った後、私はゆたかちゃんと、
二人で一緒に食事を作ることにした。
 私は料理は苦手分野であって、ゆたかちゃんのお手伝いみたいに
なってしまったのは、ちょっと情けなかったけど、15分後には、
ミートスパゲッティと、プチトマトを載せたサラダの盛り合わせが
出来上がっていた。
 小柄な身体つきから想像される通り小食で、スパゲティは
予め、私の半分ほどしか盛り付けていなかった。
 決して私の分が多すぎるということはない…… と信じたい。

「ゆたかちゃん」
 食事も一段落ついたところで、彼女に話しかけた。
「なんでしょうか? 」
 ゆたかちゃんは、つぶらな瞳で私をみつめている。
「こなたのこと、どう思う? 」
「はい? 」
 きょとんと首を傾げた後、ゆたかちゃんは答えてくれた。
「とっても素敵なお姉ちゃんです」
「どうしてそう思うの? 」
「こなたお姉ちゃんは、私をとても可愛がってくれますから。
料理も上手だし、運動もできるし、かがみさんみたいな
素敵な友達もたくさんいるし、そして、とにかくパワーがすごいんです」
「なるほど 」
 私の事を素敵な友達と言われたことには、照れてしまうけれど。
 人によって物の見方ががらりとかわることに、新鮮さを感じる。

「こなたは家ではちゃんと『お姉ちゃん』をやっているのね」
 私は笑ってみせると、ゆたかちゃんはとても嬉しそうに頷いた。
「お姉ちゃんと一緒に暮らせて本当に楽しいんです。
身体の調子も、最近は安定していますし」
「そっか」
 ゆたかちゃんは、以前はすぐに身体の調子を崩していたそうだから、
健康状態が安定していることは好ましいことだ。

「あの…… かがみ先輩は、お姉ちゃんをどう思っているのですか?」
 ゆたかちゃんが逆に尋ねてきた。
「うーん」
 私は首をかしげて考え込む。
 本当はやればできる癖に、宿題をいつも写させてと頼む怠惰な性格で、
思考回路はおじさんみたいで、いつも私をからかってくる悪戯好き。
 でも、こなたがいないと何か物足りない。彼女がいないと世界が
空虚のものにすら感じられてしまう。

「どうした…… のですか? 」
 いけない。つい空想に耽ってしまっていた。
「こなたは世話の焼けるやつね」
 自分が声に出した言葉に微妙な違和感があるが、今のところは、
他に表現のしようがない。
 文句を言いたいところは多いけど、決して離れたくない存在。
 それを好きと一言で括る事ができればどんなに楽なんだろうと
思う。
 でも、私とこなたは地球と月のような関係なんだろう。
 決して離れないが、一定の距離を常に保っている形。
 近すぎず、遠すぎず、という関係はとっても居心地の良いもので、
人格の入れ替わりという異常事態が発生した今ですらも、
根本的な考えは、変わることがないと信じていた。

「お姉ちゃんは、毎晩かがみ先輩のことを家で話していますよ」
「どんなことを言われているのかしら。やっぱり凶暴とか? 」
 私はからかうような視線をゆたかちゃんに投げかけてみせる。
「そ、そんなこと、ないですよ」
 慌てて首を横に振って、ゆたかちゃんは言葉を続けた。
「話の内容はいろいろなんですが、本当にかがみ先輩のことが
大好きなことが伝わってきます。とっても羨ましくって…… 」
 ゆたかちゃんがこなたに向ける視線は熱い。
 私の心の奥底で、微かな不安が芽生えはじめていた。

(まさか…… ね)
 ゆたかちゃんは、こなたのことを恋愛の対象として好きと
言っているいるのだろうか?
 彼女の傍には、みなみちゃんというナイトがいるはずなんだけど。

 私は、心の中のもやもやを打ち消せないまま、昼食を終えて
自室にもどる。
 バイトまでの時間を、こなたに貸していた、ライトノベルを
読むことで潰した。


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星に願いを 第5話へ続く









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  • この作者さんの話は、
    とても読みやすい! -- チャムチロ (2012-08-22 21:53:53)

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